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Ring Of Solomon〜from the under world〜  作者: *amin*
Ring Of Solomon~from the another world1~
196/207

第196話 中谷のヴァルハラ散策2

 『おや、ヤホエルじゃないか。君も賭けに来たのかい?』

 『そうだよ、今日は調子がいい。いい線行くはずさ。ラミエル、悪いけどこの子たち任されてくれない?折角だからカジノ連れてきたら行った事ないって言うんだ。ルーレットからさせればいいだろ』

 『チップは?』

 『アブディエルからかっぱらった。これを使うさ』


 なんだか完全に奢ってくれる事前提だな。



 196 中谷のヴァルハラ散策2



 ルーレットの席につかされた俺とリックの前にチップが置かれる。俺はピンク色でリックは青、横の髭の生えたおっさんラミエルは黄色のチップだ。


 なんか価値が違うのかなって表裏見ても値段は一緒っぽい。リックに聞いたらただ分かりやすい為だって言ってた。案外簡単な理由だな。


 でもチップ置かれてもわかんねぇし……ヤホエルの奴はポーカーに行っちゃったし。ってかすげぇなカジノとか初めて来た!高校生で初めてのカジノが天国の奴はきっと俺だけだろう。


 他の天使達がチップをなんかマス目にどんどん置いて行く。こいつらって熾天使(セラフィム)の奴らかな?ディーラーの服着てるけど……仕事しろよ。


 マス目を見ると、横に3列、縦に12列の計36個の赤と黒の数字があった。そして一番上に緑色の0と00がある。それを睨むように見た俺にラミエルのおっさんが声をかけてきた。


 『ルールは分かるかい?』

 「いやーなんか玉が入る場所を予測するって事しか……」

 『あぁ、細かいルールを知らないんだな。じゃあ今から始まるから説明しよう』


 チップを置こうとしてたみたいだけど、おっさんはそれを止めてマス目に指をさす。

 どうやら今回は説明してくれるみたいだ。


 『まずはチップの賭け方だ。この赤と黒計36個の数字内で賭けるのをインサイドベット、縦列や横列等一気に沢山の数字等を賭けるのがアウトサイドベットだ。インサイドベットの方が賭け金は上がるが当たりにくくなる。赤と黒36の数字の特定の数字1つに賭けるのが1目賭け。配当は36倍で最も高い。次に隣り合った2つの数字、例えば1と2に賭ける場合は1と2の線の間にチップを置く。これが2目賭けで配当は18倍。その次が1、2、3と横1列にある数字全てに賭けるその場合は一番左の数字の左の線半分にチップが重なる様に置くんだ。これが3目賭けで配当は12倍。次に数字4つ。隣合った縦と横の2マス、計4マスに賭ける場合は4つの数字の中央にチップを置く。これが4目賭けで配当は9倍。横2列の数字に賭ける、この場合は一番左の数字2列の真ん中に置き、なお且つ半分枠からはみ出させておく。これが6目賭けで配当は6倍。同じ方法だが0、00、1、2、3に賭けた時は5目賭けになり配当は7倍になる。ここまでがインサイドベットだ。理解したか?』


 よ、よく分かんないけど何とか……てか賭け方多くない?

 頷いた俺におっさんは更に他の賭け方も説明してくれる。


 『次にアウトサイドベットの賭け方だ。これは少し変わった賭け方でな、横3列、縦12列に数字が並んでいるが、この縦列のどれかに賭けるのが縦一列。つまり狙う数字が12もあるから当たりやすくなる。その分配当は3倍と少ない。次に一番左の数字の横に1~12、13~24、25~36の数字があるだろう。その中にチップを置くとこれも数字12個を一気に賭ける事が出来る。これは大中小でこれも配当は3倍。次に数字を半分に分割するんだ。1~18、19~36で賭ける、これが前半・後半だ。これは当たる確率が50%な分配当も2倍だ。あとこの奇数、偶数でかける事と赤と黒の色で賭ける事も出来る。これも確立50%で配当は2倍だ。ちなみにこのアウトサイドベットは緑の0と00は含まれない。間違えるなよ。緑に来る確率は低いんだが、来る時も勿論ある。ここに賭けておけば1人勝ちの可能性もある』


 ふぅん……なんか色々あるんだなぁ。とりあえず、まずはリスクが少ない赤と黒とか奇数偶数で行こうかなぁ……

 そう思っているとルーレットが回り出し、ディーラーが白い球をルーレットの上ではじいた。これテレビで見た事ある!でも他の奴らは未だにチップを置いている。まだ置いていいのか?

 暫くしたらディーラーが手で台の上を撫でるような仕草をして「ノーモアベット」と言った。

 

 『今のディーラーの言葉がかかるまではチップを賭ける事が出来る。ルールは以上だ。ルーレットはカジノの中で一番簡単だからな。次から賭けていこう』


 白い球が赤の19の枠に入って、チップを取られる奴や大量に帰ってくる奴様々だ。なんだかめっちゃ楽しそうだ!

 ディーラーがベルを1回鳴らした途端に他の奴がチップを狙った場所に置きだした。今から賭けていいのか。隣のおっさんも狙った場所に賭けていく。


 「リックどうする?」

 『うーん、次も赤が来る気がするな。でもこういうのって期待値だからなぁ……どれが来るかなんて』

 「そうじゃなくてお前どれで賭けんの!?数字一つで勝負に出る系?」

 『章吾、他のプレイヤー見てみなよ』


 リックに言われて見渡してみても何も分からない。一体リックは何が言いたいんだろう。

 チップを置く所に特に変な所は見られない。皆どんどんチップを置いていってるくらいしか……


 「なんなんだ?」

 『他のプレイヤー、全く配当二倍のとことか賭けてないよ。しかも一回に置くチップの量半端ないし……なんか置きにくくない?』


 確かに。でもそんなの言われてもなぁ……


 『他の階級も回るんだし、ここは適当に一目賭けしてさっさと負けて出よう』

 「え、折角来たのに!」

 『他のとこも行くんだから時間かける訳にはいかないよ。大丈夫だよ、ここは他の階級の天使も出入り自由だし、いつでもこれるよ』


 そんなぁ……そう言い返そうとしたけど、リックは適当な場所にどんどんチップを置いて行く。

 でも俺そんな勿体ない事したくないし、でも確かに赤黒に賭けるのは気が引ける。素人だからいいんだろうけど……そんな事を思っているとルーレットをディーラーが回して玉をはじいた。

 あ、やばい!急がないと!

 何だか良く分からなくなって、慌てて数字の0にチップを二枚置いて玉が止まるのを待った。


 「……嘘」

 『章吾やばくね?』

 『君すごいな。初めてで一目賭け成功か……』


 おっさんの感嘆の声とリックの驚きの声が聞こえる。

 白い玉は綺麗に数字の0の所に収まっていた。ちなみにここに賭けたのは俺以外いない。つまり俺の一人勝ちって事だ。

 チップ二枚賭けてたから戻ってきたチップは七十二枚。これは興奮するしかない!


 「す、すげぇ!チップのタワーができた!」

 『すげぇよ章吾!一枚250ギリアだから×72と、元々持ってたのがあと十八枚あるから22500ギリアだ!』

 「おおお、俺そんなに一気に金ゲットしたの!?か、換金しなきゃ!」

 『一回で止めるのかい?これからが楽しいのに』

 「これで美味いもん食うんだ!おっさん換金する場所どこ!?」

 『あそこだよ』


 おっさんに指さされた場所に俺とリックは走って向かってチップを換金した。


 やりまくってやる!って思ってたけど22500ギリアも手に入れちゃったら今度は使うのが勿体なくなってしまった。俺ってギャンブル向いてないのかなぁ。でも小遣いあんま残ってなかったからラッキーだった。


 力天使は給料制で、公務員みたいに貰える額が決まってるんだけど、俺みたいにまだ見習いは給料じゃなくて小遣いって形になってる。だから貰える金額もそんなに多くない。まぁ少ないってわけじゃないんだけど……


 そのままリックに引きずられてカジノを後にした俺達はセラフィムの神殿を出た。


 『ラミエル、さっきの奴らは?』

 『出ていったよ。それよりすごいな彼、初めての癖に0の一目賭けを当てたぞ』

 『マジかよ!?あいつら力天使の奴らで見学に来てたんだよ』

 『あぁそうなのか。熾天使ではないと思ってたが、彼がラファエルの……彼はすごいな、強運だよ』

 『へぇーまぁ明らかに運良さそうな顔してるもんなぁ』


 ***


 『じゃあ次は智天使(ケルビム)に行こう、あそこはご飯が美味しいから少し買い食いしよう。章吾奢ってね』

 「飯!?行こう行こう、この金で美味いもん食おうぜ!」


 リックとルンルンで智天使の神殿前まで来たけど、今度はまた随分と熾天使と印象が違った。

 綺麗な草花は咲いていて、本当に花に囲まれていたからだ。どこからか水の音が聞こえてくるし、リックの言った通り、水の楽園って言葉は相応しい気がした。


 『ここは天界一美しい水と草木に囲まれた場所さ。だからここのご飯はすっごく美味しいんだ!お薦めはアマルの果実とルペアの焼き肉。食べたくなってきた、早く行こう』

 「おい待てよー」

 『あ、あんた!』

 「ん?おあ!」


 急に大声が聞こえて振り返った先には異端審問の時に俺に喧嘩を売って来た女が立っていた。

 女が滅茶苦茶驚いた後、俺の所に詰めかけて来る。


 『なんでここにいるのよ!あんたは力天使(ヴァーチャーズ)でしょ!?』

 『お、落ち着いてくださいゼフィエル様。今日はラファエル様の許可を得て、他階級の神殿内を案内してるんですよ』


 ガクガクに揺さぶられて意識を飛ばしかけた俺をリックが慌ててフォローした。なんだよこいつ。どんだけ俺に喧嘩売ってくるんだよ。

 でもリックの説明に満足したのか、ゼフィエルは今度は顔を赤くして咳払いをした。


 『そ、そう。ならあたしが案内してあげてもいいわよ』

 「え?別にいいよ。リックが案内してくれるし」

 『……この馬鹿!もう知らない!勝手にすればいいじゃない!』


 思い切り蹴飛ばされてゼフィエルは物凄い早足で去って行った。す、脛が痛い!


 『まさかゼフィエル様って……だとしたら章吾、今のは君が悪い』

 「な、なんでだよ!いらないからいらないって言ったのに!!」


 リックの冷めた視線が突き刺さる。俺マジで何かした?

でもリックはそれ以上何も言わず、溜め息をついて先に進んでいったから、俺も慌ててその後をついて行った。

 

 神殿の中は噴水が所々にあって凄く綺麗な場所だった。庭も広く綺麗な花が沢山咲いてる。そしてリックが見張りの天使にネックレスを見せて、中に入らせてもらう。


 広場もやっぱり綺麗な場所で中央のテーブルには天使達が美味しそうな物をいっぱい並べて談笑していた。その皿の1つを指さしてリックが話しかけて来る。


 『あれがルペアの焼き肉だよ。あれが美味しいんだよ~』

 「あれかぁーなぁなぁそれどこで売ってんの?」

 『ちょっ章吾!』


 急に話しかけた俺に天使2人はかなり驚いていたが、すぐに笑みを浮かべて答えてくれた。


 『この先の庭で配ってたのよ。もう売り切れてるかもしれないね』

 「え!?そんなぁ……」

 『良ければ持っていく?私達はもう食べたしね』


 ニコニコ笑っている少女が肉の乗った皿を差し出してきたから受け取ろうとしたのに、少しぽっちゃりした青年の天使が不満を口にした。


 『えぇ、折角貰ったのにあげちゃうのかいゼフォン』

 『いいじゃないかイトゥリエル、私達はそろそろ見張りの時間だよ』

 「そうだぞ、いいじゃんくれよ。そんなに食ってばっかだと太るぞ」

 『なっ……初対面の癖になんて失礼な奴なんだ!名前を言いたまえ!!』


 噴き出した少女とは裏腹にぽっちゃりは顔を真っ赤にさせて怒ってる。豚が怒った。

 リックが走ってきて頭を下げようとしたけど、それを阻止して俺は自己紹介。


 「俺は中谷章吾、よろしくな!」

 『よろしくな!って、こんな状況で……中谷章吾って言えばラファエル様が御寵愛なさってる奴か?』

 「ん?わかんねぇけど俺は力天使だぜ」

 『本当だ。ラファエル様の刻印のネックレス持ってる。まぁいいじゃない肉くらい、初めてここに来たんだし分けてあげなよイトゥリエル』

 『えぇ……ゼフォンは甘いんだよ』


 渋々寄こしてきた肉を貰った俺は礼を言ってリックに一つ渡し、早速食べようとした。でもリックは中々食べようとしない。何だよ、こういうのって熱々が美味いんだろ?何で食わねぇんだよ馬鹿だなぁ。


 『俺、章吾といるとマジで寿命縮まりそう』

 「天使に寿命あんの?」

 『ないけど』

 「なら大丈夫」


 リックとの会話を終わらせて今度こそ肉を食おうとしたら、広場の天使達がざわめきだした。

 それと同時にゼフォンとイトゥリエルが頭を下げだしたから何だか分からなくて、俺とリックも頭を下げた。

 何だかヒソヒソと話声が聞こえて、どうやら誰かが帰って来たようだった。


 「リック、何?」

 『ガブリエル様が帰って来たんだと思う』


 ガブリエルって確かここの天使長の……俺入ってていいのかな?


 その時、黒髪のポニーテイルの男に、フードを被った2mはありそうな巨大な天使の腕に乗った髪の長い綺麗な女の人が出てきた。ガブリエルって女って聞いてたから多分この人だ。


 思わず顔を上げてガン見してしまったせいか、ガブリエルと目が合ってしまった。


 首をかしげて自分を抱いている男に側に行けと促している。やばい!こっち来る!!リックが焦った表情をしたけど、すでに遅し。ガブリエルは俺の目の前に来ていた。


 『あら貴方見ない子ね。智天使ではないでしょう?』

 「は、はい。俺達力天使で今日は見学に……」


 恐る恐る言えばガブリエルは何かを思い出したらしい。無表情だったけど、少しだけ笑みを浮かべた。綺麗な人だなぁ本当に。


 『ラファエルの言っていた子かしら?』

 「え?あ、多分そうと思います?」

 『ふふ、見学に来たのね。ゆっくりして行きなさい。私はガブリエル、貴方は章吾で合ってるわよね?』

 「あ、はい」

 『確かに可愛い子ね。ゼフィエルが気にいるのが分かるわ。ねぇケルビエル』


 ガブリエルは自分を抱いている天使に声をかけるけど、そいつは返事をしない。ていうかこいつ天使なのか?なんか見た目怖いんですけど。

 ガブリエルと一緒に帰って来たもう一人の天使が笑ってその光景を眺めていた。穏やかな雰囲気がセーレを彷彿とさせた。


 「あの、俺肉食いに来ただけだから帰ります!行こうリック!」

 『あ、うん!』


 俺とリックはしっかりと肉を持って頭を下げて急いで神殿から出た。

 なんだかあんな他の誰も喋ってない空間で話しかけられても返答に困るっつーの。でも美人な人だったなぁ。


 『ガブリエル様、彼が……』

 『そうね、ラファエルが可愛がってる子ね。バルディエル、貴方は見た事あるのかしら?』

 『いいえ、初めて目にしました。しかし普通の少年ですね……なぜラファエル様は彼を力天使に……』

 『さぁ、ラファエルは馬鹿じゃないわ。何かをちゃんと考えてる。その何かは分からないけど……』


 二人で神殿を慌てて出て、少し離れた中央広場で肉を食う。

 あーもうなんで帰ってくるかな。おかげで超気まずかったじゃん、勘弁してくれよぉー


 「なぁなぁあいつら誰なんだ?女の人がガブリエルだろ?」

 『あの方達は智天使の中心人物さ。フードを被ってガブリエル様を腕に抱えてた天使がケルビエル様、智天使の副天使長。ガブリエル様はミカエル様の補佐も仕事に入ってるから、あまり智天使内の仕事ができなくて、実質率いてるのはケルビエル様って言われてるくらいさ。その横にいた黒髪のポニーテイルの天使がバルディエル様。ケルビエル様の監視役とも言える天使』

 「監視役?あいつやばいのか?」

 『やばくはないけど、ガブリエル様の念押しってとこかな。自分が居ない間に好き勝手されたら堪らないから、ケルビエル様の行動をリサーチする役目を作って、それを実行するのがバルディエル様って訳』

 「ふぅん……お前違う階級の天使なのに詳しいな」

 『有名どころだけね。ゼフィエル様だってかなり有名な天使だけど』


 あぁ暴力的な意味でじゃないそれ。

 リックは俺より食べるのが遅い。先に食べ終わった俺はリックが食べ終わるのをまだかまだかと待っていた。あ、そういえばアマルの果実食べてない。食べてみたかったのに……今度アズラエルに取り寄せてもらおう。

 リックも食べ終わったので、俺達は再びヴァルハラ散策に向かう事にした。


 『いい?次の階級は座天使(スローンズ)。ここはラジエル様が天使長を務めてる階級で今まで回った二つの階級と違って、かなり愛想がないし排他的な性格の天使が多いから、さっきみたいに不用意に話しかけないでね』

 「あ、わかった。うん」


 行きたくない場所が回ってきたなぁ。ここ飛ばせないの?

 でもそこに行けば地上、人間界を見渡す事が出来る。皆の様子を確認する事が出来るんだ。

 そこで皆が今どうしてるのか分かるのかな?そんで今どうなってるのかも……

 俺は先を歩くリックの後を慌てて追いかけようとしたんだけど、視線を感じて振り返った先にはゼフィエルがいた。恨みがましく俺を睨みつけている。


 「なんだよお前……俺に恨みでもあんの?」

 『べ、別にないわよ!何よ!?』

 「こっちの台詞だっつの!」


 口げんかが始まった俺たちを止めさせるかのようにリックが間に入って俺をゼフィエルから引き離す。

 なんだよこいつ、どんだけ俺の事嫌いなんだよ。

 そう言おうとしたけど、急に大人しくなったゼフィエルがもごもごと口を動かしている。


 『ど、どうだった?智天使は』

 「ん?別にいいとこじゃない?綺麗なとこだし、飯うまいし」

 『そ、そうでしょ?なんならいつでも来させてやってもいいわよ!今度案内してあげてもいいし……』


 何だか急に素直になったなこいつ。相変わらず高圧的だけど……

 でも変な事言ったら、またキレだしそうだから、適当な事言っとこうかな。


 「じゃあお前も今度力天使来いよ。案内してやるよ」

 『ほ、本当に?本当に行ってもいいの?』

 「いいよ。俺が勉強する時間以外ならいつでも」

 『仕方ないから行ってあげるわ。絶対案内するのよ!約束破ったら怒るからね!』


 そう行ってゼフィエルは走って行った。早いなぁあいつ……

 そんな俺をリックは少しニヤニヤしながら眺めていた。


 『ゼフィエル様は章吾みたいな人があってるのかもね』

 「はぁ?」

 『なんでも。さ、行こう』


 今度こそ歩き出したリックを俺は慌てて追いかけた。


 ***


 『ガ、ガブリエル聞いた?あんた聞いたでしょ?』

 『聞いたわよ。あんまり興奮しないの。良かったわね、今度力天使に遊びに行けるじゃない』

 『別に行きたいってわけじゃないけどねっ……』

 『素直じゃないわね。可愛い』



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