第14話「森の中のオラクル」 Part5
一方で元の拠点がどうなったかと言えば……
「こんなとこにまで死体が…これもベロスか?また派手にやったなぁバスター共はよ!」
「いいやこれぐらいやってくれると却ってあの人たちのお役に立てているようで……!」
「よせ、あのシアーズさんの前だぞ」
(ペイガニーに応援として派遣されたがあいつら見当たらないな。もう終わったのか…む?)
「お?なんだい立ち止まって、バスターサマは護衛任務でもビビるのかい?」
「あそこだけ……なんかヘンじゃないか?」
サブの魔獣除け薬品の散布が行われなくなり、魔獣が元の拠点を荒らしまわっている。そう思われていた。
「な、何だ、こりゃぁ……」
だが、拠点は元のままでありそれどころか魔獣のいた形跡はどこにも無い。
「草木が、広がっている」
ただそこにあったのは、静謐と表するには狂気に満ち過ぎた異形の植物であった。
「――知ってるか?“森の奥”の噂」
後にこの報告は、誇張を重ねて「森の中の神託<オラクル>」と呼ばれるようになる。
あそこにはあらゆる物体を歪ませるヒトではない何かが潜んでいる。
あそこは森の真の番人が人間に罰の見せしめとして異常な空間を生み出している。
あそこは禁忌の世界へと繋がっている。
サブが去った後は二度と魔獣が現れることなくその静寂は保たれている。
幸いにも、サブへこれと関連した悪評が飛んでくるということも無く、更には周辺の希少植物も何かしらの被害に遭うこと無くそこでひっそりと在り続けている。
ただ、サブの拠点だった領地の、その空間を除いて。
「どこの森か知らんが、儂には関係のないことだ……」
薬屋の主人はどこか忌避するかのように、その話を切って捨てた。
~第14話「森の中のオラクル」~
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薬師:「森が言っている気がするのだ」
クロウエア:「森が?」
突然放たれたスピリチュアルな言動。
他の二人にはとても木々の土地が何かを伝えてるようには聞こえない。
薬師:「……」
クロウエア:……ん?
薬師:なんじゃったっけ……
クロウエア:僕も覚えてない……
菜の花:え、ええ……?
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そういえば、かの星新一氏の物語の中に、平和の神こそそうと思えないような険しく恐ろしい顔をしている、みたいなワンシーンがありましたね




