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七話 ギルド

 「ここは…」


 目を開けるとそこは城のオレのいた部屋ではなく。この間、夢で見たのと同じ石づくりの建物の中だった。前と変わらず窓一つもなく不思議な明かりで照らされ、壁には女性と黒い何かが対峙している壁画があった。


 そして、大きな扉のない道からあの男がオレに向かってくる。


「…また会えたね」


 何故か男はオレに向け笑みを浮かべて寄ってくる。


「なぁ、まさか、オレをゲームの、この世界に連れてきたのってアンタなのか?」


 オレの質問に男は答えない。男は口を閉じ何かを考えているのか目を閉じ、ため息をついてから再びオレを見る。


「やはり、今の君は、君ではないのか…けれど私は待とう。君が思い出すまで」


 男がそんな箏を言い出し、オレの視界がぼやけていく。今の言葉は一体どういう意味なのか、そしてここはどこなのか聞こうとしたが声が出ずどんどん視界が狭くなっていく中「気をつけて、が…目覚めて、しま…」と聞こえ、気が付けばオレは目が覚めていた。


「…たくっ、変な夢だな…」


 ため息をこぼし、ベッドから降り机に置かれた水を飲んで一息つく。


「…何か目覚めるって…どういうことだ?」


夢の男が言っていた事が気になり、悩んでいると扉がノックされ開けてみると、 


「おはようございます、リョウさん」


薄い寝巻を着たアリルが笑顔でオレに挨拶してきた。


「あぁ、おはよう…」

 

 つられてオレもあいさつを返す。


「えと、こんな朝早くどうしたんだ?」


「その、昨日の箏でお礼をいいたくて…あの後、すぐに兄様から部屋に戻るよう言われてくるのが遅くなってしまいました…」


 アリルは背筋を伸ばしてオレに礼を言い頭を下げた。オレは、そんな箏しなくていいからと慌ててアリルの頭を上げさせ部屋の中に入れ、椅子に座らせる。そういえばアリルってこの国の姫だからこんなところ人に見られたらまずいような と考えながらベッドに腰かけアリルに話かける。


「まぁ、けどよかったな? ハクと離れ離れにならなくてさ」


「はい…本当に、ありがとうございます。ハク、あなたもお礼をいいなさい」


 首元にある十字架の飾りにアリルが触れると、十字架が白く光りオレとアリルの間にハクが召喚される。


「くぅぅ~~」


 呼び出されたハクは、オレとアリアを見て機嫌よさそうに声をあげ大きな翼を広がる。幸い、部屋が大きく、物とかに当たらなかったが、何故かハクは鼻を動かしオレの方にすり寄ってくる。


「...もしかして、メシが欲しいのか?」


 そこで、二つの大小の腹から虫の音がなる。一つはオレにすり寄るハクから。もう一つは、顔を赤くしうつむくアリアからだった。オレは苦笑して、タブレットを取り出し赤い果実をいくつか取り出しアリアたちに渡し、オレも自分の分を出して食べる。


 タブレットの時刻を見るとまだ6時前で、アリルによるとこの時間帯には兵や従者達はもうすでに起き始めているとの箏だった。毎日こんなに早く起きて大変だなと思っていたら、扉がノックされ聞き覚えのある声がして扉が開く。


「姫様、やはりこちらでしたか...」


 入ってきたのは、昨日謁見の間でオレにナイフを突き立てたネーアだった。アリルはしまったというように視線をそらし、ネーアは果実に夢中になっているハクを見てやれやれと言った風に肩を落としてオレを見る。


「ハクまで召喚して...すまないねリョウ」


「いいよ、そっちこそ朝から大変だな」


 まったくだよ と苦笑しながら答えるネーア。と、開いた扉から廊下にもう一人誰かいるのに気づきてっきりラールかなと思っていたら


「…ふん」


 見覚えのある銀髪の男が不機嫌そうにオレをにらんでいた。


「あぁ、そいつは気にしないでいいよ。姫様探してたら、近くにコイツがいて、手伝わせただけだから」


「黙れ」


 アデスはネーアを睨み、再びオレを睨む。


「アデス」


「きやすく呼ぶな」


 名前を言っただけだが、冷たい反応をされてしまう。オレは、アデスの腰のある黒い魔石の入った剣の鞘を見てダークナイトは大丈夫か聞いてみたが無視されてしまった。


 オレがどうしたいいのか悩んでいるとネーアが「そいつは放っておいていいよ,昨日負けてからずっとこんなんだし」と言い「テメェ!!」とアデスが叫ぶが、ネーアは構わず話しを続ける。


「あんだけ余裕こいてたくせに、ギルドにも入ってないリョウに負けるなんて...ぷ」


「黙れ!! それに俺は負けてなどいない!!」


 明らかに煽っているネーアと、完全に起こっているアデスを見て姉弟みたいだな と思いながら、昨日の戦いを振り返ってみる。


 アデスのダークナイトとオレのサファイヤにはレベルの差はあったけど、オレはこの世界での戦い方なんてまだ慣れてないし正直、相性とかでゴリ押しした戦いしかできかった。それにアデスは別の人と戦ってダークナイトの魔力と体力もすでに消費していたからフェアな戦いじゃなかった。


「確かに昨日のはまだ決着はまだついてないよな…」


「リョウ?」


「なぁ、だったらもう一度やらないか? 今度は体力をちゃんと回復させて。それにオレ、昨日の戦いは楽しかったからさ」

 

 オレがそう言うとアデスだけでなく、傍にいるアリルとネーアまで不思議そうにして何故かオレを見るがオレは昨日の戦いのことを思い出しながら話しを続けた。


 「ダークナイトとフィールドカードの使いかたも良かったけど、相手が昨日のオレみたいにフィールドの効果を消すか、上書きしてきた場合の対策も必要だと思った。あと、いきなりスキルを使ってばかりだと、魔力が持たないしそれに…」


「貴様何を…」 


「正直、昨日の戦いは正当じゃないと思う。だって、先にアデスのもんす…じゃなく。魔物は先に戦って体力が消費してたし。だから、どっちが勝っていたなんてわからない。ところで、カードってどんなの持ってる? 闇属性のカードだったら何枚かあるから例えば…」


 タブレットのカード欄を開き、いくつかカードを出しアデスに渡し、カードの効力とどのタイミングで使った方がいいのか説明していく。


「あの、リョウさん?」


「...でさ、このカードは魔力の消費は少ないけど弱点の光属性の攻撃とかある程度は防いでくれるから、あ。それと装備は何使ってる? ダークナイトって直接攻撃が得意そうだから武器系のがいいか、それとも能力を上げる方がいいか…」


「もしも~~し、聞こえてますか?」


「あぁ、そういえばクレア達ってカード持ってたけ? せっかく精霊モンスター連れているんだから、調度精霊用のアイテムなんかが…」


「リョウさん!!」


「うおぉ!!」


 アリルが大声を上げ、ふと我にかええる。気づけば、顔を引きつらせたアデスと苦笑いを浮かべているネーナ。さらに、アリルの大声で驚きこっちを見ているハクを見てつい話に夢中なってしまったなと思い謝る。


「ごめん、つい話すのに夢中になって…あ、そうだアリルのハクにも状態異常を防ぐ装備を…」


「は~いそこまで、いろいろ言いたいことも聞きたいこともあるけどまずは黙りなさい」


 むぐっ ネーアに口を塞がれてしまった。我ながらゲームに関することになるとつい熱くなる癖は治らないなと少し反省し、視界の端でアデスがさっさと部屋から逃げるように出て行くのが見え、部屋の外に出るが、すぐに姿が消えてしまった。

 

「あ、再戦の約束結局してないや」


「…えと、ひとまず朝食に行きましょうか….」


 何故かアリルが疲れたようにため息をつき、ハクを送還してネーアと共に部屋から出ていく。

 その後、朝食に呼ばれ広い部屋に入ると、壁際に兵やメイドたちが整列していた。部屋の奥では豪華なイスに座るエランス王やドレスを着たアリルがおり、テーブルの上には高価そうな食器にテレビでしか見たことのない豪勢な食事が置かれていた。


「今朝もどうやら、愚昧が世話になったようだな」


 エランス王がオレに話かけ、アリルが気まずそうにうつむくのが見えた。昨日の事と言い、この王はなんでアリルにこうつっかかるのか、と思いながら「別に、大丈夫ですので」と答えメイドに席を勧められ座る。イスの柔らかい感触に少し驚きつつ、学校で習ったテーブルマナーを必死に思い出し果物から口に入れていく。


「...うまい」


 料理の中には、ゲームのグラフィックなどで見たことある物もあり、これはこんな味だったのか と感心しつつエランス王から時折「どこから来たのか?」「その魔物たちはどこで見つけた?」「おかしな召喚具を持っているな」と次々に質問が来た。


 明らかに、オレの素性聞いてきてるよなこれ? このまま黙ってようかと思ったけど、王様相手に無視すると面倒だなと内心思いつつ


どこから来たの質問に対しては、異世界からと言うとややこしくなるため東と答える。

魔物たちは、ゲームでオレが育てたのだが。旅をしていて見つけたと言い、

最後の質問には、これがオレの住んでいた所で使っていた物だと答える。


 朝の朝食には絶対に合わない、空気がオレとエランス王の間に流れ間に挟まれているアリルがおろおろし、周りにいた兵が腰の剣に手をかけているのが見えた。

 いざとなったら、フレアたちを呼び逃げよう。そう考えていると、エランス王は静かに笑った。


「いや、すまない。昨日の事と言い、本当に面白いな」

 

「それは、どうも...」

 

 何が面白いんだ? 疑問に思いつつ、食事を続ける。会話が終って、今日はどうするのかとアリルに聞かれ。とりあえず、昨日言ってたギルドに行く箏を告げるとアリルが目を輝かせ一緒に行くと言い出すが、エランス王に無言で睨まれてうつむき口を閉じてしまう。


 オレもアリルと一緒に行きたいなと思ったけど、また外に出て襲われたら危ないしなと残念に思っていると、オレの方に整った服を着て首や耳に飾りを付けた中年ぐらいの男が小さな袋と一枚の紙を持って近づいてきた。


「この度は姫様を救っていただき心から感謝いたします。私は大臣をしておりますロスと言う者です…さっそくですがこちらは報酬とギルドへの推薦状となります」


「あぁ、どうも….」


 生返事を返す中、大臣のロスがオレの前に袋を置く。袋の中身を見てみると、金貨が大量に入っており、それはゲームの世界で使っていたエルだった。え? …ちょっとまて、一人の時にタブレットからEを出して確認したけど、金貨一枚で一万Eだった。単純に一枚一万円としたら、袋の中には百枚ほど金貨があるからつまり百万Eって箏か?


「どうかなさいましたか?」


「あ、いや…なんでもない、です」


 大金を目の前に、思わず言葉が片ごとになってしまう。けど、よくよく考えてみればタブレットの中にはゲームで稼いだ金がかなりあるため、金だけ返してギルドの推薦状だけもらおうかな っと考えていたが、ロスが話を続けてしまったため話すタイミングを失ってしまう。


 ロスがギルドの推薦状について説明をし、話を簡単にまとめると。推薦状があれば試験を受けずにギルドに登録してもらえ身分証でもあるギルド証を発行してもらえる箏。

 さらに、登録すればその日から依頼を受ける箏ができ他の国のギルドでも依頼を受ける箏ができてあらゆる施設に入る事ができる。例えば昨日アデスのモンスターと戦った城の訓練所や町の図書館などに入れる。だが、ギルド証を一度紛失すると時間がかかるから無くさないよう注意するようにとの箏だった。


 ロスは俺の前から去り結局金を受けとってしまった。まぁ、もらえるものはもらっていいだろうと思っていると一瞬部屋から出て行こうとするロスと目があった。 ? なんだ、今睨まれたような… 

 「? どうしましたか?」


 アリルが首をかしげ聞いてきて、オレはなんでもないと答えエランス王が黙ったままオレを観察しているようで見ているが無視し、食事会も終わりオレは準備をしてから城を出ると


「うわっ~~マジでファンタジーだな…」


 昨日は馬車の中でよく見えなかったけど、改めて町の中を見て歩くと日本では見られない洋風の家やコンクリートじゃない地面。それに、道を歩いている人達も鎧やら剣を持った人が多くいた。


 「アリルも一緒にいれば良かったのに…」


 城から出れないアリルのしょんぼりした姿を思い浮かべながらオレは渡された地図を頼り進むと、大きな青い屋根の建物に辿りついた。


 「ここが、ギルド…」


見た目はゲームで見てきたのと同じような感じだが、入り口には小さなモンスターを連れて中に入る人々もいた。画面越しじゃなく、生で見た嬉しさに高揚しながらオレは建物の中に入る。


入ってすぐのところはどうやら広場になっているようで、カウンターでなにか相談している男や、朝から酒らしき物を飲むもの。さらに、自分のモンスターの自慢話しをしているものなどいた。周りの空気に驚いてしまって我に帰り、まずは推薦状を受付に渡すように言われたため人ごみの中を進んでいると


「えと、受付は…とっ!!」


「きゃっ!!」


 歩いていたら黄色髪の少女とぶつかってしまいオレは慌てて倒れそうになる少女の体を支え何とか倒れるのを防いだ。


「ご、ごめん、大丈夫か?」


「あ、はい。す、すみません…」


 ぶつかってしまった黄色髪の少女は何故かオレを見て顔を赤くし慌ててオレから離れ謝りオレも少女に謝る。

 

「ごめんな、ここ来たの始めてで受付を探しててよそ見してた」


「い、いえ!! こちらこそ、私もギルドに来るのは始めてだったので…」


緊張した様子で目をそらす少女の話し聞くとどうやらオレと同じでギルドの登録をしに来たようで名前はリアと言う。オレも自己紹介をして二人で受付を探すと机が並べられたカウンターらしき場所を見つけ席に座る女性に声をかけた。

 

「ギルドの登録ですか?」

 

女性に聞かれ隣にいるアーリと頷く。オレはタブレットから持っていた推薦状を女性に渡すと受付の女性が何度も推薦状とオレを見てから、少し待つよう言われどこかに行ってしまった。 一体なんなんだ?


「えと…リョウさん推薦状を持っているってことは、もしかして貴族の方だったのですか?」


「え、いや…城でもらったんだけど…」


 どうやらリアが言うには、推薦状は貴族、または実力を認められた物にしか滅多に出されないらしく、とにかくオレは貴族とかではない事を告げる。

 受付の女性がいつ戻ってくるか分から無いが、ギルドの中でも散策しようとしたら、窓の外にフィールドが見え、多くのモンスター達が戦っていた。


「お!!」


「うわぁ…」


 俺とリアが声をあげ外で戦うモンスター達を眺め気づけばオレ達は外に出てあちこちのフィールドの戦いを見て回っていた。傍にあるフィールドでは剣を装備したトカゲ型のモンスターが素早く動き、大きな牙を持った猪のモンスターを翻弄したり。さらに別のフィールドでは、巨大な猪のモンスターの突進をゴーレムがおさえるがすぐに猪のモンスターに倒され地面が揺れ、リアが悲鳴を上げてオレの腕を掴む。

  

「大丈夫か?」


「は、はい…すごいですね…あんなに大きな魔物同士が戦って…」


「確かにな…オレも正直驚いたよ…ん?」

 

 フィールドから離れた端の方に茶色髪をした少年が、水色の長髪の女性に何かを叫んでいるのが見えた。しかも、二人の周りにいる大人達は何故か呆れたような顔をして少年の方を見ている。


「だから、俺と戦ってくれよ!!」


「断る、貴様と戦う理由などない」


 女性の方はすっぱりと断るが、少年の方は赤い魔石が入った腕輪を見せながら何度も言い寄る。女性の近くにいた鎧を来た男からやめるように言われるも少年は諦めずに食い下がる。 


「なんなんだ、あれ?」


 そうつぶやくと、ふと女性と目が合った。一瞬、女性は口元に笑を浮かべると持っていた杖でオレを指し


「そうだな…レクス。あそこにいる者に勝てば、貴様との戦い、考えてやってもいいぞ?」


と言い出し、レクスと言われた少年だけでなく隣にいるリアや周りにいた人達がオレを見る。

 

 …え? どういうこと?


「なに!? 本当だな!! おい、おまえギルドのランクは? 」


 いきなり喧嘩腰でオレに近づいギルドのランクを聞いてきた。今日登録にしにきたと言うと少年は見下した目でオレを見て「新入りに負ける訳ないだろう」と言い放つ。なんだこいつはとオレが思う中、少年と周りにいた人達は女性を見るが女性は視線を気にしないまま話しを続ける。


「いいからさっさとフィールドにいけ。それと新入り、おまえも全力でやって構わんぞ」

 

新入りってオレの事か。呆然とするアーリに行ってくると言いフィールド前に立ちレクスが赤い魔石が入った腕輪を掲げると小さな赤いドラゴンが召喚された。

 

〇レッドコドラ LV30 

ランク☆3

属性(火)  


 赤いドラゴンの子供がフィールド上に足をつけ口から小さな火の粉を吐き出しオレに威嚇する。タブレットでコドラのステータスを確認し流石にレベル差があるフレアやサファイヤを出したら勝負にならないためオレの持っているモンスターの中でレベルが低く…最近仲間にした白うさぎ以外で戦えるモンスターを選択し召喚した。

 

〇シーマーメイド LV40

ランク☆4

属性(水) 

装備 「トライデント」


 フィールドに光輝く長い髪に下半身が綺麗な鱗と尾びれの体をした綺麗な人魚が水色のオーラを放ち宙に浮かんだ状態で姿を現す。


「「うぉぉぉぉ!!」」


周りにいた観客達、特に男の声が響く中シーマーメイドことマーメイドはオレの方を向き三股の槍を持ってない方の手で軽く手を振りニコリと笑う。すると、シーマーメイドを見ていた観客達の顔が赤くなっていた。なんで?


「に、人魚の魔物!?」


 一方でオレのマーメイドを見て、レクスも顔を赤くして驚いていた。あぁ、そういえば人魚とかのモンスターも珍しい方だし、ネットとかで人魚モンスターは俺の嫁とか書き込んでいた奴もいたなと思っていたら、誰かがバトル開始の合図をし先にコドラが動いた。


〇レッドコドラ 

 「スキル」火の粉

(火属性攻撃、相手に小ダメージを与える)


 コドラの口から小さな火が放たれマーメイドの体に当たる。しかし、マーメイドの体にはやけどの後どころか傷もなく体力も僅かしか減っていない。これはただレベルの差や相性とかではなくモンスターの特性である「アビリティ」が関係していた。


 アビリティは技のスキルとは違い、モンスターのランクが4まで上がって成長して得ることができる特性で戦闘中に常に発動している。今フィールドにいるコドラはまだアビリティを身につけている程まだ強くないが、マーメイドには「水の守り」の特性がフィールドに作用している。


〇シーマーメイド

「アビリティ」水の守り

(フィールドの火属性能力を中ダウン。水属性能力を中アップ)


 今はフィールドにかかっている水の守りの効果があったた火属性の攻撃力か低下し火の粉が直撃しても大したダメージにならなかった。ちなみに、もし相手が反対に火属性の能力をあげるアビリティを持っていた場合は自分と相手のアビリティの二つが作用し相殺し合う事はない。まぁ、中にはアビリティの効果を無効にするのもあるけど。


「くそ!! たかが新入りに!!」


 フィールドにかかっている特性を知らないのか、コドラに火の粉を連発するよう指示を出すレクス。コドラも言われた通りに火の粉を連発するが体力はごく僅かしか減っていない。

 オレはマーメイドに反撃(軽めに)するよう言い、マーメイドの頭上に小さな水の塊が現れコドラに向って音を立ててぶつかりコドラが地面に倒れた。


〇シーマーメイド

 「スキル」水球

(水属性攻撃、相手に小ダメージ)


 水の守りの影響で小さな攻撃を一撃くらっただけでコドラの大量が大分減る。属性的にもレベル的にもこっちが有利のためどの攻撃もコドラにとっては大ダメージになりレクスが回復系のカードを持っていなければ勝負は見えていた。


「立て、立てよ!!」


 だがレクスはカードを使う素振りもなく息を切らして倒れているコドラに声をかけコドラも震える手足を動かし何とか立とうとしていた。俺もマーメイドも困った顔をしレクスにこれ以上は無理だ とオレが言おうとしたら声を遮られてしまった。


「レクス、下がれ。もう勝負はついた」


「!? で、でもまだ!!」


「いいから下がれ、おまえの負けだ」


 あの水色の髪をした女性の言葉から威圧を感じ、レクスは体を震えがらせ渋々とコドラを送還しフィールドから去っていった。

バトルが終わり安堵しつつレクス達にはなんだかかわいそうな事をしたなと思い、マーメイドを労って送還しアーリの所に行こうとしたら


「さて、次は私とだな」


 …ん? 女性の言葉が耳に入り気づけばさっきまでレクスの立っていた位置に女性がおり、手にしていた杖を掲げる。そして、杖の先にある黄色の魔石が光フィールドに光が落ちたーー

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