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3-11:決断

ちょっと忙しくなってきてて更新が不定期になりそうです。


アルルさんの感動的?な演説の後、改めて今後のあたしの身の振り方を聞かれました。

みんなも、先程の様子を引きずる事無く普通に会話が始まっています。


(う~~ん、さっきのはなんだったんでしょう?)


あたしの困惑を余所に、みんな思い思いの提案をあたしにして来てくれます。みんなの意見を聞きながら、あたしは当初は流されるままに王都へ向かう予定ではあったのですが、本当にそれで良いのかどうか悩まされます。

遙さんやトモエさんはしきりに王都行きを薦めてくるんですけど、王都へ行って何がしたいのかっていうと特に無いのです。それに、アルルさんが忠告してくれました。


「王都へ行くのはいいが、恐らくは平穏には暮らせないだろう。今、各国は以前の力を取り戻し始めている。又、転移者はどこの国でも喉から手が出るほど自分の陣営に欲しいだろう。ましてや、あの秋津洲が自らの領域に入り込んだ貴方を手放すとは思えんな、なぁ遙よ」


アルルさんの言葉に、遙さんがちょっと顔をしかめました。それでも、遙さんは逆に王都へ行くことの有用性を話してくれます。


「アルルさんの言う事は確かに間違ってはいないと思う。ただ、それでもあたしは王都へ来たほうが良いと思う。今、確かに各国がこぞって力を付けるのに必死だよ、だからこそ、フリーの転移者は狙われるんだ。味方になれば良し、さもなくばっていうのも冗談じゃなくあるんだよ。だからこそあたし達の為にも、キュアちゃんの為にも、あたし達と来て欲しい、うちのギルドに入らなくてもいい、ただ、イグリアにいて欲しい。敵になってほしくない」


遙さんは真剣な眼差しであたしを見つめています。そして、トモエさん達も同じ意見のようです。


(アルルさんの言葉は、ある意味真実なんだろうな。そして・・・遙さん達も、でも、あたしは、この世界で何がしたいんだろう?もし、異世界ではなくって、ゲームのままだったらどうしてたんだろう?それとも、その考え方自体が間違っているんだろうか?今までMMOではあたしはコルトの森の塔でずっと一人で暮らしてきた。でも、人と関わるのが苦手なあたしは、自分の塔で一人楽しく暮らしていた。それでも、時々友達に誘われては外へ出かける、そんな生活があたしにはあっているような気がする。たとえ、それによって何かに巻き込まれても・・・・・)


あたしは、自分の気持ちを素直にみんなに話しました。


「ふむ、それで、具体的にどうするのだね?わたしは全面的にエルフである貴方を支援はしよう。エルフとは、何者にも縛られずに自然に風の吹くままに生きる姿が何よりも美しい。それ故に、あなたの意思に反する事を成す者はわたしの可能な限り排除してみせよう。ただ、今貴方が選んだ道は、おそらく自分ですべてを守り、切り開かなければならなくなるだろう。なぜなら、いざとなった時、周りの物が手を差し伸べる猶予が無いかもしれないのだからな、それでも後悔はせぬな?」


アルルさんに後押しされて、やっとあたしは自分がまず何をしたいのか思い当たりました。


「はい、それは覚悟します。そして、まずコルトの森に行ってみようと思います」


「ふむ、あの森は50年前に焼失したとされている、それでも良いのかな?」


「はい、あそこはあたしがずっと暮らしてきた森です。それに、この迷いの森に入ったとき、森の木々があたしに、コルトの森のエルフが戻ってきたって喜んでくれました。だから、あたしはやっぱりコルトの森のエルフなんです。迷いの森でもなく、イグリアでもなく、多分そういう事なんだと思います」


アルルさんは優しく頷いてくれました。


「まぁ今日はもう遅いな、とりあえず休める場所を用意させよう。そこで、改めてみなと話をするがいい」


そして、アルルさんが綺麗に話を纏めて、みんなの前から去っていこうとしました。でも・・・・


「あの・・・長老・・・・格好良く決めようとされてる所を申し訳ないんですが・・・さっきのはぐれエルフの話を聞いてきました・・・・・どうしましょ?」


いつのまにかユーナさんが帰ってきて、声を掛け辛そうにしています。アルルさんは、しばらく去り際の背中をみんなに見せたままじっと硬直されていましたけど、しぶしぶといった感じで振り向きました。そして、すっごい恨みがましい視線をユーナさんに送っています。


「えっと・・・・・そのような眼差しで見つめられても・・・・・」


ユーナさんがすっごく困った顔をされています。


ちなみに、あのエルフさん達はやっぱり自分の住んでいた村を3年前の戦争で追われた人たちだったようです。その後、迷いの森に庇護を求めて来た所を村長さんに見られて、迷いの森のエルフと勘違いされたそうです。食事を出され、村長さんに歓待される中で、村を守護する変わりに村の収穫物を貰う契約を交わしてしまって、勝手に契約をしてしまったので逆に迷いの森に入る事が出来なくなってしまって迷いの森の傍に隠れ住んでいたみたいです。アルルさん達もエルフが傍にいる事はなんとなく判っていたみたいですけど、森の外の事なのであまり干渉をしなかったみたいです。


「あの、あの人達はもっとキチンと治癒したほうがいいですか?さっきは応急的な物しかしてないから・・・」


「あ、それはこちらでやりましたから、この国の治癒士が一通り治癒していました」


ユーナさんは彼らもこの街に暮らす事になったこととか一応一通りの報告をしてくれました。あと、彼らの村を襲ったのはやはりユーステリアだったようです。


「あそこは人類至上主義だしね、あと、北にあるから国土もそれ程豊かじゃないから、そとに敵を求めないと成り立たないとこあるからなぁ」


遙さんがそんな事を言ってました。


(ユーステリアかぁ・・・ゲームの設定でも確かに人類至上主義国家になってたけど、そこは50年経っても変わらないんだなぁ、まぁコルトの森からは反対方向だし、関係ないかな?)


あたしは、そんな事を思いながら話を聞いていました。

その後、アルルさんにみんなが夕食の招待を受けて、迷いの森の特産料理をご馳走になりました・・・


(えっと・・・・うん、確かに特産なんだと思いますけど・・・・大きな大きな寄せ鍋です・・・、ほんとにサイズが並じゃないです・・・直径1m、深さ30cmはありそうです・・・)


「えっと・・・・うん、お鍋は好きです!」


「うむ、鍋は良いな!この森特産のキノコもニワトリモドキの実に美味いぞ!ほれ、どんどん食べなさい」


アルルさんは上機嫌です。みんなもそれぞれ自分の器に具材を取っています。でも、ユーナさん一人が額に汗を流しながら恨みがましそうにアルルさんを見ています。目にちょっと涙が溜まって見えます・・・


「ユーナ、火力が落ちてきたぞ!」


「う・・・・長老酷い・・・・」


ユーナさんはそう呟きながらも一生懸命精霊術で火を興してお鍋を温めています。


(さっきの仕返しなんかじゃないですよね?エルフみんなの守護者ですものね?)



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