第2話「キャラの一人歩き」 Part1
かつて5つの大都市が睨み合いをしていた大陸・ジーディス。
その諍いはある時団結へと向かうこととなる。
10年前から各地に現れるようになった謎の生命体、“魔獣”……。
大砲、弓、剣。それまでの兵器を凌ぐ力を持つ超自然生命体はジーディス大陸の人々を脅かし、追い詰め、蹂躙していった。
しかしそれから5年後、既知の生物を上回る力で魔獣を駆除する新人類、“バスター”がそれと対抗するかの如く覚醒する。
彼らは見た目にそぐわない怪力を持ち、更には未知の物質マナを使う魔法としか言えないモノで魔獣に対抗した。
城壁に迫る魔獣の恐怖に対し、バスターとは希望の象徴、いや希望そのものだった。
バスターの参戦で各地の戦線は拮抗、いいや好転するところも出始めていく。
しかし魔獣はそれまでに、色んな場所に根付いてしまった。
殖え増える脅威をバスター達は倒し、倒し、倒し続けた。
そして現在……今もなお続く魔獣との勢力争いは佳境を迎えようとしていた。
「クロスマギア・ミッション」……それは、バスターとなったとある人間達の戦いの記録――
――ロールパンの背を切り開きレタスと目玉焼きを挟む。そこに塩味のある特製ソースを少々。
「おいしい」
絶妙な火加減で焼かれたウインナー。チーズとトマトを添える。
「お褒めに与り光栄だ。ま、私の腕は世界が変わろうがそのままさ。だが味でも量でも、何か物足りなかったら言うといい」
別のパンに手を伸ばす。耳を取り薄いチーズとシャキシャキの野菜類を挟んだサンドイッチ。取った耳で作ったラスクもつまむ。
「いや、満足だよ。これだけの質と量がある」
ヨーグルトは好まない。代わりに相方が味わう。
「……朝食は大事だぞ?身体を使う仕事だ、遠慮せずに胃袋をつかまれるといい」
コップのティーを取り込み、口の中をスッキリさせる。
「料理の腕はそういう目的?……ご馳走様」
朝食終了。一日の始まりだ。
「もう行くのかい?」
「まだやっておきたいことは多いしね」
「晩は大きめのキッシュにしようと思うんだが」
「いいね」
「それとこれ、手入れしておいたよ」
「あ……そういうのもいるんだなぁ」
「毀れた感じは皆無だったけど、軽く研いでおいた。あと、細かい汚れの取り残し」
「凄い装備はその分丈夫、ってことなのかな……」
「とにかく、五体満足で帰ってきなよ。君には不要な心配だが」
「うん。ありがと」
「……いってらっしゃい」
「変なポーズはとらないんだね」
「そんなに変かい?」
「いってきます」
「おいおい」