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6-8:コルトの森編8

サブタイトル訂正しました。ご指摘ありがとうございます。

ご指摘の去ったも変更しました。

戦闘が終了した後、怪我人の治癒でドタバタとしていました。

怪我は治癒でほぼ完治するのが現実味をあるいみ阻害している気がします。

でも、あたしが治癒を行うたびに驚いた顔をして自分の怪我を確認している姿が印象的でした。


治癒魔法って一般的な魔法よね?なんでこんなに驚くんだろう?


そんな疑問を持ちながらも馬車に寝かされた死者を見ると、途端に気持ちが落ち込みます。

そして、戦場となった場所に視線を向けると未だに多くの魔物が放置されています。

でも、これだけ多くの魔物を処理するのはとてもこの人数では不可能です。その為、一旦ナイガラへと戻り今後の対応を考える事にしました。


「まぁ魔物は素材になるからな、ここにこれだけの数のお宝が放置されてるとなると、それこそナイガラ市民総出で漁りにくるさ」


ドーベルさんが会議のときにそんな事を言っていました。

今、私たちは戦闘が終わって基本転移組みのメンバーは今回の状況分析や今後の対応を打ち合わせ会議をしています。

それぞれ片手に回復ポーションを持ち、体力回復をしながらの打ち合わせではあったのですが、それでも一呼吸置く事でやっと緊張が解れてきました。

ドーベルさんの発言にはプードルさんが同意表明を行います。それこそ、街にいる冒険者達にとっては魔物の素材はお宝の山なんです。この世界の人たちはあたし達のように魔物とはいえ死体に対しての抵抗などはあんまり無いのかもしれませんね。


「しかし、こんなに一度にこれだけの素材が出回れば、市場価格は悲惨な事になりそうだな」


その言葉にみんなから笑い声が漏れます。

そして、雑談も一段落して今後の方針へとみんなの興味が移りました。


「当面の危機は去ったと判断してもよいと思うが、問題は原因だよなぁ」


「今回もしこれだけのメンバーがいなければ、ナイガラは陥落していてもおかしくなかったですね」


「ですね、油断していました。しかし、減少傾向だった魔物がいくらきゅまぁさんに誘発されたからとはいえ此処までの数になるのでしょうか?」


「普通はここまで数は多くないのですか?」


あたしは、シローさんとユパさんに確認をとります。

そして、騎士団においても魔物の数が減少しているって噂を思い出しました。


「ええ、流石に今回の数は異常ですね。まるで国中の魔物が集まったのかと思いましたよ」


「そうか?まぁMMOの時でもあれだけのトレインはありえないけどな」


その言葉に全員が頷きます。


「ところでさ、さっきのオーガ全部で何匹くらいいた?」


突然トモエさんが聞いてきました。それまでは、どうやら戦場で死んでいるオーガの数を数えていたようです。


「そうだな、50はいたんじゃないか?」


その答えに、じっと考え始めます。そして、おもむろにあたしの顔を見ました。


「塔の周りにいたオーガ全部きてない?いたとしても残りは数匹かも」


その言葉に、あたしは驚きました。でも、確かにこれだけの数のオーガが塔以外にいたとは思えません。


「キュアちゃん、もう一回塔に行って見ない?」


その言葉に、知らず知らずに頷いている自分がいます。


「ふむ、そうなると急いだほうが良さそうですね。後始末はこちらで引き受けましょう」


「うん、面倒押し付けるようで申し訳ないけど頼むね」


トモエさんはそう言うと、急いで出発の準備を始めました。


「レイムーンさん、サイアスさんはどう?行ける?」


あたしの言葉に少し考えた後、二人は同行の意思を示します。


「若干ですが森の状況を知りたい気持ちはありますが、それ以上に塔への興味のほうが大きいですね」


そう笑いながら二人も準備を始めました。


そして、30分くらいで準備を終えたあたし達は、今度は馬車を使わず各自騎馬に騎乗してコルトの森へと急ぎました。

前回とは違い今回は馬を急がせながらの旅のお蔭か、2日目の昼にはコルトの森の端へ到着しました。

その間、逃げ出したゴブリンやコボルト、そしてオークなどの敗残兵との遭遇で4回ほど戦闘がありました。

戦闘自体は魔物が1匹、多いときで3匹という数だったため移動にも影響しない程度です。


「ん?キュアちゃん何を悩んでるの?」


あたしが馬に揺られながらじっと考え込んでいると傍によってきたトモエさんが聞いてきます。


「あ、はい、あたしなんで馬に乗れるんだろうと」


疾走しているわけではなく、ただ並足で駆け足になっているだけとはいえ問題なく騎乗している自分に驚いています。


「キュアリーさんはMMOの時に移動で馬を使ってましたよね?」


「はい、その方が楽でしたので、馬以外も使ってましたけど」


異界への扉には騎獣が実装されていました。街同士では転送ゲートを使用しますが、フィールドでは騎獣を使用しての移動が主となっています。この為、あたしも騎獣を使用して移動していました。


「喩えが合っているかは解りませんが、自転車は一度乗り方を覚えればそれ以降も乗れるように、MMOの時に覚えた騎馬なども同様に体が覚えているようなんですよね。不思議な事ですけど、それを言ったら今の状況自体ありえない事ですし」


後ろで、話を聞いていたエリィさんがそう説明してくれました。そして、エリィさんはそれを知ったときはしばらく馬を借りて乗り回してしまったそうです。


「あっちの世界に戻ったときに乗馬できるといいなぁって思いますよね?」


「そうですね」


笑いながらそう言うエリィさんに、あたしは同じように笑顔で答えながらも戻るという事を最近ぜんぜん考えていなかった事に気がつきました。


戻れるのかな?でも、あたし戻りたいのかな?


そんな事を考えていると、エリィさんから心配そうな声を掛けられました。


「キュアリーさん大丈夫だよ、帰れるよ絶対」


「うん」


きっと、自分も不安なんだと思う。でも、エリィさんの微笑みにはそんな雰囲気はぜんぜん感じられません。


エリィさんは強いんだね、そう言いたくなって、でも何か言ってはいけない気がしてあたしはただ頷くことしか出来ませんでした。



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