知的好奇心である!後悔はしていない
(…………)
エルフの村の外の森。今日も再び地下トンネルを通ってやって来たシノブは、思いがけない出会いをしていた。
彼の眼前に居るのは、青くてドロドロとした粘液状の生物――スライム。
(うわ~~。懐かしい~~。この世界で生まれ変わった時の事を思い出す)
……思えば、あの頃は大変だった。
移動には時間が凄く掛かったし、行動範囲も狭かったし、木にも登れなかったし、実っている果実を食べられるのも、落ちてくるの待ちだったし、何より一人だった。
(……切り株ハウスはどうなってるかな~? 何時かまた行ってみたいな~)
回想しているシノブを他所に、ゆっくり進むスライム。こうして見ると、あの頃の自分はホント大変だったとしみじみ思う。
(…………)
と、シノブはジ~とスライムを見つめ続ける。スライムは当然、そんなの関係無いとばかりにズリズリ動いているが。
(…………)
――後日、シノブは語る。『思いついちゃったんだから、しょうがないよね♪ テヘペロッ♪』と。
* * *
「――で? こうなったと?」
“うん”
リビングルームで顔を突き合わせて話すアムリナとシノブ……ここだけ見れば何時もの風景である。しかし、今はそれ以外のモノが存在している。
……銀色のスライムを包み込もうとしている緑色の物体――グリーンスライムである。
先程のスライムに自分の治癒液を与えてみたら、湯気がシュワシュワ出てきて、色が青から緑に変化しちゃったのである。しかも、何か知らないけど自分に纏わりついてくる。
(これって……え~と、何だっけ?……『眷属化』? そんな感じ?)
一定の距離以内だと、とにかく自分目掛けてやって来る。距離を取れば大人しくなる。
そんなグリーンスライムを、流石にほっとけなかったので、何とか地下トンネルを通って連れて来たのであった。
「まあ、この村で面倒を見るのは、やぶさかではないの。お主ほどでは無いが、グリーンスライムの治癒液も有効利用出来そうじゃからの」
“ありがとう”
「――で、ものは相談なんじゃが…お主もかつては普通のスライムじゃったんじゃよな?」
“そうだよ。あおからみどり、あかになってぎんいろ”
「その時の体験から、スライムをグリーンスライムにする方法を解明出来んかの?」
“べつにいいけど、すらいむがたくさんひつようだよ?”
「それに関してはこちらでどうにかするぞ」
“すらいむってそんなにたくさんいるの?”
「居る所には居るの」
(ふ~~ん。まあ、グリーンスライムが増えてもデメリットはそんなに無いし)
――数ヵ月後。この村に多数のグリーンスライムが生まれる事になる。
余談だが、そのグリーンスライム全てに集られそうになるシノブと、ムキになって追い払うエルの姿があったとか。
ご愛読有難うございました。
本日のモンスター図鑑はお休みです。




