表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/36

2日目 花信風

 今日の課外はほとんど上の空で、本当にあの服でいいのかな、とか明日何時に家を出ようかな、とかそんなことばかり考えていた。


 部活の時間はいつも通り那智と二人で駄弁っていた。話題は専ら明日に迫った花火大会についてである。集合時間や持って行く金額など傍から聞いていても花火大会のことだと分かるような内容だった。

 途中で、部屋の端で一人でスマホをいじっていた“ハタケ”こと畑中(はたなか)珠莉(しゅり)が重い腰を浮かせ、私たちに話しかけてきた。


「・・・・・・花火大会、行くん?」


「うん。うちら二人で行くんだ」


「あ、そうなんだ」


「なんで?」


「・・・・・・なんとなく」


「ふーん・・・・・・」


 そこで二人の会話は終わった。しゅりは何事もなかったかのように元いた場所に戻っていった。

 私の見間違いでなければ、那智が“二人で行く”と言ったとき、ハタケの顔が少ししょんぼりしたように見えた。


 その日の帰りも三人で話しながらで、途中で駐輪場へと向かうハタケと別れたあと、二人でもう一度明日の確認をした。

 そんな中、今日のハタケの不可解な言動が話題に上がった。「あれはさやかを誘おうとしてた」とか「絶対に那智」だとかくだらない論争を繰り広げているうちに、那智の電車の時間が来てしまった。


「じゃあ“また明日”ね」


「うん。ばいばい」


 そんな聞き慣れた挨拶が、今日は少しだけ特別に聞こえた。

この話の題名になっている「花信風(かしんふう)」は「春、花の開花を知らせる風」という意味があります☺︎「春」はさやかの恋、「花」は「花衣はなごろも」などのように美しい女性を表す言葉に用いられますが、ここでは那智を表しています☺︎

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ