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魔物使いでチート野郎!!  作者: 志位斗 茂家波
ルンベルドン生活
99/154

慣れたころに

ギルドマスターが目を付けたかどうかはまた別の話として・・・・

・・・ルンベルドンに拠点を構えて1週間ほど。


 レイたちは迷宮(ダンジョン)に潜ったり、依頼をこなしながら過ごしていた。


 

「とは言っても、まだ14階層より下に入ってないけどね」

「15階層がまさかの激臭区画らしいですからね・・・」


 

 いやね、下の階層まで進もうとしたところで、そのことに俺たち全員気がついたんだよね。


 迷宮(ダンジョン)の内部・・・今のところ洞窟のような感じだけど、階層によっては森とか水中のような摩訶不思議な場所もあるらしい。



 そして、14階層を進んでいた途中で物凄い異臭を感じて戻ってきたんだよ。



 事前に調べてはいたけど、15階層だけものすっごく臭い階層のようである。


 いやもう、アンモニアが濃縮されて、これでもかこれでもかと嫌な臭いが詰め込まれた感じだ。



 消臭の魔道具(マジックアイテム)や魔法もあるのだが、なぜかその階層だけは全く効力がないらしい。


 臭いは衣服や体に染みつかないというらしいけど・・・


 しかも、余りの激臭ゆえにその階層だけモンスターもさすがに湧かないらしく、無事に通れて無事にすまないような、どこか矛盾している感じだとか。



・・・モンスターもそりゃ、恐ろしく臭いところは嫌だよな。


 ハクロたちだって近づいた瞬間に顔を青くして、泡吹いて気絶しかけたもん。




 15階層以降はそんなものがなく、其の15階層が怖ろしくやばいだけである。


 けれども、それでも下層に行けた人もいる。


 突破方法は幾つかあるようだけど・・・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1:「鼻をもぎ取り臭いを永遠に感じ取れないようにする」

・・・却下。そんなこと出来るか。


2:「気絶し、仲間にその階層の間全速力で運んでもらって突破」

・・・これもアウト。パーティを組んでいる者達の中には、くじ引きでやる人もいるらしいけど、途中で放り出されたら死しか見えないし、そもそもハクロたちにそんなことをさせるつもりもない。


3:「もっと濃い臭いで上書き」

・・・死の未来しかないだろう。もともと気絶しそうなほどの激臭に上書きできるのってどれだけだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「となると、後は他の経験者から聞いた・・・・」

「4つ目の方法ですよね」

「そんな都合よくいますか?」

「探さぬ限りは無理でありますしな」

『私は水の中なのですが、それでも匂いがおもいっきり分かりましたからね・・・』



 ・・・・本当は無理に迷宮(ダンジョン)を進める必要はない。


 けれども、進めておかないと方が後々依頼とかの面で困ることもあるだろうし、突破する気力があるうちに何とかしたいんだよね。


 


 そんでもって、他の冒険者たちから聞けた4つ目の方法というのは・・・・・






「いらっしゃーいんだよ。ようこそ我が『モウカリマッカー奴隷商会』へーだよ」


 ニマニマとした顔で、手をにぎにぎする商人の前に俺たちはいた。


 その商人が経営しているのは、この迷宮都市ルンベルドンで唯一の奴隷を取り扱っている商会、違法ではなく正式な奴隷商会である。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

4:「奴隷を購入し、気絶している間に自分たちを運んでもらう」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 4つ目の方法がこの奴隷という手段である。


 これって過酷な状況に置くようなものだから、虐待のように違法性がありそうな気もするのだが、この15階層の突破に関してなら特例になるらしい。



 でも、流石にそう都合よく仕事が出来そうな奴隷が見つかるかもわからないし、過去にこの方法で奴隷を購入する人たちが多いため、残っている可能性もほとんどない。


 あと、ハクロたちからしてみれば「魔物奴隷」というものもあるため、自分がされたらという可能性を考えてしまいがちになるようであまり良い心地はしないらしい。


 うん、まあその通りかな。





 とはいえ、突破には必要不可欠である。


 この15階層を突破するための奴隷として、最適な条件とすれば「臭いに耐性がある」ということだろう。


 そのためここには偶然というべきか、ちょっとある伝手があったので来たんだよね。



「えー、それにしても冒険者魔物使いのレイさんでしゃろ?わての名前はアルザブドーンで、デッポンニー商会の会長でもあり、うちの兄貴とお知り合いなのはすでに知っているんでっせ」


・・・この奴隷商会モウカリマッカーは、どうやら以前知り合ったことのあるデッポンニー商会の会長の弟が経営している商会で、目の前のこのえせ関西人みたいな人はその弟のアルザブドーンって言う人のようである。


 兄のデッポンニーから話を聞いたことがあるようで、俺の名前を聞いた後に尋ねて、それで判明しました。


 世界って、案外狭いもんだな。というか、兄の方は商会名を自分の名前にしているのに対し、弟の方は一致していないのはどういう事だろうか?ネーミングセンスの違いか、それとも自己主張の仕方の違いか。




 とにもかくにも、俺の冒険者ランクはAでもあり、その兄と知り合いだという事でわざわざこのモウカリマッカー商会の会長主であるアルザブドーンさんがわざわざ出てきて、それで今回の奴隷取引に関してアドバイスとかもしてもらえるようであった。



「ここの迷宮(ダンジョン)15階層の突破やろ?ほんならレイさんは魔物使いゆえに、魔物奴隷の方がいいやろうな」

「魔物奴隷の方ですか」

「そうなんでっせ。何せ奴隷でもあの匂いは流石にキッツイモンでっせ。そこで、臭いに物凄く耐性があるモンスターを斡旋したほうが都合がいいでしゃろ?・・・まあ、魔物奴隷とはいえうちの大切な商品。そこで使い捨てにされたくないので、きちんと審査させてもらうんやけど、まあレイさんなら大丈夫そやな。その使い魔のお嬢さんたちの様子を見れば、どんなやつでも大切にしているのがようわかりまっせ」



 アルザブドーンさんは、一応奴隷を扱う人とは言え、きちんとその将来とかを考えているようである。


 魔物奴隷も大切な奴隷のようで、出来れば使い捨てではなくペットとかにもしてほしいと考えているようなのである。


・・・意外とまともそうな人だった。うん、奴隷を扱うやつのテンプレってもっとひどいのが相場なのにここまでまともそうなのは意外だ。




 そして、魔物奴隷の方に案内されたけど・・・・檻の中には隷属の腕輪やら、足輪やら付けられたモンスターが結構いた。


 この迷宮都市に構えているのが、このモンスターの確保のためでもあるらしい。


 何せ、迷宮(ダンジョン)はいわばモンスターを生みだす場所でもあり、こうやって魔物奴隷にしたいモンスターを捕獲するのにも都合がいいようである。


 でも、たまーに迷宮内(ダンジョン)内で違法に連れて来た冒険者を奴隷として売り飛ばそうとかするような悪人もいるようで、違法性に手を染めないために速攻で取り押さえていくようだ。


 奴隷商会だけに、護衛用の奴隷とかが常駐しているようで、全員そこいらの冒険者よりも強いらしい。


 まあ、ハクロたちを狙おうとしていたとかいう馬鹿者もどうやらいたらしいけど、ここにいる奴隷たちにはファンがいたようで、ギッタギタにしたようだ。



 迷宮(ダンジョン)でそういうことを狙うやつらがいる可能性に注意しなければなと思うのと同時に、ハクロたちのファンの拡散が早いなと内心驚いてもいた。


 まあ、見た目が麗しいし、ファンもそりゃ増えるか・・・・・ベタリアンの時みたいに陰から守ってくれる人が増えるようならいいけど、なんか魔性の女とかってハクロたちの二つ名として定着しそうだ。


 あ、俺はまだ二つ名ないよ。陰から「はべらせ王」「爆発王」「ハーレム野郎」とかいう嫉妬の声は聞こえるけどな。


・・・使い魔はいい方が多いのに、その主の俺に対しての陰からの声が物凄く痛いです。


 




 とにもかくにも、臭いに耐性のあるモンスターはいるようだ。


 魔物奴隷の中には、使い魔となって奴隷から変わるやつらもいるんだろうけどここでふと思った。


「こういうのって、食費とかどうするんですか?」


 人の奴隷だろうと、魔物奴隷だろうと食費は普通にかかる。


 そもそも虐待とかはだめだし、最低限の保証はされるだろうけど・・・・



「ああ、その場合は奴隷の状態でも冒険者登録をさせて、迷宮(ダンジョン)のほうで稼いでもらうことがあるんでっせ。自給自足にもなりますし、逃亡できない様になっているとはいえ、そこそこ鍛えられるので健康状態も保てんるんやで」


・・・奴隷の健康維持にも迷宮(ダンジョン)が一役買うのか。結構用途が多彩だな・・・・。



「さてと、お求めは臭い耐性があり、なおかつお連れさんたちも運べるほどの奴でっせな?」

「ついでに食費も控えめなのが良い」


 臭いのひどい15階層を突破するだけの目的だけど、それ以降も一応手元においておけるやつが良いしね。



 使い魔に出来る可能性もあるし、ある程度役に立つようなやつがいたらなぁ・・・・・


 背後の方でハクロたちがあまり面白くなさそうなジト目で見ているけど、そこはちょっと我慢してほしい。




「『ワイルドスネーク』『ファイターコカトリス』『バッホーンロード』といったやつらが適任やろうけどなぁ」


 挙げられたモンスターを見るけど、どれもなかなかの奴だろう。


 というか、コカトリスだけなんか大型犬サイズの鶏にしか見えん。鉢巻とボクシンググローブを装着しているけど・・・・「ファイター」って部分そこだけか?


 ワイルドスネークっていうのはなんかやけにムキムキな蛇・・・腹筋?みたいなというか全身がすっごいわれているというか・・・・。


 まあ、中々筋肉質で運搬に関してなおかつ臭い耐性が高い奴らの用だ。



「うーん、種族は違えど同じモンスターとしてはちょっと心境的に悪いですね」

「昔は某を狙うやつらもおったでありますからな。ここにおるやつらは別に今の暮らしは悪くないようでありますが。この未来があった可能性を考えると・・・いやでありますな」

「『スリープマンドラゴラ』・・・なんか親近感が」

『水中の方はいませんねー。まあ、陸上ですし仕方がありませんか』


 全員それぞれ見て、感想を漏らす。



 ちょっとした動物園に見えるけど、これ一応モンスターです。


 魔物奴隷とは言っても、様々な種類はあるようで、中には迷宮(ダンジョン)限定の奴も交じっているようだ。


・・・さすがにボスモンスターとかは無理のようだけどね。命がいくつあっても、魔物奴隷にするには物凄い困難を極めるようだし。




 と、探しているときにふと目が合ったやつがいた。


「・・・真っ白な蛇?」


 白蛇みたいだけど、大きさが例えで言うなら・・・・映画のアナコン○サイズ。


 でかいけど、よく見たら隷属の首輪がされていた。


「サイズ以外は普通の蛇に見えるのに物凄い大きいですよ!?」

「うわぁ、丸のみにされそう・・・」

「丸太みたいなやつでありますな」

『海の中にいたウツボキングよりは小さいですが・・・』


 その大きさに、皆驚く。


 人を丸のみに出来そうで、全長が5~6メートルほどのサイズだ。


 綺麗な真っ白な体色をしているけど、これは真っ暗な夜中とかに見たら怖いな。


「おお、そいつはレイさんが求めるモンスターとしても最適な奴でっせ!!『パールスネーク(大)』という、希少性もありながら、力もあるのやねん」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「パールスネーク」

真珠のような光沢をもち、真っ白な体色の蛇のようなモンスター。

大きさは小、中、大の3段階に分けられ、大きいほど力も強く、物凄い力を持つ。

東方にある国では神獣としても崇めるほどだが、迷宮ダンジョンでしか見つかっていない限定モンスターであるため、しかも遭遇する確率は低い。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「いやー、元々そいつは迷宮(ダンジョン)のほうで魔物奴隷の仕入れをしようとしていた担当員が見つけたモンスターの卵から孵化した個体でな、フライパンに乗せて目玉焼きになる寸前で生まれたやつやねん。性格がおとなしいんやけど、うちの者たちでも手が付けられないほどの暴れん坊やねん」


 頭を掻きながら、アルザブドーンさんは説明をしてくれた。


 魔物奴隷にしちゃったのはいいけど、奴隷なので物凄い扱いにくくもなって、しかも隷属させた以降はおとなしくなって逆にこれはこれで扱いにくくなったらしい。


「・・・・・・・」

「・・・なんかすっごい見てくるな」


 じーっと、レイたちの存在に気がついたようでパールスネークは見つめてきた。


「あ、これまたあれですかね」

「同じパターン・・・・・なのかな?」

「いやこれもう購入決定でありますよ」

『訴える目』



 ハクロたちがひそひそいうけど、なんとなくわかってしまった。


 魔物奴隷の中には、魔物使いを主として使い魔になるやつも・・・・そんでもって、このでっかい蛇も・・・。


「魔物奴隷って、購入後に使い魔にして隷属の首輪を外せるっけ」

「可能でっせ!本来は金貨34枚ほどの値なんやけど・・・・主を見つけたようならただで良いでっせ!!(食費も結構かかるしな)」



 あ、一瞬本音が聞こえたような気がしたぞ。でも、この人にとって、魔物奴隷たちが主を見つけて使い魔になることもいいことのようなのは変わらないようだし・・・・・。




「それじゃあ、このパールスネークを頼む」


 嗅覚も物凄い鈍感な様で、15階層の攻略にも役立つらしいし、購入決定である。


 さすがに無料なのは心苦しくもあるので、銀貨を少々払いました。



「シャァァァァ」


 檻から出て、すぐにパールスネークが首を下げてきた。


 服従というか、忠誠を誓う騎士のように首を垂れているようである。


「えっと、魔物奴隷から使い魔にしていいタイプってことだよね?」

「シャァ、シャァ」


 何処ぞやのマスクもしくは赤い彗星の人のような鳴き声を上げて、肯定しているようである。



「でっかいモンスターですけど・・・・食費が不安以外は大丈夫そうです」

「光合成しているから元々平気・・・」

「確かに食費面が不安でありますが、相手は蛇ゆえに雑食でありますからな。大丈夫でありましょう」

『親近感・・・・・うねうね動く同士仲良くなれるかも』


 食費面で心配していないかおい?アイラに至ってはウミヘビのように見えているのが高ポイントのようだし。



「とりあえずまぁ、使い魔として名付けするか」


 魔物奴隷からいきなりの使い魔への昇格だけど・・・・・あ、よく考えたらこれ初めてまともなモンスターを使い魔にしたことになるな!!いままで何やかんやで美女のような見た目ばっかだったし、まともな感じがするかも!!


・・・まあ、巨大な蛇という時点でまともなのかは置いておくとしよう。



「それじゃあ、お前の名前は・・・・」


 白蛇、でっかい蛇のモンスター・・・・ううむ、こういう時は悩むけど、まともそうなので考えるならば・・・・。



「『ユリ』って言うのはどうだ?」


 なんとなく、白色から連想してガンダ○って思いついたけど、却下して、白い花と考えてみて、百合・・・別にまあ深い意味もないけど、なんとなくそこから安直につけました。


 蛇だから某段ボールで隠れて進むおっさんを思いついたのは内緒。



「シャァ・・・・・シャァァァァ!!」


 喜ぶかのように歓喜を示し、雄たけびを上げるユリ。


毎度おなじみ契約成立し、『使い魔5体目:ユリ』と手の甲に浮かび上がったよ。


 あ、いつもなら皆の手の方に逆に主の名前が手に浮かぶんだけど、ユリの場合蛇だから手がないよね?


 と、下を出してきたかと思ったら舌先に縦書きで書かれていた。


 そこに出るんかい!!


「あ、言っておくんやけどこいつメスやで」

「メスなの!?」


 でっかいし、てっきりオスかと思っていたぞ!!


 聞くと、パールスネークに限らず、蛇のようなモンスターは総じてメスの方が大きいらしい。


 初めて聞いた豆知識なような気がする・・・・・・・

新たにでっかい蛇が使い魔に仲間入り。

珍しく人型ではないようなやつを出しました。

ア○コンダを書いていたら見たくなった・・・アレいくつまであったかな。結構怖いけど、そう言う映画ほどまた見たくなるのはなんででしょうかね。

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