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ガルディシア帝国の興亡  作者: 酒精四十度
【第二章 ガルディシア発展編】
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2_24.ギュンター少尉と仲間たち

エステリア中央部 エランの町周辺 帝国歴227年 5月27日 18時


ヴァルターとエドアルドはエランの街の近隣の森に潜んでいた。

エランに向かう途中で騎兵の一団がエラン方向に向けて街道を駆け抜けて行ったが、果たしてこの一団の正体はギュダンが警戒情報を持たせて派遣した一団だったのだ。ヴァルター達がエランに近づいた時点で、既にエランの街は封鎖と警戒体制に入っていた。遠巻きにしつつヴァルターは、既に自分達が何等かの手配をされている事に気付き、街には入らず迂回しようとしていた。


森の中を歩いていると、エラン方向からちょうど隠された状態で、馬が繋がれているのを発見した。この馬の周辺にはエステリア騎兵用の装飾が外され、草木で隠されていた。


「おい、エドアルド。これ…エステリア騎兵の装飾だぞ。なんでこんな所に捨ててあるんだ?」


「曹長、これはもしかして…既に誰かが騎兵の馬を奪ってここまで来た跡じゃないですか?」


「態々捨てたって事は、馬を動かすのに装飾が付いてたら不味い、という事だからだろうな。すると…なぜ、ここに馬も居るんだ?そこら辺りの木を調べろ。何か痕跡が残っているかもしれん。」


「何故でしょうかね…乗り換えたとか?あ、この木に印が入ってますね。何々…?ブルーロ、オットー、27日、7時、ルーロ。」


「既に隊長とオットーだけでルーロに向かったのか。それにしても朝の7時にもうここを出ていたとは…とすると、エランで別の移動手段を手に入れて馬を捨てたって事か。それにしても、あと残りの連中はどこにいるのやら。」


「移動手段…馬を変えるか、駅馬車に乗るかですかね。さて、どうします?ルーロに向かいますか?」


「いや、隊長達が7時に向かったのなら…俺達と1日違い近い。港に着いても待たずに出発する筈だ。それに急いで向かっても間に合わないだろうな。俺達はエルメに向かう。」


「了解です。それでは今夜はここに泊まりますか。明日の移動はそこの馬を使いましょう。」


「そうだな。馬も元気そうだ。じゃ野営の準備をするか。」

 

ヴァルターはブルーロ隊長の印の下にナイフでがりがりと自分達の情報を刻み始めた。



あとの連中、つまりギュンター少尉の四人組は漆黒の森中央部に居た。バラバラに逃げた時は闇雲に走ったが、その方向はどうやら東であり、森の中央に向かった後に野営をした事が判明した。ちょうど森の出口のどこからも均等に遠い。


彼らは沢近くで野営した後に、翌朝行動を開始した。

とは言ってもほぼ装備を失っていた彼らは、沢で汲んだ水と少ない弾薬を持って南の出口へと進んでいた。時々南に向かっているかどうかを太陽の位置を確認し、南下を続けるも一向に森が途切れる気配は無い。


そして彼らは未だあのバケモノが死んだ事を知らない。

その為、異常な程に周囲への警戒をしながら進んでいた為、移動の距離は稼げない。やはり1日に15km~20kmが精々という所だ。


今の所、人間に危害を成す獣の類は出ていない。だが、これだけ少ない弾薬では…人を喰う類の獣や、例のバケモノと出くわしたら一巻の終わりだ。1回は交戦出来るだろうが、其処までだ。次に出会ったら、選択肢は逃げる事しかない。南の森の出口までは、あと70kmから100km位だろう。

この調子だとやはり5日程度はかかる…食料も無い…


「ヨーゼフ軍曹。狩りをしながら進む。このまま食料も無い状態で進んで、いざとなった時に動けない、なんてのは冗談でも避けたい。今日は狩りをしつつ前進するぞ。小銃の発砲を許可する、節約して撃て。銃以外で仕留められるなら、そうしろ。」


「了解、今夜の晩飯の為、必ず仕留めますよ。」


「頼もしいな、テオドール、ハンス。頼む。」


小銃を持つ二人に声を掛けつつ、森を切り裂いて4人は進んだ。

だが深い森の中は視界が悪く、動物が居るのかどうかさえ分からない。そして、この森の中で彼ら四人は普段の森とは全く違う音を発しながら進んでいるので、彼らの周辺に居る野生の動物は警戒して出て来ない。獲物に出会う事も無く、4時間が経過した。


彼らは森の中で湧き水が沸いている少し開けた場所に出た。水の補給と小休止をしていた所に小鹿が現れた。恐らくだが、この湧き水が沸く空間は、森の動物の水飲み場となっているのだろう。その為、ここに水を飲みに来たその小鹿も、余り警戒せずに湧き水の場所までやってきて、ギュンター一行を見て固まった。


彼らは天の采配とばかりに、直ぐに小鹿を狩ろうと銃を構えて撃った。実に簡単に鹿を狩る事は出来たが、倒れた鹿になかなか彼らは近づかず遠巻きに鹿の目を見ようと回り込んだ。鹿の目は何かを訴えるようにこちらを見て、浅い呼吸をしていた。ようやく目を見て安心した彼らは、直ぐに鹿に近寄り解体を始めた。この日の夜は、何日かぶりに新鮮な肉を食べたギュンター達だった。

すいません、今夜は更新無しです…

もう米国のアレ、今夜が山なんです(徹夜覚悟)

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