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戦い終わって

 腕を落とされたくらいではゴーレムが止まることはないが、クロスは2発目の射撃で右腕をも破壊した。


「よし、これで・・・」


 次弾を装填すると右の股関節に狙いをつけて引き金を引く。


ドーンッ!


 一撃では右足の関節を破壊することはできなかったが、2発目で右足の股関節部を完全に破壊し、右足を失ったゴーレムはその場に倒れる。

 コアを破壊したわけではないのでゴーレムの機能が停止することはないが、両腕と片足を失ったことでゴーレムは身動きが取れなくなり、結果として無力化することは成功だ。


「すげえな。こんな距離からゴーレムを止めやがった」

「あれでは巨大な岩の芋虫のようだな。あの状態ならもう心配ない。他の魔物を殲滅した後で私とゴックスで完全に破壊しておこう」


 ザリードとレディアが感心しているが、サリーナは鋭い目でゴーレムの後方を見据えており、声を上げた。


「クロスさん、さっきの人がまたゴーレムを作ろうとしています!」


 サリーナが指差した先では先程の使役者が新たなゴーレムを生み出そうとしている。


「あの調子で次々と生み出されたら厄介だな」


 クロスはライフルに持ち替えると黒いローブを着たゴーレムの使役者に向けて構え、ローブに包まれたその頭部に狙いをつけて引き金を引く。


・・・バンッ!


 銃声が響き、遠方に立つ使役者が頭を撃ち抜かれて崩れ落ちた。

 撃たれた本人は何が起きたのかも分からないまま倒れただろう。

 周囲にいたオークも混乱している様子が見て取れる。

 畳み掛ける好機だ。

 クロスは適当なオークを選んでその頭部を撃ち抜いた。


 切り札のゴーレムが破壊され、さらには前線から遥か後方で次々と仲間が倒れる。

 その状況を目の当たりにした後方のオークの集団が大混乱の中で散り散りになって逃げ出し始めた。


 群れの後方から始まった混乱は徐々に前方に向けて伝染してくるが、冒険者や衛士達はその好機を見逃さない。


「魔物達の戦列が崩れたぞ!今だっ!」 


 ザリードが集団の前列に火炎を撃ち込みながら声を上げたのを合図に冒険者達は一気に攻勢に転じた。


「・・・決まりましたね」


 混乱の最中にあるオークの群れの数減らしをしていたクロスは弾倉の中の最後の弾丸を撃ち終わったところで銃を下ろす。


 オークはそれなりの知能を有する社会性の高い魔物だ。

 今回、町を襲撃した原因は分からないが、町を襲ったオークの魂にこれだけの恐怖を植え付け、それを学習させたならば今後は滅多なことでは人里を襲うようなことはないだろう。


 クロスはクローラーの上から周囲を見渡す。

 冒険者、衛士隊共に負傷者だけでなく、命を落とした者もいるようで、雑嚢を肩に掛けたサリーナが負傷者の治療に走り回っている。

 それでも、圧倒的に不利な状況だったことを鑑みると、最小限の犠牲で最大限の戦果をもたらしたと言ってもいいだろう。


 そして、戦いは終わったが、クロスの役目はまだありそうだ。

 その証として、サリーナが駆け寄ってきた。


「クロスさん、重傷で危険な状態の方が2人います。この町では治療できませんので、急いで水の都市に搬送する必要があります!」


 そこでクローラーの出番というわけだ。


「分かりました。怪我人を乗せてください。クローラーで水の都市に搬送します」


 クロスは直ぐに水の都市に戻ることになったが、ザリードとレディア達は町に残るということで、クローラーに積んできた自分達の荷物を降ろして負傷者のためのスペースを作っている。


「クロス、俺達は町が落ち着くまで様子を見る。怪我人を連れて先に帰っていてくれ」

「後のことは心配するな。負傷者をよろしく頼む」


 ザリード達が荷物を降ろすと、入れ替わりにサリーナは冒険者達に頼んで重傷の負傷者2人をクローラーの車室に運び入れた。


 かなりの重傷だが、早急に水の都市に搬送すれば助けることができるだろう。


「それじゃあ出発します」


 クロスはクローラーを発車させた。

 サリーナは後部の車室で負傷者の状態を見ている。

 戦いが終わったものの、クロスとサリーナは落ち着く暇もなく負傷者を連れて水の都市に帰ることになった。



 町を一望できる丘の上に立つ者が2人。 

 町を襲ったオークの群れの敗走と、負傷者を乗せて走り出すクローラーの様子の一部始終を見ていた。


「まだ私の力が弱いせいか、数だけそろえても、結果はあの程度か」

「まあ、良いのではありませんか?あのような寄せ集めに期待するだけ無駄でしょう。そもそも、今回の襲撃は実験が目的であり、町を陥落させる必要はありませんからね」


 2人は興味を失ったように踵を返すと、姿を消した。

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