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4-5:ナイガラ滞在編5

文字を訂正しました。一部文章を訂正。誤字のご指摘ありがとうございます。


武器や防具のステータスが最初の頃と違うことに今気が付きました・・・

MMOの時と異界へ来てからが違うんです・・・たまたま読み返していて気がついちゃいました・・・・どこかで一度統一させますけど、とりあえずMMOと異界では違うという事で・・・・あぅ・・・

会議が行われた日から、ナイガラの街は異様な活気に包まれました。

領主の指示により、行政府において各住民のスキルの把握、そして、所持スキルを元にした製品の作成指導、街ぐるみでのスキル上げです。

王都からも、続々と人が集まってきます。有名どころのギルドはエルフの森に集まっているようです。

有名どころは基本的に転移者が中心となっているので、異種族に対する抵抗感がない為にエルフの森でも問題なく活動できるのです。この事から、自然と主力はエルフの森に集結している感じになっています。


この世界にいる人の中には、異種族への抵抗感や反感がある人がユーステリア以外にも多数いて、それに加えて実際にもユーステリアのスパイがいる可能性も否定できない為、イグリア籍でこの世界出身の冒険者などは基本的にナイガラの街へと集められています。


生産に関しては、初期ポーションなど比較的簡単に作れる物でも苦戦しているようです。又、生産ギルドが価格破壊だとか、領域侵犯だと騒いでいるそうで、更には素材や道具の価格を吊り上げようとする商人達も価格統制を行う行政府に対して反発が強く、ユパさんはその対応に追われているようです。


ナイガラ騎士団も編成が一変しました。

当初30名程しかいなかった騎士団も、現在では250名まで増えています。

王都からラビットラブリーのユパさんの指揮するフォースがそっくりそのまま移動してきました。

ちなみに、フォースっていうのは一つのPTが6人で、そのPTを4つ集めた単位になります。だから24名ですね。

その人達の合わせて、新規募集された新人さんが100名、王都で鍛えられていた入隊して1,2年目のまだどこにも所属していない団員が100名、そして、昔からこの街にいた団員さんを合わせて約250名です。

地方都市としては、この数は中々多いほうになるのですが、これから戦争となるとぜんぜん足りない数で、実際にナイガラが攻められた場合は、この街の広場にある転移陣で王都から兵士が送られてくる事になります。

転移陣は100人単位の転送が可能で、しかも行ったことの無い場所へも転移陣に設定されていれば問題なく送ることが出来ます。その為、戦争前にまずこの転移陣を破壊出来るかが大きく戦況に影響します。

今回もすでに転移陣の周辺はすごい警備が敷かれています。壊されると1日~10日は再度陣を作ることが出来なくなるそうですけど、理由は判っていないみたいです。


そして、あたしは今現在、せっせと縫い物をしています。

自分なりに、何をすればいいのかを考えたとき、まずは人が直接戦わないようにすればっていう結論に達したんです。それで、あたしはコヒナさんに材料を買い集めて貰ってせっせとヌイグルミ増産計画発動中です。


◆◆◆


ヌイグルミ増産計画を発動してから3日が過ぎました。

あたしは、今日も朝からヌイグルミの中に精霊石を詰めて魔力を注ぎこんでいます。


「はぁ・・・・生産数が伸びないなぁ・・・・・」


今のところ、縫製上げをしてる人達をお借りしてヌイグルミの裁断と縫製まではやっていただけるようになったんです。これで一気に数量を作れる!って考えたのですが、縫製の出来具合で精霊石と魔法石を入れても起動しなくて失敗する事がわかったので結局皮の裁断までしか御願いできませんでした。

この為、1日に50個くらいしか作れません。


あたしの呟きに周りに裁断をしているおばさん達が手を止めて話し掛けてきました。


「ごめんね~キュアリーさん、あたしらも縫製Lvはそこそこ高いつもりだったんだけどね」


「だよねぇ、バカ亭主やバカ息子の服を毎日のように繕ってるのにねぇ」


「まぁ専門では無いって事なんだろうけど、ヌイグルミなんかチャッチャと縫えるつもりだったんだけどね」


「いえ、手伝っていただけるだけで助かってます!」


本当に感謝しているんです。もし一人で全作業をしてたらって思うと気が遠くなります。


「それにしても、このヌイグルミはそんなに強いのかい?可愛いヌイグルミにしか見えないけどねぇ」


おばさん達は出来上がったヌイグルミを見て不思議そうにいいました。


「どうでしょうか?多分普通の兵士さん並の強さはあると思うんですけど・・・」


精霊石に魔法を付加させて、ヌイグルミの中央に固定しながらあたしは答えました。


「でも、お手伝いして頂いてて言うのも変なのですけど、みなさんは避難されないのですか?」


「まぁねぇ、長年此処で暮らしているから、今更何処かに避難しろって言われても困るさね」


「だねぇ、うちの亭主や息子も頑張ってるしね」


「まぁほんとに危なそうになったら逃げるよ」


みなさん笑いながらせっせと皮を裁断していきます。あたしも、それからしばらくは黙々とヌイグルミを縫いつづけました。

そろそろ夕方に近くなってきた時、あたしが作業をする為に借りた部屋の前で突然すごい音がしました。


「なんだい!あの音は!」


おばさんが慌てて扉を開けようとする所を、ルンが割って入りました。今まで、ヌイグルミに埋もれていた為、おばさん達は気がついていなかったみたいです。


「ひゃ!」


おばさんが尻餅をついて後ろに転がりました。


「あ!大丈夫ですか?」


あたしは、急いでおばさんを助け起こしながらルンを見ます。すると、ルンは扉の向こう側をじっと見つめていました。

この部屋は、結界石で保護をしています。最初は何もするつもりは無かったのですが、相手はハイドスキルを持っている為、長時間同じ場所にいると狙われやすくなると言われて結界石を作動させることにしていました。

そして、今回どうもその用心が実を結んだようです。


「ルン?どう?」


「ヴォン!」


まだルンは扉の外に向けて警戒しています。

そして、扉の外で何かが叩きつけられる音が複数回したあと、静かになりました。

ルンも扉の外に興味を無くした様で、またヌイグルミの山の中に潜り込んで行きます。


「え~~~っと・・・終わったのかな?でも、ルンは唸らなかったし・・・殺気もなかったよね?」


それに、この部屋は行政府の建物です。もし暗殺者が入り込んだとしたら大変な騒ぎになるはずです。

それなのに、先ほどの大きな音でも特に大きな騒ぎが起きた気配はありません。


「なんだったんだろ?」


あたしは、外を警戒しながら扉を開けました。するとそこには廊下に散らばる複数の剣とヌイグルミに押さえ込まれている女性がいました。


「むきゅぅ~~~~」


ヌイグルミはあたしが扉の前に一応配置しておいた守護者ガーディアンです。


「モフ君どうしたの?」


あたしは守護者に尋ねました。ちなみに、先日作った5体のガーディアンの内4体は名前を付けています。残り1体はコヒナさんにあげましたから。ちなみに、モフ君の名前は、外観がモフモフしているからモフ君です。


「・・・・・」


モフ君はじっとこっちを見ます。でも、残念ながら言葉は喋れないので右手を軽く上にあげて挨拶をしてくれます。


「襲撃者では無さそうですね」


あたしは床に散らばっている剣を1本手に取りました。


・錆びた剣 耐久1/50 ATK:+5(-4) STR:+3 AGI-1


他の剣も手にとって見ますが、どれも似たり寄ったりの性能です。


(これ、壊れる寸前の剣よね?)


「あの・・・そろそろ助けていただけると助かるのですが・・・」


あたしが、落ちている剣を調べていると、横っていうか下の方から声が聞こえました。


(あ、モフ君の下になってた人だ)


「あ、ごめんなさい、モフ君、その人放していいよ。」


あたしの指示で、モフ君はその人の上から退いてまた扉の前にトテトテと移動しました。


「あの、でもなんでモフ君に取り押さえられたんですか?」


特に敵意がなければ、守護者が動くはずがないので、あたしは確認しました。


「その・・・剣を抱えて走ってたら躓いて・・・剣をばら撒いてしまって、その内の一本がそのヌイグルミに当たっちゃったんです・・・」


「あ、攻撃認定されちゃったんですね・・・」


あたしは納得して、その女性を見つめました。20歳前後に見えるどちらかというとちょっとキツメに見える外見の女性です。


(これで、メガネでも架けていたら委員長って感じの人だなぁ・・・)


そんな事を思っていると、


「あ、初めまして!わたしは行政府事務官のレベッカといいます。エルフのキュアリーさんですよね?お噂はお聞きしています!」


「はい、キュアリーです。よろしくお願いします」


あたし達はお互いに頭を下げて挨拶を交わしました。


「あの、ところで噂ですか?」


「あ、はい!希代のヌイグルミ使いなんですよね!あのヌイグルミもそうですし、いいなぁ、ヌイグルミ達に囲まれた生活・・・憧れます!」


「えっと・・・・ヌイグルミ使い・・・・」


(う~ん、間違ってるような・・・間違ってないような?)


「はい!・・・あっ!さっき剣がぶつかってしまって!ヌイグルミさん壊れたり傷ついたりしてませんか!」


そう叫ぶと、モフ君に近づいてウロウロと回り始めます。


(まるで・・・おもちゃ屋さんで買って欲しいけど買ってもらえなくてウロウロしている子供みたい・・・)


更に失礼な感想を抱きながら、あたしは足元に散らばっている剣を集めます。


「あぁ~~~!」


突然の叫び声に吃驚してレベッカさんを見ると、


「ご、ごめんなさい!一人で拾わせてしまって!」


そう言ってレベッカさんは急いで残りの剣を拾いました。


「あの、一人で持つには多すぎるので運ぶの手伝いますね」


「あ、そんな、お手伝いさせる訳には・・・」


「ちょっと気分転換もしたいですし」


あたしはそう言うと、部屋の中に居るおばさん達にそう告げました。


「ルン、あなたは此処に居てね、大騒ぎになるといけないから」


「クゥゥン」


あたしがルンにそう言うと、ルンはちょっと悲しそうな声で鳴きました。


(う・・・・でも、ここで絆されてはダメ・・・)


「ルン、お留守番お願いね」


あたしはそう言うとレベッカさんと一緒に剣の配達に向かいました。

レベッカさんとお話しているうちに、なんと25歳である事が発覚したり、ましてや人妻で新婚ホヤホヤだったりと何か信じられない事をお聞きして、久しぶりになんか普通の会話を堪能してしまいました。


(絶対外見だと20歳くらいにしか見えないよね!)


そうしている内に辿り着いた所は、鍛冶工房でした。

鍛冶工房の槌を打ちつける騒音が辺りに響き渡って、扉を開けた時中から溢れ出した熱気の凄さに吃驚します。


(うわ~~鍛冶工房ってこんな感じなんだ、なんか思ってたのと違うなぁ・・・)


「おい!扉開けた奴!早く閉めろ、熱が逃げる!」


中からの怒鳴り声に、あたしとレベッカさんは急いで建物の中に入って扉を閉めました。


「あの~~、行政府の詰め所に有った剣を持ってきました」


レベッカさんが叫びますけど、周りの騒音に消されてまったく届いてないみたいです。


「あの!詰め所に有った剣持って来ました!」


レベッカさんが再度怒鳴るように言うと、ようやく手前で作業されていた人がこっちに歩いてきました。


「おう、すまんな!」


60歳ぐらいの如何にも親方!って感じの人です。


(この人も声が大きいなぁ、もしかして親方ってみんなこんな環境にいるから声が大きくなるのかなぁ)


「お、これが詰め所にあった剣か、どれどれ・・・」


親方さんは剣を一本一本確認していきます。


「あぁ、まぁ予想通りっていうかどれも手入れがぜんぜんされてないな」


そういうと、剣をまとめて机の上に積み上げました。


「あの?その剣どうするんですか?」


「ん?ああ研いで耐久を回復するのさ、今は1本でも多くの剣が欲しいからな」


周りを見回すと、何人もの人が剣を研いで居ます。


「鍛冶Lvの低い連中に研ぎを任せてるのさ。ある程度武器や鎧が作れる連中はそれぞれ奥で作ってるがな」


奥を見ると炎が至る所から立ち上っています。


(あれは炉かな?)


「珍しいかな?まぁエルフのあんたには縁のない場所かもしれんな」


親方さんは、そう言うと笑ってまた奥のほうへ歩いていきました。


「あの人すごいんですよ、王都から今回派遣された人なんですけど、元々王都にある古い鍛冶工房の親方さんなんです。今は王都の工房を息子さんに譲って隠居されてたそうなんですけど、今回こっちに応援に来て下さったんです」


あたしは、どんな武器が作られているのか見たくて、手近に置かれてあった作られたばかりの片手剣を手にとって見ます。


鉄のサーベル 耐久50/50 ATK:+5 STR:+3 AGI-1


(え~っと、これ初期装備の店売りの剣よね?店売りの剣ってこうやって作られてたのかな?)


あたしは、そう思ってそのほかの剣も見てみます。どれもみんな同じ物でした。


(えっと・・・初期装備で戦争するの?それともLv上げ用かな?)


そう思ってみていると、扉が開いて数人の兵士の方が入ってきました。


「親方!剣もらってくぞ!」


「おう、そこにあるから持ってってくれ!」


奥から親方さんの声が聞こえます。そして、あたしが今見ていた剣を持っていきます。


「あの、それって訓練用ですか?」


あたしは思わず聞いてしまいました。

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