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7-4:MMORPG異界への扉制作秘話?

「ゲーム脳も大概にしてほしいものだな。木下、無駄な時間を割く必要はない、終われ」


そう告げる山口に対してユーパンドラは軽く肩を竦めました。


「トモカさん、コヒナ、これ以上は無駄なようだ、さっさと引き揚げよう」


「え?でもわざわざ此処まで来て」


「ユパ、何も解決してないですよね?それに渡来神って何のことですか?」


慌ててトモカよコヒナが問いかけます。しかし、それに対し特にユーパンドラは何かを返す事無く木下へと顔を向けました。


「VR版異界への扉の根幹にあるプログラムはどなたが作られたのですか?ゲールとは違うプログラム言語が使われている様ですが」


ユーパンドラの言葉に、山口を除く面々が驚きの声をあげました。山口は表情を更に厳しくさせ、ユーパンドラを睨み付けるだけで再度部屋から出て行こうとします。そして、部屋の出口で唸り声をあげました。


「む!」


佇む山口に対し、ユーパンドラは声を掛けます。


「おや?出て行かれないのですか?それとも、出ていけないのでしょうかね?」


「貴様は、この世界に喧嘩を売るつもりか、子供の火遊びでは済まんぞ」


山口が厳しい声をだしました。しかし、トモカは似たような状況に気が付き声を出します。


「まさか結界なの?!ユパさん、貴方こっちでもスキルが使えるの?!」


「うそ!ずるい!」


「そこは後で話しますので今は黙っててください」


驚きの声を上げるトモカとコヒナに対し、ユーパンドラは冷静に返答をしました。それに対し木下達アナザーの面々はまだ事態が理解できていない様子で戸惑いの表情で山口とユーパンドラを見ています。


「スキルって、あのスキルですよね?」


寺田が戸惑った様子でユーパンドラに問いかけました。


「あの結界とかスキルとか何を言っているんですか?それにゲール以外の言語って、私達はそんなもの知りませんが」


寺田のその言葉に他の者も頷いていた。そして、それを見たユーパンドラは山口に問いかける。


「山口さん、皆さんはこうおっしゃっていますが?スキル発動時に描かれている言語はなんというのですか?ルーン?ゴイデル?それともケルト?まぁなんでも良いですがこの言語を組み込める人は何人ほどいるのでしょう?」


「貴様は何者だ」


「いえ、ただのしがないプログラマーですよ、ただあちらで生活していた時にスキルとは何かをずっと調べていました。そして、スキルがマナによって発動する、又、発動条件が言霊とでもいうのですかね?声によって書かれた文字であるっと、そこまでは解っている。ただそれだけです」


「この世界にマナは存在しない、すなわちスキルは発動しない」


「ええ、基本はそうですね」


ユーパンドラと山口の会話にみな圧倒され何も口を挟むことが出来ませんでした。そして、その為に会話はどんどんと先へと進んでいきます。


「どうやってこの世界にマナを引き込んだ」


「さて、何のことやらわかりませんね」


「とぼけるな、この結界とてマナ無くては作る事は出来ない。この世界にあった魔術とはそもそも根本から違うのだ」


「なるほど、しかし、貴方はそのマナを欲している。違いますか?」


「ふん!誤魔化しても仕方があるまいな、その通りだ」


そこで初めてお互いの表情にゆとりの様なものが感じられました。そして、その御蔭でようやく他の者達も息を吐く事が出来たのです。


「あの、社長、さっきから何を話されているのか・・・」


木下が状況が解らず山口へと問いかけます。しかし、山口は思案顔で木下と寺田へと視線を向けました。


「木下と寺田は日常業務に戻ってよい。水野、大竹、二人は残れ」


「え、そうするとこの件は・・・」


「これはクレームなどの問題ではない、お前達の担当ではない、わかったな」


山口の言葉に、木下と寺田は不満を露わにしながらも部屋を退出していきました。


「記憶の消去でもするかと思いました。あのままで良いのですか?」


ユーパンドラの言葉にトモカとコヒナがぎょっとした顔でユーパンドラを見ました。


「必要ない、あいつらに何か出来る問題でもない」


「そうですね、彼らはシステムの根幹を把握していません。それに、そもそも技術者ではありませんから」


水野がそう言うと、山口に変わって話を進め始めました。


「VR異界への扉の開発責任者、もっとも元とつきますが、をしておりました水野です。まぁわたしはあくまで社長の指示でプログラムなどを改造しただけで、プログラムソースを理解しているわけではありませんが」


「そうすると、プログラムにおいて新言語と思われる部分は山口社長が担当を?」


「はい」


水野の言葉にユーパンドラは大きく頷きます。


「どうりで、実に無駄が多く、プログラマーの仕事とはとうてい思えませんでした。これで納得が出来ました」


その言葉に山口は不快な表情を浮かべました。


「ユーパンドラさん、貴方はあの言語をどこで学ばれたのでしょうか?残念ながら私でも基本部分を理解できているかも怪しいのですが」


「ああ、あちらでスキルとは何か、魔術、魔法とは何か、そういった事に興味がありましてね。あちらでは何かと時間もありましたので、マナの流れを可視化出来ないかと、そうしたら、何か言語っぽい物が見え始めまして、ああ、これがスキル起動の法則なのかと」


「マナの可視化か」


「ええ、それに、こっちの世界に帰ってきて、こちらで魔法を使うって何かロマンがありますよね」


そう言って微笑むユーパンドラの笑顔に、周りの者全員が微妙な表情を浮かべました。なぜなら、その笑顔には無邪気の欠片もない黒い笑顔に見えたのでした。


「ねぇ、ユパ、貴方スキルを使えるの?」


「そうですね、それほどマナを使用しない物であれば一応使えますね」


「ふ~ん、ユパってさ、視覚系のスキル色々持ってたよね」


「ええ、マナの可視化などもその類ですね」


「ふ~ん、で、赤外線も見えるの?」


「トモカさん、今は山口氏と話をしていますので、そこら辺は後で話をしましょう」


そう答えるユーパンドラの笑顔が若干引き攣っている様に思えました。


「ん~~そうね、あとでじっくりお話しましょう。ねぇ、コヒナも知りたいですよね?」


「はい!もちろんです!」


コヒナの表情を見て、ユーパンドラは冷や汗を流しながら山口へと顔を向けました。

山口はそんなユーパンドラを気にすることなく何かを考え込んでいました。


「ユーパンドラ、そもそも貴様はどうやってマナを身に宿している?あちらの世界と違い、この世界でマナは毒にしかならん、身に宿すことなど・・・ふむ、そうか何かを媒介としているな」


「マナはやはり毒になりますか」


「当たり前だ、お前たちをあちらに仮初めの体で送ったのも普通の体で送れば何も出来ずすぐに死ぬと思ったからだ。こちらとの違いを簡単に言えば、空気中に毒が混じっているのと変わらん」


「貴方はなぜそれで平気なのですか?それこそ、マナ無くしては生きられないと想像しますが」


「ふん、貴様と同じだ、その為にゲートを作ったのだからな、もしこれが出来無ければ我とて遠からず存在が消え去った事だろう」


ユーパンドラはそういう山口のステータスを見ようとしました。しかし、先程以上にマナを込めて見ても、種族が渡来神と出る以外はステータスどころか名前すら読み取る事が出来ませんでした。


「それで?マナを蓄える事が出来るようになった貴方が、なぜこんな事を始めたのですか?」


「こんな事?ああ、あっちらへとお前たちを送った事か?」


「ええ、わざわざ私達をあちらへ送る必要性が感じられません」


「ふん、そうだな、例えるなら此方からいくらパイプを振り回しても相手側に貫通でもしない事には話にならん、っという事だ」


「すなわち、我々は貫通させる為の針、又はドリルという事ですか」


ユーパンドラがそう言うと、山口はニヤリと笑いを浮かべます。


「そして、塔はパイプだったんですね」


トモカもようやく話についてきたのかユーパンドラと山口の会話に口を挟みました。


「そうするとキュアリーさんはどういう役割だったのですか?」


「キュアリー?まぁ各個人の名前など覚えてはおらんが、話からすると塔の管理者の事だな。それこそ簡単な話だ、パイプをただ繋げたとしてこちらへとマナが流れてくるとは限らん、それゆえに塔の周辺からマナを集め、こちらへと流し込む為の環境を整えねばならん。簡単に言えば余分な物が流れてこないようにするフィルター、こちらよりあちらの水位を高くする土台作り、そう言った改変を行える者っといったところか」


山口の言葉に、トモカの視線が厳しさを増します。しかし、ユーパンドラは話を聞くうちに疑問を感じ更に質問を行いました。


「各役割ですか?塔の管理者以外にも役割があったのでしょうか?」


「もちろんだ、魔物を倒せばその蓄積されたマナが放出される。又、スキルを使えば同様にマナが放出される。ただし、この場合は一旦マナが消費され、エーテルへと変換され、これを植物などが吸収し又マナへと変えるという一手間がいるがな。それでも生き物に蓄積されているよりは此方へと流入しやすくなる」


「すなわち転移者による活動の活性化っという事ですか」


「そうだ、転移した者達すべてに役割は存在する。しかし、予定より早く塔が稼働し、また、転移者が活動を行う以前より戦争によって生き物に蓄積されているマナが少なかった。良い意味で予想を凌駕してくれたな」


ユーパンドラは山口との話を勧めながら、その内容に違和感を感じていたのでした。


「山口さん、貴方は異界への扉の世界の神ではない、そうですね?」


「もちろんだ、この世界と比較的近い座標にあり、私の力になりうるマナがあった為のあの世界とパイプを繋いだにすぎん」


「そうすると、あの世界においてマナが貴方へと流入している、そうするとマナが無くなったあとあの世界はどうなりますか?」


ユーパンドラの問いかけに山口はそれこそ如何でもよさそうな表情で答えました。


「知らん、滅びるのか、そうでないのか、私には関係のない事だからな」


「「そんな無責任な!」」


トモカとコヒナは思わずそう声を上げました。そして、アナザーの社員達はこの展開にまったく着いてこれていません。その中で、今まで黙っていた大竹が山口へと尋ねました。


「山口社長、貴方は自身を神だと言うのですか?」


そう尋ねる山口の視線は、今までの信頼する社長、偉大なる創業者を見る眼差しでなく、狂人を見る目付きでした。大竹にとって神だ、仏だなどという話はオカルトの与太話としか思えなかったのです。そして、それは他の社員も同様でした。


「大竹、そのような事はどうでも良い」


「そのような事・・・」


大竹が更に何かを言おうとした時、扉がノックされました。そして、その扉を開こうとしてノブがガチャガチャと回されます。しかし、一行に開く気配がありませんでした。


「あ、あの、お茶をお持ちしたのですが、扉を開けていただいてもよろしいでしょうか?」


外から事務員と思しき人が声を掛けてきます。その為、扉のそばにいた寺田が急いで扉を開けようとしました。


「痛!」


突き出した手が、まるで見えない壁に突き当たったかのようにドアノブの数センチ手前で止まっていました。そして、それを予期する事の出来なかった寺田は、指を抑えてしゃがみこみます。


「おい、寺田大丈夫か!」


「ゆ、指を突き指した」


その様子を見ていた木下が、慌てた様子で扉の前を叩いてみました。


「な、何よこれ!壁?壁なんて見えないのに」


必死に叩く木下の様子に、水野も、大竹も慌てて様子を確認しにいきました。

しかし、そんなアナザーの面々を余所に、ユーパンドラが今までの様子を一変させ山口へと質問をしました。


「さて、大体の状況は理解できたし、そちらも理解できたと思う。まどっろこしい事は抜きにして、あちらに残された者達をこちらに戻せるのか?崩壊するかもし得ない世界に仲間を残しておく事は出来ん」


問い詰めるユーパンドラの鋭い視線を物ともせず、山口は淡々と答えます。


「無理だな、戻る機会は既に与えたのだ。二つの法則の違う世界を繋ぐのは貴様が思っているほど簡単ではない。私の作ったシステムに便乗してマナを得ているのだろうが、そのレベルでは何の意味もない。そして、再度あちらとこの世界を繋ごうとすれば、両方の世界が崩壊するだろう。それでも良いのか?」


山口の言葉に、ユーパンドラの顔が歪みます。


「貴様とて薄々はその事に気が付いているのだろう?」


「貴方の手下を手助けに送る事は出来るのでは?何度か行き来しているのだろう?」


「ふむ、佐光達の事か」


山口の言葉にユーパンドラは頷いた。トモカ達もその可能性に期待する眼差しを送っていました。しかし、その期待も無情にも破られるのでした。


「あれは元々実体を伴っておらん。あちらのマナに対し働きかけて作り出した人形だ。まぁ3D映像の様なものだな」


「それであれば会話は出来るのか!」


「出来ない事はないな、ただ貴様は誰と話すつもりだ?あちらとこちらでは進む時間が違う、貴様達がこちらへ帰還して間もなく2カ月以上が過ぎようとしている。あちらでは大まかに言って500年から1000年か、もっとかもしれんな。はっきりとした互換が解ってるわけではないが、すでにみな寿命で死んでいように」


「そ、そんな馬鹿な!」

「「そんな!」」


ユーパンドラ達の悲痛な叫び声が響き渡りました。


相も変わらず執筆が遅くなって申し訳ございません><

待って頂けている方には感謝しかございません m(_ _)m

今回の展開を何度途中で書き直したのでしょうか・・・

とりあえずユパさんが相変わらず不動の進行役!

トモカ他いる意味が見いだせませんね!


今回はまるっと説明回の様なもので、進行がまったくないです・・・


あと、サブタイトルが・・・思いつかずについ勢いでこんなタイトルに・・・

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