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4-3:ナイガラ滞在編3

なんか話が変なほうに向かって進んじゃいました。

そして、変な所で次へと続きます・・・


誤字のご指摘ありがとうございます。

会話の文を少し訂正しました。ご指摘あった部分の言い回しを少し変えてみました。

それから、5日間ほどあたしは縫製に励みました。

コヒナさんにルンを庭で遊ばせて貰って、あたしはその間にせっせと縫製作業です。

時々、ユパさんに状況説明を聞くのですが、あまり状況は進展してはいないようです。


「よし!最後の1個完成!」


あたしは、最後のヌイグルミに魔力付与を行って、なんかやり遂げた満足感に浸りました。


(あ~~肩凝った~~スキルの連続使用ってすっごいメンタル的に疲れる・・・これがMP消費って事なのかなぁ・・・)


そんな事を思いながら、縫製道具を所持品に戻しました。


「うん、あとは・・・」


あたしは、ヌイグルミを作りながら思いついたルン用の装備を製作しはじめました。


(ルンも気をつけないと危険だよね?こないだみたいに襲われて戦闘になる事だってあるし)



所持品から、持っていた銀のプレートを取り出して細工道具で模様を書き込んでいきます。そして、小指くらいの魔法石をプレートに取り付けます。


「えっと、皮は柔らかいほうが良いから・・・」


ラグーラビットの毛皮を取り出して、裁断したあと丁寧に縫いつけていきます。そして、そこに銀のプレートを重ねて縫い付けました。


「よし、これでいいかな?あとは魔法石に魔力を込めて・・・固定化をして・・・よし、出来た!」


あたしは、出来上がったルン用ネックガードを眺めました。


ネックガード: 獣用装備 VIT+5、DEC+5、AGI+10 オートガードLv1


「うん、こんなものかな?」


あたしは出来上がったネックガードを持ってルンのいる庭へと歩いていきました。


あたしが、庭に着くとルンがあたしに気がついて走ってきました。


「ヴォン!」


頭を撫でてあげると嬉しそうに尻尾をぐるぐる回します。

ルンの後ろから、少し慌てたようにコヒナさんが走ってきました。


「あ、キュアリーさんヌイグルミ作りはもう終わったのですか?」


「はい、今終わったところです。ルンの世話ありがとうございました」


「いえ、あたしも楽しんでいましたから」


「あ、良ければコヒナさん、これ貰ってください」


あたしは、そう言ってルンに似せたヌイグルミをコヒナさんに見せました。


「うわぁ!ルンそっくりです。貰っちゃっていいの?」


「うん、お世話になりましたし」


あたしが、ルンのヌイグルミを差し出すと嬉しそうに受け取りました。


「うれしいなぁ、こっちに来てヌイグルミって買ったことなかったので」


嬉しそうに話しながらヌイグルミの顔を覗き込んでいたコヒナさんが怪訝な顔をしました。


「あの・・・もしかして、この目って魔法石ですか?」


「うん、一応その子は守護者ガーディアンなんです。強さも大体普通のルーンウルフくらいの強さはあると思います」


あたしの説明にコヒナさんはしばらく硬直していました。


「えっと・・・・も、貰っちゃって良いのですか?」


「うん、その為に作ったんだし」


「ありがとうございます・・・」


そう言いながらコヒナさんはルンのヌイグルミを逆さまにしたりと調べ始めました。

あたしは、先ほど作ったネックガードを取り出すと、今度はルンにネックガードを付け始めました。


「あの、それは?」


「ルンがもしかしたら戦いに巻き込まれるかもしれないからネックガードを作ってみたんです」


「はぁ・・・・」


コヒナさんの持っているヌイグルミにやたらと興味を示すルンを押さえながら、あたしは前に付けていた首輪を外して、首にネックガードを付けました。


「う~ん、この首輪はどうしようかなぁ・・・一応守護Lv1は付いてるしなぁ」


あたしが、前に付けていた首輪を手に持って悩んでいると、横から強い視線を感じました。そして、横を向くとコヒナさんがシゲシゲとその首輪を眺めています。


「あの、キュアリーさんその首輪いらないのならあたしに売ってもらえませんか?」


「え?首輪するの?」


「え!ち、違いますよ!ルン君の首に巻いてたのであれば、あたしのベルトでいけないかなって思ったんです!」


コヒナさんは顔を真っ赤にして否定します。あたしも、思わず言ってしまった事に顔が真っ赤になりました。


「え・・・・・えっと・・・どうぞ?」


コヒナさんは渡された首輪を腰に巻いて見ます。


「うん、問題なく使えます!これ売ってください!」


「う~んと・・・ルンのお下がりだから・・・ルンの夕飯のお肉でいいかな?」


「ヴォン!」


ルンも同意してくれました。


「え!そんなのでいいの?守護Lv1にAGI+3が付いてるベルトですよ!」


「う~~ん、それくらいだと縫製と細工Lv20もあれば作れるよ?」


「あ、そうなんですか?でも、付与のベルトってあんまり見たこと無いです」


「そうなんだ、簡単だからあんまり作らないのかな?」


「さぁ?」


嬉々として首輪改めベルトを腰に巻いているコヒナさん。その間に、横に置かれていたルンのヌイグルミをルン本人が鼻で小突きはじめました。


「ルン?その子と遊びたいの?」


「ヴォン!」


ルンは暇を持て余しているようです。


「う~ん、でも、その子はガーディアンだから一緒に遊ぶっていう機能はついてないよ?」


「クゥゥ~~ン」


残念そうに最後に1回ヌイグルミを鼻先で小突いたあと、ルンはあたしの傍らに戻ってきました。


「う~~ん、今度遊び相手作ってあげるね」


「ヴォン!」


あたしが、そんな事を話していると、ベルトを付け終えたコヒナさんがピョコピョコと飛び回ってAGIの上がった感じを試しています。その動きが面白かったのかルンが後ろからドーンと覆い被さるように飛びつきました。


「うわわわ・・・」


前のめりに押し倒されてコヒナさんが慌てていますね。


(体重だと倍以上違いますもんね・・・・)


あたしはのんびりと眺めていると、今度は起き上がったコヒナさんと追いかけっこが始まりました。


(はぁ、コヒナさん元気だなぁ・・・・)


あたしは、そんな事を思いながら日差しに誘われて何時の間にかうつらうつらし始めました。


◆◆◆


何時の間にか横になって眠ってしまっていたあたしは、ふと、周りの空気が変化したような気がして目を覚ましました。あたしの横に寄り添うようにして眠っていたみたいなルンも、何か異変を感じたのかじっと公園の向こう側を見つめています。


「あ、キュアリーさん目をさまされました?」


「うん、ねぇコヒナさん、何かあった?」


あたしの問いかけました。でも、コヒナさんには問いかけの意味が判らないみたいです。


すると、ルンが静かに唸り声を上げ始めました。


「え?え?ルンはどうしたんです?」


混乱するコヒナさんですが、あたしは急いでルンやコヒナさんに支援魔法を掛け始めました。


ルンは変わらず唸り声を上げ始めています。コヒナさんもあたしが支援魔法を掛けた意味をすぐに理解して、剣を引き抜いて身構えます。


「あ、あの・・・何が起きてるんでしょう?」


周りを警戒しながら、それでも何か起きているように見えない為、コヒナさんはあたしに問い掛けてきました。

あたしは、エネミーサーチを起動しています。でも、そこには何も表示されていません。それでも、あたしは自分の直感とルンを信じてじっと辺りの様子を伺います。


すると、突然あたしの真横からすっごい嫌な気配がしました。そして、その後に空間が歪みました。その後、何も無いはずの場所から黒い短刀が突き出されてきます!


「んっ!」


あたしは、気配を感じた瞬間に前へと飛び出しました。そして、後ろを振り返りながらその切っ先を回避します。その時、振り返る遠心力を利用してメイスをその切っ先の出ている辺りに叩きつけました。

あたしのいっさい手加減していない攻撃が、相手の胴体のある辺りへと叩きつけられた瞬間、今まで何も無かったはずの空間に現れた真っ黒な装束を着た何かが現れました。そして、そのまま建物の壁に叩き付けられます。


「コヒナさん注意して、ハイドがいる!」


ハイドというのは自分の姿を消すことの出来るスキルの事です。


「何人いるか判らない!だから建物の入口を守って!」


あたしは、咄嗟に叫びました。そして、手近にあったコヒナさんにあげたヌイグルミを建物の入口方向に投げつけました。

あたし達の叫び声に、周りにいた人達も異常に気がついたようです。あたしは、何かの気配を感じはするのですが、まったく場所を特定できない為、自分を中心にしてサンダーレインを唱えました。


周辺に行く筋もの稲光が瞬く中、先ほどの黒装束と同様の格好をした者が2名広場の中に現れ、そのまま倒れ伏しました。

あたしが、その倒れた二人を見ると、その内1名はまだ生きているようで立ち上がろうとしています。

すると、すかさずルンがその黒装束目掛けて飛びつきました。


「ルン!殺さないでね!」


あたしは、先ほど壁に叩きつけられた男の姿が消えて行くのを見て、この男達も先日の男達と同様に死んだら消えるようになっている事に気がつき、ルンに指示をだしました。

ルンが相手の両肩を砕く勢いで地面に押さえつけ、あたしは急いで近寄ってスリープの魔法で無力化してました。そして、他に何か不審な気配がないか周辺を警戒します。

でも、ハイドを見破る手段を持って来ていない為、追加でサンダーレインを撃ちますが今度は何も起きませんでした。


ルンが唸り声をやめている事を確認して、あたしは一先ず警戒態勢を解除して周りの状況を見渡します。

すると、公園内は、あたしの魔法によって木も草も焼け焦げています。

建物の入口では、ヌイグルミのルンが頑張って扉を封鎖しています。といっても扉が開かないように扉の前で座り込んでいるだけですけど。

ただ、その所為で中からの援軍も外へと出てくることが出来ないみたいです。

あたしは、急いで扉に近づくと、ヌイグルミを拾い上げました。


「何があった!」


扉の封鎖が解かれたため、建物の中からユパさん達が飛び出してきました。


「あ、副団長!何者かに襲撃を受けました!」


コヒナさんはまだ周りを気にしながらも、近づいてきたユパさんに報告します。

あたしも、一応状況を伝えました。


「あ、なんかハイドでの襲撃を受けました。なんとか撃退した所なんですけど、何が起きているのかは判りません。そこに押さえつけられている人に聞けば判ると思うんですけど・・・」


あたしが、眠らされている黒装束の人を指差して答えました。

スヤスヤとお眠りになっている襲撃者をラビットの人達が縛り上げてそのまま騎士団へと連行していきました。

あたしは、そのままユパさん達と一緒に行政府で緊急会議に参加です。ちなみに、参加者はユーパンドラさん、あたし、コヒナさん、行政官のダッグスさん、テリアさんの5名です。

今回の襲撃に関して、みんながそれぞれ意見を言い合っています。


「まだあの捕虜からの自供は出んのか!」


「ダッグス行政官、焦りは禁物ですよ、そんなにすぐに自白する訳はないでしょう」


テリアさんは見た目40歳くらいの貫禄あるおばさんです。雰囲気もなんか日本の母!っていう感じでどっしりしてます。それに対してダッグスさんはちょっと神経質そうなおじさんですね、そのせいかちょっと後頭部が涼しげな感じの50代?


(なんか対照的な二人だなぁ、でも、この街の人の名前ってぜったい運営手を抜いたよね?)


あいも変わらずあたしはそんな余計な事を考えていました。


「おかしい!まず、恐らくだがあの者達はキュアリーさんを狙って来たように思える。行政府に入り私達を狙うなら、わざわざ察知されたのに強行する意味が無い!ましてや、ハイドで正面入り口からくればより容易いだろうに!」


「あ、副団長それ無理です。基本行政府は敵対勢力は街を落とさない限りは入れませんから!」


コヒナさんがユパさんの間違いを訂正します。


(そういえばMMOでも敵対勢力は街に入るのも隠蔽装備しないと入れないですよね。無理に入ろうとするとその国の騎士団が沸いてきたはずですし。行政府まではやったことないから知らなかったですけど、まったく入れないのかぁコヒナさん良く知ってたなぁあたしは知らなかったよ?)


あたしは、変な所で関心しました。


「ああ、そういえば昔団長が戦争の時に試してダメだったな、そういえば」


ユパさんも納得してます。


(あ、なるる~遙さんならやりそうですね~)


「そうすると、もしかして狙いはキュアリーさんか?前回も襲われてるしな。しかし、もしそうだとしたら目的はなんだ?」


「お心当たりはありますか?」


テリアさんが静かに聞いてきます。でも、こっちに来てまだ日の浅いあたしに心当たりなんかあるはずがありません。


「もしかすると・・・災厄の地を浄化したせい?」


あたしは、唯一心当たりといえば心当たりのある事をみんなに告げますが、みんなはどうやら否定的なようです。


「いや、その事だとすると相手の動きが早すぎる」


「ですね、わたしもユーパンドラ様に賛成です。何といっても動きが早すぎますよね、でも、この早すぎるという事がヒントになるのでは?って思います」


「テリアは何か思いついたのか?」


ユパさんがテリアさんに確認をします。でも、テリアさんは首を横に振ります・


「残念ながらまったく思いつきません!」


あまりに堂々と告げるその姿に、みんなは一斉にため息を付きました。


(うぅ・・・ちょっと期待したのに・・・)


あたしのそんな思いをまったく無視して話は進んでいきます。


「そうすると、仲間の敵討ちかな?」


「いえ、そんな感じでも無かった気がします」


「では愉快犯?」


「わざわざハイドしてまで?」


「変質者!」


「今は春じゃないぞ?」


「あら、春しかでないの?変質者って?」


「いや、あれは万年どこかで出てるのでは?」


「え~~それは嫌です!誰か取り締まって欲しいです!」


・・・・・・


・・・・・・


変質者の定義でみんなが熱く語り始めたときに不意に小さな声が、


「あの・・・・みなさん話が逸れている気がするんですが・・・・」


コヒナさんが顔をちょっと赤くしながら発言しました。

みんなは顔を見合わせて、若干身を乗り出しぎみにしていた体勢を改め、咳払いをしながら椅子に座りなおしました。


(あ、あぶなかった・・・・なんか乗せられて変な事口走る所でした)


あたしは、コヒナさんに感謝の眼差しを送ります。でも・・・なんでコヒナさん目を逸らすんでしょう・・・


「そうすると、余計に原因がわかりませんね」


威厳をもって、厳かにユパさんが発言をします。フリーダムとは何かを熱く語られていた姿とはぜんぜん違います。


その時、突然会議室の扉が開きました。


「お前達は深く考えすぎなのだ!真実とはもっと簡単なものなのだからな!」


突然の乱入者は、迷いの森のエルフの代表アルルさんでした。


「あ、変質者・・・」


誰かがボソっと呟きました。


(えっと・・・・今のはたぶん・・コヒ・・・ゴホゴホッ)

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