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6-6:コルトの森編6

大変長らくお待たせしました。

なかなかリアルで時間を取れず書く速度が大幅に後退しています。

コルトの森編も一応10で終了予定なので少し1話のボリュームを多くしないと足りないかもと若干焦っています。

とにかく、少しでも書いて早めの投稿がんばります。

あたしとルンは食堂でご飯を食べ終わって、さぁこれから寝ましょうって寝る場所を誰かに準備してもらえるかな?って領主館をウロウロしているんです。

トモエさん達は、はじめから逗留先になっていた騎士団の宿舎へと向かいました。

あたしとルンは元々戻ってくる予定がなかったので、前に泊まっていた部屋うを引き払ってしまっていて、今でもそこに泊めてもらえるか解らなかったんです。それで、誰かに聞こうかと領主館に戻ってきたんですけど・・・でも、残念ながら皆さん忙しそうにドタバタとされていて、中々話し掛けれる雰囲気じゃないです。


「ルン、どうしましょう?騎士団の宿舎の方にいってみます?」


「ガルルル」


「ですよね、なんか知らない人も増えてそうですしね?」


「ヴォン」


先ほどお会いした貴族の騎士さんみたいな人がいっぱいいると嫌ですから、なんとなく騎士団宿舎へ行くのは躊躇われてしまいます。

街中の宿に泊まるにも、宿には泊まった事が無いので若干気後れしてしまいます。元の世界でも一人でホテルに泊まった事なんかないですから。気分的には野宿のほうが人と関わらなくて良いので楽です。


そんな事をちょっと鬱々と考えていたら、前から歩いてきた人にぶつかりそうになりました。


「あ、ごめんなさい」


咄嗟に謝罪の言葉を言って、あたしは通路の端によりすれ違います。

そして、すれ違いざまにその人が囁くようにあたしに話し掛けました。


「気をつけてね。そして、がんばってね清音ちゃん」


「ありがとう・・・・えっ?」


あたしは、慌ててすれ違った人を振り返りました。

でも、そこには誰もいません。

確かに、今すれ違ったのに、それなのに後ろを振り返ってもそれらしい人がまったくいないのです。


「誰?いまの誰?もしかして、佐光さん?」


この世界で、推定淑女を含め知り合いの誰一人としてあたしの本名を知っている人はいないはずです。

あたしは、慌てて通路を戻って周りにいる人たちを見渡します。でも、それらしい人はどこにも見当たりません。


「クゥゥン?」


ルンが不思議そうな、怪訝そうな感じであたしを見上げています。


「ルン!あたしと今さっきすれ違った人ってわかる?その人を見つけたいの!」


あたしの言葉に、ルンは周りを見渡します。そして、周りの匂いを嗅ぎはじめますが、明確な目標がわからないのか途方に暮れた顔であたしを見上げました。


「あぅ、無理かぁ、もしかしたら聞き間違いだったかもだし」


言い訳にそんな事を言いながらも、あたしは先ほどの言葉が今もしっかりと耳に残っています。


「気をつけてね。そして、がんばってね清音ちゃん」


あの声は、はっきりとは言えないけど、佐光さんのように思えます。

そして、絶対にあたしの本当の名前を言葉にしていました。


「ルン、トモエさん達のところに行こう」


言いようのない不安と、嫌な予感が背中を駆け上がっていきました。

まるで追い立てられるようにあたしは駆け足で騎士団宿舎へと駆け込みました。


すると、そこではトモエさんとドーベルさん達がなにやら言い合いをしているのが見えます。


「だから、あたし達は寝るんだって!」


「寝てる暇など無い!オーガがもし攻めてきたらどうするんだ!対応を考えねば!」


「だ・か・ら・少しでも仮眠取らせろ!」


「そんな悠長な事を行っている暇はないのだ!」


なんかどうどう巡りの会話が繰り返されているみたいです。


「あ、あの・・・・」


あたしが声を掛けるのですが、トモエさん達はすでにヒートアップしてるようでぜんぜん聞こえてないみたいです。他の人はと周りを見回しますが、エリィさんもレイムーンさんも見当たりません。

あたしがキョロキョロと周りを見回していると、トモエさん達の周りで野次馬と化している兵士の人が声を掛けてきました。


「キュアリー様ですよね?お戻りになったのですか?」


あたしがその人をみると、前に訓練所のところであたしの護衛をしていてくれた女性騎士の人でした。


「あ、はい!戻ったというか戻らざるえなかったというか。あのトモエさん以外の人はどこに?」


「他の人たちはさっさと宿舎へと上がっていかれました」


「はぁ、先に行っちゃったんですね」


「はい、トモエ団長が捕まっているあいだにコッソリと」


「巻き込まれたくないですもんね、ただでさえ疲れてるのに」


「はぁ」


なんか溜息まじりの会話をしながらトモエさん達を眺めます。でも、これってぜんぜん進展なさそうですよね。


「うぎゃ~~~ドーベルあんた責任者でしょうが!」


トモエさんが髪をワシャワシャしてます。

でも、おかげで話が途切れたタイミングを見て、再度話し掛けてみます。


「あの、トモエさん?」


「あぁ~~~っと、キュアちゃん!」


「ほえ?」


あたしに気が付いたトモエさんにガシっと肩を掴まれてしまいました。


「待たせてごめんね!さぁ寝よう、とっとと休もう!」


そう言ってあたしの腕を捕って宿舎へ上がろうとしました。


「わ~~、だからそれだと拙いんだよ!」


ドーベルさんがなんでかあたしの反対の腕を捕って引っ張ります。


「ちょ、ちょっと!痛いですって!」


あたしが抗議の声をあげますが、それをまったく気にせずに二人は引っ張り合いを続けます。

思いっきり引っ張られるので、腕が肩から抜けそうな痛みが走りました。


「ぅぅぅ痛いよ~~」


「ガゥゥ」 ドキャッ!


あたしの様子に気がついたルンが、ドーベルさんを叩き伏せました。


「ルンちゃん偉い!」


「ガルル」


あたしが思わずルンにそんな言葉をかけて少し涙目になりながらトモエさんを睨みつけます。


「え、えっと、ごめんね?」


若干冷や汗を流しながら、トモエさんはルンに謝ります。


「ちょっと!トモエさん何であたしじゃなくてルンに謝るんですか!」


「えっと・・・なんとなく?」


何となく納得がいかないものを感じながらも、あたしはドーベルさんと一緒にいたプードルさんに指示をだしました。


「プードルさん、王都には状況の連絡はしたんですか?」


「う、うむ、それは急いで使者をだした」


「それなら、あとは複数の斥候を周辺に出せば魔物の襲撃に備えられますよね?あとは城壁の外にいる人達を速やかに収納して、門を硬く閉ざして王都からの指示を待つしかないですよね?」


「お、おお!そうだな、早急に指示を出そう」


「あたし達はとりあえず休ませて頂きます。あとは王都からの指示に従ってください」


「うむ、わかった!」


あたしは、そう指示を出してトモエさんと宿舎へと向かいました。

ちなみに、突っ伏しているドーベルさんはそのまま放置されたようです。


あたしとトモエさんは宿舎の部屋に入りました。

一部屋がツインになっているので、トモエさんは早くも装備を外して就寝モードへと移行しようとしています。


「トモエさんちょっとまって!」


「ふにゃ?」


うわぁもう頭が動いてないかもしれない。

そんな事を思いながらも、あたしはトモエさんに先ほどあった出来事を伝えました。

すると、話を聞くうちにトモエさんの眼差しがしっかりしてきたのを感じます。


「むぅ、バハムートってあたし達をこの世界に送り込んだ連中かぁ」


「証拠はないけど、たぶんそうだと思う。あたしの本名を知ってる人なんてこの世界に他にはいるはずないから」


「何の為にあたしらをこの世界に呼んだのか、そして、今何をしてて、何をさせたいかだよね」


「うん、魔物が増えてきた事にも関係あるのかな?」


「わかんないなぁ、で、また会えばわかる?」


「ごめんね、顔見てない」


「そっか、それならとりあえず寝よ?考えててもしょうがないっていうか頭動いてないし」


あたしも、とりあえずトモエさんに話すことが出来て、心が軽くなった気がします。

あたしがベットに潜り込んで目を瞑っていると、


「とりあえず難しいことはユパが帰ってきてから相談すればいいよ」


トモエさんがそんな事を呟いて、そして、いつの間にか寝息を立てています。

あたしも、一気に疲れがでたのか、その後すぐに眠りに引込まれていきました。


◆◆◆


ドンドンドンドン!


あたし達は、ドアを激しく叩く音で飛び起きました。


「うわ!何事!」


「吃驚しました!こんな目覚まし嫌です!」


「ヴォン!」


あたし達が思い思いに呟くと、ドアの外から大きな声が聞こえてきました。


「団長!緊急事態です!起きてください!」


外で激しくドアを叩いているのは声からするとコジロウさんのようです。


「あぁぁちょっと待て!すぐ開けるから!」


トモエさんはそう叫ぶと、急いで装備を身に付け始めます。

あたしも、流石にインナー姿を披露するつもりはないので、急いで装備を身に付けました。

トモエさんが扉を開けると、そこにはエリィさん達も揃っていました。


「団長、疲れてるところすまないが厄介事がでた」


「厄介ごと?コジロウがこっちに来たってことは他のメンバーもきてるのかな?」


「いや、俺とシローがこっちに着ただけだ。あっちではまりすが他のメンバーつれて狩りをはじめている。こっちへは俺達以外にユパさんが数人引き連れて戻ってきてる」


「っていうことは王都でも大騒ぎかぁ。まぁユパが戻ってきてたらなんとかなるっしょ?」


「ああ、あっちも今までどこにいた?ってくらい魔物が出始めてるな。ただ、ユパさんだけじゃちと手が廻らん」


二人の会話を聞きながら、後ろのエリィさんを見ると、なんかうつらうつらしてます。やっぱりまだ疲れがとれてないみたいですね。


ゴツン!


「痛い~~」


「寝るな!」


おもむろにコジロウさんの拳骨がエリィさんの頭の上に落ちて、エリィさんが涙目になっています。


「で?あたしら起こしたってことは何がおきてる?」


「コルトの森方向から団体さんが向かってきてるらしい」


「らしい?」


「ああ、斥候の情報が要領を得ないんだ」


「むぅ、ユパはどうしてる?」


「まず斥候できゅまぁさんを出して情報収集を始めた所だね。とにかく情報が少なすぎる。ただ、このままだと街がやばそうなんでな」


「なんって迷惑な!きゅまぁさんを斥候に出した時点で人手不足が見えてるけどね」


「うむ、あの人結構大ボケかますからねぇ」


「うん、中堅どころではそこそこ頑張ってるんだけどね」


なんか二人とも思う所があるのかしみじみと語り合ってます。そこへ、突然二人の兵士が駆け込んできました。

「北東方向から多数の魔物がこちらに向かってきている事が確認されました。急ぎ北門へと集合願います」


その言葉に、あたし達は今までの雰囲気を一掃して、急ぎ北門へと向かいました。

北門へつくと、そこにはすでにドーベルさんを含め多数の兵士達があつまっていました。

そして、その先頭にはユパさん、エリーティアさん、コヒナさんもいます。


「お疲れの所、申し訳ありません」


ユパさんは近づくあたし達に気が付くと、そう声を掛けてきます。


「魔物の群れが近づいているんですか?」


「ええ、ちょっと私たちだけでは取り逃がしが出そうなので、お手数ですが協力を御願いしたいのです」


あたしが、訪ねるとそう教えてくれました。


「強敵?」


「ええ、一般の兵士ではちょっと対応が難しいですね。みなさんが報告してくれたオーガと同種かは解りませんが、オーガを含む魔物が20から30匹近くがこっちに向かっているそうです」


「斥候の報告ですか?」


「ええまぁ、報告というか・・・」


そこでユパさんはちょっと苦笑を浮かべました。


「確認だけで引き上げるときに派手に転んで物音を立てちゃってね。気が付かれて追われながらこっちに向かってるみたいなんです」


ユパさんの傍らにいるコヒナさんが話を引き継いで教えてくれます。

そして、その話でトモエさん達が一斉に頭を抱えます。


「あちゃ、きゅまぁさんかぁ。予想通りというかなんというか」


コジロウさんがそんな呟きを洩らします。お会いしたことがないのですが、きゅまぁさんって結構逸話の多そうな人みたいですね。


「でも、よく気がついたね」


「ええ、何かあったら急いで話せるように遠話の魔道具を持たせてましたから」


遠話の魔道具っていうのは、ある一定距離以内であれば魔道具同士での会話が可能なものらしいです。

こっちへきてチャットや囁きなどの会話が出来なくなった為に開発された物みたいですね。ただ、まだそれほど遠くまで会話が出きる物ではないそうですけど。


「なるほど、でも魔物もよくコルトの森までこの短時間で移動できましたね?」


「いえ、何かを追いかけるようにこちらへ向かっていたそうです」


その言葉にあたし達は顔を見合わせました。


「もしかして、あたし達追いかけられてた?」


「かも?」


顔を引き攣らせながらあたし達は顔を見合わせました。

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