3-8:王都は遠いよどこまでも
相変わらず流されてます主人公。
なんかどんどん影が薄くなる・・・・
一部本文の言い回しを修正しました。
馬車は進みます。長~~い、長~~い一本道を3台の馬車とそこに連なる人、そして馬が1頭。
あたしは、先頭の馬車に乗りながら、時々後ろを見ますけど・・・・よく見えません!
村を一行が昼に出発して、まもなく2時間くらい経ちます。馬車は慣れていないので、すでにお尻が痛くなってきました・・・・
(う~~乗り心地悪いです・・・事前に聞いてたけど、もっとクッションもってくれば良かった)
あたしは右へ体重を掛けたり、左へ体重を掛けたりしながら痛みを紛らわせようとするんですけど、一時凌ぎでしかなさそうです。
それにしても・・・暇です・・・・いつも旅行へ行くなら本や電子端末もって時間が潰せるんですけど、こっちでは何にも時間を潰せる物がないので、ただ周りを眺めてるだけなのです。最初は、物珍しい風景に見入っていたのですが、それも30分もしたら代わり映えしない景色に飽きてきちゃいました。
「キュアリーさん、暇そうですね」
笑いながらデュランさんが声を掛けてくれました。
「はい、はっきり言って暇です!」
「それなら王都の説明でもしますか?」
「う~んと、それよりはこっちの世界の説明が欲しいかな?あたしが知ってるMMOの世界は50年前の事らしいし、その後の50年で何があったの?」
「そっか、自分達も3年前来たときに戸惑ったしね。ただ、どうやって説明しようかな?自分なりで申し訳ないけど説明するからわからない所があったら言って、説明は基本的にユーパンドラさんが得意で、自分は不得意なんだけどね」
そして、デュランさんが色々と教えてくれました。
あたし達がやってたMMOの時代は50年前で、その後、4カ国での大戦争があったって。イグリア、ユーステリア、ポルト、イスペリア共に昔のMMOでのPC所属国です。その戦争の後、人、エルフ、ドワーフ、魔人、獣人すべての人口が激減して、一時には全盛期の3割くらいにまで減ったって。ただ、この事はMMOが終了、そして終了前の大規模イベントだったのでは?ってみんなは思ってるみたいです。
ただ、解らないのはMMOにこっちが引っ張られてるのか、それともこっちがMMOを引っ張っているのか、どっちなのだろうか?っていう事みたいですけれど、それは結局結論が出なかったそうです。
(あたしはなんかMMOのほうが主に見えるけどなぁ、でもそしたらこの世界ってなんなのかなぁ)
あたしは説明を聞きながら思いました。
その後は各種族じわじわと人口を増やしていったそうですが、その中でもやはりお約束みたいに人族が急激に人口を増やしたそうです。そして、ユーステリアでは人族至上主義を唱えて他の種族を排斥しはじめて、3年前にはその他3国へ戦争を仕掛けたそうです。その時、ユーステリアはその主義に惹かれた人族が多く集まり他国の倍近い人口に膨らんでいたそうです。当初、圧倒的な数を武器に攻め込んで、他3国すら呑み込みかねない勢いだったそうですが、この時に遙さんなどプレイヤーを主体とする人がこっちに転移されて、その戦争に巻き込まれたそうです。そして、逆に圧倒的なMMOでの力を発揮しユーステリアを最後には急襲、ユーステリアを滅ぼしてしまった、そして、その時に中心となった人が秋津洲瑞穂さんって人がイグノリアの現国王だそうです。なんでも、その戦争で不甲斐ない王族を一掃、下克上しちゃったらしいのですが・・・・MMOでも何度か聞いた名前の人ですがちょっと怖いイメージですね・・・
あ、そういえばあたしが昔住んでいたコルトの森は50年前の大規模戦争で焼失したそうです。
(焼失かぁ・・・・でも50年経ってるし今度行ってみよう・・・・)
あたしが、そんな事を考えていると、横でデュランさんがふと呟きました。そして、馬車を停めました。
「これはまずいですねぇ・・・・」
あたしがデュランさんを見ると、視線をずっと前のほうに向けています。あたしもそちらに視線を向けると・・・・エルフがいました・・・・100人くらい?
「えっと・・・これって迷いの森のエルフですか?」
「うん、多分そうだと思う」
馬車からは次々とみんなが降りて、戦闘態勢を取ります。
「うわちゃ、後ろもいるねぇ」
あたしも馬車から降りて後ろを見ると、後ろにも同じくらいの数のエルフがいました。
「挟まれましたね、ちょっとこれはきついですね」
ユパさんが怖い顔をしています。きっと本当にまずいんでしょうね。あたしは危機にありながら、それでもまだ今ひとつ現実感が沸かなくてまるで第三者のような気分でした。
すると、前方の一団から一人のエルフが前に出てきました。まだ若いエルフのようですが、エルフは外見では年がわかり難いですからね。
「やっほ~~、こんにちはでいいかな?わたしは迷いの森のエルフなんだけどさ、貴方達が今連れているエルフを引き渡して貰えないかな?」
「ふ~~ん、あんたがこのエルフの代表さん?」
「まぁね、一応今のところ争うつもりは無いんだよね、そっちにもエルフがいるみたいだし、特にエルフを迫害してる所の連中ってわけでも無さそうだからさ。ちょっとそいつらが勝手な動きをしたみたいなんだけど、それはエルフ族として管理できてないって所は悪いとは思ってるんだ。まぁそれもそいつらが負けたから言える事だけどね」
「まぁそうだな、こっちが勝ったから良いが、下手したら殺されてたって事だからな」
遙さんとコジロウさんが相手と話をしています、一見普通に会話をしているようですが、他の人達がその間に少しでも有利になるようにと負傷したエルフを乗せた馬車を中心に円陣を組んでいます。なんか人質にとった形になりそうですけど、しかたがないかな?って思います。
「で、このエルフを引き渡せば俺達はこのまま王都に行っても良いのかな?」
「う~~ん、問題はそこでねぇ、うちの長老がさ、客人として村にみなさんを招きたいって言うんだよね?」
その言葉に、一気にあたし達の緊張が高まります。
「それをお断りしたらどうなるのかなぁ?」
遙さんがいつもの笑顔で聞き返しました。でも、なんとなくこの笑顔って覚悟をしたように感じるのですよね・・・・
そのエルフさんはニヤニヤ笑いながら、こちらを眺めながら、何か紙を取り出しました。そして、その紙を読み始めました。
「がたがた言ってないでさっさと来い!推定淑女 初代マスター アルル」
その一言で、一気にみんなが騒然としました。
「おい、まじか!アルルの旦那こっちに来てるのか!」
「うそ~~あのオッサンエルフに囲まれて何やってるの!すけべじじい!」
「いや~~アルルさんが、まじですか!」
「う~~~、あの人確かにエルフだったよねぇ・・・なぜか一見ドワーフに見えるエルフ・・・」
「まぁそれはあの人の趣味だからな・・・・」
(みんな思い思いに話し始めますけど・・・アルルさんどんな人なのでしょう?あまり良いイメージがみんなの会話から湧かないのですけど。あたしは会った事ないからなぁ・・・)
「ただ、悪いが本当にアルル氏の書状との確認が出来ないからな、何か本物だという証拠はあるか?」
コジロウさんがそのエルフに言います。
「う~~ん、あなたの名前は?」
「推定淑女所属、コジロウだ」
「ふむふむ・・・・」
そういうとそのエルフさんはもう1枚の紙を眺めています。
(えっと、なんか必死に笑いを堪えてる?気のせいかな?)
「あ、あった・・・コジロウ、武器強化の第一弾目で18回連続で失敗したツワモノ。その後武器強化恐怖症となる。あと強度の猫好き、しかし、リアルでは飼えないので、あと自分のイメージを守るため必死に隠している。獣人の猫キャラ愛強し!・・・・・えっと・・・・これで証拠になる?」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・ぶっ・・・・きゃはは~~」
トモエさんが堪えきれず吹きだしました。それにつられて周りも一斉に笑い始めました。でも、そのエルフさんの次の言葉でみんな一斉に固まりました。
「他の人のも読む?」
「あ、えっと~~~もういいかな?それと武器は携帯していいよね?それで良ければとりあえず就いてく」
「あぁ・・・そうだな・・・」
当初の予定と一気に変更して、あたし達はエルフの村に行く事になりました。ダイブツさんとラビットラブリーの新たに合流した2名の計3名は村長さんを連れて王都にこのまま向かっても良い事になりました。王都から向かってきている合流予定のみんなにこの事を知らせないとですから。
ただ、トモエさんが何やらそのエルフさんの持つ紙をなんとか奪おうと計画してたり、コジロウさんが何やら物騒な事を呟いてたりしますけど。
「エルフの村に行ったら、あたし活躍するんだ!」
えっと・・・・死亡フラグに見えてしまって不憫な主人公からでした。
間違いご指摘ありがとうございました。訂正しました。
一部言い回しを変更しました~
解放→引渡しにしました。ご指摘にあったので、うん、そうだなぁって思ったので変更です
あと、誤字のご指摘ありがとうございます。
随時訂正させていただいてます。すっごく感謝です。m(_ _)m




