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五話 騎士との戦い


ガタンガタンッ!!


 「…うわぁ、結構揺れるな…」


 馬車の荷台の中、整っていない道を走ってかれこれ数時間になる。村がモンスターの集団に襲撃されて翌日になり、馬車に乗る前まで村人の避難と手当を手伝っていたら王国から派遣された兵隊やギルドの人が救援に来てくれた。


 村は大分焼かれたが、幸いにも死人が出なかった箏に安心したが、広場であったあの少年の姿が頭から離れなかった。


(あいつ…ゴーレムの箏を知ってたってことはアリルを狙って…まさか、村を焼いたのもあいつなのか…?)


 あの少年からは普通じゃない感じがしたし、ミノタウロス達を召喚して村を襲った犯人なのだが、クレア達に報告しようとしたが村人と応援にきたギルドの人たちと忙しく話している姿を見て話せる状況じゃなかった。


 その後、話しが落ち着くとクレアからアリルを城に送る馬車に一緒に乗るよう言われ用意された馬車に乗り、今に至るのであった。


「もう、なんでハクで飛んで行ってはいけないんですか!? 馬車は揺れていやです!!」


「姫様…また襲われたらどうするんですか? それに、まだ反省が足りないようですね…」


 クレアは威圧を放ちながら、おびえるアリルに近づく。こんな狭い所で暴れるなよ とつぶやき。オレの太ももの上でくつろいでいるマロを撫でて気分を紛らわせていると、視線を感じ荷台の端っこでうずくまっているリンと目があった。


「うぅ…もふもふ…癒し…」


 リンは顔色を悪くし口を必死に抑えていた。これもクレアから聞いた箏だが、リンは馬車などに乗ると具合が悪くなるとの箏だった。車酔い、いや馬車酔いに効くアイテムって何かあったけ? 毒消し草? それとも、混乱を消す正気玉か?


「お、お願い…モフモフさせて…」

 

 のっそりと動きだし、血の気のない顔をしたままオレに近づいてくる。まるでゾンビみたいなリンにマロは体を固くしおびえ、オレの後ろに隠れてしまった。


「な、なぁ!? 城まであとどれぐらいなんだ!?」


 迫りくるリンの頭を押さえながら、未だに説教をしているクレアに聞く。


「え? そうね…このまま走れば夕方までに城に着くわね…って、何してるのよあなた達?」


「く、くれあ…」

 

 弱弱しい姿のリンを見てクレアは大きくため息をついた。


「リン、無理して私たちについてこなくてよかったのに…あのまま村に残ってゆっくり帰ってくれば….」


「だ、だって…姫様も、クレアも放って、おけないし…そ、それに…」


 言葉にしなかったが、鋭い目でオレを見る。どうやら、無理に馬車に乗った理由はまだオレが信用できないからのようだった。だったら、オレも責任あるかな と内心思いながらちらっ と涙目でオレに助けを求めているアリルを見ていると窓の外に湖が見えた。


 リンの頭を押さえながらオレが休憩する箏を提案すると、馬車は湖の方に進路を変え走っていく。


「うぅ…」


 馬車を下りると一目散にリンは口を押さえ、どこかに走って行く。残されたオレたちは小さな湖のそばに座り休憩に入りアリルは大切な相棒であるハクを召喚し抱き合い。オレは靴を脱いで湖に足を入れてみた。


「うはぁ、冷たい!!」


 水の冷たさに声をあげ、隣にいたマロが鼻先で水を軽くはじき白い毛並みを撫でながらタブレットを取り出し、赤い果実をマロに与えると夢中に果実にかぶりつき始める。そんな姿を見て軽く吹いていると、後ろから声をかけられ振り向くとクレアがいた。


「隣、いいかしら?」


「え? あぁ、どうぞ」


 クレアもブーツを脱いで足を湖につけオレの隣に座る。改めてクレアの整った容姿と長くきれいな髪を見て、思わず見とれてしまい、慌てて視線をそらして話かけた。


「あの、クレアさん…城に行った後オレはどうしたらいいんですか?」


「そうね、まずは姫様が襲われた時の状況を話してもらって。その後は自由にしてもらっていいわ。おそらくいくらかの報奨がでると思いから大丈夫よ」


「そうですか…」


 彼女の言葉に安心していると、クレアはさらに話を続ける


「あぁ、それと。さんで付け呼ばなくていいし敬語じゃなくていいわよ。普通に呼んでいいわリョウ」


「え、あ…そう? …それじゃ、これからもよろしく、クレア」


 クレアから出された手に、オレは握手しながら答える。昨日初めて会ったばかりだが、クレアは優しいだけでなく心配りもできる便りになる女性だとはっきり分かった。

 その後、リンも少し落ち着いたところで再び馬車に乗り。やがて夕日が上るころに平地に作られた城門が見えてきた。


 タブレットにある地図で確認すると、目の前にある建物に「ロスクリフ」と名前があり城門を抜け中に入る。馬車は複数の兵に囲まれながら広い道を通っていき、通行人らしき人々が道の端に立ちオレたちの乗る馬車に注目していた。


「って、あれが城か…」


 オレがつぶやいたのは、街の先に見えるRPG系のゲームでよく見かける西洋の城だった。馬車はどんどん城に近づく中何故か、一緒にいるアリルが身を震わせていた。今にでも、馬車から飛び出し逃げようかとするそぶりをし、クレアの鋭い目で動きを止めてうなだれる。


 そして、まるで最後の希望だと思わんばかりに勢いよくオレの腕にしがみついてきた。


「た、助けてください…このままじゃ、私、私…」


「お、落ち着け、一体なんだってんだ?」


「姫様は、エランス王子にお会いになるのが怖いですものね…何しろ、城から勝手に飛び出されたのですから…覚悟してくださいね」


 と、怒りのオーラを出すクレアにマロとリンが身を固くしていた。


「その、部外者のオレが言える立場じゃないけどさ...アリルだって襲われたりして大変だったんだから、あまり強くしなくても…」


「それを決めるのは私じゃなくて、王よ…けど、今回はさすがに何かしらの罰があってもおかしくはないわよ。城やギルドを大分混乱させてしまったのと、最近は妙な連中が…あ、いや…なんでもないわ」


 ? 妙な奴ら? クレアの言葉が気になり聞き返そうとしたが、アリルがオレの手を強く握りしめ、まっすぐな瞳でオレを見つめてくる。


「大丈夫です…これは、私の責任ですから…リョウさんは気にしないでくだい…」


「アリル…」



その後馬車の中で誰も話す箏なく、だんだん外が暗くなる中数分後にはオレ達の馬車は城につくのであったーー



「ひまだ…」


 アリル達と別れ案内された客室のベッドに横になるが落ち着かない。枕元に寝ているマロをなでつつ天井を見ながらしばらくぼーとしていたが、アリルの箏やこれからオレは何をしたらいいのか考えていたが


「だぁーーわかんねぇ!!」


 馬車に乗って疲れたはずなのに寝つけず体を起こし立ち上がる。ベッドが揺れ寝ていたマロが慌てて起きてしまいあやまりながら頭をなでる。


「少し散歩しようかな?」


 眠たそうにしているマロをタブレットに送還し部屋から出る。


 廊下にはいくつもの松明が置かれ暗い廊下を照らし、石の道を歩く。外は完全に暗く夜空には日本でも見た満月が輝いていた。


(…はぁ、そういえば報奨がでるとか言ってたけど、金もアイテムもあるしな…今オレが欲しいのはこの世界の情報と、帰る方法か…ん?)


 廊下を歩いていると、何か音が聞こえ足を運んでみる。少し歩いてみると、学校のグランドのように広いところにつき、そこでは鎧やフードを着た男女と様々なモンスターがいた。さらに、モンスターが一対一であちこちのフィールドで戦っており、モンスターの持つ武器がぶつかり合い火花を散らし、巨体なモンスターが倒れ地面が揺れたりとしていた。


「うぁ、すげぇ…ここ、なに?」


 落ち着かないままオレは傍にいた兵士にここはどこか聞いてみた。すると、ここは城の一部を使って作られた鍛錬所との箏で、この広場は召喚士がモンスターを戦わせ訓練ができ、他には傍にある建物にある召喚士やモンスター専用の器具が置かれたりしているとの箏だった。


 オレは兵士に礼を言い、さらに広場に近づく。あちこちのフィールドでは、召喚士が自分のモンスターに向け指示を与えモンスターがスキルを発動して攻撃し、別のところでは巨体のモンスターどうしがとっくみ合いをし倒れて地響きがなり、いくつもの歓声の声が上がっていた。


「やべぇ…オレもしたくなった….」


 目の前で起こっている戦いを見て手が震えながらオレはタブレットを取り出し、辺りを見渡し受付らしき机が並べられたところを見つけ走って行く。


 受付の女性に声をかけ、オレも参加できるか聞いてみたが、身分を証明できる物はないかと言われた。受付嬢の話を聞くと、外部の人間が参加するには身分を明かす箏ができるギルド証か城からの招待状などを持っていないと参加できないらしい。もちろん、オレはそんな物は一つもなく、重い足取りで受付から離れた。


「…はぁ、仕方ない部屋に戻るかな…ん?」


 ふと顔を上げると、一つのフィールドに人が多く集まっていた。何かあったのか?  

人込みに入りフィールドを見ると一体の黒い鎧を着たモンスターが複数のモンスター達に囲まれていた。

 

「どうした? さっさと来い」


 銀髪で黒鎧をした、美形の男が数人の召喚士たちを冷めた目で挑発していた。どうやら、あの美形の男が黒いモンスターの召喚士のようで、相手が複数というのに余裕の笑みを浮かべていた。あのモンスターは…


〇ダークナイト LV75

ランク☆7

属性(闇) 

装備「闇の剣」 


 タブレットでモンスターの情報を覗いるとチームを組んだモンスター達が一斉に襲いかかる。が、 

ダークナイトが剣を一度振るっただけ数秒で決着がついてしまった。


「…強い」


倒れたモンスター達のレベルは少なくとも50はあり、決して弱くはない。だが。ダークナイトの一撃はオレが思っていた以上に強く、それを育てた銀髪の男を見てオレは「戦いたい」と思いーー


「なぁ、オレと戦ってくれ!!」


 と、声をかけた。


 周りから注目される中、送還し終えてフィールドから出ていく人達と交代するようにフィールドの前に立つ。


「はぁ? なんだお前は?」


 銀髪の男はオレをにらんでくる。周りから「やめておけ」「やられるだけだ」と声が聞こえるがオレは無視しタブレットを取り出す。


「来てくれ、サファイヤ!!」


 オレの目の前に天使の羽をはやしたサファイヤが召喚され、ダークナイトと対峙する。オレはサファイヤに戦えるか? と聞くと、彼女はオレに振り返り笑みを受けべうなずき前を見た。


「なんだ、その魔物は...?」


 一方で、サファイヤを見て銀髪の男が驚き、辺りで見ていた人間たちも同様の様子だった。

 確かにサファイヤは特別なイベントをクリアしないと手に入らないモンスターだし、おそらく天使の姿をしたモンスターはこの世界でもレアなんだろう。と思いながら銀髪の男とダークナイトを見た。


「オレの方はいつでもいいぞ!!」


「ちっ、おかしな奴だ。やれ」


 ダークナイトが闇の剣を振るい、サファイヤが光の障壁を出し攻撃を防ぐ。


「こざかしい!!」


 銀髪男が叫び、ダークナイトが光の障壁を破ろうと攻撃を繰り返す。光の障壁は壊れる気配がなくダークナイトは剣の攻撃が無駄と分かり一度下がるとダークナイトの体から闇の光が放たれ地面が大きく揺れ光の障壁が破られた。


「くっ!? スキルか!?」


〇ダークナイト LV60 

「スキル」闇の波動

(闇の波動により周囲に闇のダメージを与える) 

 

 転ばないようにしながらタブレットで確認し、障壁が破られサファイヤにスキルを発動させる。


〇サファイアエンジェル レベル100

 「スキル」光の裁き

(光属性の敵全体を攻撃)


 昨日フレイム・ミノタウロスを瞬殺したスキルを発動させ、無数の光がダークナイトに襲いかかる。

 ダークナイトの闇の光と、サファイヤの光がぶつかり衝撃が走る。


「いいぜ...面白くなってきた!!」


目の前の戦いに、いつしかオレは興奮し手に汗が浮かんでいた。ゲームでは味わう事ができなかった興奮・緊張。言葉でどう表現すればいいのか分からないがいつの間にかオレは笑みを浮かべていた。


「お前...なんで笑っている?」


 と、銀髪の男がオレを見て何か言っているが、二体の攻撃の余波でよく聞き取れない。


「このままいくぞ、サファイヤ!!」


再度、サファイヤに光の裁きを発動させる。闇属性のダークナイトに光属性は弱点であり、この攻撃が当たれば体力をだいぶ減らすことができると思っていたが、ダークナイトは大剣を地面に突き刺し地面から影が伸びて光の弾を全て防がれてしまう。

 

〇ダークナイト Lv60

 「スキル」影の盾 

(闇属性以外の攻撃を防ぐ)


「おぉ、すごいスキル持ってんだな…来るぞ、サファイヤ!!」


 大剣を握りしめサファイヤに向かって行くダークナイト。レベル差ではサファイヤの方が上だが、光と闇の属性は互いが弱点属性のため一つのダメージでも油断できない。サファイヤに光の裁きを発動させ接近させないように弾幕を張る。ダークナイトは影の盾は発動せず回避するか大剣で光弾を弾くが何発か命中しダメージが入る。


「どうやら、さっきの盾は何度もできないようだな」


「ちっ!! だったら!!」

 

 どうやら影の盾を使うのに相当魔力を使ってしまうため連発はできないようだ。こっちは魔力がまだあるのか光の裁きを連発しても疲れなどない。光の裁きの光弾は徐々にダークナイトの体力を削り一方的になってしまう。


「...もう、終わりなのか?」

 

さっきまでの興奮が冷め、急に頭の中が落ち着き銀髪の男と目が合う。


「ふ、ふざけんな!!」


オレのつぶやきが聞こえたのか、銀髪の男が叫び一枚のカードを取り出しすと突然あたりに闇が生まれた。闇はどんどん広がって深くなってフィールドを包みこみ目の前が何も見えなくなってしまった。


「なぁ!! フィールドカードか!? 」


 何とか手元にあるタブレットを見ると、フィールドが「闇」の状態になっていた。前に戦ったゴーレムの時と同様に闇属性であるダークナイトの能力があがるが、闇のフィールドにはさらに別の効果があった。


フィールドカード

「闇」

(闇属性モンスターの能力上昇。さらに闇属性以外のモンスターを盲目状態にする)

  


 盲目になると、闇属性以外のモンスターが敵の姿が見えなくなり攻撃が当たりにくくなり、闇属性であるダークナイトだけは自由に闇の中を動きまわることができる。


「俺をそんな目でオレを見るんじゃねぇ!!」


 銀髪の男が吠える中、オレは闇の中にいるサファイヤを心配しているとフィールドのどこかで、剣と何かがぶつかる音がしサファイヤの体力が減っていく。


「アデス様、冷静に!!」


「アデス、やりすぎだぞ!!」


 フィールドの外で見ていた人たちが、銀髪の男。どうやらアデスと言うらしく、次々と落ち着くようにやら、戦いをやめろとか言ってくる。

 

 「君、今ずぐ魔物を送還したまえ!! このままでは...」


と、ローブを着込んだ老人が声をかけてきたがオレは首を横に振ってーー


「何言ってんだよ、こんな楽しい戦い。やめるわけないだろう」


タブレットを操作し、フィールドカードを発動すると闇がどんどん薄れていく。


フィールドカード

「無の決闘場」

(フィールド効果を消し、通常のフィールドに戻す)


 闇のフィールドから普通の状態に戻り、闇が完全に晴れた時。オレのサファイヤとダークナイトが見えた。サファイヤの方は少しだがかすり傷があるがまだ戦える。


「な!? おまえ!! 何をした!?」


「オレだってカードはあるんだ。それに、勝負はこれからだ、行けるかサファイヤ?」


 サファイヤはオレに背を向けながらうなづく。タブレットの中にある装備を開き一つの剣が表示され次の瞬間、サファイヤの目の前に剣が現れた。


装備

「天使の剣」

(攻撃に光属性を付加。光属性モンスターの攻撃力上昇)


 持っていた天使の杖が消え、代わりに柄に天使の翼を装飾した直剣を装備したサファイヤがダークナイトに素早く向かいダークナイトの大剣とぶつかる。二本の光と闇の剣からそれぞれ光が発せられ衝撃が生まれ、そこから天使と闇の騎士の剣撃が続く。


「…すげぇ…」


 自分のモンスターが直に目の前で戦っているのを見て、胸の奥が熱くなって拳が震えていた。


もっとだ…もっと、もっと戦いたい!! そして、勝ちたい!!


二体のモンスターの剣撃が数分続き、誰もが戦いに夢中になる中ダークナイトの動きが先に止まった。


「な、なに!? 」


 ダークナイトが地面に大剣を刺し膝をつく。サファイヤの攻撃は天使の剣の効果で攻撃力も上がっており、さらに弱点属性を受け続けレベルも差があって、先に相手の方が体力が限界にきていた。


「え… 終わり?」


 膝をつき動かないダークナイトと、剣を下ろすサファイヤを見て思わずつぶやいてしまう。胸の中の高鳴りはまだ収まらず、正直物足りない感じが。まだ戦いを続けたいと思う気持ちが強く残っていた。けど…


「サファイヤ、回復頼んでいいか?」


 サファイヤはオレの指示を受け、日本語ではない言葉で詠唱しフィールドの上空に金の雲が浮かび、光に雨が降り注ぐ。


〇サファイヤエンジェル LV100

 スキル「天使の雨」

(フィールド上のモンスターの状態と体力を回復)


 突然の雨に周りの人達が驚く中、ダークナイトは体力が回復して立ち上がり、銀髪の男がオレを睨みながら話かけてきた


「なんのつもりだ?」


「え? もう決着はついたんだし、終わりかなって…」


「ふざけるな!!」

 

 納得していないらしく、銀髪の男がダークナイトに攻撃の指示を出す。まだ、戦える、オレは喜びサファイヤにスキルを発動させようとした


 「そのへんにしておけ、アデス」


 フィールドの外から誰かの声が聞こえ、振り向くと大柄で黄色の短髪をした男が近づいてきた。一方で銀髪の男――アデスが大柄の男を驚いた顔で見て慌てて背筋を伸ばしていた。


「だ、団長!?」


「何やら鍛錬所で騒がしと聞けば何をしている。詳しい話は後で聞く、魔物をしまって自室に戻っていろ」


「ぐっ…」


「これは命令だ」


 アデスは何か言いたそうな顔をしたが、すぐにダークナイトを黒い魔石が組みこまれた剣を出し送還し、一瞬オレをにらんでその場から立ち去っていく。いきなりの事で呆然とする中、大柄の男はオレの方を向く。


「部下が失礼をした。貴殿の箏は姫様とギルドの二人から聞いている。すまないが詫びと話しがしたいため魔物をしまってはくれないか」

 


 男にそう言われて、せっかく楽しめたのに と内心残念に思いながらオレは言うとうりにサファイヤを送還し、あたりが何故か騒然とする中オレは男の後を追い城の中に入るのであったーー


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