第118話 異世界を巡れ!
深呼吸をして扉に手をかける。後ろには父さんを抱きかかえている母さんと、泣きながら俺たちを見送ってくれている直哉がいる。皆のためにやらないといけない。
シトリーは動いたら駄目だと言っていたけど、助けを待っている間に父さんに何かがあったら、動かなかったことを絶対に後悔する。だから、行かないといけない。俺にはストラスもいるし、隣には澪もいる。大丈夫、絶対に父さんを助けて見せる。
118 異世界を巡れ!
「うお!?なんだよこれ。どこだよ」
レラジェが出ていった先は崖が広がっていたはずなのにおかしい。俺と澪が同じ扉から出たのに、なんで空中に浮かんでるわけ!?
俺達はゆっくりと落ちていく。周りにはぬいぐるみや化粧台、何だか不思議な空間に来たみたいだ。ファンシーなおとぎ話に相応しい空間に緊張していたのに、扉を開けてみればこれだ。どうやら空間はかなりの種類あるっぽい。
「なんか不思議の国のアリスみたいだね」
あーうん、そうそう。確かにそんな感じ。適当にふわふわ浮いている本を手に取り中身を開いてみるが、内容は読んだことのない挿絵付きの本で、わからない俺はすぐにそれを手放した。
流されるままにフワフワと落ちていく俺たちにストラスは図々しくも横になり頬杖をついた状態でつぶやく。見た目的に面白いからやめろ。
『しかしどこまで落ちていくのでしょうかねぇ』
確かに。でもそんな話をしていたらどこかの部屋が見えてきた。ソファと机、ピンクと白で統一された可愛らしい部屋。その中央に俺と澪とストラスは着地した。周辺には何もなく、あたりをキョロキョロと見渡すと少し離れた場所に小さな扉があった。あそこから次の場所に行けるんだろうか。
「ここには何もないね」
「そうだな」
『拓也!構えなさい!』
ストラスが声を張り上げた瞬間、数匹の悪魔が俺たちに襲い掛かってきた。思わず逃げ腰になってしまった自分自身に喝を入れる。駄目だ!パイモン達はいないんだ!俺が澪とストラスを守んないと!
でも……こわいぃ~~~!!
その結果。
「逃げよう!」
情けない。それはわかってんだけど、でもしょうがない!澪の手をひいて、近場にあったドアに手をかけて開くと、そこはまたありえない世界が広がっていた。
「海賊王に俺はなる!!」
ん?このどっかで聞いたことのある名ゼリフは……え――――――――――!!??ちょ、待って!なんかル●ィが目の前にいんだけど!やべえサイン欲しい!!ってか一緒に写真撮ってほしい!!またもや固まってしまった俺達を他所に、ストラスは何かを感づいたようだ。
『これはダンダリオンの力ですね。私達はかなり深い幻術をかけられています』
ちょっと待って、それどころじゃないんだから。ストラスの言葉を無視して、俺は一生懸命ル●ィを撮ろうと必死で携帯での撮影を敢行するが、ル●ィは動き回って止まってくれない。もはや動画を撮るしかないかこれは。しっかしこのシーンどっかで見たような……あ!!
「そういえば、この内容ってこの間中谷と話してた奴……」
中谷は展開が熱い!と騒いでおり、俺もそうなんだーと相槌を打っていたんだ。背景も戦っている奴らも内容と全く同じだ。
「ストラス、これって……」
『私の話を聞いてなかったのですか?』
すみません、全く聞いてませんでした。ストラスは少しイラついているのか表情は不機嫌そうだし、ストラスを抱いている澪も苦い顔をしている。
『ダンダリオンの能力は相手の記憶や思考を盗み見る事。つまり心を見透かすのです。そして幻術をかける。つまりこの幻術は貴方や澪から作られたものなのです』
「なっ……じゃあこの世界は俺の記憶から作られたって事?」
確かにそれじゃあ●フィが出てきたのも納得がいく。澪も何か思い当たる節があるようだ。
「あたしも……先週友達からディズニーに行ったってアリスのグッズもらって、可愛いねって話をしてて……」
『おそらく先ほどの幻術はその時の澪の創造を盗み取って具現化したものでしょう。しかし相手の記憶まで盗むとなると大がかりなものになる。拓也達はともかく、敏感なパイモンやシトリー達が気付かなかったのは可笑しい。どういう事でしょう』
目の前で争いが起こっているにもかかわらず、漫画の世界の話だと思ったら怖くなくなり、そっちのけで考え込んでいると、頭上から大声が聞こえてきた。
「ゴムゴムの―――ガトリング!!!」
俺達が真剣な話をしている最中にル●ィが技をかましたおかげで城壁が壊れていく。お、おおーすげえ。漫画だと何とも思わないけど生で見るとすげえな。どんな筋肉してやがんだ……って……
「どわ―――!!!」
ル●ィが壊した城壁がこっちに落ちてくる。城壁の欠片は結構な大きさで逃げるなんてできないだろう。更に俺達は漫画の登場人物じゃない。城壁に潰されて「ぎゃ~~!!」で終われる訳がない。
「くっそ……!」
もうこれはやっちゃうしかない!上手く発動できるほどの時間がないけど逃げる事も出来ない!少しずつ剣が光って行き、それを確認して思いっきり叫んだ。
「行け!!」
剣から竜巻が出てきて、城壁の欠片をバラバラに打ち砕いた。なんとか危機を脱したと思ったのだけれど……
ゴン
「いってぇええぇぇぇえ!!!」
バラバラに砕いた欠片の一つが頭に落下してきて痛みに蹲る。何これ痛い!タンコブできちまう!こりゃ城壁落ちてきたら笑い話になんないよ!
とりあえず澪やストラスじゃなくて俺に落ちてきてよかった!ストラスとかマジで潰れるぞ本当に!
「この力……一体何なんだ?麦わらの仲間か!?」
ん?なんか勝手に勘違いされてるし。てか麦藁の仲間入りしちゃった。地味に嬉しいんだけど。しかし敵が俺たちに振り返って銃やらなんやらを構える。仲間だと思われたから相手からは敵だって認識されるのは当たり前だ。
「やべえ!」
『拓也!逃げましょう!!』
勿論逃げるに決まってんだろ!
俺たちが狙われたことにル●ィが焦って海軍の奴らを食い止めようとしている。それに感謝しながら俺達はまた手前にあった扉を開けて中に入った。
「わわ!」
そこにはまた妙な空間。なんか説明できないんだけど夜で、なのになぜか海の中が見通せて、中にはシャチとかイルカとか亀とかがいて、月がめちゃくちゃ近くて、わずかな岸に立っている一軒の家に出てきた。
「俺こんなん見たことないぞ」
「あたしも」
『すみません。これは私ですね』
お前もかい!?なんでお前まで記憶を盗まれてんだよ!悪魔は気配に敏感ってさっき言ってたじゃん!
「一体何を見てこんな景色になったんだよ!?」
『……テレビで有名芸術家の展覧会があると聞いて、そのCMで使われていた絵です。あまりに独創的かつ美しいので記憶に残っていました』
いましたじゃねえよ!なんだよこれ!シャチがうようよいるじゃねぇか!しかもシャチの下にクマノミいるし!!独創的すぎるわ!
こんな中からレラジェを探さないといけないのか?幻術にかかっていた期間が二週間くらいって考えても、俺達も何も考えずに生活しているわけじゃない。こんなちょっとした記憶でも具現化されるとしたら膨大な数あるぞ。
「俺頭痛くなりそう……」
『奇遇ですね。私もです』
「あたしも……」
こんなゴタゴタした中でレラジェを見つけて、しかも倒せとかありえないだろ。でもこのままじゃ父さんもやられちゃうし何とかしないと……俺達はため息をついてまた同じ扉を開けて中に入った。
***
光太郎side ―
「ぎゃはははは!すげえ!!タケ●プターすげぇ!!」
どうなってんだこれ……拓也の家に入ったら、そこはドラ●もんの舞台である空き地だった。そこでリサイタルをしていたジャ●アンの頭上に俺と中谷は落っこちてしまったんだ。もちろんジャ●アンは急に出てきた俺達にブチ切れたんだけど所詮は高校生と小学生、いくらジャ●アンが強いとはいえ年が六も七も離れてたら力は歴然だ。しかも野球部である中谷はかなり力が強いしバットと竹刀もある。突っかかってくるジャ●アンを絞めるのなんかお手の物で、あっという間に空き地を制圧してしまった。
そんで色々あって、友達を探してると言ったらドラ●もんがタケ●プターを貸してくれたと言う訳だ。中谷はかなり楽しそうにしてるみたいだけど、正直俺は使う気になれない。こんなちゃちい道具で本当に空飛べんのか?これ体重制限いくらだ?いや、中谷は飛んでんだから飛べるんだろうけど、いまいち信憑性に欠ける。大体二十五世紀にもなってこんな見た目の道具しか作れないものなのか?いや、けなしてる訳じゃないんだけど、あまりにも竹トンボすぎて。漫画で見ると憧れるけど、リアルで見ると怖くて使う気が起きない。てかなんでこんなことになった?ここ拓也の家のはずだよな。
「中谷、早く行こうぜ。遊んでんなよ」
渋る中谷を強引に降ろさせて、ドラ●もんにタケ●プターを返した。中谷は返すのを嫌がってたけど、持って帰るわけにはいかない。これ持って帰った場合はどうなるんだろう。少しだけ気になるけど。
「でもなんだってドラ●もんの世界なんかに出ちまったんだ?」
「さあ。でも俺は楽しかったけどなー!こないだカラオケのCMでジャ●アンが歌ってたの見てさ、一回ジャ●アンの歌聞いてみたかったんだよー!」
中谷にとっては収穫があったみたいだ。でもここに拓也はいないことを確認すると手前にあったドアに手をかけた。ドアを開けると、また新しい景色が広がってる。
「今度は何が待ってるんだ?」
「でもおもしろいよな」
確かにね。こんな急いでる状況じゃなかったら楽しいかもな。一種のアトラクションのような感覚かもしれない。
そしてドアを開けると、ものすごい冷たい風が俺たちを襲った。
「え、ちょっと待ってよ……」
「さみいいいい!!」
出てきたのは船の甲板だった。甲板はパニック状態で逃げ惑う人々たちが救命ボートに乗ろうと我先に向かっている。もしかしてこれ映画の奴か?振り返った先には巨大な氷河が視界に入り、思わず苦笑い。あれだ、氷河にぶつかって沈没する豪華客船内で男女の恋愛模様を描いた不朽の名作ってCMで言われてて、テレビのロードショーで見たんだ……流石にこんなところに拓也がいるわけがない。
逃げ惑う人々の迫力は相当なもので、側では諦めて説法する神父や音楽家など、本物さながらだ。俺も中谷も息が詰まってしまう。
「中谷、早く次に行こう。ここには絶対拓也達はいないって」
カチカチ歯をならしながら中谷に次ぎに行こうと急かし、中谷も顔を真っ青にさせながらそれに頷く。
こんなとこ一刻も早くおさらばしたい。俺は船内へ向かう扉に手をかけて先に向かう。
今度は何だかよくわからない船の扉から出た先には密林が広がっている。
「どこここ……」
中谷が辺りを見渡しながらサクサク進んでいく。
ちょっと待てよ。俺はこの景色に見覚えが……
「……アナコンダ……」
そうだ!映画アナコンダのジャングルだ!!これもロードショーで見た―――!なんで、俺が最近見た映画ばっかり出てくるんだよ!!てことは……
全身の血が一瞬で引いた俺は急いで中谷を呼び戻した。
「中谷!船に戻れ!アナコンダが出るぞ!」
「え!?」
船には誰も乗ってない。ってことは多分クライマックスの部分だろう。でもそんなことはどうでもいい。早く逃げなきゃ!あーくそ!こんなんじゃ一生拓也を探せなさそうだよ!
***
拓也side ―
「疲れた……」
あれから俺達は更にいろんな場所を行き来した。ストラスから具現化された世界遺産のマチュピチュ。まあこれは楽しかった。俺から具現化されたNAR●TOの世界。殺されかけた。澪から具現化された海外ドラマの現場。女優さん綺麗だったけど……
「これじゃいつまでたってもレラジェのところ辿りつけねぇ!!!」
急がないとやばいのに、このままじゃ本当の父さんが不味いことになる!でもなんかこの先を開けたくないんだけど!俺の手は完全に扉の前でとまってしまっている。
「拓也?」
「開けたくないんだけど」
『それは私も同じです。私達が何を考えていたかを知られて恥ずかしい』
いや、それは俺も一緒だろ。でもこのままここにいる訳にもいかないよな。
今いる場所、ぶっちゃけサバンナのコテージの前。二日前、直哉と珍獣ハンターと言うテレビを見ていた時の光景だ。そして後ろにはライオン達が俺達を取り囲んでいる。
「このままじゃ食われるよな」
「なら早く開けて」
澪の突っ込みに頷いて、俺は恐る恐る扉を開けた。
もうやだ。次は一体何が出てくんだよ!
「……あれ?」
なんだここ。すっげえ見覚えあんだけど……俺達は小さい公園の便所の扉から外に出た。公園には幼稚園児であろう、子供達が遊んでいる。泥団子を作ったり、ブランコに乗ったり、子供達は甲高い声をあげながら公園内を走り回っている。この制服どっかで見た事あるような……
どうやら澪も覚えがあるのか、首をかしげている。そのまましばらく二人で首をかしげている時、子どもが声を上げた。
「拓也君こっち!」
「え?」
『貴方ではないでしょう』
思わず反応してしまった俺にストラスが冷静に突っ込む。いかんいかん、いきなり名前呼ばれたら無駄に反応しちまうわ。そして俺と同じ「拓也君」が俺たちの前を通り過ぎた。
「あれ?」
その子供は俺と瓜二つの見た目だった。いや、俺を丸っきり幼くしただけ。
「もしかしてここって……」
そうだ、ここはガラガラ公園だ。ガラガラと音が鳴る滑り台がちゃんとあるし、中央の広場にも見おぼえがある。じゃあここは……
「俺たちの子供の頃?」
俺と澪の顔が真っ青になる。ちょっと待って。幻術とは言え、過去の世界に来ちゃったの?“拓也君”は友達と城を作って遊んでいる。一緒に遊んでいるのはミっちゃんだ。小学生の時に転校していった男の子。こんな顔だったっけ?あ、葵先生だ。めっちゃ若いし。
「俺、こんなの考えた記憶ないぞ。澪?」
「え、違うよ」
『私ですね!』
お前かよ!!なんでお前が昔の俺を回想するんだ!!
ストラスは愉快そうにホッホッホと笑っている。
『母上と一緒に拓也と直哉の幼き頃のアルバムを見たのですよ。写真というのは大変すばらしい。貴方の幼い姿、このストラスもしかと目に焼き付けておきましたよ』
「どうもありがとう!!」
そのおかげでこんな光景が具現化されてんだけどね!?しかも恥ずかしいから俺がいない場所で俺のアルバム見るの止めて!!
澪の姿が見えないのは多分チューリップ組だけが公園に来てるからだろう。澪はひまわり組だったから。俺は恐る恐る"拓也君"に近づくと、相手はこちらの存在に気づき、顔をあげる。なんだか不思議な感覚だ、幼い俺が目の前にいるなんて。
「誰?」
「えーっと……池上拓也って言うんだけど」
「すげえ。拓也君と同じ名前だ」
ミっちゃんが俺の名前を聞いて“拓也君”と同じ名前なのに驚いている。この子からしたら拓也っていったら幼い俺しかなくて、同じ名前の人間が他にもいるってことに衝撃を受けるんだな。本人もちょー驚いてるし。
「小さいころの拓也かわいいね」
『大変可愛らしい。いつからこのような情けないアホ面になったのか』
「おい!聞こえてんぞ!!」
澪とストラスが少し笑みを浮かべながら近づいてくる。そしてミっちゃんの視線はストラスに向かった。
「すげえ。変な鳥が喋った」
『失敬な』
ミっちゃんの言葉にストラスは一言言い返すと、途端に不機嫌になってしまったが俺からしたらミっちゃんファインプレイなんだけど。しかし肝心の“拓也君”は俺をジッと見つめたまま返事をしない。
「俺と会ったことある?」
“拓也君”はどうやら俺を知り合いだったのかと勘違いしているようで慌てて否定した。
「あー直接ではないけど……」
何だか凄く懐かしい。俺は気になってた事をいくつか聞いてみた。“拓也君”の側に置かれた泥団子。これってもしかして……俺の記憶が正しかったら、これは家へのお土産だ。
「その泥団子、上手いな」
“拓也君”は綺麗に丸くなった泥団子を手に取っては嬉しそうに笑った。
「そうだろ!これ帰ったら直哉にあげるんだ!」
やっぱな、俺の記憶に狂いはなかった。俺が幼稚園の時に直哉が生まれた。友達と遊んで帰るたびに、花やらなんやらをお土産と言って持って帰っていた。勿論ゼロ歳だった直哉は全く記憶がないみたいだけど、母さんは相当嬉しかったようで今でも思い出したときに語るんだ。
何だか少し気恥ずかしくなる。
「俺にも弟いてさ。直哉て言うんだ」
「本当!?俺と同じ名前で同じ名前の弟がいる!」
“拓也君”は疑う事もなくキャッキャと喜んでいる。純粋だなぁ。こんなに俺純粋だったんだなぁ……
俺は“拓也君”の頭を優しく撫でた。
「いつまでも笑ってろよ」
「何?」
「今からいっぱい辛い事あると思うけど、いっぱい笑っていっぱい泣けよ。お前がしっかりしなきゃ俺が存在しないんだから」
「わかんない」
五歳には難しかったか。でもいいや、幼い俺は楽しそうだから。俺はしゃがんでいた体を起こす。長居はできない、先に進まないと。
「どこ行くの?」
「帰るんだ。元の世界に」
「帰るの?また会える?」
「会えるよ。お前は俺だもん。俺は成長したお前だ」
“拓也君”の目が丸くなる。
それが少しおかしくて笑って俺は歩きだした。
「ねぇ!俺そんなに背が高くなってるの!?」
的外れな質問も俺らしい。
それがなんだか可笑しくて、いつの間にか俺は笑ってた。
「これからもっとデカくなる予定なんだよ!」
“拓也君”に手を振って、ストラスが便所のドアに足をかけて器用にドアノブをひねる。少し楽しかった、澪は自分に会えなかったのが残念みたいだけど。
「さあ、次に行くぜ」
扉を開けたて出てきた先は今までとはまた随分違ったものだった。薄暗い世界になんだか異臭が漂っており、どこかからうめき声も聞こえる。その中のどこかの建物から俺達は外に出た。
「どこだここ?」
『ここは……!早く出ましょう!』
「ストラス?」
ストラスが血相を変えて再び扉に向かって飛んで行く。
しかしそれは数匹の悪魔に寄って遮られた。どうやらレラジェの部下みたいだ。
『拓也』
「ん?」
『ここは……地獄です』




