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第10話「戦士を名乗る」 Part6

〔盾割る その時頼む 一瞬〕

「……音斬斬紅」


 両手に握っていた1対の剣を一部変形し合体。そしてメッセージを返信する。


〔りょ〕



 地上からまた飛翔を行い、両手持ちの大型剣で斬りつける。

 合体剣・音斬斬紅(おとぎりざんこう)は手数の二振りを単発の攻撃力へと近づけ、より威力を上げた形態。

 元から高かった切れ味に両手の力と合わさった重量を加えただけではなく、特殊な素材やマナの力で上げられていた能力が直列の電池の如く加算され、一つに纏め上げるのみにとどまらない力を発揮する。


(お手並み拝見といきたいけど、挑発がまだ解けないな……)


 ついにデモンオーバーへ斬り傷を付けることに成功するが、だからと言って油断はできない。効果が高いが故に中々解けない興奮の間、腕、脚、腹、頭ともう何度か斬りつけていく。


「やってくれる……!」

「!」


 挑発効果を攻撃の煩わしさ(ヘイト)が上回り、敵の視線がクロウへと移る。

 少しでも動きやすいようにと音斬斬紅を分離してより取り回しやすい二刀流へと戻しつつ、高速で地面へ着地。

 三次元機動はただの浮遊ではない制限がある力のため、回避を横・奥の2軸に集中しようという魂胆である。



「妙な魔力で狂わせたようだが、ここまでだ!」


 しばらくパンチや光球の雨でクロウを追いかけたが、決着を望むかのように、はたまた苛立ちが積もりきったかのように、巨大な光球を腕・角から供給するマナで作り出す。

 それはデモンオーバーの大きさをも超えて周囲を焼き尽くす光線を発し始める。天使が降りる階段の如き、いくつものドス黒い光の束。


「これは……」

「【ダークネス・ドゥルガー】!!」


 即座に〔まだ割るな〕とのメッセージを飛ばし、攻撃を防ぐマジックスキルを展開していく。


(【カラミティー・リムビン】と……【ダークバリア】……無敵になれればいいけど…!)


【カラミティー・リムビン】は1度だけ攻撃を完全防御する。

 しかし大変革でどうなったかというと、クロウはまだ試していない。その上元々これを無視する仕様の強力な技も多かった。

 攻撃は基本避ける方とはいえ、保険と言うには頼りない。


「我が最大の奥義だ、誇りに思いながら消え沈めぇぇぇぇ!!」

「酔っちゃって!」


 メッセージへの返信。


「何!?」

〔行く〕

「何が…?」


 その時だった。ドームの盾へ、光の一つが直撃する。



「【必殺剣……」


 光は中央を捉え盾を破壊していた。しかしZは横にずれた上で、小さなバリアによる破片からの自衛を行っていた。


 手元には赤熱化したような剣、それを構え突撃すると……


「エクスカリブレード】!!!!」


 刀身が伸び、光球ごとデモンオーバーを一刀両断にする。


 一瞬時間の流れが早まったかと錯覚するほどの終端速度に、クロウも、斬られた本人も、唖然とするしかなかった。



「……こんな、強力だったなんて」


 苦戦した巨大な魔獣を、その一撃で地に伏せる。


 おそらくは防御力が高いほど威力が上がり、さらにクロウの切り札だった【乙斬斬甲・瑛】のような長い溜めが必要なものと、クロウは推測した。


 なんにせよ、ヒーローを自称するタンク役を自分は侮り過ぎていたのだと、クロウは自戒した。



「正義は……勝つ!!」


 轟音と共に倒れていく魔獣の身体を確認し、勝利の声を上げる。直後、そのまま倒れ尻餅をついた。


「はは……流石に疲れたな」

「まだ終わってないぞ!!!」



 突如デモンオーバーが起き上がる!真っ二つに切り裂いたかに見えたが、実際は【必殺剣エクスカリブレード】の持つ光の属性にある程度抵抗があるデモンオーバーの身体により、若干すり抜けていた。

 やっとで上半身を持ち上げるぐらいには致命傷になっているが、あろうことかトドメとまでにはならなかったのだ。

 消耗し動きの鈍いZを標的に紫色の光が角に集まっていく。


「見事だったが、それではまだ朽ちん……正義を名乗るものよ、ただの一撃だけで終わることなど無しと知れ。ダークネス……」

「【プロヴァケイト】」


 刺激を齎す不可視のマナが、デモンオーバーの集中力に影響を与える。


「効果時間はやっぱり、その技に使われた魔力の量と……質、魔法の質か」


 デモンオーバーは、振り向かずにはいられない。


「強敵を攻略するのによさそうな戦法がようやく成功した」

「きさ、ま……」

「手を汚すのは僕がやるよ、みんなのヒーロー:Mr.Z」

「うおおおおお……!」

「と言っても、手を汚すとか……言わなくていい相手とは思うけどね」


 デモンオーバーの縦に深い傷のある頭に、無数の氷のような塊が一斉に襲い掛かる。


「ツワモノよぉぉぉぉぉぉ!!」


 敗北を悟り叫ぶデモンオーバーの頭は穴だらけの氷漬けになり、最後に、生成されていた紫の光球を再び合体させた剣の腹で殴る。

 「強さに手の平を返してしまったついでだ」…そう吐き捨てそのまま光球で頭を粉々にしてしまった。



「技の名前を教えてくれないか?もう一人のヒーロー」


 決着。クロウはZに近寄り、立つための手を貸した。


「……魔法は【スノー・フレーク】だけど…うーん……じゃあ、フレーク・ダンクとか?」

「叫べば完璧だ」

「親友にもそう言われたよ」

「それは気が合いそうだ…!」



 二人は、他に敵がいないかと辺りを見渡す。


 デモンオーバーとの戦いに他の魔獣は乱入しなかった。

 なら何をしていたのかと思うと、遠くからこちらの様子を伺っていた魔獣が複数。そのうちの幾匹かはより遠くへと離れていった。


「ボス戦に雑魚が乱入しないのは、巻き込まれたくないからか」

「魔獣はそういうこと考えないと思ってたよ。さて、Mr.Z……」


 セレマは無事、その途中にある集落にも届いてはいない。

 この場で仕留めた、完璧な勝利である。


 はーーーっ……とクロウは大きくため息を吐く。今回ばかりは疲れてしまったのだろう。すぐにマボーグを取り出してセレマへ戻ろうとする。


「マボーグは持ってる?」

「持ってる。でも俺は寄り道していくよ。あの村に報告しておかなくちゃ」

「律儀だね。でも凱旋してこそか」

「さらばだクロウ、また逢う日まで」


 クロウはそれっぽいハンドサインで別れを示そうとしながら、飛んで去っていった。それっぽく、見せてはいたがきっと正確ではない。



 一人残された十束は、高原からセレマの街を、途中の集落と繋がる線の上で見渡す。


「ちゃんと護れたんだな」


 グッ! 握り拳を掲げて、今はまず勝ち誇った。


~第10話「戦士を名乗る」~


――――――――


もしも自分達二人で止められなかった場合、この集落も無事では済まない可能性があること。


ヒーロー:「来る前に倒してしまうのが、我々バスターの仕事です。明日の平和のため、全力を尽くすと誓います」

集落民:「そうですか。こちらも手助けをしたいところですが何もできず…」

ヒーロー:「いいえ、休ませてくれて食事もご馳走にもなったのです。十分過ぎますよ」

クロウエア:「でも、本当によかったの?何もお礼要らないなんて」

集落民「ええ。Zさんには些事からギックリ腰まで色々アッッ」



集落民:つ、つい……

クロウエア:ちなみに本当に間違い?

集落民:いや本当に助けられまして

ヒーロー:ちょっやめやめ


――――――――



通常のスキルと造られたスキル(クリエイトスキル)の違いとしてレベルを添えるというやり方をとろうとしてた

でもこういう時は無い方がいいよねって感じがするから略!!

リズム重視?

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