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最終日(後編) 後夜祭の花火③
教室に鞄を取りに行くと、この遅い時間ということもあって教室の電気は消えていて、誰もいなかった。昇降口に向かっている途中で那智が歩いているのが見えた。私はどう接していいかわからずそのまま通り過ぎようとしたけれど、今普通にできなかったらこの後も普通にできないと思い声をかけた。今からだと電車の時間に早すぎるらしいので、少し話すことにした。
那智は今までと何も変わらなかった。いつも通りの那智。たしかに今まで通り友達のままでいたいと言ったのは私だけれど、私の告白は那智にとってその程度の、なかったことにできる程度のものなのかと、少し悲しくなってしまった。私の気持ちを知って少しでも苦しんでくれていたらいいなと思ってしまった。
帰宅途中、ルカにメッセージを送ろうかと思ったけれど、ルカが上手くいっていたら・・・・・・。私が振られたのはルカの所為じゃない。分かっているはずだけれど、それで割り切れるほど私は大人じゃない。
自分の好きな人のことを、自分の親友をフッた人と普通に接することはできなかった。
そこからルカとは疎遠になってしまった。