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4-6:ナイガラ滞在編6

相変わらず、なんか進もうとする方向から逸れていきます。

次回はキュアリーさんが製造で大活躍・・・・するかなぁ・・・


間違いのご指摘ありがとうございます。訂正しました。

若干戦闘シーンの文章を訂正しました。これで解りやすくなってるといいのですが・・・


誤字訂正しました。ご指摘ありがとうございます。

兵士の人は、あたしがエルフだという事に気がついてちょっと吃驚した表情を浮かべました。

でも、今回の戦いではエルフと協力している事もあって、特に警戒される事も無く話をしてくれました。

今作られている剣は、現在騎士団の訓練所で訓練している兵士達に支給されるそうです。訓練では、最初は木の剣で練習して、ある程度錬度が上がるとこの鉄の剣へと換えていくのだそうです。

ただ、これ以上の武器は個人が自分で購入するなら別ですが、基本的には実際の戦闘でも使用され、又、現在武器の値段は跳ね上がって来ているそうで、中々新兵では個人での購入も難しい事など、丁寧に教えてくれました。


「あ、キュアリーさんお手伝いありがとうございました」


「いえいえ~、レベッカさんはこの後も剣を運ぶんですか?」


「いえ、詰め所にあったのはあれで全部なので、とりあえずはこれで終わりです。この後は一応連絡員として行政府に詰める感じになります」


「あ、そうなんですね。あたしはちょっと騎士団の訓練所を見てきます。どういった訓練をしているのか興味もありますし」


「あ、はい解りました。えっと・・・誰か護衛に付けます?」


「大丈夫です、あたしこれでもそこそこ強いんですから」


あたしは笑って工房を後にしました。


(この機会にちょっと市場とかも見てみようかな?)


あたしは、騎士団の訓練所に向かって歩きながらそんな事を思っていました。

街の中は、至る所に兵士の格好をした人が走り回っています。街の人たちも、どちらかといえば駆け足で移動しています。


(のんびり歩いている人はすくないなぁ・・・)


あたしは、周りを見回しながら歩いていると、目の前の店でなにか人だかりが発生しています。


(ん?何かな?人気店?)


そんな事を思いながら露天に近づくと、そこは武器を売るお店だったようです。

ちょっと窓から中を覗くと、3人の兵士の人が何か言い争っています。


「おい、なんで研ぎだけに3kもかかるんだよ!」


「馬鹿いっちゃいけないよ!今材料が高騰しててこれでもギリギリの値段なんだ!嫌なら他所へいきな!」


「そっちこそ馬鹿言うな!価格は行政府が統括している!」


「はっ!何も知らない役人に何が!価格統制なんざしたら市場に物資が出回らなくなる事がわからんのかね!おかげでこっちはまともに材料が手に入らないんだ!」


「なんだと!この非常時に貴様ら何やってるんだ!」


「おいおい、俺達は真っ当な商売をしてるんだ、それにケチ付けるのは辞めてもらおうか」


「戦争になるかもしれない時に価格を3倍に吊り上げるのが真っ当か!」


「はっ!価格って言うのは需要と供給で決まるんだ、嫌なら他で頼むんだな」


「「「貴様~~~」」」


3人の兵士の人が剣の柄に手をかけました。それと同時に、武器屋と思われる男の傍に片手に剣を持った男が守るように現れます。


「なんだ貴様!」


「兵士さんよ~、俺達は用心棒って所かね?まぁ悪いことは言わねぇから止めときな、あんたらじゃ俺達には敵わんよ」


男はニヤニヤ笑いながら兵士3人を威圧します。あたしが見たところでも明らかに男達のほうが強そうです。


「く・・・・」


それでも兵士達は怒りが収まらないのか、中々引き上げる事ができないようです。


(ん?違う・・・これってあの男がわざと威圧してる?)


少しずつですけど、男から発する殺気のようなものが多くなり始めています。そして、これは相手を退散させる為ではなくって、どちらかというと追い詰めている感じです。

周りで見ていた人達は、顔を青くして後ろに下がり始め、いつの間にか兵士の周りには誰も居なくなっていました。


(これはまずい?でも、なぜわざわざ騒動を起こそうとするんだろ?)


あたしは、そう思って愛用のメイスを手にして店の中に足を踏み入れました。

もちろん、戦闘になる可能性を意識して付加を自分にかけています。


「何か物騒な事になってるね、貴方達下がりなさい」


あたしは、兵士達の前に出て、男達を睨み付けました。


「おやおや、耳長のお出ましか、なんだい、あんたが相手してくれるっていうのか?」


男は一層圧力をかけて来ます。そして、その視線は明らかにあたしに対して侮蔑の色が強く出ていました。そして、あたしはその男を見ながら、先日襲撃してきた男を思い浮かべました。


「ユーステリアの兵士がなんでこんなところでえらっそうにしてるのかしら?」


あたしは、相手にカマをかけてみました。すると、今までニヤニヤ笑っていた男の顔から笑みがきえました。


「おい、耳長!人聞きの悪い事を言わないでもらおうか」


「あら?そう?あなたこそなんでばれないと思ったの?これだけ騒ぎを大きくしてユーステリアも碌な兵士がいないようね」


あたしの会話に、先ほどの3人は驚いた様子で剣を抜きました。


「エルフ殿、この男は本当にユーステリアの間者ですか?!」


「ええ、間違いないわね」


あたしが断言すると、男は無言で剣を引き抜きました。


「は、耳長ごときにバレるとはな、確かに失敗したぜ。まぁいい、耳長を一匹浄化してとんずらさせてもらうさ」


そう言うと、男は一瞬にして間合いを縮め、剣を真横から切り払ってきました。あたしは、予め手に持っていたメイスの柄の部分でその剣を受け止め、すかさず持ち手を変えて何時もの様に足を払いにいきます。


「くそ!」


男はそのまま横を走りぬけました。しかし、あたしのメイスが足を払いに来たため、すり抜ける事が出来ずにうしろに飛び退りました。


「ごめんなさいね、逃がすわけにはいかないの」


あたしはそう言ってメイスを手元に引き寄せ、打ち下ろしの体勢で前に出ます。


男は、とっさに横に居た武器屋をあたしの方に突き飛ばします。


「う、うわぁ~~~」


あたしは、こちらに向かってくる武器屋をとっさに払いのけました。でも、その瞬間を狙っていた剣先が目の前に飛び込んできました。

その剣先を不安定な体勢のままなんとかメイスで受け止めたのですが、男は再度突きをはなってきました。


「はっ!」


あたしは、メイスを右手一本で振り回して、その反動でなんとか体を捻って剣先を回避します。

でも、その瞬間に再度渾身の突きが放たれ、メイスを持つ右手が切り払われました。

そして、あたしは利き腕を切られた為、メイスは手を放離れ壁に突き刺さります。


「ふ、耳長ごときが人間様に逆らうからさ、くたばりな!」


男は、再度先ほどと同様の突きを放ってきます。

あたしは、切られた右手をそのままにとっさに防御の呪文を唱えます。


障壁アスビダ!」


剣先が障壁に激突して、男が勢いのまま跳ね返されます。


「ヒール!」


あたしは、すぐに自分にヒールをかけ、男から距離を取りました。


「くそ!ヒーラーかよ!」


障壁のおかげで攻撃される事がなくなった一瞬の合間に、あたしは急いでエンジェルリングを唱えました。

その男も障壁に向かってスラッシュを発動して障壁を壊しにかかります。


「ホーリーサンダー!」


でも、その障壁を壊しきる前にあたしの唱えたホーリーサンダーが男を貫きました。

男の体の中心に稲妻の通った穴がぽっかりと空いています。

男は、その穴を見つめて、何か言おうとしたみたいですが、口から血を吹き出して何も言えずに倒れました。


「はぁ、はぁ・・・」


あたしは、ヒールで回復させた腕をまだ押さえながら、その男を眺めていました。

今までの襲撃者と違い、その男は消えることなくその場に倒れて血を流し続けています。


(あ、あたし・・・・)


今までと違い、目の前に自分が殺してしまった男が倒れている、この事にあたしは動揺していました。

あたしは、男から視線を逸らして、手放した勢いのまま壁に突き刺さっていたメイスを引き抜きました。

そして、その傍に倒れていた武器屋と目が合いました。


「ひっ!・・・お、おれは何もしらない!ユーステリアなんて知らない!」


あたしが、じっと見つめていると、武器屋はじりじりと後ずさりしながら、しきりに同じ言葉を繰り返しています。

その時、武器屋の入り口から数人の兵士がなだれ込んできました。


「キュアリーさん!無事ですか!」


その先頭には武器を構えたコヒナさんがいました。


「ひぃぃ~~、た、助けてくれ!」


武器屋がなだれ込んできた兵士にしがみ付いています。コヒナさんはあたしと、周りの状況から戦闘が終了している事を確認してほっと肩をなでおろしています。


「コヒナ教官!」


入り口に居た3人の兵士がコヒナさんに急いで直立不動で敬礼をしています。


「はぁ・・・・、うん、とりあえず無事かな?」


あたしはやっと緊張を解いてコヒナさんに引き攣った顔で挨拶をしました。

その後、後から来た兵士達に後始末をお願いして、あたしとコヒナさんは騎士団詰所へと向かいました。そして、そこで先程の出来事を説明します。きっかけの3人の兵士達も同様です。


「むぅぅ、そんな事があったんですか。それにしても、ユーステリアの間諜はどれ程潜り込んでいるのでしょう・・・」


コヒナさんは難しい顔で考え込んでいます。


「うん、それにしても、さっきの男もあっさりと間諜なのを白状したし、態度もあからさまだったし、それ程脅威に感じることは無いのかな?」


「いえ、今回はキュアリーさんがいたからこれで済んでますけど、もしこの兵士達だけだったら殺されてたと思います。それに、こっちから斬り付けていればこちらに非がある事にもなったと思います。そうすると、商業組合を敵に回す可能性もありましたから、結構危ない場面だったかと・・・」


コヒナさんの説明を聞いて、そういう考えもあるのかと思いました。


「コヒナさんすごい!そこまで考えてたんだね!」


「え!い、いえ・・・ほら、うちの副団長っていっつも考えすぎな所があるじゃないですか、そのせいであたしまで考えすぎる癖ができちゃったっていうか・・・」


コヒナさんは、顔を真っ赤にして照れています。


(うわ~~~、コヒナさん顔真っ赤です!)


コヒナさんは一連の報告を聞き終えた為、3人の兵士に退出の許可を出しました。すると、入れ替わりにユパさん達が部屋に入ってきました。


「コヒナ!何か騒動があったらしいな!」


入室と同時に、ユパさんはそう話を切り出しました。

今度は、コヒナさんがユパさんに今回の報告をすると、ユパさんは真剣な顔で連れてきていた兵士達に指示をだしました。


「お前達と新入り2対2の4人PTで街中を捜査しろ!特に商人組合を重点的にな!油断するなよ!」


命令を受けた兵士達が部屋を出て行くと、一転してユパさんは疲れたような表情を浮かべました。


「はぁ・・・どうやら商人組合が怪しいですねぇ。あそこはイグリアだけでなくユーステリアとの繋がりもあるでしょうし、お金になるなら国ですら裏切りかねませんから」


「え?でも、国が滅びたら大変な事になるんじゃ?」


「いえ、商人というのは国の存亡などより自分の利益を重視します。特にこの世界ではそれが顕著ですね。もともと戦乱が多いですし、あと一番大きいのは魔物の減少でしょうか」


「え?魔物の減少?」


あたしは、その意味がとっさに解りませんでした。

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