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2-7:お食事は改善が必要?

キュアちゃんは色々と問題が多い所に来ちゃったみたいです。


無事に引き篭もり、のんびり生活に入れるのでしょうか?


ロダンさんの家は平屋で奥続きで3部屋あるようです。入り口すぐが作業部屋で、真ん中がリビング、奥が寝室のようです。よく考えると、村自体は土地はあるのですから2階建てにする必要はないのですよね・・・もしかして、あたしの家って浮いてる?


「あ、とりあえずテーブルに座っててくださいね」


アリーゼさんはロダンさんを連れて奥の部屋に布団を持っていきました。

あたしの、向かい側にはサラちゃんと、ルカちゃんが座っています。


う・・・・ルカちゃん・・・・背が足りていないから頭しか出てない・・・・可愛すぎる!!!


変な所ツボでした!ちょこんっと机の上に一生懸命頭を出そうとしている動作が!!!


うぅ~~頭をかいぐりかいぐりしたい!


はい、よく解らない擬音語が出ています・・・・

ルカちゃんを見ていると、ちょっとにへらって顔が緩んで怪しい人になりそうなので、急いで周りを見てみます。


う~んと、そこは作業場よね


玄関入ってすぐの部屋に、色々な物が置いてあります。斧や剣、弓も壁に掛かっています。でも、特に炉があるわけでもないし・・・ロダンさんは狩人さんかな?

そして、その部屋で大きく占めてるのが、機織機はたおりき

実物を今まで見たことがないので、はっきりした事はわからないですけどたぶんそうだと思います。

横の棚には糸や、布の巻物なんかも置いてありますし。


物珍しそうにしていると、ロダンさんと、アリーゼさんが戻ってきました。


「あ、ごめんなさいね、すぐ料理をするから、あ、サラちゃんちょっと手伝ってね」


そういうとアリーゼさんはサラちゃんと家の外へ出て行ってしまいました。

あたしが、首を傾げていると


「あぁ、うちはアリーゼが織物だなんだをしてるせいで調理場は外にあるんだ、煙や、料理のときの匂い、それに火があぶないからな」


「あ、そうなんですか?それなら作業場を外につくればいいのでは?」


あたしがそういうと


「それも考えたんだが、料理を作る時間は短い、作業をする時間は長い、それで調理場を外にした」


う~~ん、合理的なのか、そうでないのか・・・


「それなら、扉を作って家と繋げるとかは?」


あたしがそう言うとロダンさんは苦笑して、あたしに意味深な視線を投げかけてきます。


「えっと・・・・・何か?」


「いやぁ・・・エルフのあんたにそれを言われるとはねぇ」


「えっと、どういう意味でしょうか?」


あたしは、訳が解らず聞き返しました。

ロダンさんはなぜ、村で今、家の増改築が出来ないのかを説明してくれました。

それは、昔この村では近くの森で木を伐採して、その木を使って家を建てたりしていたそうです。でも、今近くの森はエルフの結界によって一度踏み込めば必ず迷う迷いの森になっているそうです。

近場ならっと思った人が何度か試したそうですが、酷いときには数日も森を彷徨い、危うく死に掛けたりもしたそうです。

その為、家を建てる際は遠くから木材を運んでこないと建てることが出来なくなってしまったそうです。

特に、ここ近年は近くに伐採に適した木がなくなり、その傾向が強くなってきているそうです。

このため、森に入れず、森の収穫が当てに出来ない、そして更に木材すら調達に困るといった現状で、村の特に若い人を中心にエルフへの感情はあまりよくないそうです。


「ところで、キュアリーさん、あんたはこの森のエルフじゃないのかい?」


あたしは、ロダンさんはどう思っているのかを気にしながら答えました。


「あ、そうですね~あたしはコルトの森に住んでいましたから、この森へはそれこそずっと昔に来たことがあるくらいですね」


「コルトの森か!あそこは50年も前に戦争に巻き込まれて森自体が焼けて消滅したはずでは?」


あ、やっぱりそういう設定になってたんだ、あそこで砦戦するって言ってたものね


「えぇ、戦争に巻き込まれそうになったので、50年前にこっちに引っ越してきたんです。結局、その後ここに居つかずにフラフラと出歩いてましたけどね」


あたし達が話していると、アリーゼさんとサラちゃんが料理を持って帰ってきました。


「おまたせ~~」


アリーゼさんは机の上に料理を並べ始めました。

あたしは、VRでも料理の味ってわかるのかなぁっとVRで初めての料理にワクワクしていました。


うわ~~、料理の味もわかるなら凄いよね~楽しみだなぁ、あ、そうだ、後でポーションとかも飲んでみよう・・・どんな味だろう!


そんな事を考えている間に、アリーゼさんとサラちゃんがテーブルに料理を並べます。

ジャガイモ?の炒め物に、タマネギとジャガイモ?のスープ、なんか硬そうな薄いグレーのパン・・・

それにお茶?みたいな飲み物・・・


「おまたせ~~キュアリーさんスープはおかわりがあるのでどうぞ~~」


「あ、はい・・・・」


「よし、それじゃぁ食べるか!」


「「「「いただきます」」」」


あたしは遅れて


「いただきます」


をしてパンを取りました。


あぅ・・・やっぱり硬い・・・それにパサパサしてる・・・


あたしは、パンを千切ってそれをそのまま口に入れました。すると・・・口の中でパサパサして、しかも口の中の水分を取られるような?っで急いでお茶を口に含みながらみんなを見ます。

みんなは、パンをスープに浸しながら食べています。


あ、スープに浸して食べるのね!


あたしも真似をして食べ始めました。


あぅぅ・・・・味が薄い・・・・・


VRのせいなのか、それとも元々こういう料理なのか・・・炒め物もやっぱり味が薄いです・・・

でも、サラちゃんとルカちゃんは一生懸命食べてますし、アリーゼさんはその様子を微笑んで見ています。


た、たぶんこれが一般的な料理なんだろうなぁ・・・


あたしは、せっかくご馳走をしてくれているのに味に文句も言えないので黙々とパンを浸して食べ、炒め物を食べ、なんとかご飯を食べ終わりました。


日本って本当に贅沢だったんだなぁ・・・・・でも、これって調味料の問題?それともここの人の味覚?食材もジャガイモモドキ?だけだし、食材も問題なのかなぁ?


あたしは、リアルの食事を思い返して一層懐かしくなりました。それと同時に、料理の改革が必要だと実感しました。


みんなが食事を終わって、改めてアリーゼさんがお茶を入れてくれました。

そして、みんな一息ついたとき、突然アリーゼさんの質問攻めが始まったのです・・・・


「あの、キュアリーさん、不躾で申し訳ないのですけどお聞きしたい事がありまして」


「あ、はい、なんでしょう?」


アリーゼさんが改まって聞いてくるので、何を聞かれるのかとドキドキしながら答えました。


「先ほどいただいたお布団なんですけど・・・素材はなんなんでしょう?一応織物を嗜んでいるのですが、今まで会ったことのない手触りでした。絹でもないですし、もちろん綿めんでもないですし、あの手触りはすっごいサラサラで、でも伸縮性もありますし、織物をやっている手前すっごい興味があります。」


あ、相変わらず?すごい勢いです・・・アリーゼさんってもしかして結構・・・・・


あたしはそんな事を思いながらとりあえず答えました。


「あれは、赤目大蜘蛛の糸を使って織った生地ですよ?あんまり流通してません?コルトの森には結構赤目大蜘蛛がいたので作るのは楽だったんですけど。あと、中には綿わたではなくて暖かくて軽いしでグルリスの羽毛を入れてます。」


あたしの言葉にロダンさんもアリーゼさんも目を点にしています。ちなみに、サラちゃんとルカちゃんは訳が解ってないみたいですね、あたし達を交互に眺めてます。


「赤目大蜘蛛とグルリス・・・・・俺じゃぁ倒せんな・・・・」


ロダンさんが呟きます。赤目大蜘蛛は体長1メートルくらいの大きな蜘蛛、グルリスは大きな飛べない鳥でお腹に人の顔、背中に虎の顔を持つモンスターの事です。結構強いので中堅くらいのPTでないと倒すのは大変かもしれないですね。アリーゼさんも明らかにがっかりしています。


そして、あたしは、この沈黙を利用して、逆に質問をしました。


「あの、ところで・・・・聞いては失礼なのかもですけど・・・調味料や食材は今入手が難しいのですか?ちょっと気になってしまって・・・・」


アリーゼさんは、あたしが何を聞きたいのか気がついたようです。やっぱり料理をする人ですものね・・・


「キュアリーさんには薄味だったですね・・・ご招待していてこんな料理しか出せなくてごめんなさい」


「あ、いえ・・・・そういう訳では・・・・」


うぅ~~何って返せばいいの!何か言っても言い訳にしかならないよ~~


あたしは悩みながら何も言い返せないでいるとロダンさんが説明してくれました。


「この村には最近あまり商人が立ち寄らなくなって来てるんです。その為、調味料、特に塩や甘味料などが不足しがちです。それと、不作を補おうと連作を続けて、余計に不作が続くという悪循環に陥っています。特に特産のないこの村ではみんな何とか特産を作ろうと四苦八苦してるんです。アリーゼの織物もそうなんです。だからさっきはあんなに生地の事を知りたがって」


苦笑するロダンさんですが、その目は真剣でした。


「ロダンの言うとおりです。戦争が続いて、税金も上がってばかり、作物は不作が続くし、若い人は街に出てなんとか稼いで村に仕送りをしてくれているんですけど村は活気がどんどん無くなって・・・そのせいで商人もあまり来てくれなくなって・・・悪い循環なんですよね。わたしも、ロダンも元は冒険者だったんですけど、そろそろ冒険者っていう年でもなくなって、それに、それほど優れた冒険者でもなかったので自分の村に帰ってきたんです。それで、今度はなんとか村を盛り立てようとしてるんですけど・・・」


アリーゼさんもロダンさんと同じようにちょっと悲しそうな微笑を浮かべていました。


「キュアリーさんは色んな町を見られていると思いますが、他はどうなのでしょうか?」


「えっと・・・他の町ですか?そうですねぇ・・・・」


う~~~ん、困った・・・他の街なんてしらないですって・・・・・・


あたしが、何って答えていいか悩んでいると、今までじっと私達の会話を聞いていたサラちゃんが聞いてきました。


「あ、あの・・・キュアリーさんは色んな街にいたの?・・・王都にも行ったことある?」


あたしがサラちゃんを見ると、サラちゃんは真剣な顔であたしを見つめていました。

とりあえず美味しい食事への道は遠そうです・・・・

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