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1話 入学試験 前編

 日本の片田舎に存在する魔術学校、通称「アフルァ魔術学校」

 創立より数年前、魔法に関して研究していた機関により魔術の存在が確認され、人々の生活に革命をもたらしたことが始まりであった。

そのため、今後の世代を担っていく子供たちにも魔術を教える体制を整えるべきであるという考えから、この魔術の専門学校が創立された。

 そして、本日は中等部、高等部共に入学試験が行われることもあってかいつにもなく校舎は人で溢れ返っている。

 というのも、魔術が一般的に使用されるようになって十数年は経過した今でも、世界にたった五校程度しか学校の創立はされていない。それもそのはず、まず魔術を使用できるような設備や環境を整えるのに掛かる費用、魔術を専門とする教師の少なさ、根本的にまだ発達段階である魔術そのもの、多くの要因が重なり、魔術学校を作ることができない状況であったからだ。

 アフルァ魔術学校は日本で唯一、魔術が使用され始めてからものの一年で建てられた魔術の専門校であるためか、日本人のみにならず世界各国から入学志望者が後を絶たないのが現実である。

倍率に関しても、宝くじで高額を当てられる確率と合格する確率は同じなのでは?と、それ程高いという話をよくされている。

 学校としての歴史は薄い物の、多くの特色がある、そんな学校であった。


そして本日行われる、高等部入学試験、人生において第一の壁となりえる試験であるが、受験者の一人、葛城風間は緊張の色を見せていなかった。

 それどころか、試験会場である校舎に着いたのが時間ギリギリという始末だ。

 受付をしていた学校職員も「こんなやつは初めてだ・・・」と、内心驚いていた。

 巨大な湖の上に建てられた木造の校舎は、どこか神秘的な雰囲気を醸し出していた。アフルァ魔術学校には教室のある棟、訓練所や寮のある棟、売店が立ち並んでいるまるで商店街のような棟など多く分けられており、そのほとんどが巨大な橋によって分けられている。

教室棟の一角にある一年生の教室にて、試験は行われる。


 試験は筆記試験と簡単な魔術の実技の二つだ。筆記試験では魔術に関する専門知識や、基礎的な学力に関する物が多くを占めていた。

 筆記試験を終えてすぐさまに教室を出た風間は、ため息交じりで呟いた。

「魔術学校の試験ってこんなにも難しいんかよ・・・」

 正直、彼は余裕をこいていた。

 今ではその余裕は完全に消え去り、絶望しきったような顔立ちで廊下を歩いている。

 彼は魔術の勉強は本を読み、ちょっとだけした程度であったが、魔術の発動は思ったより簡単にできていたのだ。普通の人間なら修得に一年を要する魔術を、彼はたった一ヶ月で覚えることができた。そのため、自分には才能があると思い込み、勉強を怠っていた結果がこのような状況を作り出してしまった。

(数学とか、基礎的な問題はそれとなくできた気がするけど・・・魔術式とか、そんなもん計算できねーよ・・・)

 心の中で愚痴を漏らすも、これ以上考えていても何も良いことはない風間は気持ちを切り替え、実技試験のことを考えることにした。


 実技試験は第一魔術訓練所と呼ばれる場所で行われる。言ってみれば体育館のようなものだが、広さや魔術に対する耐性が大きく違う。

 

 魔術には属性という物がある。

大きく分けて火、水、木の3つを基本に、応用として重力を操る魔法や、魔術師としてのスキルが高ければ時をも操る魔術なんていうのもあるが、これはまた極端な例である。

 魔術は主に戦闘に利用したり、炎属性魔術を使い、料理をするといった生活に干渉する物に使われたりするのだが、魔術学校の実技試験では魔術を用いた模擬線を行い、戦闘力を見て合否を判断する。

 戦闘力を見る理由としては、魔術学校に在籍するにおいて、魔術に関する事件等が起こった際に自己の防衛ができる者でなければ最悪、死に至ることがありえるためである。過去に魔術学校では、魔術絡みの事件が何度か起きており、犠牲になった生徒が多数いた。

そのため、当初は魔術をしっかりと使用できるか否かを判断する試験だったものが、魔術学校で生きていくことができるかを確かめるための試験になったのだ。

 

 会場は野球ドームのような広さで、周りに並ぶ観客席もとい、受験者の待機席も野球ドームのそれの形式に近かった。そのため、他の受験者の試験風景を見ることができる。

 実技試験会場に着いた風間は、受験番号の書いてある席に座った。

 右側の席では、薄い茶髪でボブヘアーの女が足を組みながら座っていたが、彼女は風間が座った瞬間にこう言ってきた。

「あら、筆記試験の後すごく落ち込みながら教室出てった奴じゃない」

「うるせーわい」

 風間は彼女を知っていた。知っていたといっても同じ教室で筆記試験を受けた際に後ろの席に彼女がいた、というだけではあるが。

「そんなお前はどうなんだよ。そこまで勉強できるようには見えねえぞ」

「お前じゃなくて”亞咲 麻友”よ!あとそれはアンタには言われたくないわよ!」

 ごめんごめんと、笑って流しながら自分もそういえば自己紹介をしていなかったなと思い、風間は名前を名乗ることにした。

「俺は葛城風間、よろしくな」 

「葛城・・・ね、よろしく」


 隣人との自己紹介を終えたところで、風間まで実技試験の順番が周ってきていたようで、会場内にスピーカーなどはないが、音を操る魔術を用いたのか、どこからともなく聞こえてくるアナウンスにより受験番号を伝えられる。

「うお、もう俺の番かよ」

 正直、風間は心の準備ができていなかった。いくら自身があったとはいえ筆記試験によって正直彼のメンタルは粉々に砕け散っていた。

ここまで来たのならもうどうにでもなれ、と思いながら席を立ち、試験管の元に向かった。



設定自体は前から練ってはいましたが、文章にするのはこれが初めてです。

まだまだ未熟な部分が多いですが、読んでいただけたら幸いです。

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