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遭遇である!出会い方は……やっぱり普通じゃ無い

モンハンがっ! モンハンが~!

でも執筆ペースも保たないと!


そして、睡眠時間が減る……

(酷い目に遭った……)


 土砂諸共(もろとも)落ちていったシノブは、何とか無事であった。

 落ちた先に空洞があったお陰で、生き埋めにならずに済んだ……土砂を溶かせるんだから生き埋めになっても大丈夫なんじゃない? 甘いよキミ。そんな事する暇無く、土砂で圧殺されて御終いだよ。空洞があったお陰で助かったんだよ。


(……で、ここ何処? 洞窟?…………いや違う。()()?)


 光魔術で手のひら大の光球を生み出しで、辺りを照らしながら様子を伺う。彼には暗視能力が有るのだが、やはり明かりが有るのと無いのでは差が出るので使っている。

 見れば、大人数人が横一列で通れる程の広さの、地肌が剥き出しの一本道が続いている。それだけならば洞窟なのだが、良く見ると壁や天井を支える木枠が所々に組まれている上に、地面にはレールが敷かれている。恐らくは、トロッコの為の物であろう。、


(と言う事は、この坑道を進めばドワーフ達の村落に辿り着けるのかな? 問題はどっちに行けば良いのかだけど……)


 一本道な坑道を見てシノブは考える……が、ぶっちゃけ答えは既に出ている。何せ、自分と共に落ちて来た土砂の所為で一方向が塞がれてしまっているのだから……

 必然的に、もう一方向を進むしかない……土砂を溶かしてでも進む? 馬鹿言うな。落盤を起こすぞっ!


(行くしか無いよね……)


 光球を出したままにして、シノブは先の見えない坑道を進み始め――


(――んぐ?!)


――ようとした所で、何かが自分の上に乗っかった。

 見てみると、乗っかっているのは毛むくじゃらで、手には爪が生えていて鼻がピョコンと突き出ていて――


(……モグラ?)


――そう、それはモグラだった。体長30センチ程のモグラがシノブの上で仰向けにもがいている。

 どうやら、このモグラも先の地震に巻き込まれてしまったのだろう。運が良かったのは、落ちた所がシノブと言うクッションの上だった所か。


(取り敢えず、起こして上げよう)


 そっと地面に降ろすと、モグラは鼻をヒクつかせて、這いずりながら手近の壁を掘り進んで行った。


(気をつけてね~~。さ~て、ボクもそろそろ――あれ?)


 良く良く見ると、自分の周囲に変な物が落ちている事に気づく。


(……キノコ? 何でこんなとこに? まあ、いいか。いただきま~す♪)


 良くわからないが、これ幸いと食べてしまうシノブであった。、




――――スライム進行中――――


(~♪、~~♪、~♪)


 呑気に頭の中で歌を歌いながら進むシノブ。あれから幾度か分岐場所があったのだが、ご丁寧に立札が置かれていたお陰で入口の方向がわかったのである。

 最も、距離までは書かれていなかったので、後どれくらい進めば良いのかはわからないが……


(~~♪、~♪、~~~♪――おやっ?)


 何か物音がしたので一旦止まるシノブ。辺りを見回し警戒する。


(……何か近づいて来る?)


 音のした方へ視線を向けるシノブ。音は徐々に近づいて来る。

――この坑道を掘ったドワーフ達だろうか? それとも、何か違う生き物だろうか?

 どっちかな~、と考えていたシノブの視界の先に現れたのは――どっちでも無かった。


(…………岩?)


 岩だった。どっからどう見ても岩以外の何物でも無かった。

 直径約2メートル程の大きな岩がゆっくりと、着実にこちらへと転がって来る。ここは別に傾斜が有る訳でも無い……にも関わらず動いている。


(…………)


 取り敢えず、このままだと岩に轢き潰されるので、横に避ける。

 そして、自分が居た場所を通り過ぎる岩を見送って……その岩を動かしている生き物を見る。

 体長1メートル程の灰色の甲殻に覆われた丸っこい生き物。器用に、6本有る内の後ろ足2本で岩を押して転がしているその姿は――


(……フンコロガシ?……でも転がしてるの、岩だよね?)


 シノブの困惑を他所に、フンコロガシ?は岩を押して去って行く。


(…………まさか、あの岩が餌って訳じゃないよね?)




――――スライム再進行中――――


(う~~ん。長い。出口は――――んん?)


 前方から聞こえた物音に一旦止まるシノブ。

 出したままだった光球を前方へと移動させると、そこには先程自分が落ちて来た場所と同じ様に土砂で塞がれた坑道と――その近くで座り込んでいる一人の人物が居た。

 背は短いが、その上半身は筋肉ムキムキ。着ているワイシャツがはち切れんばかりである。下半身はカーゴパンツの様な長ズボンでわからないが、同じ様に筋肉ムキムキであろう。

 短く刈り込まれた茶色の髪と口髭・顎髭。こちらを睨みつける鋭い眼光と(いわお)の様な顔……眼帯とバンダナを付ければ海賊に見えなくもないその人物は、間違い無くドワーフであろう。


(…………ハッ?! いけない! このタイミング。()()をしないと!)


 慌てて近くの壁をよじ登り、十分な高さまで来たらドワーフに向けてジャンプ。


(とうっ!!)


――そして、色とりどりの『光』が現れてシノブの周りを漂う。

 地球の日本出身者曰く、『魔法少女の変身シーンの様だ』的演出を行いつつ、ドワーフのすぐ手前に着地すると同時に全ての光も消え、最後に光で描かれた文字が現れる!






“しーにゃん。さんじょう!”

「…………」

“しーにゃん。さんじょう!”

「……………………」


 何故かドワーフの片方の肩がガクッと下がる。

……おかしい。鳥も居ないのに『カアッ、カアッ』と言う声が聞こえる。

 正直、さっきまでの自分の緊張感を返してくれとドワーフが思う中、新しい文字が描かれ――






“やっぱり、しーたんのほうがよかった?”

「…………ヤバイ。幻覚が見えやがる……空気が薄くなってきてるのか……」

(違うってば! あ~もう! これで現実だとわかる?!)


 天を仰いで遠い目をするドワーフに近づくシノブ。そして、先程から気になっていたドワーフの右足の傷を治療し始める。


「うおおっ?!」


 突然の生暖かい感触に現実に引き戻されるドワーフ。

 そんな彼を他所にあっと言う間に治療を終えるシノブ。そして光文字を再び描く。


“ぼくはげんじつ。おーけい?”

「お……おお、オーケイ?」


 反射的に返答するドワーフ。そして、ふと思い出した様子で尋ねてくる。


「――って! オマエ、もしかしてエルフ達からの手紙に書かれてたスライムかっ?!」

“そうだよ”


 ちゃんと伝わっていた様でなにより、と思うシノブ。しかし、ドワーフの方は納得いかない様子で聞いてくる。


「……何でこんなとこに居るんだよ? オマエ、何処から入って来たんだ?」

“あ~、それはね”




――――スライム説明中――――


「……そうか、オマエも大変だったんだな――ああ、俺はグレッコだ。よろしくな」

“ぼくはしのぶ。よろしく~”


 鳥に攫われた時からの経緯を教えた後に、互いに名前を交わす両者。


“ぐれっこもあのじしんにまきこまれたの?”

「ああ。土砂の下敷きにならなかっただけマシだがな」

“ここってそんなかんたんにくずれるの?”

「いや、間道の方ならともかく、この本坑はンな簡単に崩れねぇよ……今回はアレの所為だ」


 そう言ってグレッコが親指で指した所には、半ば以上土砂に埋もれたトロッコがあった。


「地震の所為でアレが脱線してな。しかも、突っ込んだ所が運悪く、天井を支える木枠と来た。お陰でこの有様よ」


 今度は土砂の方を指差して続けるグレッコ。どうやら、不幸な偶然が重なってしまった所為であるようだ。


「まあ、すぐに救助が来るさ。のんびり待ちゃ良いのさ」

“どれくらいで?”

「おいおい。俺達ドワーフは『土』に関する物には慣れっこなんだぜ。すぐって言ったらすぐさ」

(……大丈夫そうだね)


 ドヤ顔で自信満々に答えるグレッコに、安心感を覚えるシノブであった。


――余談だが。この後、救助に現れたドワーフ達の前で例の登場シーンを再度行い、全員の時を止める事に成功するシノブであった。

ご愛読有難うございました。


本日のモンスター図鑑。


――――巨大モグラ(マッシュルームモール)――――


体長30センチ程のモグラ。

獲物を捕まえたりはしない、大人しいモンスター。

自分の掘ったトンネル内で、自分の糞を使ってキノコを栽培している。

このキノコ。美味なので高額で取引されるので、土を掘り返して探す冒険者は多い。

けれど…



――――岩を押すフンコロガシ(ロックスカラベ)――――


体長1メートル程の、灰色の甲殻に覆われたモンスター。雑食。

石や岩を強靭な顎で削り、粘着性の唾液でくっ付けて岩の球体を作り上げる。

岩の中央は空洞になっており、卵が保管されている。要は岩で出来たシェルター。

ドワーフ達からは、『坑道内に散らばっているクズ鉱石を一箇所に纏めてくれる益虫』的扱いを受けているので、ある意味共存関係。

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