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4-9:ナイガラ滞在編9

章の数字をご指摘いただいたように大文字数字に統一しました。


又、この4-9では文章の書き方を変更しています。

今まで、ある程度目処がつくまではと変更していなかった主人公の思ったことを括弧にする。といった所を無くしてみました。


このナイガラ編が終了した所で、今までの文章を大幅に見直す予定です。

誤字ご指摘ありがとうございます。訂正しました。

あたしは、コヒナさんが帰って一人になった後、今作れる物を把握する為に所持品の再確認を行いました。

所持品枠は素材枠で50種類、道具装備枠で50種類の計100種類しかありません。この為、すぐに使う必要の無い者は家の道具箱の中に収めてきていました。


う~ん、道具箱がほしい・・・


あたしはそう思いますが、無い物はしょうがありません。とりあえずある物で何が作れるかが問題なのです。

作れる物を考えながら、所持品を整理をします。でも、流石に普段持っているもので作るとなると色々と制限されてしまいます。


いざとなると作れるものがないなぁ・・・・どうせ作るなら戦闘のときに助けになるものが良いよね?


そう思うと一層作るものが制限されて困ってしまいます。


魔法石、精霊石はまだあるし、鉄鉱石、紅蓮石、ミスリル鉱石などコルトの森の奥で採れるアイテムはだいたい揃ってる。そうすると、作れるものは自然とコルトの森で作ったことのある物が主流になってきてしまいます。

でも、あの頃はPVPをあの場所で行うなんて考えてなかったから、今ひとつ琴線に触れる物が思い浮かびません。

むぅぅ、これは困ったかもしれない・・・そんな思いで悩みだしてあっという間に1時間が経過してしまいました。

ヌイグルミ達の装備を作るのでもいいけど、それだとありきたりになりますし・・・

そんな事を思いながら、所持品の整理をしていると・・・ふとある一つの素材が結構溜まっている事に気がつきました。


あれ?これってはじめの頃に意味も無く集めて、その後放置してた素材だ!

あたしは、その素材で作れるアイテムで一つ思いついた物がありました。


うん、これならある意味みんなの役に立つかな?これなら必要なのは鉄鉱石と銅鉱石、火炎石だけで作れるから。


あたしは、そのアイテムに必要な素材を机に並べ、火炎石を炉の中に入れました。


◆◆◆



気がつくと朝になっていたようです。

思わず、幾つか追加して製作していて時間が飛ぶように過ぎていったみたいです。


う~ん、製作とかし始めると自然と夜型生活になっちゃうんだよね・・・気をつけないと・・・


そんな事を思いながら、完成したアイテムを所持品に収めます。


あたしが、部屋を片付けているとルンが鼻を鳴らして起き上がりました。


「お腹空いたね、ご飯食べに行こうか」


「ヴォン!」


ルンと連れ立って行政府の食堂に行くと、そこにはユパさんとコヒナさんも食事をしています。

あたしと、ルンが食堂に入った途端、食事をされていた人達が一斉にこちらを向きます。

でも、これもここ数日で慣れました。あたしは定席となった右端の席に座って朝食が来るのを待ちます。

ちなみに、朝食は種類はパンとハムエッグ、サラダの一種類だけですので特に選ぶ必要はありません。

ルンは特別にお肉が用意してもらっています。これはユパさんのご好意ですね。


「あ、ユパさん、コヒナさんおはようございます」


ユパさん達もこちらに気がついて、朝食のトレーを持ったまま移動してきました。


「キュアリーさんおはようございます」

「おはようございます!」


二人は、あたしの前の席に座ると、あたしの顔をまじまじと見つめてきます。


「な、なんでしょう?」


「キュアリーさん目が真っ赤だけど、昨日ちゃんと寝た?」


コヒナさんは心配そうに聞いてきます。


う・・・そんなに顔に出てるかなぁ?色々作れてどちらかと言うとストレス発散出来た気分なのに・・・


「大丈夫ですよ、あ、それと食事が終わったら二人に見せたいものがあるので、訓練所までご一緒していただけませんか?」


「はぁ、10時までに終わるのでしたら、特に問題はありませんが。10時から会議がありますので」


「わたしもいいですよ、どっちみち訓練所行きですから」


二人の返事を受けて、あたしは急いで朝食を食べ訓練所へ向かいました。


訓練所は、朝も早くからすでに数人の人が訓練を始めています。

基本は素振りと型の反復練習だそうです。魔法は結界で遮断された別の場所で行われているそうです。


「で、キュアリーさんは何を作ったんですか?」


興味津々でコヒナさんが尋ねて来ます。


「えっと、昔MMOを始めた頃に自分も使ってたっていうか使われてた物なんですけど・・・」


そう言ってあたしはみんなの前に3種類のメダルを差し出しました。


「ん?これは何?」


ユパさんは、差し出したメダルのうち1枚を受け取り眺めます。


「混沌の銅メダル?」


その様子にあたしは、あれ?って思いました。


「もしかして使われたことないですか?」


「見たこと無いね、コヒナは?」


「わたしも始めて見ます。名前も聞いたこと無いですね」


あたしは、みんな普通に使ってると思っていたので、二人の反応にびっくりしました。


「え?これって初心者のLv上げに使いますよね?あたしこれでLv上げてましたよ?」


「「はぁ?」」


未だに要領を得ない二人を前に、論より証拠とあたしは訓練所の真中へと歩いていき、その場で銅のメダルを使用しました。でも、他の人からはきっとあたしがメダルを地面に叩きつけたように見えたと思います。

メダルは、地面に叩きつけられると周囲に光を放ち消え去りました。そして、その後には1匹の魔物が出現しています。


「あ、こうやって魔物を召還する道具ですよ?ほんとに使ったこと無いです?」


あたしは、そう言ってみんなの方を見ると、ユパさんも、コヒナさんも、そして、周りで訓練していた人達も同様に口を開けたまま呆然とこちらを見ています。


あれ?・・・なんか反応がない・・・?


あたしが、みんなを見ていると、あたしの足元では出現したビッグマウスがガジガジと人の足を齧ろうとしています。でも、ATK値に対してDEF値が高すぎるので傷一つつきません。


この子どうしましょう?あたしが、そのビッグマウスをどうしようかと見下ろすと、ルンが走ってきて嬉々として噛み付きました。


「プギャ!」


ルンの一で噛みであっさりと倒されたビッグマウスは、そのままルンのお腹の中へと消えていきます。


「ヴォン!」


久しぶりに自分で狩が出来たからでしょうか、ルンはすっごくご機嫌です。尻尾がグルングルンしてます。

その様子を見ていたユパさんが、やっと気を取り直してこちらへ歩いてきました。


「キュアリーさん、つまりそのメダルはモンスター召喚用のメダルという事ですか?」


「はい、昔MMOの時に入ってたギルドでは、このメダルを使ってLv上げをさせられたんですけど普通は違うんですか?」


「はい、モンスターを呼び出すメダルなんて始めて知りました。攻略サイトでも見たことがないです」


「え?でも良く街中でMOB召喚しませんでした?ほら、お祝いのときにメダル使ってMOB祭りとか・・・」


「あ~~~、あのすっごい迷惑な街中のMOB大量発生ってこれだったの!」


あたしの説明に、突然コヒナさんが叫びました。


「あれで何回も死んだんだよ!街中でちょっと放置してて、戻ったらひき殺されてて!」


あ、えっと・・・・最初に所属してたギルドでは日常的にメダル砕いてた記憶があるのですが・・・


コヒナさんがじ~~~っとあたしを睨んできます。


「つ・ま・り、あれってキュアリーさん達の仕業だったんですね?」


「え、えっと・・・・全部がそうと決まっている訳では・・・・」


あたしは、コヒナさんの追求をなんとか逃れようとメダルの説明を続ける事にしました。


「そ、それで、このメダルなんですけど、銅なら初級、鉄なら中級、金なら上級クラスのMOBを召喚する事が出来るんです。それぞれの等級のどのMOBが出るかは運なんですけどね。前に金でドラゴン呼んでギルメンみんな壊滅した事もあるので呼ぶときは注意が必要ですけ、ど・・・・」


あたしは説明を聞く二人の顔が、だんだんと無表情になって行くので説明をしながら冷や汗が流れ始めました。


「ほう、それは大変だ、ドラゴンですか・・・・」


「うんうん、ドラゴンですからね~、あの時はうちらも意味もわからず壊滅しましたよね・・・」


「ああ、あの王都テロは忘れることも出来ないな」


「もう少しでLvが上がるって喜んでた最中のデスペナルティー貰いましたからねぇ」


二人が更にこっちへ近づいてきます。あたしは、咄嗟に逃げ出そうと二人に背を向けました。でも、その判断はあまりに遅かったのです。


「キュアリーさん、ちょっとMMOにおけるマナーについて話し合いましょうか」


「さぁ、あっちの部屋でじっくり話をしましょうね」


コヒナさんの指差す方向には・・・・取り調べ室の札が掛かっていました。


「あ、あの・・・・じ、時効を主張します!」


「「却下!」」


「うわ~~~~ん」


その日、ユパさんは会議に大幅に遅刻したそうです。でも、ユパさんは遅刻であるにも関わらず、その表情はとても晴れ晴れとしていたそうです。その為、出席者から強い抗議を受けたみたい。

又、その日の午後、訓練中の騎士達が、取調べの一室を覗くと、ぐったりと机に突っ伏して眠るあたしの姿がありました。



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