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第17話「プライド・バトル」 Part7

切り方中途半端になりそうだったから短め

 テックマトンは機動性を上げ、半ば砲台のようであった立ち回りが一転、離れたナノハに一瞬で詰め寄るほどの変化を見せる。


「ちょ速っ…!」

「反応するか……!」


 クロウも速やかに接近するが戦略が単純過ぎた。

 ナノハに近づいたのはフェイント、左腕の刃物を裏拳の要領でぶつける。

 ピーリスレイドで防ぎ鍔迫り合いとなるが、そこにナノハが一太刀打ち込もうとする。

 が、トリファーが左腕を引っ込め避けたことでクロウ前のめり、そのままナノハにぶつかりそうになってしまった。



「どっちも譲らないね」

「うん、すごい…でも……」


 ストックとカンナはこの戦いに釘付けになっている。

 目を離さず、むしろ前のめりになりそうなほど。


「バリアがあるとはいえ、こんなに近くに突っ立ってたら危険ですよ!」


 万が一にもバリアが割れるなら一大事と、オリヴィアは注意する。


「私はこのまま見ているよ」

「は……?」

「いや、私達は()()()()()()()()()()()()()

「何を考えているのですか……」


 しかし気付く。いつの間にか、周囲の人々の視線はただ漫然と眺めている大きな穴ではなく、何かが起こることを期待するような煌めく眼差しに変わっていたことに。


 彼らはバリア内部の激しさに驚き怯え逃げ惑うなどということはしなかった。オリヴィアとハリーは今、それに気付く。


「主人の……バスターの傍にいる者として、その戦いを目に焼き付けなくてはならない」

「私も、普段お姉ちゃんがどんな戦いをしてるか見てみたかったし!付いていきたくても危ないって言って聞かないんだもん」

()()も動機は違えど似たようなものだろう。これはあの3人だけの“戦い”じゃあない」


 従者として、妹として。もっと言えば、人として。

 トリファーのテックマトンが重武装であることを知らずとも、街中で戦闘となれば危険が大きいことは自明の理だ。

 それを、誰も止めなかった。始まる前も。始まった後も。


「貴方達に、関わりあると……?」

「いいや、今日は休日を楽しみたかっただけだ。君達こそ、この戦いを事前に阻止しようとは思わなかったのかい?」



 一般的に、戦闘とは忌避されなければならない。


 誰かしらが傷付き、命も危険に晒される。そして、暴力は互いの精神に負の変化をきたしてしまう。家庭の喧嘩だろうと国を巻き込む戦争だろうと、それは変わらない。


 だが、今はそういった一般的倫理に反し、誰もがこの闘争を“必要”だと感じている。

 この一戦が、何かを変えると信じている。


「バスターは感情によって強くなる。つまりこれは意地とか誇りとかのぶつかり合いなんだ」

「意地と、誇り……」


 テックマトンの銃口がクロウを捉える。

 だが弾が出ない。進行方向の予測による命中確定の一瞬をふいにしたのは、銃身内部の弾詰まりであった。


「単なる勝と負に留まらない何かだと、一人一人が受け取っている……文学的過ぎたかな?」

「いえ、私も見てみたかったのかもしれません。彼がこうして思いの丈を吐き出すことを」

「ふぅん…彼のことが好きなのかい?」

「いいえ。ただ……放っておけないだけです」


 しまったとか今何でという瞬間の思考が命取りになる!クロウがこのような隙を見逃すはずもない。恐ろしいほどの接近速度で戦士はテックマトンに斬りかかった!



「……やっぱさ、ズルくねぇか?」

「君……」

「2人がかりってよぉ……!」


 角ばった概ね人型の、大柄なシルエット。トリファーの前には、拡散するマナの火花。

 違う。そこにいたのは、バリアの外で万が一に備えていたはずのテックマトンゼロ。


 即ちハインリヒ・ワンフォーゲルだ。

想いを力(物理)にする、という戦闘形質の一つの解釈


そんないわゆるジョ〇ョの男の世界的なあれな回

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