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5-6:ナイガラ攻防編6

どう考えても攻防戦は終わっているような気がしますよね?

でも、脱線しすぎで次の話への切り替え部分に辿り着けないです・・・


予定しているお話まで辿り着けずにただの飲み会で1話終わってしまいました。


行政府の食堂では、メニューがほとんど固定されているそうです。それと、飲酒も禁止されています。

それは、そうですよね。お酒飲みながら仕事をするなんてありえませんから。

それで、あたしは、初めてナイガラの街中へと食事をしに出かけました。


あれ?これってこっちの世界に来てはじめての外食かも!


よく考えるとこっちの世界へ来てからは、自炊、野宿、そして、ご招待を受けての食事はしてます。でも、街中のお店でちゃんとしたご飯って食べたこと無いですよ!


あたしは、それこそワクワクして来ました。こっちの世界の食事ってどんなのかな?やっぱりヨーロッパ風?それとも地中海風?そんな事を思いながらもユーナさんとエリーティアさんの後に付いていきます。

ちなみに、コヒナさんはお仕事で参加できません。早めに終わらせて、なんとか合流したいみたいな事を言ってましたけど。


「う~~ん、何食べようか?」


「お酒が美味しいお店が良いなぁ」


エリーティアさんの問いかけに、ユーナさんが答えます。でも、そこでエリーティアさんはちょっと困った顔をしました。


「わたしさ、ナイガラの街って詳しくないのよね、だから美味しいお酒のお店ってわかんないかな?」


「え~~~~、それじゃあ何処に向かって歩いてたの?」


「美味しそうなお店あるかな?って適当に!」


うわ~~~、エリーティアさんって何かすべて事前に計画を綿密に立てるタイプだと思ってたけど、意外にアバウトな人だったんだ・・・


あたしが、そんな事を思いながらエリーティアさんを見ていると、その視線を感じたのかあたしをみてニッコリと微笑みます。


「だって、自分の知っているお店のどこかに決めちゃったら、せっかく出会えたかもしれない美味しい食べ物の可能性を無くしてしまうかもって思いません?だから人の込み具合や雰囲気、それに漂ってくる美味しそうな匂いなどを目安にチャレンジするの。当たり外れもあるけど結構楽しいよ?」


そんな事を言いながら、これは!って思うお店があるのでしょうか?ちょこちょことお店の中を覗き込んだりして忙しそうです。


「エリーティアさんって・・・・わたし勘違いしてたわ」


ユーナさんはその様子を見ながら呟きます。でも、それってあたしもすっごい同感です。


「あ、此処良さそう!はやくはやく!」


そうこうしてる内に、エリーティアさんが一軒のお店の中に入って、入口からあたし達を呼びます。

そのお店は、どちらかと言うと料理屋さんって感じではなくって、まんま居酒屋さんって感じです。

今まで、そういったお店に入ったことの無いあたしは、ちょっと躊躇するんですけど、ユーナさんは嬉々としてお店に入って行っちゃいました。


そりゃぁお酒を飲もうっていうのが主旨だったのでしょうけど、もっとオシャレなお店とかがいくらでもあるのになぁ。


あたしは、そのお店の少し先にある綺麗なレンガ造りのお店をチラッとみて、でも、諦めて居酒屋さんに入りました。

あ、ちなみにもちろんルンも一緒ですよ!


「おじさん!大人しい犬だから問題ないよね?」


お店の中では、さっそくユーナさん達がお店のおじさん?と交渉しています。


「いやぁ動物はなぁ、一応うちは食べ物屋だからよ、できたら遠慮したいんだが」


「隅の方にいますから、そこをちょっと御願いできませんか?」


「むう、まぁエルフがうちで食べてったって言えば箔はつくわなぁ」


「でしょ?仲間内にも宣伝しとくからさぁ」


う~~、お二人ともなんか生き生きしてますね。結局、隅の方に席を作ってもらえました。でも、ルンの大きさをみて絶句してたような気がするのは気のせいですよね?


その後、ルンにはお肉の塊を貰って、あたし達は適当に料理を注文します。

机の上に並べられた料理は、そのまんまお酒の肴です。西洋料理でも地中海料理でもありません。あたしは、ちょっと物悲しそうな目で二人を見ました。でも、二人はお酒を選ぶのに夢中でこっちを全然みていません。


「はぁ」


あたしはため息を零しながら、それでも未練を残しながらメニューを見ます。でも、はっきり言ってどんな料理なのか解らないものばかりでなんとも成りません。

そんなあたしを置き去りにして、お酒のメニューを見ていたエリーティアさんが突然こっちを見ました。


「そういえば、キュアリーさんってもしかしてお酒は初めて?」


「え?そうなの?」


二人の問いかけに、あたしは素直に頷きます。


「確か、まだ高校生だったものね?」


「え~~~若い!真面目に高校生だったんだ!」


「ユーナさん、初のお酒は何にしましょう?口当たりの良いのがいいかな?それとも定番でビール?」


二人は、一人オロオロとするあたしをすっごく楽しそうに覗き込みます。

そして、メニューを見ながら、色々なお酒の名前を言いますけど、あたしにはチンプンカンプンですよ!

でも、ほんとにお酒が好きなんだと思います、だから、決して嫌がらせをしてるんじゃなくって、あたしが飲める美味しいお酒を選んでくれているのが良くわかります。だから、もうお任せしちゃいました。


「う~~ん、悩みどころですねぇ、やっぱり果実酒系が一番口当たりよくない?」


「でも、カクテル系も悪くは無いですよ?オレンジベースとかだと口当たり良いし」


「でも、あれって初めてで飲みすぎちゃわない?口当たり良すぎて」


「あの、お二人は初めてお酒を飲んだときは何を飲まれたのですか?」


あたしは、二人の会話を聞きながら参考までにと聞いてみました。


「わたしはビールでしたね。ちょっと背伸びをしたくて自販機で買ってきてね」


その時を思い出したのか、懐かしそうにエリーティアさんは話してくれます。


「わたしもビールだった。友達の家に集まった時にみんなで勢いで飲んだ」


ユーナさんも同じように笑いながら答えてくれます。


「それでしたら、あたしもビールにします」


結局、あたしは何が良いのか判らないので、ビールを頼んでみました。

結局、3人ともまずはビールを頼みました。


ちなみに・・・・ビールはすっごく苦くて、ぜんぜん美味しくありませんでした。

その後、飲み物を甘いカクテルに変えてもらって、あたしはチビチビと舐める様に飲みながら、食べるのメインに変更します。なんでみんな美味しくも無いビールを飲むんでしょう?

机の上には、お芋の煮た物や、焼いたお魚などお酒のおつまみみたいな料理が次々と並べられます。

ユーナさん達は、お酒10に対して食事1か2の割合でしか料理を食べないので、机の上には料理が溢れそうになってきます。ついでに、お酒の空き瓶も溢れてきてますよ?


「ほら、キュアリーさん育ち盛りなんだから、どんどん食べてね」


「そうですよ、もっと食べないと大きくなれないですよ~」


「あの・・・もう結構戴いてるので、これ以上は」


「高校生が何言ってるのっよ~、きゃはは」


あの、ユーナさんもう酔っ払っていますよね?それに、あっちでは高校生でも、こっちではいったいどうなるのかな?まだ成長するのでしょうか?一部においてはぜひ御願いしたい気はしますけど。

あたしは、そんな事を思いながらエリーティアさんの胸をチラッと見つめました。


「そうですね~、まだ若いですからね、羨ましいですね~」


そして、エリーティアさんは、ジワジワとこっちに擦り寄って来るのです。何ででしょう?


「エリーティアさん、なんか目が据わっていません?ちょっと怖いんですけど」


「ふふふ、それはね、貴方を良く見るためよ」


「えっと、なんで両手をワキワキしてるんですか?」


「それはね、貴方を優しく撫でるためよ?」


あの、撫でるのにそんな怪しい動きはしませんよ?あと、なんで疑問系なんですか!

心の中でそんな突込みを入れている間に、エリーティアさんはあたしの真横にピタリと寄り添いました。


「な、なんでそんなにピッタリ引っ付くんですか?」


あたしが、真面目にちょっと怯えながらエリーティアさんを見ると、エリーティアさんは見ている人みんなが見惚れるような笑顔で答えたのです。


「ふふふ、それはね、貴方を食べちゃうため、かな?」


「ふぎゃ~~~!」


咄嗟に席を立って逃げようとするあたしを、エリーティアさんはしっかりと捕まえて逃がしてくれません。


「う~~ん、綺麗な肌よね~、若いわよね~」


「いえ!これはキャラクターを反映してますよ!だからみんなそんなに変わらないですよ!」


「そんな事ないわよ?ほら、ベースはきっと元々の体なのよ」


そう言ってあたしの顔や腕、太腿を撫でてきます。


「うわ~~ん、ユーナさん助け、て?」


いつの間にかエリーティアさんとは反対側にユーナさんが座っています。ついでですけど、ユーナさんの目も、心なしか据わってます?


「これは反則よ!不公平よ!まだ水を弾くよこの肌」


そう言って人の腕に水を垂らすユーナさん。


あ、駄目だ。ユーナさんも酔ってる、あたし・・・終わったかも?

両サイドをしっかりと固められて、身動きが出来なくなったあたしは、なんとか逃げようともがきます。

その時、何かエリーティアさんの横で声が聞こえました。


「よう、女3人で遊んでないでゴギャ!」


何か一瞬エリーティアさんの腕が動いたような気がしました。それと、誰かの悲鳴?が聞こえたような?

そんな事をまったく気にしないで、二人はあたしの事を触りまくりですよ。セクハラですよ。


「いいなぁ、こんなにピチピチだよ、ピチピチ」


「ユ、ユーナさん、アルルさんはどうなったんです?ほら、悩みがあるんですよね?」


あたしは、必死に状況を変えようとします。その時、また声が聞こえました。


「な、舐めやがって、痛い目をグギョ!」

「ホーク!き、きさまらブギャ!」


何か周りで叫び声や、倒れる音がします。でも、頭を動かせないので何が起きているのかぜんぜん解りません。


「ねぇ、何か起きてるよ?」


「ふふふ、大丈夫よ、お姉さんにまかせて」


「いいなぁ綺麗だなぁ」


駄目ですこの二人、このままだと真面目に何か危険な気がします。自分でなんとかしないと!


あ、酔いってヒールや浄化で消えるかもしれない!


あたしは、ふと思い立って、魔法を掛けようとしました。すると、


「キュアリーさん、ぜんぜん飲んでないのね?これ美味しいわよ。甘くて美味しいのよ」


そう言って、エリーティアさんがグラスのストローをあたしの口の中に突き出しました。

咄嗟の事で、あたしは呪文を唱えることが出来ないです。


「飲んでくれないなら口移しで飲ませちゃうわよ?」


とても、冗談では無くって本気に聞こえます。あたしは、必死にグラスの中のお酒をストローで飲みます。そうしながら、恐る恐るエリーティアさんを見上げると、エリーティアさんはニコニコ笑っています。


「あ、ずるいよ、わたしのも飲んで~」


何とか飲み終えようかという時、今度はユーナさんがグラスを差し出してきます。

涙目になりながら、あたしは今度はそっちのお酒を飲み始めました。


「お酒って楽しいよね~」


ユーナさんがニコニコ笑いながらあたしを見ます。

引き攣った笑顔を浮かべながら、あたしはストローを咥えたまま頷きました。でもなんだか周りがグルグル回っています。


「あ、これも美味しいお酒だよ~」


更にお酒が・・・


あたしが、最後に覚えてるのは目の前でニッコリ笑う6人のエリーティアさんとユーナさんでした。

飲みすぎには注意しましょうね!

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