感知させる鳴き声
不死鳥が蘇るなら
あの空のようになるのだろう
頭を月に向けて
周りの雲を集めては
身体を作り固まっていくのだ
大きさは分からないが
形だけは分かり
もう出来上がると思った時
目の前でパッと消えるのである
そこには
月で見え辛くなった星と
月明かりで黒ではない夜空があり
一つの空間に美しく
それが見えているだけなのだ
居なくなったあの鳥は
何処へ消えたのだろうか
何者にも縛られない
空間にも時間にも
全く囚われない
あの鳥は
羽ばたきすら認識させずに
消えた
自由とはこうであると
見せつけるようで
自由とは
縛られ続けることであると
訴えかけているようで
自らを超えて飛ぶことを
促しているようにも思う
存在することを
難しく考え過ぎているのか
分からないことを考える
考えていては追いつけないほど
あれは優雅であった
外の空気から
部屋の空気へと押し入り
得体の知れない物が
ゆらりと纏わりつく
先程までの素晴らしさを
上から黒で塗り潰されるみたいだ
そうしていると云えば
そうしているし
そうするしかないと云えば
そうするしかないのであるが
違う物を浮かべなければ
秒数にすら土下座するようになる
違う物を新しさだけで作れば
意味を作らなければならないし
違う物を古さだけで作れば
見向きもされない
既に自由を縛り付けている
手綱を引けということか
それを超越というのだろう
酒で酔いながら
身も蓋も無い空想を
頭の中にある夢に浸透させ
身体を休めながら見ている
欲望のエッセンスは
ひたすらに匂いをきつくして
野蛮との間に悪魔を置いては
自由の裏表を勘違いさせる
酔っているのだから
判断なんかしなくて良い
裏でも表でも構わないのである
どちらかを選べば良い
手を伸ばしていく
鳥の鳴き声が聞こえて
布団の上に居た
夢から覚めたのだ
熱帯夜の汗で
首の後ろが冷たくなっている
違うと聞こえた
そう感じられる鳴き声だった
信じられるような気がして
顔を洗いに行く
人間としても獣としても
同時に歩くのだ
どちらも引き摺り歩くのだ