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3-17:戦闘

太陽の動きと地図の関連を訂正しました。

自転軸でどうにかなるかな?って思ったのですけど、悩みだしたらわかんなくなっちゃったので・・・

迷いの森のエルフの街では今、一つの騒動が起きていました。


「長老、偵察に行っていた者達が戻ってきました」


「おう、すぐ呼んでくれ」


アルルと、その側近達が打ち合わせを行っている最中、伝令が伝えた報告に対し長老他側近達もその無礼を咎める事無く偵察に行っていた者たちを呼び寄せました。


「帰ってきてすぐの所を済まんな、それで結果はどうだった」


「はい、精霊達が告げるように災厄の地は浄化されておりました。すでに、大地からは新芽が芽吹き、鳥達が戻ってきております」


「ふむ、精霊は嘘を言わんか・・・・」


アルルは考え込むように黙り込みました。


「なぁユーナよ、これはどう考えてもキュアリー嬢が関わってると思わんか?精霊は何かいってないか?」


「はぁ、特に精霊は行った者の事は言っておりません。それと、流石にキュアリーさんとの関連は・・・」


「それは長老からお聞きしたエルフですね、しかし、彼女はコルトの森へ向かったのですよね?」


「うむ、かつて住んでいた地へ行ってみたいとの事だったが・・・」


「それであれば関係が無いのではないでしょうか?方向が違います」


「う~~む、時期が合いすぎている気はするのだが・・・この村を出て今日で4日、もし災厄の地へ真っ直ぐ向かえば丁度それくらいだよな?」


「はぁ、しかし、先程から言いますように方角が違います」


アルルは、側近からの進言に顔をしかめます。


「長老、調べるのが面倒だからと言ってキュアリーさんを理由にするのもどうかと思いますよ?ハルの言うようにコルトの森に向かうには方向が違います、ですから、キュアリーさんではありえません」


「そうですよ、ましてや、たった一人のエルフでは荷が重過ぎます。長老を含め我々ですらあの村に入った段階で撤退を決意したほどの瘴気です」


「ですね、毒無効アイテムが弾け飛びましたから。あの時は焦りましたね」


「うむ、回復アイテム大量消費で大赤字だったな、しかも何も出来ずで終わったしな」


アルル達はそのときの様子を思い出し身震いをしました。


「確かに、あの村をたった一人で浄化はありえんか・・・・そうすると誰があれを行ったかだな」


「はい、村の広場中央に巨大な足枷があるのは確認しました。しかし、どのような魔法が使われたのかは確認が出来ませんでした。又、ありえない事ですが、村だけでなく今まで汚染されていた土地も同様に浄化されております」


「ふむ、信じられんな」


「ですよね、どれだけの魔力がいるのやら」


「早急に状況を把握しないとならんな、どこの国が動いたにせよあの広大な領地を手に入れた訳だ、このまま放置しておくとは思えんしな」


「そうですね、移民を送り込むにしろ、何らかの動きをしてくると思います」


「はぁ、しかし厄介な物だな、結果から見るに我々を確実に凌駕する者達が存在するという事だ」


「イグリアへは知らせを出しますか?あと、キュアリーさんにも」


「う~~む、悩む所だな、もし犯人がイグリアなら厄介だ・・・・そうだ!推定淑女の連中にイグリアを調べさせよう、あと、キュアリー嬢の事だが一応連絡は入れておいたほうがいいだろう。周辺調査を行うついでに見かけたら伝えるように指示をしておいてくれ」


「は!」

「了解です!」


「調査隊は何かわかったら夜でも構わん、報告にきてくれ」


「は!」


三人が部屋を出て行くと、アルルはじっとキュアリーの事を考え込んでいた・・・


「しかし、本当に偶然なのだろうか・・・・」


◆◆◆


「う・・・・迷ったかも?」


あたしは、ルンと一緒に只管コルトの森に向かっていました。そして・・・・あたしの前には海が広がってます。


「えっと・・・」


あたしは、エルフの街で買った地図を取り出しました。


「・・・・・南に来すぎてる・・・・っていうかどこから間違ったんだろう?」


あたしは、そう呟くと、一生懸命考えました。


「迷いの森から見て、コルトの森は東にあるんだから・・・おかしいなぁ、太陽が昇る方向にちゃんと歩いてきたのに・・・・」


あたしは、なんで自分が海にいるのかが判りません。でも、あとで判ったことなんですけど、この世界の地図って太陽の登るほうを上に沈むほうを下に書くみたいです。・・・・そんなのMMOで説明なかったよ!方角なんて東西南北しか出て無かったよ!自分がどっち向いてるかしか解んなくて太陽なんててCGなかったのに・・・・この世界での国や街の位置把握が根幹から間違ってたんですよね・・・


とりあえず、わたしは海をしばらく眺めた後、とりあえずお昼ご飯にする事にしました。


「ルン、ちょっと早いけどご飯にしよ」


「ヴォン!」


ルンは相変わらずご飯の名前に反応して尻尾をぐるんぐるんさせます。

あたしは、変わらず豚肉の塊をルンのお皿に入れてあげながら、豚肉の塊の残数を気にし始めました。


(多めに持ってたけど、ルンにあげるようになって急に減ったなぁ、どっかで仕入れないとだよね)


あたしは、シチューを所持品から取り出して、暖めるのが面倒なのでそのまま食べながら地図と睨めっこし始めました。


(う~~~ん、迷いの森かこうきたとしたら・・・・ここら変かな?そうすると、こっちの方に行けばマリナスの街かな?)


あたしは、迷いの森から南東へと行った先の町を地図で確認しました。


(迷いの森から出て、6日でここまで着いたんだから明日には着けるかな?)


あたしは、根本的な間違いを自分がしている事に気がつかずに行き先を決めました。


「よし、ルン行こう!」


「ヴォン!」


あたしは、気を取り直してまたコルトの森目指して歩き始めました。

夕方、あたしは太陽が沈む方角を見て、首を傾げました。


「あれ?海の向こうに太陽が沈んでく・・・・なんで?」


あたしは、又地図を出して確認をします、でも、海に面しているのはどう考えても南です。


「うわぁ・・・・あたし嘘の地図買わされたのかな・・・・騙された?」


あたしは、思いっきり不安になりました。


(えっと・・・海沿いに行けば村くらいはあるよね?あと、河もどこかにないかなぁ・・・・)


あたしは、恨めしそうにルンを見ます。そこには、毛がゴワゴワと絡まりあったルンがいます。


(うぅ・・・・海で洗ったらあんなになっちゃうなんて・・・・)


しかも、磯の香りというか、海独特の匂いも漂ってきます。


「はぁ・・・・・・」


溜息を付ながらも夜の寝床を探しながらあるいていたら、視線の先に小さな森が見え始めました。


「あ、森だ!ルン、あそこで今日は野営しよ?」


「ヴォン!」


あたし達は、日が暮れる前にと足を速めました。

小さな森の傍に辿り着いて、急いで野営の準備を始めます。始めはどこかぎこちなかった動きも、この5日の間に上達して、短時間に準備は終わりました。あたしは、今日は暖めたシチューを食べながらルンを見ます。

ルンは焚き火の傍に寝そべって静かに寝ています。


(野生動物って火を怖がるって嘘だったのね・・・・)


あたしは、そんな事を思いながらルンを見ていると、突然ルンが頭を上げてじっと森の奥を睨みつけます。

そして、静かに唸り始めました。


「ルン、どうしたの?何かいるの?」


焚き火が燃えている為、逆にこちらからは森の奥は真っ暗に見えます。

あたしは、木の精霊の言葉を聞こうとしますが、何も聞こえてきません。それでも、ルンが何もなく唸り声を上げるとは思えない為、エネミーサーチを唱えました。すると・・・・あたし達を中心にいつのまにか半円系に囲んだ状態で6個の反応がありました。


(うわぁ~~いつのまにか囲まれてる・・・・)


まだ距離が遠い為に相手のステータスは表示されない為、何に囲まれているのかは判りません。でも、相手はどうやら焚き火を目指して近づいて来ているようです。又、あたし達は彼らとは逆に焚き火の光で煌々と照らし出されていると思います。


自分と、ルンに補助魔法を掛けた後、あたしは森の中に向かって声を掛けました。


「あたし達に何かごようでしょうか?」


あたしの問いかけに、相手は足を止めます。すでに、あたし達からは100mくらいの距離まで近づいてきています。あたしはサーチ画面に表示されている情報から、彼らがとりあえず人族であることは確認しました。


「なぁ、あんた何者だい?横に居るのは魔獣だろ?」


暗闇の中から一人の20代くらいの男が現れました。

そして、静かにこちらに近づいてきます。


「そちらこそどなたですか?それと、申し訳ありませんがそこで止まっていただけますか?」


相変わらずエネミーサーチは彼とその仲間達に反応しています。

それに、その男がルンを見た目つきが気になります。その目つきは、ルンをルーンウルフだと気がついた目付きだとと思います。そして、もうそれは自分の物だというように。


(この人・・・危険だ・・・・)


「俺達はイグリア軍のもんだ、あんたがあんまり怪しいんでね、悪いがちょっと調べさせて貰いたいね、勿論抵抗なんざしようものなら・・・・」


そこで、男は不気味に笑いました。


「ガルルル・・・・」


ルンは明らかに戦闘態勢を取りました。


「は、犬っころがご主人様を守ろうってか?抵抗するでいいよな?」


男の言葉と同時に、闇の中から炎が飛び出してきました。

そして、男も、あとまわりに居た者達も一気に近づいてきます。


「エンジェルリング!」


(このまま囲まれるとまずい!)


あたしは、炎が結界に弾かれて爆発した瞬間、逆にその男に向かって一気に踏み込みました。


「くそ!」


男は、あたしが突っ込んで来るのを予想していたようです。でも、加速によるスピードは予想していなかったみたいで、男は咄嗟に持っていた剣を突き出してきました。

あたしは、直線的にあたしを貫こうとする剣をメイスで弾きながら前に踏み出していた相手の左脛すね目掛けてメイスを叩きつけます。


「くぅ・・・」


男は咄嗟に重心を移動し、左足を後ろに引きます。でも、その為に体勢が後ろに泳ぎました。


「えい!」


あたしは、かわされた勢いをそのまま殺さずにメイスを一回転させ、そのまま流れるような動作で、的の大きい胴体目掛けてメイスを叩きつけました。


「ごふっ・・・」


攻撃をまともに胴体に受けた男はそのまま後方の木に叩きつけられました。そして、崩れ落ちます。

その時、あたしは左側から強い殺気を感じ、咄嗟に後方に飛び下がりました。

すると、今まであたしが立っていた場所を炎の塊が通り過ぎます。


(魔法使いを黙らせないと!)


あたしは、魔法の来た方向へと走り出そうとすると、まさにその方角から男の悲鳴が聞こえてきました。


「ぎゃああああ~~~」


そして、目の前の闇の中から右腕を肘から食い千切られた男がフラフラっと出てきて目の前で倒れました。その後からはルンが腕を咥えて追いかけるように飛び出してきます。ルンは倒れた男にそのまま跨ると、あたしが静止する間もなく男の喉を噛み千切りました。


(あぁ・・・・)


あたしは、その光景に一瞬棒立ちになった時、真後ろから激しい音が響きました。振り返ると、いつの間にか近づいてきていた3人目の男が剣を上段から振り下ろしています。でも、その男の剣はエンジェルリングに阻まれ、男はすぐに闇の中に飛び退りました。

あたしは、とっさにその男のいた方向に聖なるホーリーサンダーを叩き込みました。


ドサっていう何かが倒れる音が聞こえ、エネミーサーチのマークが3つに減りました。

そして、あたしが警戒するなか、その3個のマークは静かに後退を始めます。

あたしの傍らに来たルンはまだ静かに唸り声を上げてじっと闇の中を見つめています。

あたしも、しばらく周りを警戒した後、焚き火の傍に戻って改めて結界の状態を確認します。


炎の攻撃を受けたはずの結界は、それでもまだ耐久を93%ほど残しています。あたしは、倒れている男達を極力見ないようにしながら、甘えてくるルンを優しく撫でながら、今の戦いを思い返していました。

そして、焚き火の炎に当たりながら、ルンの毛皮に包まれていつの間にかウトウトとしはじめました。

緊張から抜け出したのと、初めてのある意味一人での戦闘の疲れから、気を失うかのように眠っていきました。


◆◆◆


あたしは、ルンの鳴き声で目を覚ましました。


(あんな事があったのに、あたしって眠れちゃうんだ・・・・)


あたしは、昨日の出来事を思い返し、又、目の前で人が死んで、自分も人を殺してしまったはずなのに予想以上に動揺していない自分に愕然としました。そして、ラルクの街でも同じだったと気がつきました。


(もしかしたら、あたしどっかおかしいのかも・・・)


そんな事を感じ、考えながら朝を迎えて明るくなった周りを見回しました。


「あ・・・・・」


そこにはルンに噛み殺された男と、あたしに殴り殺された男、そして、ホーリーサンダーで撃ち殺された男が倒れているはずでした。でも、周りには何も残っていません。


(どういう事?昨日確かに・・・・)


メイスで殴られた男や、闇の中で倒れた男はともかく、喉を噛み千切られた男は目の前で見ています。それなのに、目の前には死体は残っていません。

あたしは、男が倒れた付近を調べました。そうすると、明らかに争った跡が地面に残されています。又、最初の男が叩きつけられた木の付近では、草が押しつぶされています。


(夢じゃなかった・・・・でも、それならどうして?逃げた男達が回収に来た?でも、それならルンが反応したはず・・・・)


あたしは、同様に答えが出ませんでした。

そして、MMOの時のルールが頭を過ります。


(もしかして、協会で復活してる?あの人たちはPCだったのかも・・・)


そんな事を重いながらも出発の準備をしていると、またルンが静かに唸り声を上げ始めました。


(!!!敵なの?!)


あたしは、すぐにさっき止めたばかりの結界石を作動させました。そして、ルンの見ている方角を見つめます。すると、あたしが来た方角から近づいてくる集団が見えます。


昨日の教訓を生かして、あたしはすぐに補助魔法を自分とルンに掛けました。そして、所持品からいくつかの魔法スクロールを取り出します。

そして、戦闘態勢を整えたとき、近づいてくる集団をようやくはっきりと見ることができました。


「あ、エルフだ!」


その、近づいてくる集団はエルフ達の集団でした。そして、エネミーサーチには反応しません。


「ルン、落ち着いて、あれは敵じゃないみたいだよ?」


あたしはルンが唸り声をやめるまで優しく話しかけながら頭を撫で続けました。


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