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禁書庫

日常風景の一つ

・・・決闘から数日たち、学園生活にもうだいぶレイたちは慣れてきた。


「魔法の授業は免除だからこの時間は暇だよなー」

「でもその時間をここでつぶせるからいいじゃないですか」



 昼間だけど、入学審査時の魔法によってレイの魔法の授業は免除されていた。


 そして、先日の決闘の事もあって・・・



「でもな、この禁書庫って入っていいものかと言いたくなるんだけど。『禁止』ってあるのになんで入るのを許可しちゃうのかな」



 現在、レイたちは学園の図書館の真下にある地下室、「禁書庫」と呼ばれる場所で本をいろいろと読んでいた。


 禁書庫となっていても、何かまずいものがあるというわけではない。


 ここに置かれている本は様々な学問を究めた人たちが記した書籍が置かれているのだが、どうしても実現不可能なモノだったり、出来るわけがないと言われているような魔法についての情報があるのだ。


 内容が難解過ぎて、頭痛を起こす生徒が続出し、そのためわざわざそれらの本をこの部屋に集めて禁書庫にしただけと言う事情があったのだ。



 ・・・レイがここに入るのを許可されたわけは、レイ自身が使う魔法が規格外なのが多く、そのためここにいても頭痛は起きないどころか新しい発見をするのではないかと言われむしろどうぞどうぞと勧められたのである。



「確かに難しい魔法とか、新しい魔法、奇想天外な発明とかいったものが多くあるな」

「レイ様、こっちには魔道具(マジックアイテム)についてですよ」


 まあ、確かに頭痛するほどでもなく気軽に読めるかな。


 というか、この世界の魔法のレベルってどんなんやねん。



 内容としては反重力とか空間収納と言った魔法の詠唱破棄方法、効率化などと言ったものがあり、非常に役に立つかもしれない。


 ハクロの場合魔法は使えていないけど、糸を使った新しい方法がないか思いつくことができるようである。



 というわけで、魔法の授業の時間中はこの部屋で読みふけることができるのだ。堂々としたさぼりでもないし、良いかもね。


 


 にしても、この内容の中には魔物使いについての話もあるな。


 魔物使いが従える使い魔は通常1~3体ほどだけであると授業でやっていたけど、この本だとその制限は魔物使い自身の力量も影響して、それ以上も使い魔を従えることが可能とか。


 また、魔物使いが従える使い魔は、魔物使い自身に惹かれてくるものから力を認めてというものがあるけど、魂そのものに惹かれての可能性も示唆している内容がある。



 魔物使いとその使い魔の関係として互いの能力を向上させるものもあるけど、使い魔が増えれば元からいた使い魔自身にも効果があるのだとかいろいろ載っていた。



「モンスター図鑑とか言うのもあるな」

「あ、私の同族のスケッチがありますね」


 本自体が古く、今はどうやら写真とかはこの世界にあるようだけど、この本が出版された時はスケッチによるものの様だ。


「うわぁ、ハクロとは似ても似つかないな」

「アラクネってこういうモンスターですか・・・自分で自分の種族を知るというのも変な感じですね」


 本に載っていたハクロと同じアラクネのスケッチだけど、どう見てもハクロとは似ても似つかない、まさにモンスターと言うような外見をしたアラクネのスケッチであった。


 アラクネに極稀に美麗なものが生まれるというのがあるけど、ハクロがその例にあたってよかったと思えた瞬間である。


「クラーケン、バジリスク、ドラゴン、デュラハン、リザードマンとか言った他のモンスターも載っているけど、情報が古いなやっぱり」

「最新のだともっと詳しいですよね」



 モンスターについての情報はまだまだ収集されており、たまーに図鑑が発行されているらしい。


 冒険者にとっても必要不可欠なモノらしいし、今度買ってみようかな。




「ここにあるのは・・・お、これ使えるかも」


 魔法の本の方を読んでいると、使えそうな魔法を一つ発見した。


「えっと・・魔法名『空間収納』、もしくは『アイテムボックス』と言われる奴ですね」


 何処ぞやのポケットのように、なんでも大量にモノを仕舞える魔法で闇属性の適正がないとまず使えない魔法の様だ。


 適正があっても、使える人と使えない人に分かれており、使用できるだけで冒険者になった時に大変便利なのだとか。


 そして、この禁書にかかれているのはその「空間収納」の具体的な魔法のやり方である。



 便利そうな魔法が書かれているのもあるのだからもっと開放すればいいのにとは思うが、まあ、この本・・・・


「字が汚いのが多くて読みにくいのもあるですもんね」

「せめてもっときれいな字で書いてほしいよな」


 ミミズがのたうち回ってつぶれたような字だぞこれ。解読がやりにくいよ。



 何とか解読して見ると、この「空間収納」についての説明をなんとか読めた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・収納量はその人自身の力量に左右されやすい。サイズに関係なく出し入れ可能なのは共通である。

・整理整頓をしっかりしないと目的の物を取り出せない。

・内部は時間停止状態となっており、新鮮なものを新鮮なまま運べるため、商人とかには重宝される。

・生命活動を行っている者は収納不可能。呪いの武具もなぜかこれにあたるので、生きている物ではないかと推定される。

・逆立ちをしていると稀に中身が全部一緒に出てきてしまうことがある。

・モンスターの中には知能が高いものがおり、その一部に空間収納を使用できる者がいると確認されている。

・基本的に取り出す部位を決めておくとやりやすい。

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「ハクロもこの知能が高い部類に入るけどさ、ハクロって空間収納使える?」

「使えませんね。そもそも魔法自体が使えていませんからね」



 まあ、その辺は別にいいか。


 幸いと言うか、闇属性の適正は俺にもあるので使用可能かもしれない。



「『空間収納』」


 唱えて見ると、ちょっと左の袖の方に小さな黒い穴のようなものができた。


 ・・・お腹の方にイメージすべきだったか?いや、色々と危ないかもしれないし。



 試しに本を入れて見ると大きさは本の方が大きいのにスポッと入り、その逆も可能だ。


 うん、これはこれで便利な魔法だ。



 ホイホイ他の本を試してみても可能だった。


 でもやっぱりハクロの手をつかんで触れてみても駄目だった。生きているのはやっぱり無理なんだな。



 とはいえ、便利なのに間違いはないし、覚えて損もなくこの日はこの魔法を俺は覚えたのであった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 レイの利用後、禁書庫に別の人物が入ってきた。


 腰まであるとも思えるほど長い金髪に、透き通るような青い目を持った少女である。


 彼女もまたこの禁書庫に出入りが許されており、たまにこの学園に来た時に利用しているのだが・・・・本の状態を見て少し驚いていた。



「・・・あら?誰かが触った跡があるわね」

 

 禁書庫に出入りする人物は限られており、めったに人が入るわけでもないので彼女はそのことに気が付いた。


 でも、それほど気にするようなこともないようなので、彼女はそのまま本をめくって読みふけり始めるのであった・・・・。



チートっぽいような、チートっぽくないような。

そろそろ使い魔を増やしますかね。

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