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第10話 空中戦

 ヴォラクが指を動かすと、一瞬のうちに見えない壁が俺たちを包み込み、住宅街の一角が隔絶された場所に代わる。結界はかなり広く、ヴォラクのドラゴンを召喚しても充分空を飛びまわれるほどの広さだと思う。

 結界に閉じ込められ、退路を断たれたにもかかわらず、マルファスに焦りは見られない。


 『結界カ。コノ程度デ私ヲ閉ジ込メタツモリカ』



 10 空中戦



 『拓也、マルファスがこの結界破る可能性もあるからできるだけ短期戦で行くよ』


 当たり前だ、こんな怖いのと長期戦なぞやれるか!

 森岡はエマを抱きかかえ怯えきっており、森岡を庇うように森岡の前に立った。しかしマルファスは首を傾げ、剣を取る気配がない。相手から戦う意思が見られないことにヴォラクが怪訝そうに眉を動かした。


 『なに?お前戦う気ないの?まあいいや。さっさと死ねばいいし』

 「……ヴォラク、なぜ私たちが争ウ必要ガアルノデス?私が契約者ヲドウシヨウガ貴方には関係ないでショウ。ソノ子供ヲ渡シテクダサイ。貴方ト争ウ気ハアリマセン』


 出会ったときのヴォラクと全く同じことを言うマルファス。やっぱり悪魔っていうのは基本的にはよほどのことがない限りはお互いに干渉しないってことか?マルファスは森岡さえよこせば、あとはどうでもいいと言っている。

 でもヴォラクは剣を取り出して相手に向けると、それが宣戦布告だと察したマルファスの表情が変わる。


 『悪いけど、俺の契約者様がお前を倒すことをご所望な訳。お前に恨みはねえけど諦めな』

 『愚カナ……契約者ノ望ミヲ果タスタメニ同胞ニ剣ヲ向ケルトハ』


 しかし、マルファスがこちらに視線をよこし、何かに気づき向こうも剣を抜いた。


 『ソノ指輪……ホウ、貴方ガ継承者ダッタノデスカ。シカシソノ様子ダト、私達ノ召喚者トハ思エナイ。先刻カラ私ノコトヲ嗅ギ回ル輩ガイルト思ッテイタラ……トナルト、ヴォラクトストラスハ貴方ト契約シタノデスネ』

 「だったら何なんだよ」

 『フン、セイゼイ私ヲ楽シマセテ下サイ』


 そういった瞬間マルファスは風を纏い空中に飛び立った。


 『フォモス、ディモス!行くよ!』


 ヴォラクがそう叫んだ瞬間、双頭のドラゴンが姿を現し、ヴォラクはドラゴンの頭に乗りマルファスの後を追い空中へ飛び立った。あまりに一気に事態が動き、森岡だけじゃない俺たちもついていけない。しかし初めて見る悪魔たちの戦いに森岡は信じられないという顔をし、空を見上げている。


 「な、何がどうなってんだ?」

 『拓也、私もヴォラクの後を追います。地上は宜しく頼みますよ』

 「お、おう!」


 ストラスも羽を広げ空中に飛んでいった。でも地上をよろしく頼むって……すごい格好いいこと言われたけど、実際はお留守番ってとこだよな。だって何もやることないし。


 「いつ攻撃してくるかわかんないってことか」

 「できるだけ固まってたほうがよさそうだな」


 俺たちはできるだけ固まり戦いを観戦する。空を見上げるとフォモスとディモスが炎を吐いているのが見え、巨大なドラゴンの攻撃をかいくぐるように剣を持ったカラスが飛び回っている。もうこの光景だけでハリウッド映画一本作れそう……

 しかし戦いの素人だし、上空数十メートルもの高さでの戦いを詳細にみることができず、戦局がどうなっているのかさっぱり分からない。


 「押されてんのか……なんか向かってきてねえか?」


 目を凝らしてみると、何かがこちらに向かって来ている。


 『拓也避けて!』


 ヴォラクの声が聞こえ、やっとマルファスがこちらめがけて猛突進していると言うことを理解し、慌ててその場から離れた。しかしマルファスの狙いは俺じゃなかった。


 「うわああああぁぁあああ!」


 マルファスは森岡を咥えると再び空中に飛び去ってしまった。


 「森岡!?しまった!」

 『あーうっぜえ!ちょこまかとよお!人質取られちゃフォモスとディモスも使えないし』


 そうだ、フォモスとディモスは一つ一つの攻撃がデカイ。マルファスのような小さいっつってもカラスにしてはでかいが、恐竜並みのデカさを誇るドラゴンにとっちゃ結局はカラスなんだ。そんな敵を捕らえるの自体大変なのに、人質まで取られたら……


 『ヴォラクの動きを封じるためですね』


 ストラスが降りてきて俺の肩にとまる。動きを封じられて、こっちはどうすりゃいいんだ?向こうだって森岡咥えた状態じゃ、まともに戦えないだろ。


 『実際に今回マルファスとまともに対抗できるのはヴォラクだけですからね。彼さえ封じれば後はどうにでもなる』

 「くそっ!きたねーぞ!」


 マルファスに向かって石を投げようとした中谷を隣にいた光太郎が慌てて止める。


 「よせって!森岡に当たったらどうすんだ!」

 「あ……くそ!」


 悔しそうに地団太を踏む中谷、もどかしそうに歯を食いしばっている光太郎、空中に居る森岡の恐怖は想像を絶しているだろう。いつ地上に叩きおとされるかもわからない状態で空中に宙ぶらりんなのだ。

 地上に降りてきたヴォラクが舌打ちをする。


 『せこいことするね……拓也』

 「どうしたヴォラク」

 『ディモスに乗って』

 「へ?」

 『グダグダ言ってないで早く乗って!焼かれたいの!?』


 ひいぃ!!怒ってる!なんでなんで!?

 ヴォラクは俺が乗れるようにディモスにしゃがむように命令し、ディモスは俺を乗せるのが嫌なのか一瞬しぶったが仕方なく頭を地面に降ろした。目の前に巨大な顔と長い首が降りてきて、ぎろりとこちらを睨んでくる。目のサイズだけで俺の上半身くらいの大きさがあり、躊躇して後ずさりした俺をヴォラクが再度乗れと急かす。


 『拓也、早く乗ってよ。あいつに逃げられちゃう』


 ヴォラク……目がマジですよ。なんか今逆らったら本気で殺される気がしてきた。乗るのも死ぬほど嫌だけど、嫌だけど、嫌だけど!

 深呼吸して恐る恐るディモスの体に触れた。鱗でざらざらしており固い。


 『拓也、頬の辺りに足を置いたら踏み台にできるから。そこから頭に乗って。あと角をちゃんと持っててね、じゃなきゃ振り落とされるから』


 言われなくても持つよ!死んでもはなさねーよ!!

 モタモタと手間取りながらもなんとか安定する場所を見つけ、半ばしがみつくようにディモスの角を持った。横目でヴォラクを見るとヴォラクは右手に剣を持ち、角は左手でおさえている。慣れたらあんなにできるのか?めっちゃ怖くないか?

 ディモスは俺が乗ったことを確認すると顔を上げた。ひいいっこわい!思った以上に高い!!


 「拓也、頑張れよ!」


 やばい!中谷と光太郎がマジで小さく見える!

 ストラスなんかもう豆粒だぞ!


 『行くよ!フォモス、ディモス!』

 「のわ!」


 ヴォラクがそういうとフォモスとディモスが羽を広げ飛び上がった。一気に重力を体に感じ、姿勢を保つことすらできず、へばりつく様にしがみつく。

 衝撃が半端じゃねえ!すっごい風くるし!マジで飛ばされる!!ぎゃああああ!!下見たらマジ怖い、家小さい、ていうか寒い、風強い!

 心の声が隠せておらず、騒いでいる俺をヴォラクは冷めた目で見ている。


 『拓也パニくりすぎ』


 パニくりすぎとか……普通の人間はドラゴンに乗る機会なんて一生ないんだよ。まるで俺が大げさに騒いでいるかのような反応するな。

 そんなことを言い返す余裕もなく、とにかく吹き飛ばされないように必死でディモスにしがみついていると重力を感じなくなり、なんとか体勢を整える。下を見ると住宅街が一望できるほどの高さになっており、恐怖でチビりそうになるのをこらえてなんとか頭をあげると、森岡を咥えているマルファスがいた。

 ここから、どうする気なんだ?


 『拓也、マルファス狙ってよ』

 「へ?俺に?」

 『他に誰がいんの?魔法を頼って拓也をディモスに乗せたんだから』


 やめてえええええええええええぇえぇぇぇぇぇええぇえ!!

 え、そういうこと!?俺の魔法目当てで乗せたの!?本気で怖い!!この状況じゃ無理!ていうか魔法自体無理!


 『拓也、こないだやったみたいに念じてよ。そしたら魔法が発動されるから』

 「え!?え!?え!?」


 とりあえずヴォラクに言われたとおり念じてみる。

 こいつを倒したい。森岡を助けたい。はやくディモスから降りたい。澪にあいたい……


 しかし俺の必死の願いもむなしく指輪は全くと言っていいほど反応せず、痛いほどの沈黙が襲い掛かる。


 発動しねーじゃねーか!

 焦ってわたわたしてるとヴォラクが冷ややかな視線を送ってくる。使えない、役に立たないと訴えてくる視線がグサグサ刺さり泣きそうだ。


 『どうやら自分に危険が迫んないと発動できないみたいだね』


 危険迫ってるよ!発動しろよこのやろー!この状況で誰がのんびりしてるって言うんだ!

半泣きで指輪に文句を付けていると、ヴォラクが大きな声を出した。


 『伏せて!』

 「え?」


 目の前には剣を抱えているマルファス。森岡は完全に気絶してる。森岡、ちょっと羨ましいぞそれ。俺も気ぃ失いてー……


 『貴方タチニハガッカリデスヨ。指輪ノ継承者ナノニ魔法ノヒトツモ使エナイトハ……相手ハヴォラクダケデスカ。コノ少年ハモウ用無シデスネ』

 「まさか……やめろ!!」


 マルファスは口に咥えていた森岡をそのまま落とした。なんってことをしてくれたんだ!!

 真っ逆さまに落ちていく森岡を追いかけることもできない。光太郎達だって受け止めることはできないだろう。頭から落ちていく森岡の最悪の最期が脳裏に浮かび、何に縋ってでも助けなければと必死になって指輪に願うと、まぶしく輝き始めた。


 「また!今度は何だよ!?」


 指輪が光った瞬間、森岡の体が光に包まれ、まるでラピュタの女の子みたいにゆっくりと下に落ちていった。あれなら、大した衝撃にはならないだろう。


 「な、何だこれ……」

 『コレガ指輪ノ力……』

 『攻守揃ってんのね』


 ヴォラクは感心したように呟いた。

 未だになにがなんだかわからずに指輪をただ見ていた。本当にまた俺がやったのか?でもこれで森岡が最悪の事態にならずにすんだってことだよな。指輪が扱えたことに勝機を確信したのかヴォラクが勢い良く剣をマルファスに向け、声高らかに叫ぶ。


 『さぁ〜拓也、今度はこいつにかましちゃって!』


 え!?


 返事をしない俺に肩を落としたヴォラクが振り向く。いまだに情けないほどディモスにへばりついている俺は誰がどう見ても戦える状態だと思わないだろう。ヴォラクのテンションがみるみる下がっていくのがわかり、俺は気まずさでますます縮こまる。


 『拓也……』

 「だ、だって今のも無我夢中でっ……どうやったか全く分かんないんだよぉ」

 『ドウヤラソノ指輪、使イコナシテハイナイヨウデスネ』


 そうです、そのとおりです。なんでヴォラクより先にお前が分析できるんだよ。


 『ククク……デハ八ツ裂キニシテ差シ上ゲマショウ』

 『馬鹿拓也。つかえねー』


 ひどい!俺今めちゃくちゃ頑張ったじゃん!俺がいたから森岡助けられたんだから!!

 そんな俺を放置してヴォラクはフォモスの頭を優しく撫でた。


 『拓也、フォモスとディモス頼むよ。お前たちも拓也の言うこと聞くんだよ』

 「ヴォラク、どうしたんだ?」

 『拓也が当てになんないから俺が行くしか無いじゃん』


 そう言った途端ヴォラクは羽を広げフォモスから飛び去った。

 その羽、飾りじゃなかったんだな。ていうか……


 「嫌だあああああああああ!こんな状況で1人は嫌だああああああああ!!」


 俺はディモスの頭で絶叫した。フォモスがうるせーんだよ。とでも言うように俺を睨み付けてきたけどそんなの気にしない。今は生き残るほうが大切だよ!


 「フォモス、ディモス!とにかく下に降ろしてくれ!なぁ頼む!」


 一刻も早くこの状況から逃げたくて、必死でフォモスとディモスに下に下りるように命令した。日本語通じる?でもヴォラクの言うこと聞いてるんだからわかるんじゃないの?何となくくらいなら。よくわからんけど賢そうだしさあ!!

 慌てふためいて騒いでいる俺の目の前ではヴォラクとマルファスが剣を向け合っている。

 ひいい!こりゃハリウッドも顔負けだよ〜……ていうかフォモスとディモスは俺のこと無視かい!?


 「なんで言うこと聞かないんだよ!?フォモス、ディモス!」

 『貴殿は主を売る気か!』


 まさかのドラゴンに怒鳴られて目が丸くなる。言葉を少しは理解できるんじゃないかと思っていたが、俺が思っているよりもずっと賢いらしい。


 「え……お前、今しゃべ……って」

 『言葉を紡ぐなど容易なこと。主の許可が下りなかっただけだ』

 「主って……」

 『貴殿は我らが主ヴォラク様をマルファスに売るつもりか!?貴殿は指輪の継承者でありながら常に戦いから逃げ、ヴォラク様に戦わせている!見えなんだか?ヴォラク様のあの姿を!』


 ヴォラクをよく見ると所々に切られた跡がある。

 俺のせい?俺が魔法を使えないから?


 “拓也が当てになんないから俺が行くしか無いじゃん。”


 俺のせいであいつが昨日の人間みたいに動かなくなるかもしれないのか?そんな嫌だ!!でも、どうすればいいんだよ。嫌だよ前線に出て戦うなんて……怖くて、できるわけがない。

 思わずディモスに縋りついた。どうする事もできないんだよ……


 「どうすればいい?だって本当に魔法なんて使えないんだよ……」

 『貴殿はそう思ってるから発動できないのです』

 「そう思ってるから?」

 『少なくとも私に背中を傷つけられた時、先ほど森岡という少年を助けた時、貴殿は一瞬でも指輪に頼ろうと思ったはずです』


 そうだ、また指輪がなんとかしてくれるって……あ、がむしゃらに思った時だ。死にたくない。なんとしても助かりたい。そう思って無我夢中に指輪に祈った。

 また助けてくれるように……


 『貴殿は魔法など使えるはずがない。心の片隅でそう思っていたのでしょう。だから発動できなかった。だがあの時は何に縋ってでも助かればいいと思った……それが魔法の発動につながるのです』

 「でも俺は人間だし……」

 『貴方はもう非現実な世界の住人になってしまっているのだ。それを認めない限り、指輪は貴方を拒み続ける』


 非現実な世界の人間……もう俺は普通の高校生じゃないのかな?でもそうだよな、こんなドラゴンの上にのって空飛んで、剣を持つカラスと天使の姿した子供が目の前にいるんだ。普通な訳ないじゃん……

 胸がじくじく音を立てて痛むけど、今はそんなことを言ってる場合じゃない。この指輪は魔法を使える。そう思って念じればいいんだ。すべて受け入れるんだ、そしてヴォラクを助けてくれ!


 「頼む、ヴォラクを助けてくれ!お願いだ!」


 今度は信じるから!この指輪は本物だって!

 そう自分に言い聞かせた瞬間、指輪から光があふれ、その光がヴォラクを包み込む。

 

 『拓也の力?これが壁になってくれるって訳か……』


 ヴォラクは光を纏ってマルファスに攻撃を仕掛けた。


 『何度来テモ無駄ダ。オ前デハ私ニ勝テナイ』

 『やってみなきゃわかんないじゃん?』


 ヴォラクとマルファスは再び剣を合わせる。剣と剣がなり合う音が響く。どっちが有利なのかすら自分にはわからないが、ヴォラクを包み込んだ光はマルファスの攻撃を受けとめてくれている。


 『クッ……邪魔ナ光ダナ!ドウヤラ彼ガ指輪ノ継承者デアルコトニ偽リハナイミタイダナ』

 『まさか……おい!やめろ!!』

 『邪魔ナ継承者メ……勝負ニ割リ込ンデクルトハナ』

 「冗談……フォモス、ディモス!避けてくれぇ!」


 マルファスはこっちを睨んできたと思ったらヴォラクの攻撃をかわし、そのまま飛びかかってきた。フォモスとディモスはギリギリのところでマルファスの攻撃から逃れたけど、一撃をかわしたくらいで諦めてくれるはずもなく、マルファスはどんどんこちらに迫ってくる。


 『拓也、受け取れ!』

 「!?……ぎゃあああ!」


 何を受け取れと言うのかと思いきや、ヴォラクは俺めがけてなんと剣を投げてきた。

間一髪のところで頭を伏せてそれを避けてしまい、受け取られなかった剣は地上に落ちていく。


 『な!ば、ばか!避けてどうすんだよ!?折角貸してやったのに!』

 「ふざけんな――!普通、剣がこっち向かって飛んできたら誰だって避けるに決まってんじゃねーか!」

 『拓也殿、マルファスの動きが早い!間に合わん!』

 「ええええぇぇえぇぇえええぇえぇぇぇぇええ!?そこをなんとかしてくれよ!」

 『そう申されても……』


 フォモスとディモスのスピードに俺は振り落とされまいと必死にしがみつくが、全速力でマルファスとチェイスしているフォモスたちのスピードは速く、とてつもない強風と重力が襲い掛かる。マジで風強い!これやばいって!

 それでも向こうの方が早いらしく、なんとか後ろを振り向くとマルファスがすぐ近くまで迫ってきている。はるかにアイツの方がスピード速いじゃん!マジでヤバいヤバいヤバい――――――!

 もう指輪に頼るしかない!


 「頼む!なんでもいいから助けてくれよ!」


 しーん……


 発動しねーのかよ!?

 俺、今回はちゃんと祈ったよ!めちゃくちゃ真剣に祈ったのに!役立たず、使えねー、馬鹿やろー!

 指輪に文句をつけている間にもマルファスはどんどん迫ってきている。


 『ぐうう!』

 「フォモス、ディモス!?」


 いきなり大きく揺れて慌てて角にしがみつき状況を確認するために顔をあげた真横にマルファスがいて息が一瞬止まる。


 「ひっ!!」

 『マアマア楽シミマショウ。次ハドコヲ斬リマショウカ』


 マルファスは俊敏にフォモスとディモスの間をくぐるように飛行し、翼や足、腹部などに剣を突き刺していく。


 「あのやろー!」


 調子に乗りやがって!!!

 マルファスはまるで遊んでいるかのように俺の目の前を飛びまわっている。じわじわと嬲り殺すように。

 完全に舐められてる。ていうかヤバい、かなりヤバい。フォモスとディモスは体中を切り付けられスピードが落ちていくし、高度も下がっているような気がする。

 早くなんとかしないとマジで……身の毛がよだつ、全身の血が凍っていくような感じがした。


 ***


 光太郎side ―


 「どうなってんだ?」


 何が何だかわからない。森岡はゆっくり落ちてきたし、ストラスはそれは拓也の魔法とか言い出すし、俺は目を細くしながら上空を見上げた。

 しかし見えるのはフォモスとディモスのみ。どうなっているのかまでは確認できない。


 「あれ?なんか落ちてくる?」


 中谷の言葉に全員が空を見上げた。


 『あれは……ヴォラクの剣!』

 「え?っていうか剣が落ちてきてんの―――――――!?」


 中谷と俺は慌ててその場から離れた。

 ものすごい鈍い音を立てて、剣が地面に突き刺さる。その光景ははっきり言って異常だ。剣が地面に突き刺さってるなんて生まれて初めて見た。あ、当然だよな……


 「突き刺さった……」

 『中谷、受け止めてくれたっていいんじゃないの?』

 「ヴォラク!」


 中谷が顔を上げるとヴォラクが不機嫌そうに降りてきた。


 「無茶言うなよ。落ちてくる剣を受け止めるなんて普通の人間には不可能だ」

 『なんかさっき同じようなこと拓也にも言われたよ』

 『そういえば拓也はどうなったのです?』


 ヴォラクは剣を抜き翼を広げた。


 『マルファスに狙われてる。フォモスとディモスもやられちゃったし……かなりやばい感じ』

 『なんと……勝算は?』

 『なんともね、だいたい拓也逃げてばっかなんだもん。あれじゃあどうしようもないよ。それに……』


 ヴォラクは空を見上げた。


 『ヴォラク?』

 『マルファスの奴、結界を破ろうとしてる。一回結界を張り直さないとな』


 ヴォラクは再び空中に向かって飛び立ち、俺と中谷は空を見上げた。

 拓也、大丈夫かよ……


 ***


 拓也side ―


 「わわわわわ!」


 マルファスの猛攻を食らったフォモスとディモスは苦しそうになりながらも必死に攻撃をかわしていた。しかしマルファスはあざ笑うかのようにフォモスとディモスの間をすり抜け、少しずつ、少しずつ傷を与えていく。

 何とかしなければいけないのに、自分にはどうすることもできない。

 ヴォラクー早く助けてくれー……そろそろ本格的に酔いも回ってきた。こんだけ空中を飛びまわってたら気分も悪くなるもんだ。絶叫系のアトラクションだってこんなに酷くゆれないよ。

 何もしてないけど、ぜーぜーいいながらディモスの角にしがみついている俺の異変を感じ取ったのか、フォモスが顔をあげる。


 『拓也殿?いかがした!?』

 「ごめん、乗り物酔い……」

 『なんということだ……』

 『拓也!!』


 吐くから下は見たくなかったけど、恐る恐る下を見ると、ヴォラクがフォモスの頬につかまりそのまま頭に登ってきた。助けに来てくれたのか!?


 『拓也大丈夫?なんか顔真っ青だよ?』

 「乗り物酔い」

 『……本当に緊張感ないよね』


 頼むから話しかけないでくれ。

 ヴォラクはため息をつき俺にまた剣を向けてきた。


 『はい、今度は投げてないから受け取れるでしょ?』


 またですか―――――――――!?そういう問題じゃねえんだよ!!


 「嫌だよ!マジで怖いし!それに俺は包丁だって調理実習以外で持ったこともないんだぞ!?そんなもん持てるか!ていうかなんでお前やってくんないんだよ!?」

 『上見てみ。まぁ周りでもいいけど』


 ヴォラクにそう言われ、酔いを耐えながら周りに視線を向けると、異質な光景が広がっていた。


 「空にひびが入ってる……?」

 『マルファスが結界を破ろうとしてる。一回張り替えないとこの結界、破られるかもしんない』

 「は!?……じゃあ結界なくなったら!」

 『地上から俺たちの姿は見えなくてもフォモスとディモスの姿は余裕で見えるね』


 そんなことなったら街中大パニックだろ!っていうか未確認飛行物体に入れられる!!


 『だから俺は結界を上から重ねなきゃいけないから戦えないの。それにマルファスは拓也狙ってんだよ。自分の身ぐらい自分で守ってよね』

 「ちょっ……!主を見捨てんのかよ!?」


 いったい何が引き金になったのかは分からない。多分、今までの俺の行動すべてだろう。

 苛立った表情でヴォラクに睨みつけられ、背筋が凍った。


 『拓也、お前さ、狙われてんのはお前なんだよ。悪魔倒したいんだろ?マルファス以上に危険な悪魔なんてまだまだいるんだよ。俺やストラスだっていつも助けられるわけじゃないんだから、少しくらいの時間稼ぎは自分でやれ!』

 「だって元はと言えばお前達が……『そうやって俺たちのせいにすんのかよ!?』


 なんで俺が怒られなきゃいけないわけ?理不尽な怒りが体中にこみあげる。

 なんで自分がこんなにキレられるのかがわからず、怒りをそのままヴォラクにぶつけた。


 「なんで俺がこんな目に遭わなきゃいけないんだよ!もう嫌だ、こんなのもううんざりだ!なんなんだよ!?」

 『……勝手にしな』


 ヴォラクは俺に冷たく言葉を吐き捨ててそのまま空中に飛び立ってしまい、俺は顔も上げず何も言わず、ただディモスにしがみついていた。

 言葉を発さない俺をディモスが不安そうに見つめている。


 『拓也殿、いかがいたす?マルファスはまたこちらに向かってきているが……』

 「……もうここで死ぬのかな?」

 『拓也殿!?』


 なんで俺こんなこと言ってんだろ……本当は戦わなきゃいけないってわかってるのに、ヴォラクにも見捨てられたし、指輪は使えないし……


 「うぅうう〜死にたくない〜……まだ生きてたい〜……」


 でも怖いんだよ仕方ないじゃん。俺、自衛隊とかでもないし、訓練とか何にもしてない高校生だぞ?いきなり剣渡されて時間稼ぎしろって言われてゲームじゃねえんだぞ俺の命は。

 往生際が悪くディモスにまた縋りついた。

 ディモスは軽くため息をつきヴォラクを見つめるも、向こうは結界を重ねるために呪文かなにかを詠唱しており、こちらに気を回す余裕はなさそうだ。


 『やはり主に剣を借りたほうが……このままでは我らももう』


 その言葉にハッとしてフォモスとディモスを見た。

 フォモスとディモスは所々に切り傷があり、息も荒かった。自分を守るために傷だらけになってしまった。このままじゃ、フォモスとディモスが力尽き地上に落ちるのも時間の問題なのかもしれない。

 心臓がバクバクなっている。全身の血液が逆流するように巡っている。何度も何度も自分に言い聞かせる。


 「……何もしなければ殺される」


 なら、抵抗して死んだほうがマシだ!!何もせずに逃げ回って殺されるなんて絶対に嫌だ!!

 あらためて自分の不甲斐無さを痛感し、ヴォラクに向かって大声を張り上げた。


 「ヴォラク――――!剣貸してくれ―――!!」

 『ようやく言ったか』


 ヴォラクは満足したかのようにフォモスとディモスに向かって飛んできた。

 マルファスは俺の姿を見てあざ笑ったがそんなのもう気にしない。


 『今度は失敗しないでよ』


 今度こそヴォラクから剣を受け取った。本物だよな……?ていうか重い、怖い。

 ズシリと重い剣を持ち上げ、フォモスとディモスに命じた。


 「頼む……」

 『御意』


 フォモスとディモスはマルファスを睨みつけた。


 『フン、今更ソノ人間ガ何ヲデキル?継承者ノ身デアリナガラ戦イカラ逃ゲ回ル……ソノヨウナ腰抜ケニ』

 「うるせえ!!逃げたって殺されるんなら、てめえぶっ潰して生き延びてやるよ!!」

 『気ニ食ワナイ』


 威嚇にもなっていないが、震える手で剣をマルファスの顔面に向けた。そしてそれを宣戦布告と受け取ったマルファスは剣を構え、こちらに向かって急突進してきた。


 『我らが力、身を持って受けるがいい!』

 『正攻法シカデキナイ芸ノナイ奴ラメ!息ノ根ヲ止メテクレル!』


 フォモスが口から炎を吐きだす。ものすごい熱風が俺にも襲い掛かり、炎の威力を目の当たりにする。視界が全て真っ赤に染められ、熱さと眩しさで目を細めた。しかしマルファスは炎を軽々と避け、一目散にこっちに向かってくる。


 『拓也殿、捕まっておられよ!』

 「え?のわ!!」


 ディモスが第二段の炎をマルファスに吐きだすも、それすらもかわし、ついに目の前まで迫ってきたマルファスが俺に向かって剣を振り下ろしてきた。


 『小賢シイ!』

 「うわああ!!」


 慌てて剣を立て、なんとか受け止めるも目の前で剣がすれ、刃が音を立てている。そのあまりの恐怖に腕が震えて力が入らない。

 こわいこわいこわい!

 マルファスの力は予想以上に強く、どんどん剣が顔に近づいてくる。俺も精いっぱい押し返すが全く剣は前に進まない。


 『剣ノ腕ハ初心者カ……ソレデ私ニ歯向カッテクルトハ愚カナ……』

 「ぎゃああああ!!」


 マルファスは一瞬で剣を構え直し、また振り下ろしてきた。

 もう受け止めるなんてことはできず、ディモスに頭まで伏せてしがみつくことでその攻撃をかわした後に恐怖のあまり半泣き状態になり叫んだ。


 「もうやだ、もうやだ〜〜〜」

 『泣キゴトヲ申スカ!継承者ヨ!!』


 マルファスはまたこちらに向かってくる。ヴォラクはまだ詠唱をしていて、こちらに来れそうもない。しかし気になるのかチラチラと様子を見ており、集中できないみたいだ。


 「ひっ……また来た!」

 『今度ハ逃サン!』

 「うわあああ!!」


 マルファスはそのままこちらにスピードを上げて向かってきて、再び剣を振り下ろす。なんとかその一撃を受け止めるも、加速をつけて向かってきたマルファスの力強さはさっきまでとは段違いで、そのまま体勢を崩す。


 『モラッタ!』


 マルファスの剣が目の前で振り下ろされ、恐怖のあまり思わず目を瞑り、身を引いた。


 「うわああぁあぁぁああ!」


 攻撃を避けようと身を引いた瞬間、バランスを崩しディモスから転落し、まっさかさまに落ちていく。

 フォモスとディモスの声が遠くに聞こえる。俺落ちてる!このままじゃ真っ赤なトマトになる!


 『逃ガスカ!』


 マルファスも俺を追って急降下し迫ってきて、地面が近づき、ものすごい風にあおられながら半ばパニック状態になって指輪に祈った。


 「頼む、頼む!助けてくれ!お願いだ!」


 しかし指輪からはなんの反応もない。そんな……こんな時になんで!?このままじゃ本当に……!

 マルファスは俺との距離をぐんぐん縮めてくる。このままじゃ殺される!その時ヴォラクがマルファスに体当たりした。


 『ヴォラク……貴様!』


 マルファスはヴォラクに向かって斬りかかる。

 しかしヴォラクの剣は俺が持ってる。ヴォラクは丸腰な訳で、完全に防戦一方だった。


 『トドメダ!』


 マルファスの剣がヴォラクの腹に食い込んだ。


 『くっそ……』

 「ヴォラク!」


 ヴォラクはマルファスに斬りつけられ地面に落ちていく。


 『ヤット邪魔者ガ消エタカ……次ハ継承者、貴様ノ番ダ』


 自分が落ちているのにも関わらずなんとかヴォラクを掴もうと腕を伸ばすも届かない。ヴォラクも傷が深いのか完全に気を失ってる。そんな、こんな……こんなことで死にたくなんか、死にたくなんかないのに!こんな奴にやられたくなんかないのに!


 『力が欲しいんだろ?貸してやるよ継承者』


 なんだ今声が……?

 その声が聞こえた瞬間指輪から炎が漏れた。そしてその炎はヴォラクの剣を覆った。


 「なっなんなんだよ、これ!」

 『こいつを倒したいんだろ?願え。さしたら俺の力、今ひと時お前に貸してやる』

 「な、なんだよ……力ってそんな……」


 地面はすぐそこに迫っており、光太郎と中谷と森岡の姿も確認できる。そして上を振り向くと俺をめがけてマルファスが剣を持ってこっちに向かってくる。選択の余地はない。俺はやけくそになって大声で叫んだ。


 「頼む、もう何でもいい!あいつを倒してヴォラクを助けてくれ!」

 『わが主の願い、しかと聞きとめた。俺の力、存分に使いな』


 その瞬間、俺の体は炎に包まれた。


 「え……?」


 何が起こったか分からず目を瞑っていたが、いつまでも衝撃が体を襲うことなく、恐る恐る目をあけると自分の体が燃えている。しかしまったく熱さや痛みなどは感じない。


 「え!?え!?えええええ!?」


 何が何だかわからなくて自分の体を確認するとヴォラクの剣は炎を帯びており、左腕には盾が握られていた。こんなのどこから出した!?そしてなにより空中に浮いている。


 「なにがどうなって……!ヴォラクは!?」


 まさか地面にたたきつけられたりしていないよな!?しかし空中に俺と同じように炎に包まれたヴォラクを見つけ安堵する。ヴォラクは気を失った状態のまま、空中に浮いていた。


 『おい、奴が来るぞ。さっさと剣を構えろよ』


 また頭の中でさっきの声が聞こえた。


 「構えろっつったって……俺、剣なんか使ったことないし」

 『はぁ……主は貧弱でいらっしゃる』

 「なんだと!?」

 『自信がないなら一時俺に体を貸しな。八つ裂きにしてやるぜ』

 「体を貸す?」

 『奴が来た!避けろ!!』


 声がして目の前を見たらマルファスが俺に斬りかかってきた。


 『フザケタ妖術ヲ使イオッテ!覚悟スルガイイ!』

 「おわ!なななっどうすればいいんだ!?どうやったら動けるんだよ!?」

 『お前本当に継承者か?体借りるぜ』


 その声が聞こえた瞬間、俺の体は宙に舞い上がった。自分の体ではありえないほどのアクロバットな動きについていけない。


 『ナニ!?』

 「え!?な!体が勝手に!」


 そして俺の手は勝手に剣を構え、勝手にマルファスに斬りかかって行った。


 「うわああぁぁああ!」


 凄まじい金属がぶつかる音が響き渡り、マルファスと俺が剣を合わせている。

 体が勝手に動く!俺の意思じゃないのに腕が勝手に!


 『何ダ!?サッキマデトハマルデ違ウ!貴様、何ヲシタ!?』

 「え、えぇ?」


 そんなん俺が聞きてえよ!

 そう言おうと思った瞬間、口が勝手に動いた。


 「我が名はウリエル。栄光の七天使が一角を担う者、貴様の悪行見過ごす訳にはいかん」

 『ウリエル……ダト!?』


 マルファスが目を丸くした。

 なんだ?ウリエルって奴はそんなにすごい奴なのか?


 『マサカココデ貴様ノヨウナ大天使ニオ目ニカカレルトハ思ッテイナカッタ』

 「それは良かった。じゃあもう満足だろう?地獄に帰れ。俺が直々に送ってやろう」


 俺、正確にはウリエルって奴は剣を構え直し、一目散にマルファスめがけていく。


 「ぎゃあああ!」


 俺自身はこんなに怖がってるのに体は全く言うことを聞かない。目の前でリアルに剣がすれた後に自分の頬を剣がかすめる。ちょお!俺の顔を剣がかすめたんですけど!痛いんですけど!しかも血、血が出てる!


 「わりい。ちょっとミスった」


 ウリエルって奴はまた勝手に俺の口を借りて適当なことを抜かしやがった。ミスったじゃ済まされねーだろー!これ以上ミスったら本当に死んじまうだろ!?

 しかし俺の体は剣を振るう手を休めない。そして今までの出来事が嘘かのようにマルファスはどんどん追い詰められていく。


 『クッ!ウリエル貴様!』

 「マルファス。お前は地獄へ帰るべきだ、人間界にこれ以上干渉するな」


 ウリエルが言葉を吐いた瞬間マルファスの体に剣が突き刺さり、地上に突き落した。


 ***


 光太郎side -


 「あのカラスが落ちてきたぞ」


 何が起こったのか全く分からないが、拓也がヴォラクの剣を借りてマルファスと戦っていたのだ。ドラゴンから落ちてきた拓也をどうしようかと思った瞬間、あいつの体が炎に包まれ、今まで見たこともないような動きでマルファスを倒したのだ。

 地面にたたきつけられたマルファスは虫の息で、剣をまとっている炎とともに燃えている。一歩前に踏み出した俺をストラスが止めて踏みとどまる。


 『光太郎、いくら弱っているとはいえあまり近づかない方がいい』

 「え?あ、あぁ。でもこいつ虫の息だぞ」

 『魔法陣を描きましょう。中谷、手伝いなさい』

 「ん?俺か?」


 ストラスに呼ばれ、手伝いに向かった中谷は二人で細い枝を使って地面に円を描きだした。あれが魔法陣って奴なのか。手伝っている中谷の隣に向かい、二人で上空を確認する。


 「池上はどうなってんだ?あれ燃えてるけど」

 『私は少し様子を見てきます。恐らく大丈夫でしょうが、くれぐれもマルファスには注意してください』

 「あ、うん」


 魔法陣を描き終わったストラスが上空に向けて飛び立っていき、俺と中谷は事の顛末を見守ることにした。拓也は大声で独り言を言っており、少しだけ何を言っているのか聞こえるが、内容が全く理解できない。


 「だからなんで俺の体を勝手に使うんだよ!?お前が実体化すりゃいい話だろ!?」

 「実体化なんて疲れるからしたくねぇよ。死ななかっただけありがたいと思え」

 「そうじゃなくてな!」


 そんな拓也の元にストラスが向かい、俺たちは拓也の無事を祈るのみだった。


登場人物


ウリエル…栄光の7天使が一角であり、4大天使の一角でもある。

      「神の炎」を意味するが、4大エレメントの地を司る。

      拓也と同い年くらいの見た目で、炎の剣と盾を持つ。

      罪人には残酷で業火で焼き尽くすといわれている。

      天使の中でも指折りの残酷な性格として有名。



*ウリエルは見た目の設定など元々がありません。

  なのでこの物語に出てくるウリエルの外見は作者の捏造です。

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