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4-8:ナイガラ滞在編8

誤字のご指摘ありがとうございます。訂正しました。

あたしは、とりあえず鍛冶の出来る工房の手配をコヒナさんに頼んで、ひとまずヌイグルミを作っていた部屋に戻りました。

そして、しばらくはヌイグルミ作りを休憩して、他の手伝いをする旨を伝えました。

おばさんたちは、裁断した材料分だけはとりあえずおばさんたちだけでヌイグルミにして、あとであたしがそのヌイグルミを評価、可能なら守護者へと付加する事になりました。

それ以降はそれぞれ他の場所へ手伝いに行ってもらう事にして、あたしはコヒナさんが来るまでにすでに完成している守護者を所持品の中に格納しました。


「あ、キュアリーさん!場所の確保が出来ました!」


作業が丁度一段落した時にコヒナさんがあたしを呼びに来ました。そして、鍛冶工房へと連れてってくれるとの事で、あたしはルンと連れ立ってコヒナさんに着いていきました。


「あら?鍛冶工房に行くんですよね?何で外に行かないで地下に向かってるの?」


コヒナさんは、行政府から出る事無く地下へと案内をしてくれます。そして、地下の一室の前にユパさんを含め数人の人が何やら作業をしています。


「連れてきたよ~~」


コヒナさんがその人達に声を掛けます。


「キュアリーさん、もうちょっと待ってもらえるかな?今急いで準備をしているので」


ユパさんはそう言いながら、あたしを部屋の中に案内してくれます。そして、そこでは既に何人かの人が金槌を手に鍛造作業を行っていました。


「あれ?この部屋は?」


「ああ、ここは先日ギルドメンバーの鍛冶Lv上げの為に作った工房なんです。ただ、武器や防具の製造を行政府が行うのは何かと誤解を生みそうなので、こっそり地下に工房を作らせたんですけど、この際それを活用しようかと」


「はぁ・・・それでは今作業されてる人たちは?」


「ラビットのメンバーですね。一応こっちに来てるメンバーで今の部屋を更に拡張して、高機能魔法炉を設置させています。出来るだけ情報の拡散を防ぐ為にも、うちのメンバーだけで作業を行っています」


一通りの作業が終わると、ユパさんとコヒナさんを残して、みんな部屋から退出していきました。


「行政府内ですから、まず襲撃などは起きないと思っていますが用心するに越したこと無いですしね。街中の工房を借り切る事も考えたんですが、色々と問題が起きそうでしたので」


「あ、はい。此処のほうが確かに安全です。ありがとうございます」


「いえ、それで、一応コヒナから報告を受けていますが、鍛冶Lvが55って本当ですか?」


「ちょっとユパさん、わたしは嘘言ってないって」


コヒナさんがちょっとユパさんを睨みます。あたしは、苦笑を浮かべながら答えました。


「はい、Lv50+5です。素ではLv50ですけど」


「はぁキュアリーさんは称号持ちだったんですね・・・この事は団長達は知ってますか?」


「いえ・・・トモエさん達推定淑女のメンバーは知ってますけど、ほかで知ってるのは数人です。その数人もここに転移してるかどうかは」


あたしの答えにユパさんは少し複雑そうな顔をしました。


「それで、鍛冶Lv55である事は団長に話しても良いのでしょうか?それとも・・・」


ユパさんが言いたいことはだいたい理解できます。そして、今この世界でLv50を越える鍛冶士の存在がどういう影響を与えるのかも想像ですが出来ます。


あたしは、静かにユパさんに頷きました。それでも、ユパさんはまだ躊躇しているようです。


「団長に話すという事は、現国王の秋津嶋さんにも話すという事になります。それでも?」


「はい、もしかしたら後悔するかもですけど、それでももう隠さないって決めましたから。自分が手伝うことで、みんなが死ぬ可能性が少しでも少なくなるならって」


ユパさんは、静かに頷きました。


「あ、でも誰彼構わずっていうのは止めてくださいね」


「もちろんですよ」


あたしの言葉にユパさんは頷きました。


そして、おもむろに剣を取り出して両手であたしの前に差し出します。


「それで、確認がてらっていうのは変なんですが、これをまずお願いしてもいいでしょうか?」


あたしは、その差し出された剣を両手で受け取りました。


紅蓮剣:両手持ちバスターソード 強化Lv10  ATK+250、STR+100、VIT+100 、追加攻撃:火+100、火攻撃耐性+50


(うわぁ紅蓮剣だぁ・・・始めてみた・・・・)


あたしは手渡された剣の凄さにただ驚きました。


(これってレア中のレアだよね?すごいなぁ・・・えっ?・・・・耐久 2/200?)


あたしが、そっとユパさんを見ると、ユパさんは突然ニヤッっと笑って、


「いやぁまた紅蓮剣が使えるようになるなんて夢のようです。ありがたやありがたや」


そう言うと、今までの雰囲気ぶち壊しであたしを拝みはじめました。


「ユパさんずるい!最初はわたしのを回復してもらうつもりだったのに!」


「いいじゃないか、わたしだって早く回復して欲しいのだから、とりあえず防具の紅蓮装備もあるのでよろしくです!」


「ユパさん?」


あたしは笑顔でユパさんを見ながらじ~~っと睨み付けます。でも、あくまで顔は笑顔のままです。


「ええっと・・・・はい・・・コヒナの後でいいです・・・」


シュンっとした顔で剣を受け取ろうとします。


「もう、キュアリーさんまずその紅蓮剣回復してあげてください、わたしのは後でいいです」


呆れた顔でコヒナさんがあたしに言いました。あたしは、思わず噴出します。


(いいコンビだなぁ・・・)


あたしは、紅蓮剣の耐久回復を行うため、金床と槌を取り出しながら聞きます。


「もう!仕方ないですね、回復用の材料は持ってますよね?」


「もちろんです。耐久回復用の材料は常に用意しておくのが常識ですから」


そう言って、嬉しそうに机の上に材料を並べ始めました。


紅蓮鉱石や、火炎石など材料を一通り受け取って、あたしは耐久回復スキルを使います。


(料理だと作る方法が頭に浮かんで、それで作業をするって感じだったけど鍛冶だとどうなるのかな?)


MMOとこちらでの大きな違いは作業が実際に発生する所です。

鍛冶だと金槌を使うのかな?って思ったら、手が勝手に魔法炉の中に火炎石を入れて火を点けました。


(う・・・勝手に体が動くから楽は楽なんだけど変な感じ・・・)


その後、燃え上がった炉の中に紅蓮鉱石を溶かして、そこに剣を入れてと、冷静に考えると変な作業を加えて、最後はやっぱり槌でカンカン叩きます。そして、最後に研磨石で研磨し終わったら完成です。

完成までに、時間で約30分ぐらいかかりました。


(う~~ん、微妙・・・)


とりあえず出来上がった紅蓮剣を見ると、きちんと耐久が回復していました。


「できましたよ~~」


ユパさんとコヒナさんは最初は真剣に眺めていたのですが、気がつくと眠っていました。


「あ、すいません。いつの間にか眠り込んでしまって」


「わたしも・・・・」


「あ、気にしなくていいですよ、お二人とも此処の所ほとんど休んでないって聞いてますし」


そう言って完成したばかりの紅蓮剣をユパさんに渡しました。


「おおお!回復してる!」


剣のステータスを確認したユパさんは、それこそすっごい嬉しそうです。


(なんか見ているこっちが嬉しくなってきちゃう)


その後、ユパさんの紅蓮装備のプレート、兜。籠手、グリーブをまず順番に回復させました。

そして、1個の回復に約30分掛かる事がわかりました。


「思いのほか時間が掛かりますね」


「どうかなぁ?逆に掛かってない方かも?」


「それでも一人の装備で武器込みで5箇所、盾を含むと6箇所ありますからね2時間半から3時間だと1日良くて3人の装備となりますね」


「あ、そうですね・・・キュアリーさんの負担が大きいですね」


(あ、そうかぁ、1日中ここに篭って作業は遠慮したいなぁ)


あたしは、ユパさんの指摘にそう思いました。


「キュアリーさん、回復してもらってすぐ立ち去るのも申し訳ないのですが、そろそろ戻らないと叱られそうなので、あとは何かあったらコヒナにお願いします」


「あ、わかりました。2時間半もここにいましたもんね、仕事溜まってそう」


あたしの言葉に苦笑を浮かべながらユパさんは戻っていきました。

戻り際に、今度お礼を持ってきますとの事で何を貰えるのかすっごく楽しみになりました。


その後、コヒナさんが遠慮するところを強引に耐久回復作業を継続しました。

コヒナさんは前衛職なのでフル装備6点です。途中、夕飯を持ってきてくれて、雑談交じりの作業だったので気がつくと4時間が経過しての作業終了となりました。


「わぁ~~~久しぶりのこの装備!すっごい嬉しいです!キュアリーさんすっごく感謝!」


(コヒナさんは白虎装備だったんですね、正に白い美人騎士って感じでカッコいいです!」


「ふぅ、今日はこれで終了ですね、あ、あたしはもう少し遊んでいきますからコヒナさんは戻っていいですよ?」


「う~~ん、一人は危険ではないですか?」


「ルンもいますし、大丈夫ですよ?あ、でもルンの散歩行ってない!」


あたしがそう言うと、コヒナさんがユパさんと居るときにコヒナさんが連れてってくれていたそうです。


「が~~ん!ぜんぜん気がつかなかった!」


「集中されてたんですし、仕方ないですよ」


そうコヒナさんが言ってくれるんですけど、まさか体が勝手に動いてたので特に集中していなかったとは言えませんでした。


(でも、ぜんぜん気がつかなかったって事はもしかしてあれでも集中してたのかな?)


あたしが、集中して周りの事に気がつかない可能性があるので、コヒナさんが余計に心配してくれたのですが、扉の所にヌイグルミの守護者の2体置くことで話がつきました。


「わたしは仕事に戻りますけど、キュアリーさん無理しないでくださいね!」


そう言葉を残してコヒナさんはお仕事に戻っていきました。


(う~~ん、でもせっかく工房を貰ったのですし、ここで遊ばなくてどうする!ですよね?)

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