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十四話 豚丼

  十四話 豚丼


 男らしい料理とは何だろうか。

 豪快な盛り付けを言うのだろうか。それとも、栄養を度外視した好物てんこ盛りのご機嫌な料理のことを言うのだろうか。

 なんにせよ外せないのは、量だ。

 男は結構燃費が悪い。たまにゼリー飲料で充分、とか、素パスタをカリカリ齧ってれば他に何もいらないという人間もまぁいるにはいるんだが。

 健康的な男性は、その食事もまた健康的なもので。

 なんにせよ、男らしい料理というものに、俺は憧れを持っていた。

 言われるのはお母さんのような栄養豊富な食事を出す、というところで。

 回り間違ってオカンと呼ばれるようになったのか、と少々傷ついている。

 褒め言葉なんだろうけど。なんというか微妙だ。

 たまには男らしい、ガツンとした飯を……。

「ガッツリしたもんが食いてえ」

「はぁ、ガッツリねえ」

 そう思っていたところに、純一からリクエストが飛んできた。

「肉だよな?」

「おう。種類は任せる。ニンニクガッツリ」

「オーライ」

 さて、何にしようかな。

 肉系。豪快にガッツリ。

 どんぶり系か。

 スーパーに行って決めるか。



「あ、奇遇ね」「奇遇」

「穂希さん、凛。ちわっす。何買いに来たんだ、二人して」

「ワタシはジュース」「アタシはポテチ。景、アンタは?」

「俺は特売狙い。チラシに乗ってないタイムセールだ」

「……所帯じみてるわね」

「まぁまぁ。あ、今度は唐揚げがいいわ、景」

「はいっす、穂希さん。凛も夕飯余ったら持ってくる」

「よろしく」

 二人と別れ、肉のコーナーへ。

 人がそこそこ集まっている。通いなれた人間ならば、これから起こるセールは予測できる。

「お待たせしました! 豚のロース肉、一キロ六百円! おひとり様二個まで!」

「!」

 安い!

 どうしてそうなったのか普通に不思議なくらい安い!

 これは、ゲットせねば。

 俺は素早く形成される列に滑り込むことに成功した。



 二個ちゃんと買えた。

 今日はこれでどんぶりだ。

 玉ねぎをスライスして炒める。透明になったら塩コショウで下味を着けた肉を放り込んでいく。

 そこに、醤油、砂糖、みりん、酒を入れて沸騰させる。味を見ながらだが、基本的に1:1:1:1だ。

 少し濃ゆすぎたので差し水。

 途中で大量のニンニクと生姜をぶち込んで、良い匂いが漂ってきた。

 砂糖のおかげで少しとろみが付いている。片栗粉でとろみつけてもよかったが、今日はこのまま。

 手鍋にお湯を沸かす。出汁顆粒と味噌で仕立て、長ネギと人参、大根のいちょう切りというごくシンプルな味噌汁はすぐに出来上がった。

 オーブンレンジの機能というものは素晴らしく。

 温泉卵も出来上がっている。

「あ、できてますか?」

「おう、史峰。ご飯好きなだけ盛ってこい。それとみんなにできたって声掛け」

「はーい」

 そして、めいめいやってきた。

 史峰は少し大盛り、千佳は大盛り、藤堂先輩は小盛、純一が特盛。俺も純一と同じくらい。

 余っていた刻みノリを乗せて、肉を乗せ、温玉を乗っけてねぎを散らせば。

 スタミナ系豚丼の、完成だ。

 今日は草薙先生がいないので、そのまま夕食。

「うっめ。さすがだな、ケイ。ガツンときてるぜ」

「そりゃよかった」

「景先輩! 今度ローストビーフ丼とかいうの食べてみたいです!」

「塊が安くなったらやってやろう、千佳」

「あの、瀬戸君。私は……」

「天丼だろ? たまにバイトで行かされる蕎麦屋の割り下もらったから、ざるそばと天丼してやるって」

「はい、楽しみにしてます」

「親子丼好き?」

「まぁ、好きだけど」

「やらしーんだ」

「先輩ほどやらしくはないと思うぞ」

 親子丼ってそういうことかよ。

 弁解する藤堂先輩の言葉を余所に聞きつつ。

 俺はタレと黄身が絡んだ肉と飯を口の中に放り込むのだった。

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