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ガルディシア帝国の興亡  作者: 酒精四十度
【第二章 ガルディシア発展編】
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2_15.ヘルムートとの再会

オットーは再び気配を感じた。あの気配だ。

1km程先に昨晩の、あの気配がする。


「ブルーロ隊長!奴が来ました!!北方1km程度、」


「やはり来たか…よし!ここに防御陣地を構築する。テオドールとレオは陣地中心から50mの範囲を紐で括って鈴付けろ。エバーハルトとカールは西側、フランツとエドアルドは東側、オイゲンとエルンストは南側、ヨーゼフとハンスは北側を警戒しろ。ヴァルターは、北側中心に爆弾でトラップ構築。全員で、トラップに奴を追い込め。オットー、陣地中心に居て奴の動向を知らせろ。」


ブルーロはテキパキと指示をした。

何だか分からんが、今度こそ仕留めてやる。弾さえ当たれば仕留められる筈だ。幾ら動きが早いとはいえ、いくら即席とは言えこの防御陣地に入れば…


「警戒紐、設置完了です!周辺、松明の設置も完了!」


「隊長、陣地構築完了!」


「トラップ、爆弾仕掛けたぞ。何時でもOKだ。」


それぞれ仕掛けていたトラップ、警報装置の設置が完了し、皆が報告をしてきた。万全の態勢で迎え撃ってやる。


「よし、準備は整ったな。オットー、敵の動きは?」


「この前と同じで1kmの距離を取ったまま様子を窺っています。」


「前と同じなら300mから一気に距離を詰めてくるだろうな…」


「北側から同じように来るなら吹っ飛ばしてやるぜ。」


だが、今回は一気に来なかった。ゆるゆると歩む速度で近づいてきたようだ。オットーが警戒して叫ぶ。


「隊長、奴はゆっくり来ます!…あと数分で接触!」


「ちっ、一気に来て一気に片を付けたかったが…お前等、まだ撃つなよ。引き付けろ。」


「なおゆっくり接近中!トラップゾーンの向こう側、距離50。」


そこかしこに松明を設置した。朧げながらも、近づく奴の姿が見えてきた。…人のような形をしている?


「おい…なんか、人間っぽいな…」


「人間みたいな形はしているが…人間の動きじゃないぞ。」


その時、近づく人のようなモノが声を発した。


「ぶ…ぶるー…ろ…隊長…ぉ…」


聞いた声がした。一昨日前まで一緒に戦っていたヘルムートの声だ。助かったのか!追ってきたのか?今までどこに居た?


「おい、あれヘルムートじゃ…」


「なんだ生きてたんぢゃねえか!!心配させやがって。」


「おい、こっちだ。ここで陣地を構築してるから早く入れ!!」


他の隊員達は、ヘルムートを陣地に受け入れようとしていた。だがブルーロは何か引っ掛かっていた。これは誰だ?なんだ?…まて!そもそもアレと同じ気配とやらで近づいたんだぞ!?


「オットー!おい、こいつは何モノだ!!」


「分かりません!昨日の奴と同じ気配です!!」


「そいつは敵だ!撃て!!爆破しろ!!」


「えっ、隊長、ヘルムートを??」


事情が掴めていないのか、皆は仲間だと思って撃てない。ブルーロは躊躇なくヘルムートの様なモノに向かって撃ちこんだ。


「ヘルムートに化けてるぞ!!俺達を油断させて殺すつもりだ。何をしてる!!お前等、アレを撃て!!」


兵の半分は撃つのに躊躇していた。だが半分はヘルムートに射撃を開始した。…だが既に遅かったのだ。


攻撃が最大に効果を発揮する距離と場所を逸した状態で、攻撃を開始してしまった。既にトラップの内側に入り込んでしまい無効化された。しかも撃ち始めると素早く動き始めたので、こちらの弾が当たらない。が、ギュンターの弾が偶然にもヘルムートの肩に当たった。


当たった!穴が開いたぞ!倒せる!!

誰もが皆、一瞬高揚した。やってやったぞ!!


弾が当たったヘルムートは動きが止まり、ゆっくりと辺りを見渡した。そこで松明の明かりでヘルムートの姿がはっきりと見えた。


ヘルムートの姿をした者は、肩口を撃たれ、撃たれた所には穴が空き…そこから何かドロドロとしたモノが止めどなく流れていた。そしてヘルムートの顔をよく見ると、目が無く流れ出るドロドロと流れ出ているモノと同じ色をした何かが代わりにあった。


「うわっ、すげえ…なんだこれ。ヘルムートじゃねえ…」


「おい、レオ!近づくな!!駄目だ!!」


ふらふらとヘルムートの近くに近づいたレオは、間近でそれを見た。顔を上げたヘルムートはレオに抱き着くように飛び掛かった。そして…レオを抱え込むとヘルムートは溶けだした。溶けだしたドロドロの液体は全てレオにかかった。


「うわっ、なんだこれ、このドロドロが…うぐ…ぉ…」


レオにかかった液体がレオの顔を覆い、レオは喋らなくなった。

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