序章 未知の誘い
「あ~~つまんなかった…」
夕暮れの公園で一人。ベンチに座って大会で手に入れた優勝メダルを片手にスマホいじりながらつぶやいた。
オレが今しているゲーム「モンスター・トリップ・ワールド」は広大な世界を舞台に、ゲーム内にいる多彩なモンスターを育て冒険できるのと、プレイヤー同士で対戦ができ、幅広い戦略でバトルができることから、今かなり人気のあるゲームだ。
しかも、育てたモンスターを戦わせる大会も開かれており、かく言うオレも、何回も大会に参加していた。
スマホ画面にはダンジョンのボスモンスターとオレの育ててきたモンスターが映り、オレが画面を操作しスキルを発動させたことで、ボスモンスターの体力が0になってゲームクリアの文字が浮かぶ。
「このステージもクリアしちまったな…これでイベントクエストも全てやったし本当にやることなくなっちまった…」
月に一度のイベントをクリアしてしまい、他にやることがなくつぶやいた。高校に入ってこのゲームを始めた頃はモンスターをひたすら育てて、冒険したり他のプレイヤーとの対戦がとても楽しかったけど、モンスターが強くなり、新しいステージやイベントをクリアしても、大会で優勝してもつまらなくなって
いつの間にか、オレはこのゲームで心が満たされなくなくなった。
「何一人で黄昏てんだろオレは…帰ろ」
そろそろバスの時間だと気づきベンチから立ち上がった時。メールの着信音が鳴る。
なんだ? 運営からの知らせか? と思い、メールを見るが、運営どころか相手の名前が書かれてなく件名に「ご招待」と書かれて、消そうとしたが何故かメールが勝手に開いた。
件名 「ご招待」
「桐華涼様
この度あなた様を真のMTWにご招待いたします。これまでにない
新たな世界やモンスターとの出会いが貴方様をお待ちし、未知なる冒険をこれまでに育てられた、
モンスター達と共に楽しんでください 」
「なんだ、これ? …!?」
メールを読んだ次の瞬間。タブレットから強い光が生まれ目を閉じる。
「くぅ...う...」
何が起きたのか分からないまましばらく目を閉じ、しばらくして草木の匂いと強い風を感じて目を開くとーー
「…は?」
青く太陽が真上を登る中、オレがいたのは公園ではなく、石で作られた祭壇の上だったーー