3-13:エルフの街でお買い物
誤字訂正しました。ご指摘ありがとうございます。
鋳造を鍛冶に訂正しました。前の方で鍛冶スキルってしているのに鋳造にしてしまっていました。ご指摘いただいてありがとうございます。
ユーナさんに連れて来てもらったエルフの街っていうか商店街は予想以上にカオスですた。
基本的に、自然をそのまま利用しているため、お店はあっちこっちに点在しています。
そして、それ以上に混乱をきたしているのがお店の種類です。まず、食べ物屋さんの種類ですが・・・なんでラーメン屋さんがあるのでしょう・・・
「あ・・・・酷い!・・・・」
「え?どうしました?何かありました?」
あたしの言葉に、気遣う様にあたしを見た後、何か周りで酷い事が起きているのかとユーナさんが鋭い視線をあたしの見ているお店に走らせました。でも、時になにも感じなかったのか怪訝な顔であたしに聞いてきます。
「エ・・・・」
「え?」
「エルフがラーメンを立ち食いなんて酷すぎます!」
「は?」
あたしは、あまりの悲しい光景に涙が流れてきます。幻想的な、優雅な、美しさの代表であるエルフ、しかも女性二人があたしの目の前のお店でラーメンをカウンターに立って食べています。それも、ずるずるって音を立てて食べています。
「あぁぁ・・・・イメージが・・・イメージが・・・・」
あたしはうわ言のように呟いていました。
「え~~~っと・・・その・・・ラーメンは人気ですよ?」
あたしは、恨みがましい目でユーナさんを見つめながらラーメン屋さんの前を通り過ぎていきました。
ちなみに、ラーメンを食べていたエルフさん二人は、涙を流しながら通り過ぎるあたしを、ラーメンを持って怪訝そうにあたしを見つめていました。
「あの子、あんなに涙して・・・そんなにラーメン食べたかったのかしら?」
「う~ん・・・・・ラーメン大好きっ娘?」
あたしは、そんな渾名を付けられてるとは気がつかずに、とりあえず旅先で必要な物を買うために雑貨屋さんにやってきました。
「うわ~色々ありますね・・・でも・・・これって・・・」
あたしが手に持った物を見てユーナさんは苦笑しています。
・初心者の服 HP+20、VIT+5、AGI+1
これ以外にも初心者の盾、初心者の靴など初心者グッズが・・・・
(確かにMMOの時に雑貨屋さんで初心者グッズ揃えましたけど、まだあるんですね・・・)
「一応区別として、初心者グッズはまだ雑貨屋かな、ここで一通り揃えれるからお手軽だし初心者さん向けって感じでね。服屋とか武器屋、防具屋もあるけどね、ただそっちには初心者グッズは置いてないよ、まぁわざわざそっちで初心者のを買う人もいないけどね」
(しっかりと役割分担が出来ているんだなぁ・・・でも、初心者ってこっちの世界の人達なのかな?冒険者になるっていう人結構いるのかな?)
「冒険者の数は最近は増えたよ、戦争で村を失ったり、戦争で兵士や傭兵してた人が冒険者になるケースが多いかな?てっとり早く稼げるっていうイメージがあるみたいだけど、本当はそんなに甘くないんだけどね」
あたしは、雑貨屋さんでランプや毛布、雨避けのコート(流石にレインコートではなくって毛皮のコートに動物の脂を塗りこんで水を弾くようにしてるみたいです・・・ただ、すっごい変な匂いがします)などを買って次は食料品を買いに向かいました。
その後は、適当に野菜や果物など食材を購入して、果物屋さんで売ってるフルーツジュースを飲んで一休憩です。
「キュアリーさんはいつ頃出発されるのですか?」
「そうですね、特に急いではいないのですけどトモエさん達が午後には出発されると思うので、あたしもそれに合わせて出発しちゃおうかと。王都とは方向がぜんぜん違いますけどね」
「コルトの森でしたよね?あそこは今どうなってるか50年前のイズペリア王国との戦争で灰燼に帰したとしか聞いてないですから。もともとあんまり人が行かない所でしたから、そもそもあそこで何でそんな戦闘があったのか・・・」
「あ、それは恐らく運営があそこでイベントを行ったからだと思うのですけど、この世界ってMMOが主なのでしょうか?」
「それはまだ解ってないんですよね、一応長老を含めみんなで情報を集めてるんですが、すべて50年前の戦争で行き止まりです。もしかすると、この世界は50年前に作られたのかもしれません。エルフは長命の種族で、200歳とか普通にいるのですけど、なぜか50年以上の記憶となるとあいまいな点が多いので」
「この世界ってなんなんでしょうね、50年しか歴史のない世界。もしかすると本当はVRの世界にいるだけで、異世界ではありませんっていう落ちがあったり?」
「あはは、それは無いかな?さすがに私はこの世界ですでに5年近くいますし、そんなに長いVRはないですよ、それにこんなにリアルなものも」
あたし達は、ジュースを飲み終わって、次は防具屋さんへ向かいました。
この街には、上級者向けと普通のと2種類の防具屋さんと武器屋さんがあるそうです。
ユーナさんに誘われて、上級防具屋さんへ入ると、意外にも防具は展示用に2種類しか飾ってありません。
「えっと、もしかしてここってオーダーメード?」
「あ、違いますよ、希望する鎧を出してきて貰うんです。高価な物が多いですから保管の意味も兼ねてあまり外に置きっぱなしにしてないだけですよ。まぁお金持ちならオーダーメードしてもおかしくないですけどね、置いてある物はカウンターに目録があるのでそれで確認するようになってます」
あたしは、カウンターの上に置かれている目録を見ました。
(あ、ちゃんと種類別に分かれてるのね・・・えっと・・・
・イルク作レザーアーマー HP+100、VIT+50、AGI+5 価格25kギル
(えっと・・・これ相場的にどうなのでしょう・・・すっごい高い気がする・・・)
あたしは、ページを捲って他の価格を見ますした。
(総じて値段が高いです。布系統の装備はまだ比較的安いですけどそれでもあたしの感覚からは高い気がします。)
「結構高いのですね・・・皮製でこの値段って・・・」
「え?そう?まぁここはブランドばっかりだしそのせいもあるかな?」
「うん、ほら装備って製作者名が入れれるでしょ、で人気の製作者のものは高いの、こっちで製造スキル使うと、なんとデザインも変更できるからデザインセンスで一見全然違うものに見えるよ!」
「え?そうなんですか!楽しそう!お菓子はスキルっていうより普通に調理補助みたいだったんですけど、服や鎧はそういった感じにアレンジできるんですね!」
「あ~~~ところで、何かお買い上げでしょうか?何か商品をお持ちいたしましょうか?」
ふと顔を上げると、壮年のエルフの方がこちらを見ています。
(あ、お店の人ほっぽいてた・・・)
「あ、ごめんねルフト、この人も製作者なんだけど今の相場や流行を教えに来ただけだから」
「ほう・・・どのような物をお作りで?もしよろしければ拝見させていただきたい。今装備されてみえる物も見たことの無いものばかりです」
(あぅ・・・なんか目が輝いてますよ・・・)
「あ、この人自身装備マニアなの、このお店の商品は半分以上この人の趣味で集めたものもばっかり、だからお店も儲かってないけどね」
「余計なお世話です!」
ユーナさんは笑いながら話してくれます。
(う~~ん、手持ちのお金もあんまり無いし、何か売ってお金にしておいたほうがいいかなぁ・・・今何かもってたかなぁ?)
あたしはそう思って、所持品覧の中から自分で作った防具系の物をカウンターに出しました。
・キュアリー製ミトン(鍋つかみ) 調理+15、STR+10、VIT+25、AGI+30、DEX+30、LUK+5
「うぅ・・・今こんなのしか持ってきてない・・・・」
(う~~売るなんて発想なかったから、自分で作ったものはアイテムBOXに入れっぱなしだし・・・)
あたしが、ちょっと恥ずかしく思っていると、ルフトさんとユーナさんが何やら真剣な顔でミトンを手にとって見ています。
「・・・ありえん・・・・なんで鍋つかみにこんな高機能がいるんだ・・・・」
「え?だって調理するのにお鍋とか重いもの持つからSTRはほしいし、疲れないようにVITもほしいでしょ?で、料理はスピードが命でAGIと技術補助でDEX、でやっぱり美味しいもの作りたいからLUK?」
あたしの言葉に呆然とこっちを見つめる二人がいます。
「あの・・・キュアリーさん、もしかして好きな補助を装備に付加できる?」
「え?うんできるよ?数値はどうなるかは運だけど、製造カンストするとそうならない?」
「いえ、そんな話は始めて聞きました・・・・うわ~~まずい・・・・ルフト、この事は内密に!」
何やらユーナさんが慌てています。ルフトさんもなんか真剣な顔をされています。
「ええ。ユーナ、これはちょっと人に聞かせれる話ではないですね・・・じつにまずい・・・」
「うん、キュアリーさん、この事は今後絶対に他人に話してはダメです!自由に装備に補助を付加できるなんて国単位で狙われますよ、下手したら一生飼い殺しされます・・・」
あたしは、あまりの会話に頭がフリーズ中、ユーナさんとルフトさんは何やらご相談中です。
(えっと・・・自由付加ってMMO時代からあったんですけど・・・レアスキルだったんでしょうか・・・てっきり鍛冶、縫製、錬金、彫金、調理の製造全種を種族カンストしたら普通に出るって思ってたんですけど・・・)
あたしはそんな事を思っていました。ただ、普通は製造全種カンストするような変人はいないっていう事をしらなかったんですけどね。
「まぁ気を取り直して、このミトンは2Mでお売りいただきたいだい」
「まぁ口止め料込みでそのくらいでって話になったんだけど、キュアリーちゃんどう?」
「2M!!!う、売ります!すっごい!そんなに高く売れるんですか!」
あたしの言葉にため息をつくお二人、なんか視線がすっごい可哀想な子を見るみたいです。
「まぁ、今後何かお作りになったらぜひうちの店をご利用いただきたいですね」
そう言うと2Mのお金を渡してくれました。
(うわ~所持金が一気に4倍になった!ずっと森で暮らしてたから所持金残り少なくなってたものね)
あたしはホクホク顔でお店を後にしました。




