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頭の中で考えていた通りには文が書けないんだなぁって痛感してます。
書いているうちに・・・少しずつ話がずれてくのです。
簡単な設定しか作らないで、そっから行き当たりばったりに書いてるからですよね・・・
翌日、速達で契約書が送られてきました。
内容は、簡単にいうと
1、DOORを他の人に譲渡及び貸し出しをしない。
2、DOORでのデーターは開発の参考資料とされること。
3、今回のテスト参加において予定外の不具合、トラブルが発生した場合、途中で契約が取り消しになる可能性
などなど・・・色々と書かれてます。
ただ、もし人体に影響が出た場合は保証の対象となる事と契約社員扱いに準ずるみたい?でも、その代わり、1週間で最低4日又は最低9時間はログインしないといけないみたいです。
あと、健康診断書、未成年の場合の親の承諾書が必要です。
一通り目を通して、契約書を眺めます・・・・
もし、VRへログインしている間に、何かあったらどうしよう・・・・
これが、1番の不安材料です。もしINしてる間に、地震や火災があっても気がつくことはできないと思います。一人暮らしのあたしでは、何かあっても誰にも気がついて貰えないって事になりかねません。
あと、都市伝説とされているデスゲームも不安ですし・・・・
一応、プレイヤーの生体反応情報は、運営側でも管理されているそうですけど・・・
結論が出ないまま、ぐるぐると悩んでいると、玄関のチャイムが鳴りました。
誰だろう?実父さん?
普段、家に訪ねてくるほど親しい人はいません。ドアの覗き窓から来客者を確認すると・・・・知らない女の人でした。
誰?勧誘?いない振りしたほうがいいかな?
あたしが躊躇していると、外から声が聞こえてきました。
「突然お邪魔します。異界の扉運営グループの佐光と申します。宜しければお時間いただけませんか?」
え?え?なんで運営の人が直接くるの???
あたしは、扉にチェーンを掛け、ドアを少し開けました。
「こんにちは、キュアリーさん」
ドアの隙間から見ると、その女性はまるでドラマのやり手キャリアウーマンの様にピシっとスーツを着て、薄らとお化粧をした顔はどこのモデルさん?って感じです。あたしは、気をくれしながらも尋ねました。
「あの?本当に運営の方ですか?」
あたしのキャラクターネームを知ってるし、間違いはないと思うのですけど、一応確認しないと・・・・
あたしの問いかけに、そのお姉さんは名刺入れから1枚の名刺を出してあたしに差し出してきました。
”株式会社VRMC 異界の扉運営企画室 室長 佐光 美由紀 ”
名刺には会社名と名前が出ていました。
あたしが、じっと名刺を見つめていると
「失礼ですが、もし宜しければお時間をいただけますか?」
お姉さんは、断られることなんか無いですよね?っていう笑顔で言いました。
◆◆◆
何をしに、家へ来られたのか判らないながらも、佐光さんをとりあえず部屋に招き入れました。
女の人だし、大丈夫だよね?
あたしは湧き上がる不安を否定しながら、とりあえず佐光さんと机を挟んで座りました。
机の上には、先程まで見ていた契約書が置かれており、まだ記入する気配がない事を後ろめたく思いながらも急いで隅にかためました。
「突然だったので、汚い部屋ですいません」
「あら、すっごい綺麗ですよ、ちゃんと整理整頓もされてて、これで汚いって言われたら私の部屋は見せれないわ」
お姉さんは、くすくすと笑っています。おかげで、あたしの緊張はちょっと解れました。
「改めて、こんにちは、一応はじめましてって言っておいたほうがいいかしら?」
あたしは、意味深な言い方に怪訝そうな顔をしてると思います。
「あの、突然来られたのは、何か理由があるのでしょうか?」
警戒心バリバリです。だって、普通ありえないですよね?
「あ、ごめんなさいね、えっと・・・・とりあえずGMのバハムートですって言ったらわかってくれるかしら?」
えええ~~~!!!あのバハムートさん!!!
驚くあたしをいたずらっ子のような、ニヤニヤ笑いを押し殺したような・・・・えっとチャシャ猫のような顔?で佐光さん改めバハムートさんがあたしを眺めます。
「ふふふ、驚かせちゃったかな?あと、何でお邪魔したのかですけど・・・・あたしの住んでる所、ここの1Fなのよね~」
え????ええええ~~~~!!!!
「驚いたわ、契約書送ろうとしたら同じ住所なんだから、それでじっとしてられなくてお邪魔しちゃいました」
「あ・・・・えっと・・・・・」
あたしは何って言っていいか判らずに変な返事しかできてないです・・・・
「ついでだから、よければ契約やDOORについて説明して欲しいことがあったら聞くわよ?」
「えっと・・・・」
嫌になるくらい頭が回転しません。あぅぅ、聞きたいことはいっぱいあるはずなのに・・・
「とりあえず、不安なのはVRへ言っている間の事かな?」
「あ、はい・・・一人暮らしですから、何かあったらって・・・」
「そうよね~心配よね。でも、VRへダイブしてる間の脳波、脈拍なんかは自動的に記録されてるわ、それで、何か異常があれば自動的に、または強制的にダイブ状態を中断させられるの。強制中断させられても、今の所異常が出た人はいないわ。感覚的には夢から強制的に起こされるみたいな感じかな?VR技術はどちらかというと任意の夢を見させる物っていう感じだから」
「あ、そうなんですか?」
あたしは、VRは怖いっていう感じで今まであんまりそのシステムに関しては調べた事がなかったから、夢と同じと聞いてイメージが違うなぁって思いました。
「そうね、あと都市伝説のデスゲームだけどね」
ここで、佐光さんは口元を震わせながら・・・・
「ヘッドギアから電磁波で脳を焼ききるとか、無理よ~~~だいたい、そんな機械作ったら、会社潰れちゃうじゃない」
この後、科学的な説明をしようとしてくれたんですけど、さっぱり解らないので遠慮しました・・・
「キュアリーちゃんにはぜひあっちの世界で楽しんでほしいなぁ」
佐光さんは、あたしの部屋をそっと見回して、そのあとあたしをじっと見つめてきました。
その目は・・・・すっごく優しい、柔らかい眼差しで、あたしはつい視線を下に逸らしてしまったのです。その後、とりとめの無い話をして、佐光さんは帰っていきました。
「下の階の103号室だから、もしよければいつでも遊びに着てね」
って言い残して・・・
◆◆◆
結局、あたしはDOORに申し込む事にしました。
佐光さんと話をして、少し安心したのも大きいと思います。
あと、トモエさんや推定淑女のメンバーの人達とも話をして、みんなで一緒にっていう雰囲気に流されたのもあります。
そして、申し込みを送って、1週間が過ぎた土曜日、あたしの所にDOORが送られてきました。
うわ~~、思ったより大きい!
家のドアぎりぎりのサイズのダンボールだったから、ちょっとビックリしました。
「やっほ~キュアリーちゃん、無事納入ね」
業者の人がセッティングをしてくれてたら、佐光さんが訪ねてきました。・・・この人・・・結構暇?
「あ、ダンボールは邪魔だから持って帰ってあげてね。あと、使用方法はあたしが説明しとくから、セットしたら帰っていいわよ」
工事をしてた人にそう声を掛けて、佐光さんは部屋に入ってきました。結構ゴーイングマイウウェイの人かも?あたしが、とりあえず挨拶をしている間に、工事の人は一通りセッティングは終了して、お辞儀をして帰っていったのです。
「さぁ、とりあえず設定しちゃおうか!」
「えっと、服は着たままでいいのですよね・・・?」
「う~~~ん、出来れば服は脱いで、下着がいいかなぁ?」
あたしが、呆然として、二三歩あと後ずさると
「あ、冗談よ冗談!」
佐光さんは舌を出してニヤニヤと笑っています!
「佐光さん酷!」
「う~~ん、反応が新鮮でお姉さんは嬉しいな~~」
佐光さんは本当に嬉しそうに笑いながら、ヘッドギア、プロテクターの装着方法。DOORの初期設定の方法などを教えてくれました。流石にメーカーさん(なのかな?)なので慣れていて、30分くらいで一通りの操作を教えてくれました。ちなみに、ダイブする前にハードの側で遊ぶゲームを選択してからダイブするんです。ダイブしてから選ぶんだと思ってたのでちょっとびっくりしました。
「うん、あとはもうダイブするだけね。では、失礼するわ、他人がいたらダイブできないでしょ?」
「あ、でも、最初はいてもらっても・・・」
あたしはちょっと不安になって声を掛けました。
「あら?そう?どうしようかなぁ・・・・」
「まぁキュアリーちゃんのお願いだから最初は立ち会っちゃおうかな。何もないと思うけど、何かあったらお姉さんが助けてあげるから、安心してダイブしてきなさいな」
そう微笑みながら、お姉さんはあたしにヘッドギアを渡してくれました。あたしは、ヘッドギアをつけて、ベットに横になり、ヘッドギア横の起動ボタンを押すと目の前に映像が浮かび上がりました。
「映像出た?その映像をずっと見ててね?それで少しずつダイブが始まるから。」
あたしは、画面を見ていると、少しずつ少しずつ体がふわふわと浮かぶような、もしくは逆に沈んでいくような感覚に襲われていました。そして、ヘッドギアをしていたので、あたしを見つめる佐光さんを、そして自分の周りを見ることが出来ませんでした。
もし見ることができていたなら、あたしはきっと自分がとんでもない事に巻き込まれているんだって解ったと思うのに・・・・
その時、あたしの周りには青白い魔方陣のような物が浮かび上がっていました。そして、その魔方陣は少しずつ、少しずつ光を増していって・・・ついにはあたしを包む繭のようになって、あたしと一緒に輝いて消えて行きました。
「ふぅ・・・・とりあえずこれで私の役目は終わりだね。今度の子はどんな影響を与えてくれるか、まぁ世界がどうなるかはあの子達の頑張り次第だね。それにしても、今度の子はちょっと大人しすぎるかね、無事にあちらで生きていければいいが」
そこにいるのはさっきまでの優しいお姉さんではなく、まるで実験を行う研究者のような、または・・・神か悪魔のような、冷徹な観察者がいました。
でも、あたしは自分に何が起きているのかも知らず、なぜ、自分が巻き込まれたのかも知らず、強制的に自分の生きていた世界から、別の世界へと扉をくぐらされていたのでした。
なんとか主人公が異界に旅立ってくれました~~
長かったですね~でも、本当はもうちょっとエピソード入れてって思ってたのですけど・・・・書いてるわたしが・・・・めげました><
MMORPG遊んでる描写って難しいのです!!!