仕事
女子組の朝は早かった。うるさく鳴っている目覚ましを止めて用意された服に着替える。産田先輩、松田さん、ユキ以外にも料理係の人は案外多かった。それはそうだ。1番安全と言っても過言ではないのだから。
やることは簡単と言えば簡単だった。倉庫から取ってきた食料を均等に分けて、アレルギーのある人には別の物を軽く用意する。水を大きいボトルに入れて配置させる。それで終わりである。
しばらくすると寝起きの他の人達が集まってくる。そこには風哉達の姿もあった。
広瀬 「みなさんおはようございます。係の集合場所はお伝えした通りです。」
一同 「いただきます」
凛 「警備っていっても、もうほとんどTは来てないらしいな」
未知斗「らしいなー」
舞沙 「バリケードっていっても袋に土入れて積み上げたりとか、登りにくくするための対策をするらしい。」
ズエ 「土木か」
風哉 「まあ、救助が外部からくるまでの時間稼ぎだからな、」
界人 「俺らは作戦会議だとよー、、、あっ、伊達先輩!」
伊達先輩 「おー、界人か、お前も救出チームだってな?俺もだ」
界人 「マジっすか?」
伊達 「おう、まあ小学校に妹がいるってのもそうだしな、6年生だし、もう逃げ出してるかもしれないけど、俺は助けに行く義務がある」
産田先輩 「またまた後輩にカッコつけちゃってー」
伊達先輩 「うお?!なんだいたのか、、、声かけろよ、」
ユキ 「産田先輩と伊達先輩は付き合ってるんですかー、、?」
伊達先輩 「んな訳ないだろ、お前ら、さてはこいつの本性知らないな?」
産田先輩 「私は本当の本性も何もないよー」ニッコリ
朝ごはんもほんとに淡白なものだった。ただ、水は山から持ってきているだけあって水道水とはちょっと違うような、おいしい水だった。
朝ごはんを、食べ終わるとそれぞれの集合場所へと向かった。
バリケード係
タクト 「これからバリケードの制作を始める。基本はこの袋に山の土を入れて敷地の壁に沿って積み上げてくのを永遠にやる。休憩は各々自己管理で頼む。あまり無理はするなよ。あと奴らが出たらすぐさま知らせろよ。俺はほとんど警備の方にいると思うから何かあったら呼んでくれ」
ズエ 「あぁぁぁあ、くっそ腰にくるなこれ」
風哉 「夏だっら死んでるな、この作業量。」
舞沙 「他のとこよりは安全な方かもしれんが、やっぱ辛いな笑」
壁に沿って積んでいくといってもかなりな量だ。だが人員はそれなりにいる。2日間ほどで終わりそうだ。
正門の警備係
タクト 「警備係のやることは、Tが来たらさすまたで転ばす。その次に縄で縛れそうだったら縛れ。無理そうだったら頭を切断しろ。完全に死ぬ訳では無いが、再生なんかはしないから動きは封じられる。あいつらも一応死人みたいだな、、、体が劣化していってるから簡単に切断できるぞ。」
凛 「うっわ、Tの首をチョンパだって」
未知斗 「きついな、肉体的じゃなくて精神的に来るかもな。いつ来るかわからないTをずっと集中して準備しておかないといけない」
凛 「がんばろう」
未知斗 「おう」
救出チーム (作戦会議中)
上野 「山の下にある市立大芝小学校から籠城していると電話があった。昼ごはんを食べたら直ぐに向かう。それまでは経路の確認と準備支度をする。」
界人 「もう午後には出発するんですね、」
伊達先輩 「準備が出来たなら、救助は早い方がいいからな」
料理制作係
畠山 「朝顔出せなくてすみません。ここの病院の院食を担当してた責任者の畠山です。これから外部からの救助がくるまでの間よろしくお願いします。さっそくですが救出チームが午後には出るので夕方帰ってくるとして、その時間には恐らく沢山の小学生が来ると思うのでそれを受け入れる準備を主にします。もちろん昼食の準備もしますよ」
産田先輩 「朝も忙しかったけど今日はずっと忙しそうね」
ユキ 「でもどこよりも安全な方だから頑張らないとですよね」
松田さん (風哉大丈夫かなー、、)
午前中は各々やるべき事をやっていた。バリケード係はひたすら土木を、警備係はひたすら精神を削り、料理係は昼食の準備や新しく人を迎える準備をしていた。午前中も作業を交代ごうたいしながら昼食を取り、救出チームは小学校に向かうため車に乗り込んでいた。
編成はバス2台とその前後にワゴン車だ。これは消防士さんや警察官や界人や伊達先輩達が乗るためのものだろう。他の者は見送ることしかできない。
時計は1時半をまわろうとしていた。
警備係が一瞬だけバリケードを横にどけ、救出チームの車が続々と山を下っていく。バリケードを元に戻し、警備係の1人が望遠鏡で途中まで観察していた。
凛 「なぁ未知斗、、」
未知斗 「なんだ?」
凛 「下の小学校にいる人達を救出してこっちに戻ってくる時にたくさんのTが来ていたら、それは俺らが率先して制圧しないといけないんだよな?」
未知斗 「まあそういう話だしな」
今から1時間前にタクトが急に警備係を集めて話をしていたのだ
タクト 「これから救出チームが出発する訳だが、もちろん俺も行く。それでもしかしたら、救出した後に奴らが無理やり付いてきたら、その時の対処はお前らが率先してやらないといけない」
そう説明していたが、、、
とてつもなく緊張がはしる。警備係もそう弱々しい感じではないのだが、とてつもない恐怖を植え付けられるとそれを簡単に外すことはあまりにも難しい。
おそらく夕方に帰ってくると救出チームは言っていたが、以外にも救出チームの帰りは速かった。