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六話 王との謁見


 アデスとの闘いの後、オレは城内の松明で照らされた廊下を大柄の男の案内を受け二人で歩いていた。


「先ほどは部下が失礼した、アデスは時折誰構わず魔物を戦わせてしまう癖があるため何度も注意はしているのだが…」


「あぁ、大丈夫。こっちも少しは楽しめたから」


 そう言うと男はオレの方を向き驚いた顔でオレを見ると、笑いだした。 ? なんか変な箏言ったか?


「ははは…すまない、王国の三騎士の魔物と戦ってそのような箏を言ったのは初めてだ」


「はぁ…」


 曖昧な返事を返しながらアデスのモンスターが弱かったわけじゃなくこっちのモンスターのレベルやら相性とかでなんとか勝てただけだし。もしこっちがフレアとレッドを使っていたらいくらレベルが高くても、もしかしたらオレが負けていたかもしれないとか考えていた。


「まぁ、けど。下手をしたらオレの方が負けてたかもしれなかったし」


「ほう。謙遜するか。っと、まだ名乗っていなかったな。私はラール。騎士団の長をしている。貴殿は確かリョウだったな姫様の箏は聞いている」


「その、アリルなんだけど。今どにいる?」


 ここに来る馬車の中でずっとおびえていたアリルの箏を思いだし、ラールに尋ねると今は王の元で説教中との箏だった。そして、オレ達が今向かっているのは王のいる謁見の間との箏だった。どうも、その王。アリルの兄がオレと話しがしたいとの箏だった。


 もし、アリルの兄がアリルに対して何かしていたら助けたほうがいいか? と考えている内に巨大な扉の前まで来ていた。傍にいた兵がラールを見て慌てて背筋を伸ばし二人がかりで巨大な扉を開きオレはラールの後ろについていき中に入ると


「リョウさん!!」


 広く大きな部屋の奥にて、豪華な椅子に座りオレに向かって手を振るアリルがいた。蒼くきれいなドレスを着込み、髪飾りなどを着けたアリルはまさに姫らしいが、彼女の隣に座る男性が咳払いをすると、アリルは慌てて手を引っ込め目線をそらした。男性は顔は美形の部類に入っているが鋭い目つきでオレをずっと見ていた。

 

「エランス陛下、件の者をお連れしました」


男性とアリルに近づき、ラールが片膝をつきオレも慌てて片膝をつく。


「ほう貴様が愚昧を連れてきた者か。ギルドの者から話は聞いていたが珍しい魔物を連れているようだな?まさかアデスを倒すとは思ってもいなかったが」


「はぁ…」


 オレは曖昧な返事をし、エランス王はアリルを連れてきた礼について話し隣では、アリルが肩を震えあがらせた。と、ここでアリルの首に十字架の召喚具がない箏に気づき、オレはエランス王に聞いてみた。


「あの…アリルはいや、姫はこの後どうされるのですか?」


「ん? その箏か、何度も白竜と共に城に出て騒ぎを起こされると困るのでな」


 エランス王は懐からアリルの白い魔石入りのペンダントを取り出した。


「召喚具はしばらくの間預かり、愚昧には兵に見張らせて城から出さないつもりだ」


 その言葉を聞いて、アリルが唇を噛み締め涙をこらえている顔を見て俺はムッとなった。確かにアリルは城を抜け出していろんな人に迷惑をかけたけど、隣にいるおびえている妹の姿を見て何も思わないのか? オレは、それはやりすぎではないかと聞くと


「私の愚昧をどうしようが、そなたには関係はないだろう?」


「なっ!? 待てよ!! さっきからアリルを愚昧、愚昧って!! 」


 顔色一つも変えないエランス王に腹が立ち。立ち上がってエランス王をにらむ。オレの前にいるラールが睨み隣に座るアリルが落ち着くように言うが二人を無視して話をつづけた。


「アリルとハクを引き離すなよ!! いくら王で兄だからって、妹にひどいことするなよ!!」


「愚昧の命を救った者と黙っていれば、ずいぶんとうるさいな」 


 と、エランス王が片手を上げた時


「なっ!?」


「陛下にケンカを売るなんて、命知らずだよアンタ」


 突然背後に背の高い女性が出現し、オレの首にナイフが突き立てられていた。動いたら殺す 耳元でつぶやかれ女性から殺気が出て本気なのを感じ黙って冷たい目でオレを見るエランス王を見る。 

 

「ほう、そこまで言うのなら私と決闘してみるか? 貴様が勝てば召喚具は愚昧に返して自由の身にしてやるが、貴様が負ければ…侮辱罪で死刑だ」


 エランス王はどうする? といった感じで聞いてきてオレは


「上等だ!!」


 タブレットを取り出しエランス王をにらむ。あの王がどんなモンスターを使うのか全くわからないし、それにここはゲームの世界と違って死ねば終わりだ。けれど、ほんの短い間だが友達になったアリルを放っておけるわけがなかった。


「リョウさん!!」


「陛下!!」


 アリルが悲鳴を上げラールがエランス王を見る。オレはエランス王としばらく睨み合い沈黙になる。だが


「はははっ!! なかなか愉快な者だな!!」


突然笑い出し、一体どうしたんだ? と驚いていると背後にいた女性はため息をつきオレの首元に当てていたナイフをしまう。


「アリル達の話しといい先ほどのアデスとの戦闘といい,貴様はどこらの召喚士とは、いや人間と違うようだ」


 ? エランス王が何か言っているが、さっきまであった殺気がなかった。


 アリルの召喚具を返してくれるか聞いてみたところ、今回はオレに免じてすぐに返してくれた。ただ、しばらくは城の中にいるよう注意されたアリルはうなだれていたけど。


 謁見の間を後にし、オレの傍にはラールとオレにナイフを向けていた女性がいた。改めて女性を見ると、オレより長身で長い髪を一つにまとめ、肩やへそを出した鎧を着て腰に剣を携えていた。と、オレが観察していると女性の方から話かけてきた 


「さっきは悪かったね。けど驚いたよ、姫様のために王に向かってあんな箏言って。あっアタシはネーア。まぁ、三剣騎士なんて呼ばれてるけどよろしくな!!」

 

 ネーアはオレの肩に手をやり先ほどまであった殺気はない笑顔で話しかけてきた。どうやら悪い人ではないようなのでオレも簡単に自己紹介をし三人で廊下を歩きながら会話をする。


「いや~~正直姫様もさすがに今回はまずいって思っていたけど、アンタのおかげで罰は軽くなりそうだよ、礼を言うよ」


「はぁ…あ、そうだ!! さっき倒れてた魔物達は? 」


 ダークナイトにやられたモンスター達の事を聞くと、どうやらオレ達が戦っている間に治療してもらい、命に別状はなかったと聞き安心した。

少し話してみて分かったが、ネーアもアリルの箏を心配していたらしい。と、ネーアが何かを思い出したかのような顔をし話しが変わる。


「ところでリョウ。報酬についてだが、何か希望があれば陛下に伝えておこう」


「報酬? あぁ、忘れてた」

 

ラールに言われ、立ち止まり考えてみる。金はあるし、装備もアイテムも十分にある。あっ、そういえばさっき鍛錬場で身分を表示できる物がないって言われたから…


「じゃあさ、ギルドに入りたいんだけどそれでいいかな?」


 オレがそう言うと、二人は不思議そうな顔をしてオレを見る。そんなものでいいのか? と聞かれ、オレは身分を証明する物をなくしたからと適当にごまかしてどうやったら入る箏ができるのか聞いてみた。


 どうやら、城下にあるギルドに行き簡単な試験を受ければ最低ランクの1から入る箏ができるとの箏。ゲームだったら試験とかなくてすぐにギルドに入る箏はできるのだが、まぁ試験はそこまで難しくないとの箏なので明日にでも受けてみるかな。


「あぁそうだ!! アデスと戦ったの見たけど、あの光の魔物ってどこで見つけたのさ? あいつの黒い魔物ってなかなか頑丈で倒すの面倒なのにさ?」


「え、えと…」


「ネーア、そういきなり質問するな。今日はもう遅いリョウも疲れているだろうし」


 ラールの気遣いを受け、何とか質問責めから逃げる箏ができ。その後、自室に戻ったオレは戦いの興奮とエランス王との謁見で疲れていたのか、ベッドに入りすぐに眠りについてしまうのであったーー


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