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エピローグ 『──ゴルフ、しませんか?』


「ちょっと琉希! 歩くのはやいわよ!」


「いや、俺がはやいんじゃなくて七海が遅いだけだろ」


「私はクラブも持ってんだから仕方ないじゃない! 少しは気遣いなさいよ!」


「あーはいはい、すいませんすいません」


「適当!」


 背後からの七海の声を聞き流しながら、目的地まで急ぐ。というかなんでわざわざ出迎えに呼んだし七海の奴……。


 足を速めた七海が俺の横に追いついたころ、ちょうど目的地のドアの前へと到着した。


 そして、そのドアを開け――ようとして、横合いから手を伸ばしてきた七海が先にドアをあけ放った。



「来たわよ!」


「あ、遠野君、七海さん」


「もー、遅いよ遠野君にくらげちゃん」


「だからくらげって呼ぶなぁ!」


「おやおやぁ? そんなこと言ってもいいのかなぁ? ボク達に勝てなかったのに」


「まるで私が負けたみたいな言い方するんじゃないわよ! ひ・き・わ・け! でしょうが! 私の温情で琉希をキャディにするのは先延ばしにしてあげただけなんだからね!」


「えぇ、くらげちゃんまだあきらめてなかったんだ」


「だからぁ!」


「あはは……まあまあ二人とも。あ、はい七海さん。お茶どうぞ」


「あ、ありがとう。はぁ……宮野さんもこいつにちゃんと言っといてよね」


「え、えーっと……ぜ、善処します。あっほら遠野君も! 早く入りなよ!」



 三人が楽しげに話しているのを眺めているところに、宮野から声をかけられる。


 結局、あの日の勝負は七海がパターを決め、引き分けで終了したのだ。あのロングパットを決めるとは、時代はショット・イズ・マネーとか言ってたわりにちゃんとパターの練習もしているようだな。


 そんなこんなで、俺は専属キャディになることはなくそのまま同好会は存続。


 七海は、自分の練習を優先するものの、たまには一緒に練習すると言って、正式に同好会に入部することになったのである。


 そして、七海が入部したということは、つまり部員が四人になったということで……


「はいはいそれじゃあみんな席について! 今日はボク達同好会が『ゴルフ部』に昇格した初日ということで! その記念すべき初めての活動を何にするか決めようと思います!」


 姫川の発表に、宮野がわー、と楽しそうに拍手する。


 それに気分を良くしたのか、姫川は満足そうにうなずいて言葉をつづけた。


「はい、じゃあみんなで何をするか決めよっか」


「何にするか決める……つってもなぁ?」


「そうね。話すまでもなく決まってると思うけど」


「あはは、やっぱり? ボクもそう思ってたんだよね」


「うん、あれしかないよね」


「よし、ではみんなを代表して葵! 今日の活動を発表してください!」


 俺、姫川、七海の視線が宮野に集まる。


「え、えっと……じゃ、じゃあ――」


 三人から見られる宮野は、少し恥ずかしそうに頬を染めながらも、そのエメラルドの瞳を輝かせ、笑顔を浮かべてこう言ったのだった。



「――ゴルフ、しませんか?」



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