殺人姫は独りぼっち
ドアが開き、舞踏会から帰って来た少女が疲れた様子で欠伸をする。
「姫様、おかえりなさいませ」
丁寧に礼をする老人の執事にただいま、と言って歩いて行く蒼のドレスを来た少女。
その姿は輝いていて、金髪のロングヘアーがシャンデリアの光を反射して輝いているのがさらにその姿を輝かせている。
少女は赤いカーペットが敷かれた豪華な階段を登ると自分の部屋へ歩いて行く。
自分の部屋のドアを開けて中へ入りドアを閉めると少女はドアに凭れ掛かり静かに溜め息を吐いた。
「疲れるわ……」
そう言うとクローゼットの前に行き着替え始める。
部屋は青と白で統一されていて豪華な造りになっている。
この城に住んでいるのは老人の執事と料理人、数人の兵そして王の娘のリアリーだけである。
リアリーの母はリアリーを産んだあとすぐに病で死に、王である父は数年前からずっと別の国に行ったまま帰ってこない。
父は何時帰って来るのかとリアリーが着替えながら考えていると踊り場の硝子が割れる音がした。
「何!?」
リアリーは急いで着替えると部屋のドアを開け、走って踊り場へ向かう。
向かった先にはナイフを持ったピエロの黒い服にピエロの仮面を被った男が執事を刺していた。
執事はバッタリと倒れ、紅い血が床に広がる。
リアリーは大事な執事を一瞬で奪われた絶望感から何も言えず眼を見開きずっと黙っていた。
すると硝子が割れる音に気付いたのか数人の兵がすぐに駆けつける。
「姫様!此方です!」
何も言えずずっと突っ立っていたリアリーの腕を掴む一人の兵士。
リアリーは我に返り振り向くと兵士と一緒に走り出した。
その瞬間にも他の兵士が殺されている姿をリアリーはその目で見ていた。
兵士と一緒に走り出し城の安全な場所に連れてこられたリアリーは膝に手を付き切れた息を整える。
「ねぇ」
息を整えるとリアリーは周りを見渡している兵士に声を掛けた。
「なんでしょうか、姫様」
リアリーの方を振り返り返事をする兵士、兜のせいでその声はくぐもっている。
「アイツは誰?」
「きっと、手配されているエリア・ロートでございます」
兵士に執事を殺した犯人の事を聞くと手配されている殺人鬼のエリア・ロートであることがわかった。
リアリーはなぜ城に入り執事や兵士を殺したのかその動機が知りたくなり聞いてみることにした。
「何でエリアは執事達を殺し」
いい掛けたところで兵士は鈍器のような物で殴られ倒れる。
リアリーはしゃがむと必死の思いで兵士を揺らしながら声を掛けた。
顔を上げるとピエロの仮面を被ったエリア・ロートがリアリーを見下ろしていた。
リアリーは逃げようと思い立ち上がろうとするが恐怖のあまり足が竦むのか後退りしか出来ない。
リアリーが後退りすればするほどエリアも合わせて進んでくる。
そうしているうち、ついにリアリーは柱にぶつかり逃げられなくなってしまった。
「殺すなら殺せ!私は死んでもいい!」
リアリーは何を思ったのか必死にそう叫んだ。
しかしエリアは動かず斧を持ったままずっとリアリーを見下ろしている、その姿はまるで人形のようだ。
急にエリアは斧を投げ捨て自分が被っているピエロの仮面を外しだした。
リアリーはそのエリアの行動をただ見つめている。
エリアはピエロの仮面を外すとその素顔を晒した、リアリーが知らない顔だ。
「お前は、死にたいのか?」
エリアは低い声で静かにそう言うとリアリーをじっと見つめる。
リアリーは何も言えずそのまま下を向く。
「お前は死にたいのかと聞いている」
何も言わないリアリーに嫌気が差したのかエリアが苛立った声でもう一度リアリーに質問する。
「死にたくない」
小さな声でそう呟くがエリアには聞こえてないらしくエリアは何の反応もしない。
「死にたくないよ……」
聞こえてないのがわかったのかリアリーはもう一度大きな声で言うがその声は今にも泣きそうな声だった。
「そうか、じゃあお前だけは生かしておいてやるよ」
リアリーの返事を聞いたエリアはそう言うとすぐに立ち去ってしまった。
リアリーはエリアが去っていくのを見届けた後、とてつもない絶望感を覚えた。
「これからどうすればいいのよ……」
先の見えない未来にリアリーは顔を手で覆って考え込んだ。
するとリアリーの頭に一つの考えが浮かんだ。
ドアが開き犯行から帰って来た少女が血のついた剣を持って歩いて行く。
丁寧に礼をする老人の執事はもう居ない。
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