表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/67

時が経つのは早いのである!変わったこと?無い無い

序盤は結構、展開が早いです。

……森の中でスライムが独りきり……ネタが出ないからそうせざるを得ない……

(1~2~3~4♪ 2~2~3~4♪)


 今日も今日とてやって来る森の朝、いつもどうりに彼は切り株ハウスの前で日課の体操をしていた……何度も言うが『ふしぎなおどり』では無い。


(良し! 終了~~。それじゃ今日も一つ)


 体操を終えた彼は切り株ハウスに小さな印を付ける。この世界に生まれてからの日数を数える為に、毎日付け始めたのだが、すでにその数は百を超えている。 元の世界で言えば三ヶ月以上この森で生活していることになる。


(時が経つのって早いね。まあ、それなりに色々あったけど……)


 ちょっと昔を回想しながら、彼は森の散策へ向かう。

 まずは、当たり前の事だが季節が変わった。木々の隙間から見える太陽の輝きが強くなり夏になったようだ。スライムの身体では暑さがわからないが、異世界初日に自分を確認したあの川の畔で、角ウサギや黒犬達を良く見かける様になったので気温は上がっているのだろう。

 そして、日が出ている時間が長くなった為、行動時間も増え散策出来る範囲が広がり、新しい果実の木を見つけられた。、

 次に、例の少年の一件以後――翌日見に行ったら血痕と粉々になったウサギの角が残ってたが――3日から5日おきぐらいに、森の中で人間を見るようになった。男だけで無く女も訪れ、皆簡素な装備で若く、おそらく新人なのであろう彼/彼女らはこの森で、薬草以外に、キノコや他の草、時には角ウサギ等を狩って帰る。この森にはそんな危険なモンスターはいないし、新人にはちょうど良い場所なのだろう。


(でも、一番の出来事は新しいモンスターを見つけた事なんだよね……ん?)


 散策の途中で聞こえてきた音に耳――スライムにそんなの無いけど気分的に――をすます。そしてその音が何なのかわかると、彼はゆっくりと、その音の方へ移動する。

 草むらの中に隠れながら進むと、すぐに現場に到着する。そこには、争っている二種類のモンスターがいた。

 一方は森で良く見る黒犬達が5匹。そしてもう一方は大人の腰ぐらいの背丈の、緑色の肌をした醜悪な顔の人型のモンスター『ゴブリン』である。

 そのゴブリンが黒犬に囲まれている姿は、ここ最近もう見慣れた光景である。そして、結末も見慣れてしまっている。

 大人の腰までしかないゴブリンと、大型犬よりも一回りは大きい黒犬。体格の差は歴然で、ゴブリンは飛びかかってきた一匹に、あっさり倒され喉を食いちぎられる。後は他の黒犬達もやって来てお食事タイム。

 これら全てひっくるめて、ここ最近で見慣れてしまった光景である。


(毎日毎日、スプラッタなこの光景を見せられれば、イヤでも慣れちゃうよね……ハア)


 ゴブリンを最初に見かけたのは30日程前だった。その時も同じ様に、黒犬達にあっさり殺されていたので、ただゴブリンが存在する事がわかっただけだった。

 しかし、次の日もその次の日も見かける様になったので、最初は警戒していたのだが、段々と、ある理由からさらに警戒心は上がっている。


(あー。終わったみたいだね)


 黒犬達が食事を終えて立ち去る。後に残されたのはモザイク必須な惨状――自分から黒犬達に突っ込んで行ったゴブリンの残骸が残った。


(自分から縄張りに入った挙句、逃げないで襲いかかる……毎回思うんだけど、ゴブリンって頭悪いんだよね……)


 そうとしか言えない……なにせ、今までに見かけたゴブリン達は、皆ボロ布を纏い素手で、極まれに木の棒を持っていたりするが、バカ正直に真正面から襲うのである。

――当然、相手にバレバレなので、イモ虫の体当たりや角ウサギの角に当たり、倒れている所を他のモンスターに襲われるか。黒犬や巨大蜘蛛に直接襲われるかばかりで、一日一回はゴブリンの死骸を見かける。

 ここまでくると、彼は一つの疑問を持たざるを得ない。


(『ゴブリン』が素手で『スライム』に攻撃する(ほど)、バカなんじゃないか?って思っちゃうんだよね)


 自分が襲われない理由の一つは『スライムに触れると溶かされてしまう』と他のモンスターが考えているのではないか? というものだが、ゴブリン達の猪突猛進を見ていると、そんな事関係無く襲ってきそうで怖いのである。


(それは無いと言いたいけど……否定しきれないし……)


 手っ取り早いのは自分の姿を見せる事なのだが、流石にそんな賭けはしたくない。結果、彼はここ最近安心して森を散策出来ずにいる。


(それにしても、なんで急にゴブリンが現れ始めたのかな?)


 最初から居たとは思えない。それなら、転生初日に会っているはずである。ゴブリン達はそれほど頻繁に出会うのだから。

 最初から居たけどこの森に近づかなかったのも考えにくい。そうなら、今やって来ている理由がわからない。


(となると、どっか他所から流れて来たのかな?)


 それが当たっているかは、行動範囲が狭い彼にはわからないが、問題点はもう一つ有る。

 ゴブリン達の『数』である。毎日と言って良いほど見かけるゴブリンの死骸。最初に見かけた日から数えると40を超える。しかし、ゴブリンは変わらずに現れる。それはつまり――


(――それだけ大勢のゴブリンが流れて来たか……『繁殖』してるかだよね……)


 もしも、後者ならば最悪である。元を断たない限り、いつまで経っても安心して森を散策出来無いのだから。


(ハァ……誰か退治してくれないかな?)


 そんな都合の良い事起きるわけ無いと思いながら、彼は散策を続ける。




――――スライム散策中――――


(~~♪、~♪、~~~♪)


 食事をしながら森の中を進む。彼の最近の主食は例の薬草である。栄養が多いし、何より根っこを残しておけば2~3日後にはまた生えてくる程生命力が強いので、定期的に食べることが出来る――ちなみに、あいかわらず彼は生き物を食べてはいない。モンスターの死骸なんてムリ! である。


(~♪……ん? またかな?)


 物音が聞こえたので、進む方向を変えて茂みに隠れる。程なくして一人の男が草を掻き分けて現れる。茶色の髪の小柄な十代半ばぐらいの少年――あの時の少年である。


(おー、久し振りだね。傷は深かったのかな?)

「――ああ! 思い出すとまたイラついてきたぜ! あの後、しばらくはトイレに行くのが地獄だったしよ!!」


……中々に深かったようである。


「ったく! 森に行く許可を出すのが遅いんだよ! 俺を誰だと思ってやがる!」

(……駆け出しの新人だと思うけど)


 心の中のツッコミは誰にも届かず、少年は乱暴に森を進む。


「速いとこカンを取り戻さないと、間に合わなくなっちまう……ゴブリン討伐によ」

(あっ、そうなんだ。じゃあ、ゴブリン達がこの森に来なくなる日も近いんだね。良かったよ)


 どうやら、少し待てば森での平穏な生活が戻る様なので、彼は心の中で安堵する。


「ふふふふふ、そこで俺の実力を見せれば、名前と顔を売れる! そこから始まる俺の英雄譚! ああ、待ち遠しいぜ!!」

(…………どこからそんな自信が出てくるのか、すっごく疑問に思うんだけど……)


 心の底から呆れる彼。高笑いしながら進む少年。その向かう方向を見て、彼はある事に気がつく。


(――あっ! そっちは――!)


 声を出せない彼には止める事は出来ず、少年はズンズンと進んで行き――


「――のわあああああぁぁ!!」


――凄まじい勢いで逃げていった。黒犬達に追いかけられて…


(……そっちは彼等の縄張りだよ? 英雄志望の少年君……ハァ)


 あの逃げ足ならだいじょうぶだろう、と口が有ったら溜め息をついていた彼であった。




――――続・スライム散策中――――


(到着♪)


 彼がやって来たのは、森の散策で見つけた薬草の密集地である。彼にとっては良い餌場と言えるので、定期的に食事に来ているのである。何せ、この森に来る人間達もまだ知らない場所なのだから。


(いただきます♪)


 ある程度、消化吸収したところで空の色が赤くなってきたので、彼は帰路につく。


(……ん? なんか変な感じ?)


 帰路の途中で身体の中に何か熱いモノを感じる。こんな感覚は転生してから初めてなので、何が原因か考えてみるが心当たりは無い。


(別に変なものは食べて無いし……まさか、寿命とか言わないよね?)


 生まれて三ヶ月程で流石にそれは無いと思うが、日が落ちてきている今は切り株ハウスに戻る事が優先の為、考えるのを後回しにして、家路を急ぐ。




――――スライム帰還中――――


(ただいま~)


 無事に切り株ハウスに戻ってくるが、身体の具合は変わらない。すでに、周囲はかなり暗くなっているので、今日はもうこのまま寝てしまおうと彼は切り株ハウスの中に入る。


(起きたら治ってればいいけど……それじゃ、前世の皆、オヤスミ~~)


 元の世界の『家族』達を心に思いながら、彼は眠りにつく。




   *   *   *


(んん……?)


 翌朝、起きた彼は身体の具合を確かめる。


(――うん! 熱は無くなったけど……うぅん?)


 身体に何か違和感を感じる彼は、日課の体操もせずに、確かめる為に危険だが川へと向かう。その途中、一つの事に気づく。


(……なんか、移動するのが速くなった――いや、スムーズになったような……)


 なんでだろう?と頭を捻りながら進む。しばらくして、辿り着いた彼は川を覗き込み――







(はああああああぁぁぁぁぁ??!!!!)


――声なき心の叫びを張り上げた。水面に映る自分の姿……その色が『青』から『緑』に変わっているのを見て……

ご愛読有難うございました。

本日のモンスター図鑑


――――ゴブリン――――


大人の腰ぐらいの背丈で緑色の肌をした醜悪なモンスター。

知能は低く、道具を使う事も(まれ)である為、普段は爪と牙で闘う。戦闘力は低いので、一般人でも一対一なら落ち着いて戦えば追い払える。

繁殖力が高く、成長スピードも早い為、『見かけたら30は居る』と冒険者達の間では目安になっている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ