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軽めにぶっ飛ばす

道中記録

・・・ベタリアンから出て3日目。


 普通の馬車でなら目的の海の方まで2週間はかかる道のりだが、サクラの速度がなかなか速く、予想では1週間とちょっと程度で着きそうな状態であった。


 まあ、普通の馬よりは確実に速いもんな。モンスターと動物では似たような見た目でも、身体能力にかなりの差があるからね。


 

 一応レイはきちんと、空間収納に仕舞ってある宿題もこなしていく。


 カトレアの馬車モドキに作られた小さな机の上でカリカリと進めていくけど、揺れも少ないのでやりやすい。


 下の車軸と、カトレアの木の椅子の間の部分にちょっと衝撃吸収用のスプリングを作ってみてもらったんだよね。


 馬車にも応用できるし、これなら快適に進めるだろう。





 と、平和に進んでいる時であった。



「おや?前方の方で煙がありますな」


 サクラが前方の異変に気がつき、スピードを緩めた。


「本当だ、真っ黒な煙が上がっているな」

「馬車が燃えているとああいう感じですが・・・」

「盗賊の襲撃?」

「その可能性はありますな」



 この世界、盗賊もいるので一応それなりに用心は必要である。


 なので、冒険者たちを護衛に雇ったりしている馬車もあるけどそれでもやはり襲われるときは襲われてしまうものである。



「剣の音とか聞こえますが・・・盗賊側が有利そうですね」

「ふむ、進行方向でありますし、もうすぐその場所に到達するであります」


 盗賊が出てきて、不利な馬車ね・・・・まあ、ココであったのも何かの縁だ。



「よし、進行の妨げになるだろうし、海へ行く前のウォーミングアップとして軽めにぶっ飛ばしていこう!!」

「生死はどうするでありますか?」

「心を砕くのはいいけど、とりあえずまずは生け捕りかな。生きていればそれはそれで報奨金とかがあるしね」


「それじゃぁ加速していくでありますよ!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

SIDEデッポンニー商会御一行


「ひゃはぁぁぁぁぁっ!!イケイケイケイケ!!」

「くっ!!数が多い!!」


「ひーへーっつ!!降参して金目の物をよこしやがれぇ!!」

「誰が降参するか!!」



・・・大商会として知られているデッポンニー商会。本日は馬車で従業員一同の夏の慰安旅行をと計画されて、実行されたその目的地へと向かう途中、彼らは盗賊たちの襲撃を受けていた。



 盗賊の事も考えて、護衛依頼を出して信頼出来る冒険者たちに目的地まで護衛をしてもらっていたのだが、盗賊たちの数が多く、皆苦戦しているようであった。


 

 盗賊団の名前は『ダールンバ団』。冒険者を辞めた後、まともな職に就くことなく悪党になり下がった者たちが付くところの様だ。


 中途半端に強く、なかなか撃退できずに苦しい戦いとなっていた。


「野郎ども!!絶対負けるなよ!!」

「なにぉぅ!!こちらだって今月の生活が懸かっているんだ馬鹿野郎!!」


 盗賊の頭の叫びに、護衛の頭が叫び返す。


 

 馬車は突然の襲撃によって車輪が破壊されて、すぐには動けず、逃げ出しにくい状況だったので戦闘を回避できないのである。


 戦闘開始から時間が経ち、そろそろ全員に疲れが見え始め、、段々盗賊たちの方が押してきていた。



「あーっはっはっはっは!!俺っちたちが勝ちそうだな!!」

「安心しろ!!金目の物と女とかはすべて奪ってやるからよぅ!!」

「どこが安心しろと言うのだ貴様ら!!」


 盗賊たちの士気が盛り上がり、思わずツッコミを入れる人が出てきたが、負けるのは時間の問題そうであった。



・・・だが、ここで戦闘を続けていたのは盗賊団にとっては不幸だったか、商会にとっては幸運だったのだろうか。



「これでトドメだぁぁ!!」


 盗賊の一人が、倒れ込んだ護衛に剣を刺そうとした時であった。



「『スチームカノン』!!」


 突如としてその声が聞こえたと同時に、強烈な水蒸気の塊がその盗賊に襲い掛かる。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!?あっつぅぅぅぅ!!」

「ひぃぃぃぃ!!」


 周囲に拡散し、盗賊団に一気に高温の水蒸気が襲い掛かる。


 倒れていた護衛の人達には当たらないようにコントロールされているようで、もだえ苦しむのは盗賊たちだけである。


 


「な、なんだ今のは!!」

「後方の方からのようだが・・・」


 その謎の攻撃をした方向を見ると、何かが駆けてきていた。


「け、ケンタウロスだと!?」

「他にも何かいるぞ!!」


 走って来ている影を見て、盗賊団と護衛たちはその姿を確認した。



「ぼぅっと突っ立っていると危ないでありますよ!!」


ドカァァン!!


「ぎゃぁぁぁ!!」

「はねられたぁぁぁ!!」


 突進してきたケンタウロスにぶっ飛ばされ、盗賊団の数人が星になる。


「くっつ!!よく見れば女じゃねぇか!!しかも上玉だ!!野郎どもとっとと取り押さえて、」

「『フィンガーネット』!!」


 盗賊の頭が指示を出そうとしたとたん、上から網がかけられて、一気に動きを拘束された。


「どわぁっ!?なんだこの網は!!」

「き、切れねぇどころか刃がかけちまぅ!?」

「ふふん、どうですか!!」



 慌てふためく盗賊たちを足で押さえつけ、アラクネとおもわしき者がエッヘンと胸を張る。



「頭が捕まったぁ!!」

「急いで撤退しろぉぅ!!」

「させないよ」


 頭が捕まったので逃げようと盗賊たちがした時、足元に草が結ばれ、それぞれこけていく。


 倒れた矢先から網がかけられとらえられる。



「カトレアナイス!」

「このぐらい楽勝です」


 そのモンスターたちの主らしき少年が褒めると、今の事をしたらしいドリアードのようなモンスターが照れた。



 そのままあれよあれよという間に、この日一つの盗賊団が見事に壊滅し、全員捕縛されたのであった。


 ・・・・・最初にケンタウロスにふっ飛ばされて星になった奴はどこに行ったのかはわからないが。




吹っ飛んだ奴らは、後日遠くの方の街で捕縛されたとか。

イメージ的には某アンパンに飛ばされる奴か、某電気鼠の技で吹っ飛んでいくやつらのような飛び方。

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