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第144話 全ての真実

 アンドラスは鋭利な剣をたてて祈るように目をつぶる。一種の願掛けのような儀式に手を出すことができずに立ち尽くす俺に、相手は律儀に頭を下げた。


 『ソロモン七十二柱序列六十三位アンドラス。いざ参ります』

 「堅苦しいな。てめえの礼儀って奴か?」

 『戦う奴には最大限の礼節を……俺のポリシーだ』

 「そういうとこは好きになれそうだぜ」


 二人は軽く言葉を交わした後、一斉に走り出した。



 144 全ての真実



 二人が走り出したことで一気に距離が縮まる。しかし相手は大きな狼に乗ってる、ウリエルの不利は間違いないだろう。ウリエルは自分に牙を向いてくる狼の攻撃を避け、一瞬で体勢を整えた後、地面を蹴り上げて宙に舞った。その姿は本当に俺の体なのか?そう思うほど軽やかだ。

 

 アンドラスもウリエルの動きを最初から見切っていたかの様に剣をウリエルの方向に瞬時に向けた。お互いの剣が重なり、鈍い音が響く。目の前で繰り広げられる光景は相変わらずド迫力で、思わず上げそうになった悲鳴を必死で抑えた。その間にもウリエルとアンドラスの闘いはヒートアップしていく。

 

 それにしてもいかんせん狼が邪魔だ。あいつは動きも素早いし、爪や歯は鋭い。ウリエルも狼の相手までは大変だろう。そう思ったのはウリエルも同じだった様で、距離をとった後、アンドラスを睨み付けた。


 「おい、狼は反則だろ。タイマンじゃねえだろうが」

 『約束を破った奴が俺にケチをつけるのか?それに栄光の七天使ともあろう大天使が俺如きに手を焼くなんて腕が鈍ってるんじゃないのか?』


 その言葉にウリエルの表情が変わった。安い挑発に乗ってしまったようだ。


 「いいぜ。上等じゃねえか!てめえごとき狼込みでも余裕ってとこ見せてやるよ!」


 馬鹿!流されんなよお前!!

 そう突っ込めば「うるせぇ」と返ってくる。こいつは俺の体だって分ってんのか!?

 そのまま再び闘いになれば、俺は黙っている以外ない。少し離れた所からはその光景をストラスたちが呆然と眺めている。


 「すげえ……」

 『流石ウリエル。彼ならばきっとアンドラスを倒してくれるでしょう』


 そっちに一瞬意識が行った数秒の間でも、ウリエルとアンドラスの剣はぶつかり合っている。ウリエルはアンドラスの攻撃を体を捻ることでかわし、待ち構えていた狼に不安定な体勢のまま剣を投げつけた。剣は狼の顔面に突き刺さり、大きな唸り声をあげて倒れこんだ。


 その瞬間、恐怖で俺自身も思わず目を瞑って視界をシャットアウトしてしまった。光太郎のビビる声が聞こえて、更に恐怖が大きくなっていく。でも恐る恐る目を開けると、完全に倒れこんでいる狼の顔面に浄化の剣が突き刺さっていた。これで狼を倒したのはいいけど、丸腰になっちゃったんじゃないのか!?


 そう思ってわたわた焦っている俺にアンドラスは狼から抜いた剣を投げつけた。


 『流石ウリエル。一筋縄ではいかないと思ってたんだよ』

 「今更俺に媚びても無駄だぜ。お前は絶対に殺す」

 『あんた馬鹿だな。俺が天使に媚びる事なんて絶対にない。脳みそ洗って出直して来い』


 再び二人に火花が散る、でも狼がいなくなった状態だったらウリエルが圧倒的に強いはず。やっぱウリエルに頼み込んどいて良かった……こいつは大天使とか言われるに相応しいぐらいに強いからな。アンドラスも大口叩いてるけど、内心焦ってるに違いねえな。狼がいなくなったことによる安心感から一気に俺は力が抜けた。後はウリエルがしてくれるって思ってるから。そんな俺の気持ちを代弁するかの様に、ウリエルが一気に距離を詰めた。


 「さあアンドラス!タイマン勝負と行こうじゃねぇか!」

 『大天使様を殺害できたら俺も大出世だな』


 狼がいなくなったというのにアンドラスの強気の態度は変わらない。お互いがお互いの剣を弾き、一瞬で体制を整えて再び斬りかかって行く。しかし相手も瞬時に体制を整えて受身の態勢をとる。普段の俺の稽古からじゃ想像もできない程のハイレベルな戦いが目の前で繰り広げられてる。剣と剣が合わさる音もハンパじゃない、ギィンギィンと大きい音を立てている。


 でも……何かがおかしい。アンドラスが一人になってウリエルが圧倒的に有利だと思ったのに、アンドラスに追い詰められた気配はない。むしろ逆にこっちが押されてるような……

ウリエルが距離を取り、俺に確認をしてくる。


 「おい、お前どっか怪我してたりするか?」


 怪我?そんなのは思い当たらない。

 首を横に振るとウリエルの顔が怪訝そうに歪む。俺の体に何かあったのか?ウリエルがアンドラスを倒せないのと関係してるのか?ウリエルは手を開いたり閉じたりして何かを確かめてる。


 「……言う通りに体が動かない」

 「え?」

 「体を動かしたくてもタイムラグが発生してる。スピードも出ないし、握力も弱まってる……どう言う事だ?」


 ウリエルにも原因は分らない。ストラスたちも首を傾げてるところから二人にも原因は分らないんだろう。単に俺の体の機能が追い付いていないだけじゃないのかと聞いてみる。ウリエルに体を使われたら次の日、筋肉痛がすげえもん。でも、そうでもないらしい。

となると残りは……


 「おい、てめえなら知ってんじゃねぇのか?こいつの体に何をした」

 『おいおい……俺は何もしてねえよ。ただ単にお前を拒んでるだけじゃないのか?』

 「そんな馬鹿な事があるか。いい加減にしねえと殺すだけじゃすまさねぇぞ」

 『面白いねえ、何をやるんだ?やってみろよ。できるもんなら』


 何でアンドラスはここまで強気なんだ!?

 ウリエルはその言葉が頭に来て再び剣を向けようとした瞬間、膝をついてしまった。


 「ウリエル?」

 「そんな馬鹿な!どうしてっ!?」

 

 苦しそうに息を吐くウリエル。俺の体なのに俺には全く痛みなんて感じないが、第三者から見ても自分の体が震えて立つこともままならないのが分かる。

 ただ苦しそうにするウリエルを見守るしか出来ない。


 『始まった』


 アンドラスの言葉が脳裏に響く。始まった?何が?ウリエルがこんなに苦しむ原因があるっていうのか?その瞬間、俺の口から大量の血が咳と共に溢れた。自分自身でその光景に驚きを隠せない。ウリエルは俺の体を震える腕で押さえつけ、膝をついてしまっている。


 「ウリエル!ウリエル!!」

 「拒否反応が起こるなんて……まだ時間はあるはずなのに!」


 拒否反応?俺の体がウリエルを拒んでる?でもウリエルは十分は大丈夫だって言ってた。まだ五分程度しか経ってないぞ!

 体中が痛いのか、ウリエルの表情はどんどん辛いものになっていく。


 「悪い拓也……もう限界だ」


 その言葉と共にウリエルの意識が完全に俺の中から途絶えた。口から血まで吐いたのに体の痛みは無く、ただ事態が飲み込めないままだった。そんな俺を見てアンドラスは笑みを浮かべる。

 こいつが何かしたんだ。こいつがウリエルに何かを!


 「何しやがった……」

 『何が?』


 あくまでシラを切るつもりなのだろうアンドラスに苛立ちが募っていく。何が?じゃねえだろ。てめえが何かしたからウリエルがあんなに苦しんだんじゃねえか!何がなんて……良くそんな事を白々しく言えるな!

 ギュッと力いっぱい作った拳に爪が食い込んで痛い。でも他に怒りのぶつけ場所が無い。黙ってアンドラスを睨み付ける俺にストラスが歩み寄ってきた。


 『アンドラス、これはどういう事態なのです?貴方はウリエルに何をしたのですか!?』

 『何もする訳ねえだろ。継承者、お前がウリエルを拒絶したんだ』


 俺のせいだって言いたいのか!?俺がいつウリエルを拒絶したって言うんだ!言いがかりもいい加減にしろ!


 「ふざけんな!てめえが何かしたに決まってんだろ!」

 『体は正直だ。お前の意思はどうか知らないが、体がウリエルを拒絶したんだよ』


 俺の体が?拒絶した?そんなこと今まで一回も無かった。俺が嫌だと強く願った時は確かに体を貸すことは出来なかったが、それ以外では何の問題も無かった。

 何で急に……


 『まさか……フルフルの言っていた事は本当だったと言うのですか?』


 ストラスの声が震える。フルフルが言ってた事?

 慌てて思い返していくと、一つだけ引っかかった言葉が思い浮かんだ。

 

 “継承者は直に俺たちの主になる。お前はあの御方の大切な御子になりつつあるんだ”


 あの時は絵里子さんが怪我をした事で、その話をすっかり忘れてしまっていたが、もしかしたらフルフルのその言葉が原因なんだろうか?アンドラスはストラスの言葉に更に笑みを深くした。


 『フルフルから何を聞いてるんだ?』

 『あの御方の御子として認められたと……』


 やっぱりストラスも気になるのはその部分なんだな。

 アンドラスは「お喋りだな」と呆れ口調だったものの、口元には笑みが浮かんでいる。

 

 「た、拓也」


 話についてこれない光太郎が震える手で俺の肩に半分しがみつくように歩み寄ってきた。でも今の俺にはアンドラスの話が気になって、とても光太郎を励ます余裕は無い。

 俺と光太郎、ストラスの視線をいっぺんに受けて、アンドラスは少し居心地の悪そうな顔をした。


 『パイモンに何も聞かされていないのか?少なくともあいつは知ってたと思うぜ。まあいいよ、知らねえなら俺が教えてやる』


 心臓が嫌な音を立てる。アンドラスの言うことがどこまで本当かは分からない、でもパイモンは本当に知っているんだろうか。


 アンドラスがゆっくりと近寄ってくる。それに応戦するかのように震えた手で剣を握りしめると、戦う気がないのか手をひらひら振った。全てが分るんだ。フルフルの言った答えがきっと、悪魔達が俺を探してる理由に繋がるんだ。ずっと知りたかった、なんで指輪だけを狙わないんだろう。なんで俺を地獄に連れて行こうとするんだろう。なんでルシファーは俺に会いたがるんだろう。その理由がやっと分かる。


 でもそれは同時に絶望の幕開けにもなる。


 『継承者、お前はサタナエル様復活の切り札になるんだ』


 予想していた物は理解できない悪魔の名前だった。あっけに取られた俺と光太郎と違い、ストラスは全身の毛を逆立てた。その姿を見て、サタナエルって奴がどれだけ危ない奴かがわかった。でも俺はてっきりルシファーが一枚噛んでると思ってたんだけど……どうやら違うみたいだ。


 『サタナエル様……そんな馬鹿な!彼は永遠に壊れない結晶の中で封印されているはず!いくら指輪の力と言えど、拓也に壊せるはずがありません!』

 『馬鹿だな。継承者が受け継いだサタナエル様の力があれば容易いさ』

 『何を……大体人間にサタナエル様の力を受け継げるはずが……』

 『サタナエル様のエネルギーは継承者の中で確実に増幅していっている。上手い事に継承者が受け継いだからな』


 色んな矛盾が生じているらしい。ストラスが言葉でアンドラスを追い詰めていくけれど、アンドラスはストラスの言う事全てに首を横に振った。話についていけない俺達はただ大人しくしているしかない。とりあえず分かったのは、こいつらはサタナエルって悪魔を復活させたいらしく、そのサタナエルは良く分かんねえけど封印されてて、指輪の力でサタナエルを復活させたいって事。


 でもそんな事言われても無理だ、俺は指輪自体を使いこなせないんだから。これを機に諦めて欲しい。そう思っている俺の前で言い合いはヒートアップしている。


 『サタナエル様は前回の審判で自分が封印される前に自分の力の一部を分散させた。その力が再び外部から入ってさえくれば、力に反応してサタナエル様は目覚める』

 『まさか……』

 『そうだ、その指輪には天使の力だけじゃない。サタナエル様が御自身の力の一部を入れ込んでたんだよ。間抜けな天使共はそれに気づいてないみたいだったがな』


 この指輪にサタナエルの力が宿ってる。悪魔の力が……!

 でもこいつはやっぱ馬鹿だ、こんなとこで全部カミングアウトしやがって。


 「やっぱお前馬鹿だな!この指輪通してウリエルと繋がってんだ!お前の言った事全部俺がウリエルに伝えてやる!」


 そう言ってやってもアンドラスは笑みを浮かべたままだった。


 『そこまで馬鹿じゃねえよ。もうお前はウリエルと連絡は取り合えない。さっきの状況を見て、それが確信できた』

 「は?」

 『お前は指輪を手に入れて一年近く経つだろう?』


 良くそこまで調べてくれてるな。そうだ、今日で丁度1年だよ。

 黙っている俺を見て肯定と受け取ったのか、アンドラスは言葉を続けた。


 『本来その指輪は天使の物だ。その指輪の継承者となった場合、天使と常にエネルギーを共有してることになる。当然天使のエネルギーにも耐性を持ってくる訳だが……なぜウリエルがあんな状態になったかわかるか?』

 「知るかよそんなの!」


 『簡単な事だ。指輪を通して体内にサタナエル様のエネルギーが流れ込んでる。お前はサタナエル様に浸食されていく……つまり段々悪魔になっていってんだよ。天使にとって悪魔の体に憑依するのは自殺行為だ。だからお前のエネルギーとウリエルのエネルギーは共有する事が出来なかった』


 え、悪魔になっていってる……?エネルギーを共有してるんじゃなくて侵食?思わぬ単語に返事すら出来ない。光太郎も口をパクパク動かしてるし、ストラスも目を丸くした。俺は人間だよな、悪魔なんかじゃないよな、あいつの言ってる事は全てはったりで、俺は悪魔になんかならないよな。

いまいち言ってる事がぶっ飛びすぎて簡単に信じるなんて出来ない。しかしそんな俺に追い討ちをかけるかの様にアンドラスは言葉を紡いでいく。


 『サタナエル様のエネルギーは強大だ。指輪に入ってる天使のエネルギーなんて跳ね除けてお前の体に浸透していく。そしてお前のエネルギーはどんどんサタナエル様のエネルギーに融合されていってんだよ。それに順応してるお前はあの御方の御子として認められたんだ。兆しはあっただろ?サタナエル様を何らかの形で感じ取ったはずだ』


 それと同時に思い出したのは、最近よく見るようになった夢の中の声。顔は分らないけど、誰かが俺を呼んでるんだ。一緒に行こうっていつも言ってくる。こんなに待ってるのに、と。まさか……あれがサタナエル?


 理解したと同時に体の力が抜けて尻餅をついてしまう。嫌な汗が体中を伝っていく。もしあの声がサタナエルなら、アンドラスの言ってる事が本当なら、俺はもう……人間じゃないのか?サタナエルって奴の子供って事になっちゃうのか?そもそも悪魔化って何なんだよ!意味がわからねえ!何で!どうして!!


 『泣くほど嬉しいか?継承者』


 気づいたらひっきりなしに涙が溢れて止まらない。よく分らない上に、まだ決まったわけじゃない事実でも胸がズタズタに切り裂かれたように痛い。

 アンドラスの皮肉に言い返す事も出来ない。


 『早く目覚めろ。そして俺達の主になれサタエナル様の御子よ。審判で全ての因縁に終止符を打とうぜ』


 誰がお前達の主になんてなるものか、誰が悪魔になんかなるものか。俺は池上拓也だ。他の何者でもない、池上拓也なんだ。言い返す事が出来なくて自分でもわかるくらい弱弱しく首を横に振った俺にアンドラスは苛立たしげに舌打ちをした。舌打ちは俺がしたいんだよ、何でお前がそんなに不機嫌になっていくんだよ。

 こんなカミングアウトをされて、苛々したいのはこっちなんだ。


 『しょうがねえよなぁ。嫌がっても力づくで連れてくしかよ』


 剣を持ってゆっくりと俺のほうに向かってくるアンドラス。

 そんな俺を庇うかのように光太郎とストラスが前に出てきた。


 「いい加減にしろよ!お前の言ってる事はでたらめだ!拓也は悪魔なんかにならない!ずっと拓也のままだ!」

 『貴方の話はまだ確証が持てません。そのような話、信じる価値も無い』

 『くく……必至だな。そうやって逃げ続ければいいさ。ただ、俺は逃がす気ねえからな』


 アンドラスが光太郎とストラスに剣を振り上げた。勿論何も武器を持ってない二人は抵抗する術が無い。何も考えるな、今はこいつを倒すことだけを考えればいいんだ。今は忘れろ!

 俺は浄化の剣を出して、アンドラスが振り下ろした剣を受け止めた。


 『やっとやる気になったか?継承者』


 アンドラスは軽く振っただけなのに、太刀筋は酷く重く剣はどんどん俺に近づいてくる。もちろん振り下ろすのにも重力がかかって太刀筋が重くなるし、膝をついてる俺のほうが体勢的にも不利だけど、そんなの関係なくアンドラスの方が圧倒的に強い。

 でも俺がやらなくちゃいけないんだ。

 何とかアンドラスの剣を弾いて立ち上がる。


 「拓也っ!大丈夫なのか?」

 「今は何も考えない。俺はあいつを倒す」


 ゆっくりゆっくりとアンドラスに距離を詰めていく。


 『さぁこっからは追試だ。合格点まで辿り着いてくれよ』

 「うるさい。黙ってやられてろ」


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