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第ニ話 神との取引

本職の合間に書いているので更新ペースが遅いのは黙認してください。

すいません。

 「取引?」

 

 鏡花は訝しげに聞き返した。


 「ええ、そうです。貴女の弟…真那さんは私が探します、神である私にはその手段が幾つかありますので。

 その代わり交換条件として貴女には、この世界の魔王を倒して欲しいのです。」

 「いいわよ。」

 「…私としては助かるのですが、何の説明も聞かずにそんな即答して良いんですか…?」

 「だって仕方ないじゃない、他に手段が無いんだから、貴女に縋るしかないのよ。」


 鏡花はそう答えた後居住まいを正し、フィーネの目をまっすぐ見て。


 「私のことはどの様にこき使っても構いません、だからお願いします、真那を探して下さい。」


 そう言った後頭を下げた。


 「…わかりました頭を上げて下さい、では取引成立ということで良いですね。」

 「はい。」

 

 フィーネは鏡花の返事を聞いた後、少し深呼吸をした。


 「すぅ~はぁ~…(弱みに付け込んでいるみたいで、罪悪感がきつい!)」

 「?」

 「いえ…気にしないで下さい…」



 フィーネは気を取り直して話しを切り出す。

 

 「ッコホン…ではこの世界の現状と貴女に取引を持ち掛けた理由を説明させていただきます。

先ず、この世界には魔力を用いた魔法という技術が存在し、この世界の文明はこの魔法技術により発展しています。魔力とは生物が持っている生命エネルギーの一種で、人の感情等にとても影響を受けやすく、生物であれば大なり小なり個体差は有りますが必ず持って生まれてきます。そしてその魔力を利用し物理法則に干渉するのが魔法になります。

 ここで問題になってくるのは魔法を使うのが何も人類種だけでは無いということです、魔力を持つ生物の中には、自身の持つ魔力を効率よく行使する為に独自の進化を遂げた種が存在し、それらを総称して魔物と呼びます。」


 フィーネは手を前に翳した、すると幾つもの映像が現れた。


 「この映像は魔物を映したものです。」


 映像には漫画や小説に出てくるような、ゴブリンやオークだけでなく、巨大な百足や角の生えた巨大な四本腕の熊等様々な化け物が映っていた。

 

 「改めて実物を見ると少し怖いわね、一応私オタクだからそこらへん耐性あるつもりでいたけど現実だと威圧感が段違いだし、そこに映ってる熊なんてデカい百足を地面に叩きつけてクレーター作ってるじゃない。」

 「そのくらいなら魔力の使い方さえ覚えれば鏡花さんもできますよ、それこそこの魔物の攻撃も魔力を利用したもので、むしろこれくらいが普通です。今映像で見てもらっている通り魔物とは本能で動いているためか、非常に攻撃的で戦うごとに力を増していき、そして力を付けた魔物は極稀にある素養を獲得します。その素養こそ瘴気の受け皿…魔王になる絶対条件です。」


 映像が切り替わり、不気味に光る大きな繭が映し出された。


 「魔王とは、知性有る生命の負の感情により魔力が変質してしまった瘴気が、素養を持つ特定の魔物に収束して生まれる存在です。

 本来であれば、この世界の誰かを勇者として選び加護を与えて斃させるのですが…今回は鏡花さん貴女がいます。」


 そう言うとフィーネは映像を消し、鏡花に目線を合わせた。


 「鏡花さん、貴女は一度…時空の狭間で命を失い肉体そのものも失いました。ですが貴女は魂だけの状態でこの世界に流れつきました、改めて言いますが時空の狭間にただの人が何の対応策も無しに生身で投げ出された場合、肉体どころか魂も消滅します、時空の狭間とは時間という概念が飽和状態になって満たされた場所です。そんな場所では人の肉体も魂も時間の矛盾どうしのぶつかり合いの焦点になってしまい存在を保てません。

 なのに貴女はこの世界にたどり着きました…貴女の魂はその時間の矛盾の渦の中でも存在を保っていられるほど強靭だということです。……(っあ…やっべ…)」


 フィーネはそこで言葉を区切ったとたん言葉を継ぐんだ。


 「…?…どうしたのよ?いきなり黙って?」

 「…っあ~…いえ…先に貴女に謝らないといけない事があったのを思い出しまして……。」

 「…はい?」

 「…実は…貴女の肉体を再構築した時…少し手を加えまして…事後承諾で申し訳無いのですが、勝手にかなり強化してしまいまして…申し訳ございませんでした!」

 

 とそう言ってフィーネは頭を下げた。


 「…はぁ、頭を上げてちょうだい。生返らせてもらっただけでもありがたい状況で、そんなことに文句を言うことなんてないわよ。

 それにこんな物騒な世界で生きていくならむしろ歓迎すべきことでしょうしね。」

 「(…っほ…よかった怒ってない。)…ですが最低限の礼儀です。まして取引という形ではありますが、持ち掛けたのは私です。」

 「…そう…その謝罪は受けとるわ、でも貴女…最初からそのつもりでやったでしょ。」

 

 フィーネはそう指摘された瞬間あからさまに動揺しだした。

 

 「っギク……はい。その通りです…、だって…だって…仕方ないじゃないですか!!」


 フィーネはそう叫ぶと立ち上がり、手を何度もテーブルに打ち付けながら叫びだす。


 「勇者の任命を誰にするか悩んでる最中に唐突に時空の裂け目が生まれたと思ったら、そこから魂が出てくるんですもん、これは《もっけ!》って思うじゃないですか!」

 「っお…おおう(なんか急にキレ始めたぞこの神様…)」

 「それこそ魔力量なんて肉体と魂の強靭さが掛け合わさって二乗するんです!肉体を創る段階で欲が出るのは当たり前じゃないですか!なのに目を覚ましたらいきなり怒鳴ってくるし、私だってやる事多すぎて困ってるですよ!…はぁ…はぁ…はぁ…」

 「…えっえ~っと…貴女も落ち着きましょう、お互い大変なのは理解したから大丈夫よ、ね…ほら、椅子に座って、深呼吸しましょう。」


 そう言って鏡花はフィーネを支えて椅子に座らせた。

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