表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガルディシア帝国の興亡  作者: 酒精四十度
【第二章 ガルディシア発展編】
91/327

2_16.崩壊と絶望

ブルーロとオットーは只管逃げた。街道に向かって走り続けた。

もう駄目だ。アレは相手にしてはならなかった。一人が犠牲になった時点で、全力で逃げるべきだったのだ。だが、いくら走っても街道に当たらない。どこかで進むべき方向を間違えたのかもしれない。こんな時になんてこった…


ブルーロ達の一行は、ドロドロがかかったレオを遠巻きに見ていた。レオの足元には、人間の皮みたいなモノが落ちていた。松明にテラテラと光るレオの顔に張り付いたドロドロが徐々に消えさり目を瞑っていたレオは、大きく息を吸い込み目を開けた。


「み…み…みん…な…お…俺は…ぁ…」


たどたどしく、レオが話し始めた。だが、目の中にはあのドロドロが光ってる。


「あの目!!レオがバケモノになった!!」


「おい、撃て!レオを撃て!!」


「レオの姿で話しかけるなバケモノ!!」


「ああ、神様…」


皆が一斉に叫びながらレオを撃った。レオは素早い動きで逃げ去ろうとするも、ハンスの弾に当たった。レオは撃たれた所からドロドロを流しながら、一番近くに居たフランツに飛び掛かり、銃を構えたフランツに撃たれながら彼を抱え込んだ。そして…フランツが次に目と口を開けた時に部隊の士気は崩壊した。


「…あ……ぁ……レ…オ…ぉ…」


「ふ、フランツもバケモンになっちまった!!」


「死ね!死んじまえ!!」


「待て!撃つな!!皆、撃つな!!」


ブルーロは皆が撃つのを止めようとしたが、誰も聞かなかった。全員パニック状態のまま、フランツを撃ち続けた。撃たれたフランツは、近くのヨハネスに飛び掛かった。そして…


ブルーロ達は逃げ出した。

ヨハネスが立ち上がる前に逃げだした。

バラバラに、装備も放り出して逃げた。


ブルーロは偶々近くにいたオットーと逃げたが、その他の連中はどこに逃げたのか、暗闇の中でさっぱり分からない。そしてブルーロとオットーは街道と思われる方向に逃げだしたのだ。だが街道と思われる方向に走り続けているのに一向に辿り着かない。時々、ここから離れた場所で何発かの銃声が響く。それは、部隊の誰かの墓標のような気がした。


--

ボーパル大尉が張り込む45km地点に、騎兵が駆け込んできた。


「ボーパル大尉!銃声が聞こえました!!50km地点!」


「よし、そこに行く!メルロ、伝令!40km地点からここまでの警戒ラインは引き払え。引き払った部隊は全員50km地点に移動せよ!」


アルスランから森の脇を南に下がる街道で、アルスランから40km地点を基点にして1km毎に50km地点まで10カ所、保安部隊と騎兵を配置した。延々と続く10kmの警戒ラインに引っ掛かったのは複数の銃声だった。何人居るかは分からないが、そんなに大人数ではあるまい。恐らくこの人数で対処が可能だろう。問題は、例のアレがこっちに向かってきた場合だ。その時は、逃げの一手だな…


全員50km地点に集まった。

先程まで聞こえていた銃声はもう聞こえない。森の中にも全く気配を感じなかったが…そこは突然賑やかになった。森の中から、複数のさけび声が聞こえてきた。


「逃げろ!!そこから離れろオイゲン!!!」


「ちくしょう!!どうやったら死ぬんだこいつ!!」


再び銃声が聞こえた。複数発撃っているが、相手は例のアレだろうか…どうやら、逃げている方は少人数は2、3人の様だ。まだ森の中に居るが、そろそろ街道に出てきそうだ。


「馬鹿野郎、撃つな!!」


「もう街道だ。街道まで出たら逃げられる!!」


「回り込まれた!!ヴァルター!!もう駄目だぁぁぁ!!」


「オイゲン!!ああっ。オイゲン!!!」


「オイゲンはもう駄目だ。行くぞ、エドアルド!!」


「ああ、オイゲン…すまん…。」


「街道だ!もう近いぞ!!」


そして街道には銃を構えたボーパル大尉率いる保安隊の警戒ラインが彼らを待ち受けていたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ