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EP 41

魔法少女ルナちゃん☆ ~放送事故は突然に~

「どうしたんです? 太郎さんに、サリー王妃」

優太が尋ねると、玉座に座る太郎が、まるでテレビ局のプロデューサーのように指を組んで言った。

「うむ。……タロウ放送局の編成についてだが、夕方6時台に新しい特撮ヒロイン番組を作ろうかと思ってな」

「はぁ……(また日本のサブカルを持ち込む気か)」

優太が脱力する横で、サリー王妃が瞳をキラキラさせて立ち上がった。

「名付けて、『魔法少女 ルナちゃん☆ ~愛と世界樹のステッキ~』です!」

「あら? 私が主役ですの?」

ルナがまんざらでもない顔で紅茶を置いた。

「はい! ルナ様の圧倒的な魔力とルックス、そして私が夜なべして作った**『フリフリのコスプレ衣装』**があれば、視聴率1位は間違いありません!」

サリーがデザイン画を広げる。そこには、布面積が危ういほど可愛らしい、ピンクと白の魔法少女衣装が描かれていた。

「悪くありませんわ。世界樹も『もっと私を崇めなさい』と言っています」

ルナがあっさり承諾した。

「わ、私がオープニングテーマを歌うんですよね!? タイアップ! 印税! ドル箱案件ですわ!」

リーザが電卓を片手に身を乗り出す。

「てことは……僕は資材調達兼、大道具か」

優太が諦めたように呟くと、太郎がニカッと笑った。

「頼むぞ、優太。お前の【地球ショッピング】で、特撮用の爆薬とスモークマシン、あと怪人の着ぐるみを用意してくれ」

【数日後・王城中庭 特設スタジオ】

「本番、よーい……アクション!!」

監督役の太郎がメガホンで叫んだ。

セットの中央には、フリル全開の衣装に身を包んだルナ――改め『マジカル・ルナ』が立っている。

対するは、優太が用意したショッカー風の全身タイツを着た、バイトの冒険者(怪人役)だ。

「おのれマジカル・ルナ! 今日こそ世界樹を枯らしてやる!」

怪人役が棒読みで襲いかかる。

「許しませんわ! 愛と平和と私の美貌のために……お仕置きですわ!」

ルナがステッキ(世界樹の枝)を構えた。

ここまでは台本通りだ。

しかし、ここでルナのアドリブ(暴走)が入った。

「優太様が用意した『CGエフェクト』なんて必要ありませんわ。……私の『本物の魔法』を見せてあげます!」

「おい待て! 台本と違うぞ!」

優太が叫ぶが遅かった。

ルナの杖に、ドス黒い魔力が収束していく。

彼女は「キラキラした魔法」のつもりだったが、彼女の本質は「古代魔法」と「自然干渉」だ。

「必殺! マジカル・バイオ・エボリューション(強制進化の光)!!☆」

ドォォォォン!!

ピンク色ではなく、毒々しい緑色の光線が怪人役を直撃した。

「グギャアアアア!?」

光に包まれた怪人役のバイト君。

スモークが晴れると、そこに立っていたのは「やられ役の戦闘員」ではなかった。

筋肉が異常増殖し、背中から触手が生え、目が三つに増え、口から溶解液を垂れ流す、「本物のミュータント(生物兵器)」が誕生していた。

「あ、あれ……? なんか体が……力がみなぎるぅぅ……コロシテ……」

ミュータントが呻き声を上げ、セットの壁を触手で粉砕した。

「ひぃぃぃっ! 本物の化け物になったぁぁ!!」

「ギャアアア! 放送コードに引っかかるぅぅ!!」

リーザとサリーが悲鳴を上げて逃げ惑う。

「バカ野郎! 人体に直接魔力を注ぎ込む奴があるか!」

優太がグロックを抜いて応戦しようとするが、現場はパニックだ。

カメラは、触手が暴れまわり、スタッフが吹き飛ばされる阿鼻叫喚の地獄絵図を映し出し続けている。

「止めろぉぉ!! 放送中止だぁぁ!! スイッチを切れぇぇ!!」

プロデューサーの太郎が絶叫し、配信の電源ケーブルを引き抜いた。

プツン。

【タロウ放送局・テレビ画面】

砂嵐が一瞬流れ、すぐに画面が切り替わった。

軽快な環境音楽ボサノバと共に表示されたのは、一枚の静止画。

【しばらくお待ちください】

その背景画像に使われていたのは、

草原で花冠を被り、とびっきりの笑顔でピースサインをしている、平和なキャルルの写真だった。

(テロップ:現在、機材トラブルにより放送を中断しております。可愛いウサギさんの画像で癒やされてください)

お茶の間でテレビを見ていた国民たちは、

「今の触手なに?」「CGすげぇ」「キャルルちゃん可愛い」

と、逆に大盛りあがりとなったが、現場の優太たちがミュータントを鎮圧するのに一晩かかったのは言うまでもない。

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