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えっと・・・説明がほとんどです。
付箋っていうかフラグ立ちまくりですw
GMであるバハムートさんの説明は簡単に言うとこんな感じでした。
1、現在コルトの森を進入禁止にしているのは運営側です。
2、あたしの塔のように街中以外に所有地が存在する事を運営側も知らなかった。
3、今回の騒動で改めて調べてみると全エリアで4箇所、同様の所有可能エリアが存在する事。
4、ただし、現在塔の所有をしているのはあたし一人だと言うこと。
5、そして、肝心な事は・・・・あたしの塔を手放して欲しいとの事・・・・・
「あぅぅ、手放したくないんですけど、もう2年以上暮らしていて愛着もあるんですけど・・・駄目なのでしょうか?」
あたしの言葉にバハムートさんは運営側の不手際を踏まえた上での謝罪と、手放して欲しい旨の説明をしてくれました。
この所有地は、初期のプログラマー達が目的をもって作ったのですが企画がなくなりそのまま放置された事と、現状ここまで大騒ぎになっている為、もし個人所有であると認めた場合の混乱が予想されることなど。そして、好きな町に、家を内部はそのままで移転してくれるとの事です。塔自体は、今回の発表の通りイベントに使用するそうです。内容的には、毎週行われる国単位の塔争奪戦などが企画にあがってるそうです。
「まぁしかたないよね、個人所有です、なんて発表したら確かにえらいことになるかもだしね」
「まぁそうですね、いくら使い勝手が悪くても、個人所有の塔となると、羨ましがる者もいるでしょうし、嫉むものも出てくるでしょう」
トモエさんや、まりすさんの言葉を否定できない自分がいるので、同意するしかないかなぁって・・・。
その時、バハムートさんが更なる提案をしてきました。
「それと、これはあくまで運営側よりの提案なのですが、この度、うちとVRMC(バーチャルリアルマネージメントカンパニーっていう会社の略称です。先日、日本の会社で初めてVRの個人用ユニットを発表した会社です。)が共同企画でVRユニットDOORの開発協力をすることになりました。そのDOORのテストプレイヤーをみなさんに御願いしようと」
「みんなっていうと?」
トモエさんが問い合わせると、なんとあたしを含め推定淑女ギルドの希望者全員にって事です。しかも、無料でDOORを貰える他、1年間は通信費もタダ!・・・すっごい破格です。DOORは一応30万円以下を目指しているそうですけど、それでも何人分・・・・・最大41人?一千万円以上!!!
「それって採算あうのか?なんかすっごい危険な気がするんだけど。ほら、製薬会社の新薬のテスターみたいにさぁ」
コジロウさんが、あたしと同じ疑問を感じたみたいです。
「ですね、なんかフラグ立ちまくり?新開発のユニット、テストプレイヤー、なんか死亡フラグに聞こえますwそれに、それって未成年でも契約できるのですか?キュアリーさんはわかりませんが、うちのギルドの何名かは未成年ですよ?」
「だよね~、あたしもそうだけど、それにあたしの部屋にユニットなんか入らないよw」
流石は冷静沈着なまりすさんですね、あたしは契約の事なんか思いつきもしなかったです。あと、トモエさんと同様にあたしの部屋もユニット置くスペースなんかないです。
「DOORはどちらかというと、そういう方をターゲットにしてるのです。ベットへ取り付けるタイプと、床に設置するタイプですね、昔のちょっと大きなコンポサイズで、場所を出来るだけ取らなくしてあります。その代わりに使用時に、専用のプロテクターみたいなのを取り付けていただく感じですね。一応は寝た状態で使用するのですが、お勧めはしませんがリクライニングの椅子などでも使用可能です。あと、フラグですが、これは信用していただくしかないですね」
ギルドみんなが、この提案について意見を出し合ってます。みんなVRはやってみたい、でも、お金が無いしって出来なかった人がほとんどですし、やっぱり憧れですから。
「チャンスといえばチャンスですね」
「俺、やりたい!」
「あ、あたしもやりたい!」
みんな肯定的な意見ばかりです。あたしも興味はありますけど、やっぱり不安もいっぱいあります。
「突然の事で悩まれたり、ご家族に確認をとる必要もあると思いますので、今週中に個別で結構ですので私宛にご回答をメールいただければ対応いたします。それ以降ですと、こちらもテスターを集めないといけない為、他に御願いしてしまいますので。あと、キュアリーさんは移転先も御願いしますね」
そういうと、結論が出ないままのあたし達を置いて、バハムートさんは消えてしまいました。
でも、どうしましょう・・・・。ただ、とりあえずはお引越しになるのですよね・・・王都はごちゃごちゃしてますし、どこにしましょうか・・・・
◆◆◆
みんなに挨拶をして、ログアウトしたあたしは、PCの電源を落としながら今日の出来事を思い返していました。
親の承諾かぁ・・・・
そして、自分の部屋を見渡します。
1Kの狭いながらもわたしの大事な家。壁には制服がかかっています。ベットと、小さなテーブルが1個、その上にある古いパソコン、小さな本棚が1個、狭いキッチンにはデンシレンジと冷蔵庫があります。
それだけしかありません。一人で暮らすならそれで充分です。
あたしは今、一人暮らしをしています。
お父さんとお母さんはあたしが10歳の時に離婚して、お母さんに引き取られました。でも、その2年後にお母さんが再婚、あたしはなんとなく新しいお父さんに馴染めなくて、反発して、中学2年の時にここに一人暮らしをさせてもらうことになりました。
新しいお父さんは、すっごく良い人なんだと思います。あたしが一人暮らしをするのに最後まで反対していたのはあたしを心配しての事だとわかってます。だから、家賃の高いこの女性専用のアパートにする事でなんとか了解をしてくれました。お母さんはたぶん、あたしが家を出ることでホッとしていたと思います。
一人暮らしを始めて、少し過ぎると・・・・すっごい寂しくなりました。夜になると、なんだか自分一人がすべてに置いていかれたような、それでも意地を張って、がんばって一人暮らしをして、そして、中学3年になって、高校受験を控えたある日、両親が家にやってきました。
お母さんが妊娠した事、そして、弟が来年には生まれること、そして、もう1回一緒に暮らさないかって。
お母さんも義父さんも嬉しそうでした。
あたしは、突然の事にびっくりして、それと、嬉しそうな両親を見て、何か逆にイライラモヤモヤした気持ちが湧いて、考えとくって言葉を返して、お母さん達を追い返しました。
そして、その夜に電話が実父さん(おとうさん)から来ました・・・・・
その電話は、ここへ来た帰り道、お母さん達の車に居眠り運転のトラックが突っ込んできて・・・・即死だったそうです。あは、なんってお約束なんでしょう?ドラマみたいですよね・・・。でも、現実に事故は起こったんです・・・その後の事は、実父さんがやってくれました。あたしは、事故から数ヶ月の間は良く覚えていません。学校へも行けなくなって、実父さんが何度も会いに来てくれて、で、一緒に暮らさないかって言われても・・・・あたしには、そんな資格はないですから・・・・。その時、この異界の扉っていうゲームが始まったんです。あたしは、ただ只管ゲームをしてました。学校は出席日数が足りなくて留年しました。
でも、ゲームを始めて半年くらいしたときに実父さんが高校のパンフレットをいっぱい持ってきました。あたしは、もう高校なんてって思いながらもそのパンフレットを見ると、それは1年前のパンフレットで、そこにはいっぱいいっぱい書き込みがしてありました。○○○高校は校風がどう、いじめとかはとかいっぱい。それは、亡くなってしまったお母さんと義父さんが、あたしが家に帰ってきたらって家から通える高校を一校一校調べて書き込んだ資料でした。
あたしは、パンフレットを握り締めて泣きました。わんわんと子供のように・・・その後、実父さんに連れられて、義父さんの家を出てから初めて自宅に帰りました。1年くらいしか過ごしてない家でしたけど、あたしの部屋はそのまま残っていました。でも、そこはやっぱりあたしの家じゃないから・・・実父さんと相談して売ってもらう事にしました。
お母さんに、義父さんに、そして、会えなかった弟に謝りました。
ごめんなさい、悪い娘でした、ごめんなさい、いっぱいいっぱい迷惑をかけて
涙が止め処も無く流れてきます。
もう取り返しがつかない・・・でも謝る事しかできません
・・・ごめんなさい・・・
こんなあたしには、承諾を得る親はいません。一応、実父さんが保護者にはなってますけど、苗字は違いますし、だから、余計にどうしようか悩みます。あれから、もう1回勉強して、今は高校にも通ってます。でも、一人暮らしですし、VRで何かあった時って考えると怖いです・・・・どうしよう・・・
う~んと、ほのぼのからかけ離れた内容になっちゃいました・・・・
しかも、設定ベタベタですね・・・・