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全年齢対象のほのぼの路線を目指しています。恋愛要素はほとんど無いと思います。


誤字のご指摘ありがとうございます。

併せて、文章的におかしい部分を削除しました。

ご指摘ありがとうございます。

訂正いたしました。

あたしは、いつもと同じように、自分の部屋でパソコンに向かっていました。

その、パソコンのモニター画面には、一人の女の子のキャラクターが部屋の中で金槌を振り下ろしています。

女の子が金槌を振り下ろす度に、女の子の上に表示されているバーがじわじわと青色の部分が伸びていきます。そして、そのバー全体が青色に染まったとき、その女の子全体が明るく輝きました。


うん、出来た!


あたしは、キャラクターの所持品画面から、今完成したばかりのアイテムを表示させます。


うん、綺麗に出来てる。あとは、耐久強化用の焼付をすれば仕上がりかな?


画面には、鈍く光る丸い鉄の塊、片手持ちのフライパンが燦然と輝いていた。

続けて、スキル焼付をクリックすると画面の中のキャラクターがまた鎚を振り上げる動作を始めました。


あたしは、その画面を見ながら、手元にある紅茶のペットボトルを開けて一口飲みました。

そして、その間に又バーの色は青色へと変化して、女の子は明るく輝きます。


先程と同様に所持品画面を確認すると、その画面には先程とCGは変わらないフライパンの表示が現れた。


- 強化された名工のフライパン 耐久25/25 ATK+15 DEC+2 AGI+2 調理スキル補正+2


「う~ん、補正+2かぁ・・・・」


大成功すれば、補正+3になるので、ちょっと残念です。


どうせ作るなら+3が欲しかったんだけどなぁ、まあ売り物じゃないし、我慢しますか。


今回の製作では、今まで使っていたフライパンの耐久が落ちてきた為、回復ついでにって補正+3を狙っていたのですけどね。どうせなら良い物を使いたいので。・・・まぁダメだったものはしかたないか。


あたしは、気を取り直してあたしの分身というべきキャラクターに出来たばかりのフライパンを装備して、調理台へ向かって移動させました。


「よし、今日はグリルチキンワサビ醤油味(HP回復+300、MP回復150)を作ろう!」


気合をいれてアイテムボックスから、それぞれのアイテムをクリックし、調理を開始しようとした。

その時・・・


ピロロ~~ン、ピロロ~~ン


プライベートチャット(別名囁き)の呼び出し音が鳴り響いた。


「キュアさ~ん、こんこん~」


「あれ?トモエさん珍しいね~」


トモエさんは30人ほどの中規模ギルドのギルドマスターをしてるっていうかしてた人です。

あたしとはこのゲームを始めた頃に何度かPTを組んだことがあるけど、それほど親しいというわけではない・・・かな?


「うん、キュアさん製造で武器製作取ってたよね?スキルLvいまどれくらいになった~?」


あら、珍しい。あたしはあんまり他人の武器はつくらない、自分の装備を作ったりするだけです。ちなみに最近は台所用品しか作ってないですね。あ、さっきのフライパンも一応武器扱いですよ。


「一応スキルLv50+5ですよ~カンストしてます」


「おぉ~~、武器作って!!!」


「あら?珍しいですね、推定淑女ギルドさんって鍛冶職人さんいませんでしたっけ?」


「あはは~、みんな上に行っちゃってねぇ、職人職って上級者相手の商売がメインじゃない。だから比較的早めに上にいっちゃって、最近はうちも過疎ってきてるんだよね~。」


トモエさんが言う上っていうのはVRMMORPGの事です。

ファンタジー系MMORPGとして5年前に始まったこの”異界への扉”というゲームは、半年ほど前よりVRに対応を始めたんです。

このVR技術は10年前から医療用リハビリ装置、研究装置としてシステム的には確立されていました。でも、価格面もさることながら、それ以上に人体への影響が明確ではないとの事で一般普及が禁止されていました。

それでも2年程前にアメリカの医療機器メーカーとコンピューターメーカーが共同で小型のVRMMOユニットROOMを開発、色々とごたごたとした大人たちの論争の末、ようやく半年ほど前に発売。

VRはやっぱり憧れの世界ですからすっごい反響だったんです♪


ROOMはベットサイズのカプセルタイプで、その中において心拍数、脳波も含め体調管理を行い、安全にVRへのダイビングを行うプライベートユニットとなっています。それでも、1基あたり120万円くらいするんです。子供のゲーム機ではないですよね~・・・・。

あたしはもちろんそんなお金なんか無いので、今もせっせとMMORPG(通称:下の世界)で遊んでいます。


「上ですかぁ、みんなお金持ちですねぇ。あたしは絶対無理です><」


「あはは、あたしだって無理だよ、学生の手が出るものじゃないって。それに、ダイブしてる間は自分の体が無防備になっちゃうっていうのがねぇ・・・、なんか怖いじゃないw」


「ですよね~、なんか怖いですよね~、ほら、デスゲームとかって都市伝説もあるから余計にw」


「うんうん!」


「あ、それでキュアちゃんは今何処にいるの?狩の最中?」


「いえ、マイホームでマッタリしてます^^」


「あ、あの辺境の山の頂上にある塔?まだあんなとこに住んでるの?」


あんな所って・・・・そりゃぁ辺境で、まず誰も来ないような僻地だけど、それなりにいい所なのに。薬草も豊富で、鉱石もとれて、モンスターもそれなり?にいて・・・生産職には天国なんだけどなぁ(たぶん)・・・その割りに誰も来ないですけど・・・。


「うぅ~~住めばそれなりに良い所なんですよ~」


「いや、そんな所住もうとする人はキュアちゃん以外いないってw」


「酷!」


「だって、転送ゲート無し、1番近くの村からリアル2時間くらいかかるよね?」


「あ、マイホームには転送スキルで拠点登録しておけば戻れますし。王都にも拠点登録してますから不便はないですよ?」


「う~~ん・・・・・キュアちゃん、ごめん、王都まできてくれない?」


王都ですか、まぁ転送スキルの拠点登録は個人登録1箇所、持ち家1箇所、最終訪問国の教会1箇所だから、打合せするならあたしが王都へ行くのが一番スムーズですよね。


「いいですよ~とりあえず30分後に教会前でいいですか?」


「うん、それでいいよ~ありがとうね~」


囁きが終わって、あたしは王都行きの装備を倉庫から取り出した。

あ、アイテムも総入れ替えしないと、最近は生産ばっかりでっていうか・・・・・街へ行ってないわ


◆◆◆◆


久しぶりに来る街は、人がいっぱいでした。本当に過疎ってきてるのかな?っと思うくらい賑やかで、昔の露天通りには相変わらず放置キャラの露天が道を埋め尽くしています。

教会前の広場に行くと、これも昔同様にPT募集のキャラが所々に集まって、しきりにエモを交えながら会話をしています。っていうか、久しく見ない勢いでログが流れます・・・・あ、ログ設定いじればいいんだった・・・


と、いうことで早速ログ設定をいじると


「キュアちゃんどこにいる~~~」

「見当たらないよ~~」


などなど、囁きでログが溢れてました・・・・・ごめんね・・・


「トモエさんごめんね~、ログが流れて埋没してたw」


あたしの会話噴出ふきだしが見えたのか、トモエさんらしいキャラがこっちに向かってくる。う~ん、派手ですね~真っ赤なドレスに真っ赤なロングソード、っていうか・・・トモエさんのキャラ覚えてない。うん、酷いですね・・・・


「よかった~、連絡入れてても返事が無いし、キュアさんのキャラ実は覚えて無くってw」


「あ、やっぱり、わたしも覚えてなかったw」


お互い笑いあったあと、トモエさんのギルド会館へと移動することになりました。

王都にギルド会館を持ってるなんてすごいなぁ、幾らくらいするんだろう?


「トモエさんの所って今はメンバー何人くらいいるの?」


「今は40名くらいかな?全盛期はあと少しで100名って所までいったんだけど、上が出来てからどんどんと過疎ってきちゃって」


トモエさんはちょっと寂しそうに話してくれたけど、40名ってすごい!あたしのフレンド登録数って12名しかいないのに・・・・そういう意味ではよくトモエさんとフレンド登録したなぁ・・・・

最近の王都の状況を聞きながらギルド区画へと移動をしました。


「ところで、作って欲しい武器ってなぁに?」


あたしは、手持ちの材料を頭に浮かべながら聞いてみた。

トモエさんあたりだと鳳凰の剣かなぁ?あれはあたしだと成功率50%くらいかなぁ、なんて考えていると


「作って欲しいのは、サンドバイパーを3本なんだよね」


「ほぇ?サンドバイパー???」


意外な要求にちょっとびっくりしました。

サンドパイパーは中堅Lvのソードか盾職の人が使う、比較的作り易い武器だったから。基本的に製造職が作る場合、Lv10、20、30、40、50の区切りがあり、Lv30の武器であれば武器職人Lv30以上であれば製造できる。確かに、製造Lv30でSTR30、DEX30、LUK10であれば成功率は3割くらいはある。無理にあたしに頼まなくてもって思ってたらとんでもない状況が・・・


「今ね、サンドバイパーを買うと1M~2Mくらいはするんだよ」


「へ???えぇぇ~~~~!!!」


サンドパイパーはその名前の通り砂漠に住む蛇を倒して、その鱗を主要材料に製造します。枚数は結構いるので大変といえば大変ですけど、それ以外は比較的NPCからも購入可能な材料でも有り、また、製造上げで材料精製も行う為、はっきり言って邪魔なくらい倉庫に余ってます。

端的に言うと、昔だと200k~300kくらいで購入できたかな?


「材料集め込みで?」


それなら手間を考えて、その可能性は無いではないかな?それでもドロップ率は結構高いので、運がよければ2時間もあれば揃うはず?まぁ時給1Mくらい稼ぐ廃さんもいるし・・・


「いや~~、材料持込で!」


「な、なんでそんなに高いの!」


「だって、高ランクの鍛冶師なんてとっくに上いっちゃってるし、このゲームって製造スキル上げるのってすっごい時間とお金かかるじゃない。あたしも縫製と錬金はLv50にしてるから布、皮系の装備とかポーションはなんとかなるんだけどね、残念ながらうちのギルドだと鍛冶Lv25が最高なの」


この異界の扉っていうゲームは、はっきり言って製造職における格差がすごいんです。自分にあったLvでスキルに関係する物を1個作ると経験値いくつって貰えるんです。

たとえば、錬金Lv10でLv10の回復ポーションを1個作ると経験値100、でもLv9の回復ポーションだと経験値0、逆にLv15の回復ポーションだと経験値150って感じです。

もちろん、成功しなかったら経験値は0です。


で、ここで問題になってくるのが、鍛冶職です。Lv10のプレートメールを作るとして、必要なのが鉄鉱石50個、火炎石10個から鋼10個つくります。で、鋼10個、火炎石10個、研磨石5個を使ってやっとLv10のプレートメイルが1個できます。そして、ここまでして貰えるのが鋼の経験値10、プレートメールの経験値100。

かかる手間がすっごい大変なの。

普通は挫折しますよねぇ・・・・Lvカンストのあたしが言うのも変ですけど・・・マゾイです・・・。

まぁいくらかはアイテムでブーストできるんですけどね。


「あれ?Lv25の鍛冶職さんいるなら、ミスリルの金床の鍛冶+3とミスリルの金槌の鍛冶+2でブーストすればLv30いけるんじゃない?」


「まぁね、買えればだけどね・・・・。」


「えっと・・・売ってないの?」


「ミスリルの金床も金槌も鍛冶Lv40でしか作れないし、売っててもまぁGは行くでしょうねぇ」


うわぁ・・・ありえないわ・・・・何かしばらく街に来ない間にすごい事になってるわ。


「えっと・・・鍛冶職って何人いるの?」


「二人だけど、一人はLv25で、もう一人はまだLv14かなぁ、まぁ先は長いねぇ」


そうこう話している間に、トモエさんのギルドへ到着してた。

中に入ると10人ほどのキャラが何か会話してます。たぶんギルドチャットかな?あたしには会話は見えません。


「あれ?マスターその人誰?入会者?」


その中で、明らかに盾職っぽいキャラが声を掛けてきた。


「あ、違うよ、フレのキュアさん。鍛冶職してるから頼んで来てもらった。」


「おおおお!あ、自分はサブマスターしてますコジロウです。一応ギルドでは壁してます。生産スキルは錬金Lv45です」


盾さんがエモでお辞儀をしてくる。

壁っていうのはMMOしてる人は知ってると思いますけど、PTでモンスターと戦うときに壁になって攻撃を一身に受けてPTを守る役目の人のことです。PTプレイでは中心的な役割を務めます。


「キュアリーです。回復職が一応メインです。生産スキルは色々手を出してますけどメインはアクセサリーかな?武器職人もやってますけどw」


「えっと・・・・・あれ???」


あたしの説明にコジロウさんが怪訝な顔をしました。もっとも顔は見えないのですけどね、雰囲気ってことで・・・


「どうした?コジロウ。キュアさんと知り合い?」


「あ、いえ・・・。キュアさんってエルフですよね?なんで鍛冶してるのです?種族特性でカンストできないじゃないんじゃ?あ、サブキャラか2ndもってたり?」


あちゃ!あんまり人と交流してなかったから自分が変って言うこと忘れてた!!!

このゲームって種族特性っていうのがあって、たとえばあたしのエルフは魔法職、剣士、狩人にしかなれません。あと、生産においても細工、縫製がLv上限も60までありますが逆に鍛冶は上限Lv40までなんです。

もちろん、裏技?もあってあたしはそれに適応?します。


「あれ?でもキュアちゃんって武器製作Lv50って言ってたよね???」


「あ、あはは・・・・・えっと・・・・」


「あ、もしかしてキュアリーさんって称号持ち?」


「!!!! それ本当?!」


えっと、称号持ちっていうのはゲーム内において何か成し遂げた場合に貰える肩書きみたいな物です。たとえば毎月行われる武闘大会の優勝者は”大いなる覇者”っていう称号が貰えます。ちなみに次の大会までしか有効期限がありません。それ以外だと”英雄王”が有名かな?この人は武闘大会10回優勝でこの称号が貰えたそうです。永久称号みたいで、永久称号は称号表示の前に金色の王冠、期限称号は銀色の王冠が付く事からクラウン持ちって言われたりします。それと、称号が付くとスキルLvにプラス補正が入ります。この為、鍛冶上限40のエルフでもLv50になる事ができるんです。コジロウさんはそこに気がついたのですね・・・・


「う、うん。一応そうかなぁ・・・・」


称号持ちは、全プレイヤー中10%くらいしかいません。その中で永久称号はその称号持ちの更に10%くらいなのかな?

あんまり詳しくないから判りません。


「金冠?銀冠?あと称号って何?」


トモエさんやコジロウさんが興味深々で聞いてきます。あと、ギルド会館の中にいた人たちまで・・・


「え?称号持ちの人いるの?」

「すげ~~~、俺、称号持ち生でみるの初めて」


などの会話が。

はっきり言って、焦ります、汗が出ます。逃げたくなります。

称号ってやっぱりプレイヤーの憧れですから。


「えっと、一応金冠です・・・・」


「おぉ~~金だ」

「すげ~~~」


などと周りがどよめきます。


「称号は・・・森の・・・隠者・・・」


「おお~かっこいい!」

「いかにもエルフって感じだよね~」


「どうやって手に入れたの?」


あぅぅ、トモエさんが1番聞いて欲しくない所を聞いてきます。


「言わないと駄目?」


「うん、今攻略サイト見たけど出てないよ、その称号」


「だね~、森の系だと、守護者と賢者は出てるね。でも隠者はないな」


「守護者ってエルフのカルロスさんだよね。賢者はヒミコさん」


「いいなぁ、3人目の森の系称号だ。金冠だと全プレイヤーで1名ってことかぁ」


みんなが思い思いに盛り上がっている。


「で、どうやったの?教えてよ~~」


ヒミコさんがしつこく聞いてくる。


「あぅぅ、えっとね、特に特別なことしたわけじゃなくて・・・・」

「リアルで1年くらい森に篭って遊んでたら・・・・次の日にINしたとき称号貰えた・・・」


あたしの発言に今までワイワイと書き込まれてたログへの書き込みが止まった。あぅ・・・沈黙が痛いです・・・


「え~っと・・・・INはしてたのよね?」


「うん、だいたい毎日INはしてました」


「で、誰にも会わないで森の中でソロってたと・・・」


「・・・・うん」


「MMOヒッキー?」


「酷!」


周りからとたんにログが走ります。


「wwww」

「吹いたw」

「あ、駄目だ・・・腹いたいwww」


「みんな酷!」


そんな会話の中で、久しぶりのMMO団欒にモニターを見つめるあたしの顔は緩みっぱなしでした。



誤字のご指摘ありがとうございます~

直しました~


ご指摘で、称号持ちの獲得%を変更してみました~適正がわかんないですね・・・どれくらいがいいのでしょう・・・一応、称号もってるような人達はすでに上にいっているっていう設定ではあるのでレアになってるって感じで作ったのですけど


文章を一部変更しました。

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