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6 閑話

 ※こちらはプチざまぁ的閑話になります。読まなくても、本筋のお話には差し支えありません。コメディー調の鳥糞ざまぁ、笑いたい方だけどうぞ。

 


 ❀┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈❀



 両陛下に叱責され、肩を落として馬車へと向かう道すがら、アメリとメルバは途切れることなく喚き散らしていた。いつもの控えめで上品なアメリと愛らしいメルバではない。


 王宮の敷地は広く、馬車が待つ場所まではかなりの距離を歩かねばならなかった。

 

「旦那様のせいです! 私もメルバも、同居人だの庶子だの言われて……私、身分詐称の罰金まで取られたのですよ! 今までカーク侯爵夫人として振る舞っていた罪ですって、わけがわからないわ!」

「忘れていたのだ、仕方がないだろう。それに金を払ったのは私だ。アメリこそ、王族に反論するなど……肝を冷やしたぞ! ちなみに、皇后陛下の父君は宰相閣下なんだぞ!」

「そんなこと、知りません! 私は光属性の魔法が使える唯一無二の娘の母親だわ。私のほうがずっと偉いです!」

「そうです、お父様! 私はこの世界でただ一人。光属性の魔法が使えるのですよ! 皇后陛下よりずっと尊いはずですわ」


 その時だった。


 ポトッ!

 ベチャリ!


 黒い羽とともに、鳥の落とし物()がアメリとメルバの髪に直撃した。


「「きゃああああっ!!!」」


 私は思わず笑いそうになり、口を押さえたその瞬間。


 ベチャッ


 もうひとつの落とし物()が、今度は私の肩に落ちてきた。


「な、なんだとぉ!? なんたる無礼な鳥よ! 許さん」


 慌てて見上げた空には、数羽のカラスが愉快そうにカァカァと鳴き交わしていた。


「カラスにまでバカにされましたわ。これもすべて旦那様のせいです! 手続きを忘れるなんて、呆けてしまったのでしょうか」

「そうです、絶対お父様のせいです。もう、お父様なんて大嫌いよ! 変な匂いもするし、最悪」


 アメリとメルバの怒声が響く中、私は幻想が打ち砕かれたことを嘆く。


(家族愛はどこに消えた? 私の心優しく善良な妻子はどこに? 呆けてしまっただなんて……アメリがそんなことを言うはずがない。きっと聞き間違いだ。変な匂い? まさか私のことか? いやいや、心優しいメルバがそんなことを言うわけがない。カラスの落とし物()のことだろう。うん、きっとそうだ)


 私は自分の肩に落ちたにカラスの落とし物()に鼻をそっと近づける。


(うわっ! くさっつ……これの匂いのことを言ったんだな。まぁ、二人の機嫌も二、三日もすればなおるさ)


 肩を落として歩く私の頭上では、カラスがなおも楽しげに輪を描いていた。 

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